ダンジョンに賢王がいるのは間違っているだろうか? 作:ひまわり先生
「そんなポロンまで・・・・」
「レフィーヤ!!!とにかくアイズを連れてこの場から引いて!!!」
「アルちゃん、ゴブさんはポロンをお願い!!!」
ティオナ、ティオネの声にレフィーヤ達は気持ちを切り替え各々行動し始めた。
だが現状では食人花を倒す術がなく、ヒリュテ姉妹は苦渋の表情を浮かべる。
「もう誰でもいいから助けに来て~!!!!」
「その意見、私も同意だわ」
「なら俺に任せとけ!!!!」
「「「え?」」」
その声にレフィーヤとヒリュテ姉妹も反応しポロンが倒れてた場所を見る。
先ほどまで倒れていたポロンが立ち上がっており、ニヤッとした笑みを浮かべていた。
「「「ポロン!?」」」
「ゴブッ!!!」
「キュ~!!!」
「みんな心配かけた、ポロン様復活!!!」
急に復活したポロンに驚愕する一同。
そんなみんなを気にせずにポロンは暢気にストレッチを始めた。
「あんたふざけてないで動けるんだったら早く逃げなさいよ!!」
「本当に死んじゃうよ!!!」
あまりの緊張感のなさに怒りを覚えるティオネに本気で心配するティオナ。
そんな心配をよそにへらへらしながらポロンは食人花を見る。
「安心しなよ、こいつは俺が倒すからさ」
「ゴブさん達も少し離れてな」
ポロンは目を閉じ、頭のサークレットに手をかけて持ち上げた。
いままで外れなかったサークレットをいともたやすく外し、そのサークレットはどんどん縮退し指輪となった。
するとポロンの周囲から風が吹き出す。
「っ!?ポロンから魔力が」
魔法を使うレフィーヤはポロンの体から魔力を感じた。
今までは違うポロンに再び驚愕する。
そのポロンの体にも少し変化があった。
結膜は黒く、角膜はポロンと同じ翡翠色の少し不気味な目が額に現れたのだ。
「これで賢王完全復活だな」
「さてまずは念のため『ピオラ』そして『スカラ』っと」
自身に移動速度を上昇させる呪文『ピオラ』と守備力を上昇させる呪文『スカラ』をかけた。
呪文を使用したことで食人花がポロンの魔力に反応し始め攻撃してくる。
「よっ、はっ、ほいっ」
移動速度の上がった今の状態のポロンは繰り出されるツルを気軽によける。
「ティオネ達は戦線離脱してくれ、俺の魔法であいつを焼き尽くす」
「はぁ!?あんた魔法使えないでしょうが!!!」
「今使えるようになったんだよ!!!いいから離脱しろ!!!」
「くっ・・・ティオナ」
「わかった!!!」
2人は食人花の攻撃を捌きつつ、距離を取り始める。
そして十分な距離を離れたのをポロンは確認した。
「さっきはよくもやってくれたな花野郎!!!俺の炎で燃やしてやるぜ!!!」
ポロンはツルを避けながらも呪文を発動させるべく自身の魔力を集中させる。
「こいつで終わりだ!!!上級火炎魔法『メラゾーマ』!!!」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
しかし何も起こらなかった。
「あれ?べぶしっ!!」
何もせず立ち止まってしまったポロンに容赦なくツルの鞭が繰り出された。
吹き飛ばされはしたものの呪文で守備力を上げていたのでそこまで大きなダメージは受けなかった。
「何ふざけてるんですか馬鹿ポロン!!!」
「ふざけてないんだけど、なんでメラゾーマが使えなかったんだ・・・・あっ」
ポロンは精神世界で受けた説明を思い出した。
~~~~数分前:ポロンの精神世界~~~~
「時間がないから手短に話すとポロンはスキルでオイラ達ケンオウの力というか技能みたいなのが使えるみたいなんだ」
「えっ!?じゃあ剣をキラのように使えたり、ヤオみたいに気を使った攻撃ができるってことか」
「そうよ、私達がポロンの精神世界にいるのもそのスキルの影響みたい」
もはや俺最強なんじゃねと思うポロン。
しかしその雰囲気がキラ達に伝わったのか二人から注意を受ける。
「だけど気をつけろよ、お前は異魔神との戦いでマダンテを使って命を落としてこっちに来た」
「そう、この世界で生を受けて今日まで育ってきたから当然元の世界とは違う体なのよ」
「異魔神!?そういやあいつはどうなったんだ!!!」
ポロンの思い出した記憶では異魔神に対して究極魔法マダンテを放つところで途切れてた。
だからあの後自身がどうなったかも覚えていなかったのだった。
「「知らね(ないわ)」」
「・・・は?」
「私達はポロンの記憶にある私達をスキルで具現化した存在だから本当の私達ではないのよね」
「だからポロンが記憶にないことはオイラも記憶にないってことだ」
「なるほど・・・」
ヤオの説明に納得するもモヤモヤした気分は晴れない。
「まぁその話は置いといてもうほんとに時間がないから最後に言うけど、あなたはこの世界のポロンで前の世界のポロンとは容姿は同じでも全く別の体って考えなさい」
「あとオイラ達の力が使えるって言ったけどあくまで技や技能を模倣できるようになるだけだから鍛えてない今の状態じゃロクな技は出せない」
「呪文も同じで簡単な呪文ならまだしも練習もしてない状態だと全然使えないからね」
ポロンはそこまで聞くと次第に目の前が少し歪んでいくのを感じた。
「あれっ目の前がゆがんできたぞ」
「時間切れか・・まっ言いたいことは言えたしがんばれよポロン」
「本物の私達とは違うけどいつでもあなたの中で応援してるからね」
「ありがとうキラ、ヤオ」
こうしてポロンは精神世界から現実世界に戻ってきたのだった。
「ってさっき言われたばっかだったわ、ガハハハッ」
と気楽に笑いながらポロンは言った。
「いい加減にしないと潰すぞ(怒)」
「あっはい・・・」
ティオネにガチトーンで言われ、ポロンは青い顔で頷く。
自身の股間を守るためにもまじめにやろうと誓った。
「多分メラミも使えんと思うから『メラ』!!!」
ポロンが呪文を唱えると手のひらに炎の球が出現し、食人花めがけて放たれた。
ポロンが使用したのは火球を放つ呪文『メラ』、先ほど使用できなかった『メラゾーマ』の2ランク下の呪文だ。
「本当にポロンが魔法を使った・・・」
「しかも無詠唱だなんて・・・」
「だけど全然効いてないみたいだよ」
ティオナの言う通り食人花に傷をつけるほどのダメージはなかった。
レフィーヤ達から見たら低レベルの魔法使いが使うファイヤーボールと同じぐらいだと感じていた。
「やっぱメラだけじゃ厳しいか・・・なら」
再びポロンは魔力を練る。
「右手にメラ、左手にもメラ」
ポロンの両手に赤い光が灯る。
「『メラ×2』だ!!!」
先ほどより一回り大きい火球が放たれた。
その火球がツルを燃やし、そして本体に当たり表面を焦がした。
「効いてる!!!」
「すごいよポロン!!!」
「だけど倒すまでの火力がない・・・」
先ほどより多少威力が上がっただけじゃ倒せない。
それがティオネの考えだったが、ポロンの考えは違った。
「2つでダメなら5つでどうだ」
再び魔力を練り始める。
(同じ呪文を5つも重ね合わせるのなんて初めてだけど異なる5属性を重ね合わせたマダンテに比べれば簡単すぎるぜ)
「5つ掛け合わせたメラをさっきの火球と比べんなよ」
ポロンが両手を上げると先ほどとは比べ物にならない巨大な火球が出現する。
「燃え尽きろ、『メラ×5』!!!」
両手を振り下ろすとその火球は食人花に向かって放たれる。
食人花は直撃を避けるためかツルを出すもすべて燃え尽きてしまう。
「おまけでプレゼントだ!!!『バギ×2』!!!」
ポロンがさらに風属性の呪文である『バギ』を2つ重ね合わせた呪文を発動させると、強力な突風が食人花に向け放たれた。
延焼している食人花に風を送ることでさらに火力が上がり、瞬く間に燃え尽きていった。
「賢王様にケンカを売るなんて2万年早いぜ」
ポロンは振り返り、レフィーヤ達の方へと歩みを進めた。
「さて、アイズの傷を治すか、ってどしたのみんな」
「あんた本当にポロン?」
「失礼な、正真正銘ロキファミリアのポロン様ですよ」
一同はポロンの急激なパワーアップに驚愕して固まっていた。
「ポロンってレベル1なんだよね」
「そうだけど、今はそんなことよりアイズを何とかしなくちゃな」
ポロンはレフィーヤにアイズを地面に寝かせてとお願いし、レフィーヤはそれに従ってアイズを寝かせた。
「ベホマはまだ使えんだろうから『ホイミ×5』」
ポロンが回復呪文である『ホイミ』を5つ掛け合わせたものを使用するとアイズを緑色の光が包んだ。
すると腹部の出血が収まり傷が消えた。
「「「回復魔法!?」」」
「うへぇ、ごっそり魔力持っていかれんな」
傷がふさがったのを確認するとポロンはその場に腰を下ろした。
「ゴブゴ・・・」
「キュキュ・・」
「大丈夫だ、心配してくれてサンキュー、ちょっと魔力使い過ぎただけだからすぐよくなるよ」
心配して近づいたゴブさん達に対し、ポロンはサムズアップし笑顔を向ける。
「キキー!!」
「みなさーん、ご無事ですかー!!!」
「おっ、この声はバッくんとエイナさんか」
この後、バッくんが連れてきたギルド職員であるエイナ・チュールがガネーシャファミリアと共にやってきて、事のあらましをポロンが説明した。
ポロンはレベル1である自分が倒したと知られるとかなり面倒なことになると感じ、自分ではなくレフィーヤが倒したことにした。
「ってかんじでレフィーヤが炎魔法で植物モンスターを焼き尽くしたんすよ」
「なるほど・・・ところでポロン君その額の目は何?」
「エッ!?」
エイナはポロンの額の目に疑問を抱き質問をかけると、ポロンは少し焦った。
(ヤベッ、サークレットかぶり忘れた)
「いや~メイクっすよ、今日の祭りに乗じて大道芸で稼ぐためにメイクしたんすよ」
「メイク~?」
「本当ですって、あっエイナさん後ろ!!」
「えっ、何かあるの?」
エイナが後ろを向いた瞬間にポロンは小さく『モシャス』と変身呪文を唱え、額に目がない状態の自分に変身した。
「もう、なにもないじゃないってあれ?」
「ねっメイクだったでしょう」
エイナは少し腑に落ちないようだったがこれ以上は気にかけなかった。
ポロンは一安心し、事情を話し終えたことで一人誰にも気づかれずに帰ろうとする。
すると両腕を二人の人物に抱き付かれる。
「さぁてポロン、じっくりと話を聞かせてもらうわよ」
「ごめんねポロン、おとなしくついてきてね」
「レフィーヤたすけ」
「私はアイズさんを運ばなきゃいけないので・・・ごめんなさい」
「お前たち・・・」
ポロンはゴブさん達に助けを求めるが皆そろって顔をそむけた。
「さぁホームに戻ってからすべて吐いて貰うわよ」
「・・・・・はい」
両腕の柔らかな感触を感じつつもこれから起こる
~episode 8 end~
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