ダンジョンに賢王がいるのは間違っているだろうか? 作:ひまわり先生
・・・自身無し
「アイズ~そいつは魔法に反応するからな!!!」
「魔法・・・わかった」
ポロンはアイズにそれだけを伝えた。
「
「アイズさん!!!魔法を使ったら!!」
「いやいい、今の内に動くぞ」
そこからポロンはレフィーアの手を引き、ここに来る途中で目に入った女の子を持ち上げる。
「とにかくこいつを安全なところに持ってくぞ」
「はっはい」
ポロンとレフィーアが戦線を離脱するためにもあえてアイズは魔法を使うことを選んだ。
「アイズ!!私たちはあとでいいからまずは一匹何とかしちゃいなさい」
「わかった」
残り二体の食人花。
風を使い空中を高速で移動する。
食人花が繰り出す無数のツルにも空中での回避や斬撃でいなしている。
纏う風に魔力を送り、剣先に集中させる。
「リル・ラファーガ」
アイズの放つ一閃に食人花は崩れ去った。
「やった!!!」
「さすがね」
「もう一体・・・」
アイズは再び剣先に風を集中させる。
鞭のようにしならせたツルをよけながらティオナ達が捕まっている食人花に近づく。
近づくにつれツルは勢いも増すがアイズには勝算があった。
(ここまで近づけばツルごと本体まで貫ける)
「これで終わり、リル・ラファーガ」
再び風を纏った一閃が繰り出されるがここで不測の事態がおこった。
「!?」
2本のツルを貫いたところで剣が壊れたのだ。
そのままアイズの攻撃は中断し、3本目のツルによる一撃を受けた。
「「アイズ!!!」」
アマゾネス姉妹はアイズの名前を叫び安否を確認する。
「だい・・じょうぶ・・・」
近くの出店に吹き飛ばされたアイズだが魔法のおかげで致命傷は抑えられた。
だが内心は少し焦りを感じていた。
自身の手には武器がなく、いつまで自身の魔法が持つかもわからない。
まだ魔法を展開しているアイズに再びツルが襲い掛かる。
そんな中で急に食人花の口にあたる部分で小さな爆発が起こる。
「どうだ!!!おいら特性花火玉の威力!!!」
「ポロン!!!」
「レフィーヤは女の子を連れてこの場から離れた!!!あと助っ人だ!!ゴブさん、アルちゃん頼む!!!」
「ゴブ!!」「キュキュ!!!」
ゴブさんはティオナを、アルちゃんはティオネを拘束しているツルを攻撃した。
「ありがとーゴブさん」
「ナイスよアルちゃん」
アマゾネス姉妹はそれぞれゴブさん達から武器を借り、反撃にでた。
「さぁて、反撃開始と行こうかしら」
「武器があるから今度は負けないよ!!!」
二人は着実にダメージを与えていったが決定打には至らなかった。
ゴブさん達の武器はあくまで上層で通用するレベルの武器の為、この食人花を倒すまでには至らなかった。
「チッ、無駄に硬いのよ」
「ウルガさえあればこんなやつ」
「二人ともおいらに任せてくれ」
ポロンは二人に声をかけると懐から刀身の赤い短剣を取り出した。
「ヴェルフ特性壊れない魔剣バージョン52!!!」
「あんたなんでクロッゾの魔剣なんて持ってんのよ!?」
「企業秘密だ」
ポロンは数年前からヘファイストスファミリアのヴェルフ・クロッゾとともに壊れない魔剣の製作を研究していた。
皆さんもとても気になるようだがここは後日紹介しよう。
「バージョン52は今までとは打って変わった方式をとったチャージ式の魔剣」
「魔剣内部に魔力がチャージされることで強力な炎魔法に匹敵する一撃を放つことができる代物だ」
「そして今のところ計9回目の使用となるがまだ壊れておりません」
ポロンの持つ魔剣の刀身がさらに赤みを増す。
その魔力に反応し食人花も動き出す。
「へへっ、今更動き出したところでもう遅いっての!!!」
「必殺!!!バージョン52砲!!!」
「「技名雑!!!!!」」
巨大な炎が魔剣から放たれ、ポロンを襲ったツルを巻き込みながら燃えていった。
「おお~10回目も耐えきったか・・・これはヴェルフにいい知らせができた」
「やったじゃんポロン!!!」
「はぁ~あとですべて話してもらうからね」
食人花は消滅し、皆そろって安堵した。
「ポロン、危ない」
「そっちこそ剣が折れてピンチだったじゃんか」
「・・・・足震えてた」
「・・・ゴブニュのおっちゃんどんな顔するだろうな」
「!?」
今回はいつもの愛用の剣は修復に出しており、ゴブニュファミリアに替えの剣を貸してもらっていたのだ。
ポロンの一言を聞くと誰が見てもわかるように顔が青くなっていった。
「はぁ~・・・おいらも一緒に謝るからこれでお相子な」
「うん・・・ありがとう」
この場を離れようとする一同だったが一番耳のいいアルちゃんが地下から異常な音がすることに気づく。
「キュキュ!!!」
「なっ!?」
あるちゃんの声でポロンが後ろを振り向くと一本のツルがポロン目掛けて迫っていた。
ポロンはいきなりの出来事に身動きが取れずツルの一撃が命を奪いに来ていた。
しかしそんなポロンの体を突き飛ばした人物がいた。
「アイ・・ズ?」
「・・・よかった」
アイズは腹を貫かれ、そのまま壁に叩きつけられた。
「ティオナ!!!」
「わかってる!!!!」
二人は次々と襲ってくるツルをいなしていった。
「まさかもう一体隠れてたなんて」
「ポロン!!もう一度魔剣を!!!」
「多分無理よ、さっきチャージ式とか言ってたでしょう!!!」
ティオナは再び魔剣を使ってもらうようポロンに声をかけるがティオネの言う通り、それは不可能だった。
バージョン52は魔剣内部に特殊な魔石を埋めており、そこに魔力を充填させて使用する仕組みになっている。
だが一発の使用に対し、チャージは3日以上かかると燃費が悪い。
つまり、先ほど使用したためバージョン52は現在使えないのであった。
だがティオナの声はポロンに届いていなかった。
ポロンは震える足を動かし、傷つくアイズのもとに近づく。
「なぁおい・・大丈夫だよな」
「・・・・・・」
アイズからの返事はない。
「ロキファミリアでも最前線のアイズがこんな簡単にやられるわけがない」
「・・・・・」
アイズの横たわる地面の血だまりが次第に広がっていく。
「・・・どうしておいらを庇ったんだよ!!!!」
「・・・・」
その問いにも返答はない。
「アイズ・・・さん?」
「アイズさん!!!!」
遅れてきたレフィーヤがアイズの悲惨な状況を見て駆け寄った。
「そんないやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
レフィーヤが叫ぶ。
レフィーヤが泣く。
ポロンはレフィーヤの姿を見てプツンッと何かが切れた感じがした。
湧き上がってくるのは食人花に対する憎悪。
先ほど使ってしまった魔剣を構え、走り出す。
(あいつを絶対コロス)
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
「ちょ!?ポロン!!!」
「来ちゃダメ!!!」
そして何の策もなしに突っ込んだポロンは食人花のツル一撃を食らい、アイズとはまた別の壁に吹き飛ばされた。
そしてみんなの呼びかけにも答えられず意識を失った。
~???:ポロン視点~
夢を見ていた。
「・・・~い」
アイズがやられておいらもやられて。
「・・・~い、おき・・・ば」
でも大丈夫、だってあれは夢なんだからさ
「いいか・・・し・・、ぶっ・・ば・・ぞ」
ん~うるさいな、あと五分寝かせてくれ。
「うるせぇ!!!とっとと起きろ!!!」
「あでぇ!!!いきなり何すんだよ!!!」
「もぉ~やりすぎよ」
頭を殴られ、目を開けるとツンツンした黒髪の男と可愛い黒髪の女がそこにいた。
「失礼美しいお嬢さん、お名前は?」
「えっポロン覚えてないの?」
「なんだ、まだ思い出してねぇかよ」
何言ってんだこいつらと思っても仕方がない。
オラリオで会ったことあるっけ?
いや、二人とも見たら忘れられない鎧と服だしな。
黒いライオンの鎧なんてめったに見ないぞ。
「だぁぁぁ!!!あんたたちは誰なんだよ!!!それにここどこ!!!!」
今俺は何もない真っ白い空間にいる。
自室でもオラリオの中でもない。
「オイラ達も詳しいわけじゃないがお前の精神世界ってやつだ」
「おいらの真似すんじゃねぇ!!!」
「おめぇが真似てんだよ!!!」
「時間がないからケンカしない!!!!」
「「あでぇ!!!」」
おいらとツンツン頭は女の子から軽いチョップを受ける。
「ん?時間がないってどういうこと?」
「お前さんあの魔物から一撃くらって気絶してるんだけどよ」
「魔物?」
「あのでっかい魔法に反応する植物よ」
はっ?だってあれは夢・・・・じゃない!?
「早くあいつを!!!」
「ああ、だからお前をここに呼んだんだよ」
「私達の力も使えるはずなのになんで使わないのか聞こうと思ったんだけどまさか記憶がないとはね」
「・・・・何言ってんの?」
二人して溜息を吐いた。
そんな二人を見て怒りがわいてくる。
「いい加減にしろ!!このままじゃアイズが!!!」
「だったらここで思い出せ」
「何を・・・」
「私達の旅を」
「オイラ達の戦いを」
「「賢王としての記憶を」」
ズキリと頭痛が襲う。
『賢王』のフレーズをきっかけにどんどんと記憶があふれてくる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ちょっ!?大丈夫なの!!!!」
「ありゃ、無理に思い出させようとしちゃって大変なことになってる?」
「もう、何やってるのよキラ」
「おい、ヤオだって賛同してたじゃねぇか!!!」
キラ・・・・ヤオ・・・・
《さぁ、あと一歩だポロン!!!がんばれ!!!》
「・・・・・アルス」
自然と口から出た名前だった。
いや・・・すべて思い出した。
「俺は聖戦士 賢王ポロン」
「よーやくかよ」
「改めて久しぶりポロン」
ああ、なんで大切な仲間のことを忘れていたんだろう。
自然と涙が頬を伝う。
だが悲しくはない、とてもうれしい。
俺は笑顔で2人に声をかけた。
「キラ、ヤオ、久しぶり」
~episode 7 end~
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