416は嫉妬深い   作:まっUk

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難産過ぎて難産大学でした
独自設定とキャラ崩壊許してください(今更)



第9話

俺が45を激怒させた後、彼女は俺の左目を文字通り引き抜きソレを自分の左目と交換した。

人形の生体部品である瞳は、特殊な加工や機能が付与されているといっても基本は人間の物と変わらない。

人間の細胞を培養し作られている。

しかも効率的な交換整備を行える様、その部分はある程度モジュール化されており簡単な操作で交換可能だ。

嵌め込まれるとすぐに人形の疑似神経が交換パーツを迎え入れ、最適な形で接続。

使用が可能となる。

例え人間の物であったとしても。

交換が終わり、五分と絶たずに機能し始めた俺の左目は今ではUMP45の物と成り果てた。

彼女の意のままに眼球は動き完璧に同化している。

代わって俺の顔面にできた窪みに詰め込まれたのは彼女のパーツ。

しかし、人間には人形の様な便利な機能はない。

45と違って視界は半分のままだし、無理矢理嵌め込まれたパーツはサイズが違うらしく顔を動かす度に中で揺れ動き、激痛を産み出す。

さっきからずっと異物を詰め込まれた違和感と痛みを医療用の麻酔を打ち込んで、無理矢理押さえ込んでいた。

麻酔がなかったら恐らく正気を保ててはいない。

 

「気持ち良かった」

 

「…そんなの感じる機能なんてないだろう」

 

「ふふっ、感じるわ、だって今の私、無機物の塊じゃないんだもの」

 

愛しそうに自分の左目に触れる45。

45はうっすらと微笑み、シャワーで床に飛び散る二人の体液を流し始める。

流される体液は血液だけではない…色々…混じっていた。

汗だったり…唾液だったり…口で言うのは憚られる類いの液体も混じっている。

そう、俺は先程まで45と交わっていたのだ。

彼女の言うところのピロートークの前の事をしていた、二人で。

45は目の交換が完了すると、痛みにうち震える俺を無理矢理押さえ込み事を始めた。

変な話だがあんな状況でも人間の体はああいう事ができる位、生命力が強いらしい。

悔しいができてしまった。

45はさっきダウンロードしたという映像媒体を基に俺の身体を弄くり、また俺に自分の身体を弄くらせた。

昔、戦場でそういう場面に出くわした事もあったが男女は逆。

というか普通こういうのは男が女へする事だろう?

成人男性が少女とそう変わらない外見の人形に強姦される。

そんなの聞いた事はない。

 

(…そういえば俺はあの時どうしたのだったか?)

 

その時の…只の他人事だった時の事を回想する。

確か女性を襲っていた敵兵を射殺した。

別に正義感からではない、単純に敵が背を向けていて一方的に射殺できる場面だったからそうした。

戦場なのに無用心な奴だった。

まぁ反体制派のゴロツキなんてそんな物だ。

その時は発砲後、居場所を悟られない様にすぐに移動しなければならない状況だった。

だが、少し…少し気になったので俺は女性に近づいた。

別に戦災者の保護は俺の仕事ではないのに…何かできる事があると思ったのだ。

接近し、確認をしてみると、死体に組伏せられていた女性は敵の血液と肉片をその身に浴びながら泣いていた。

俺が放った弾丸が女性に真っ赤なシャワーを浴びせたのだろう。

感染症は大丈夫かなぁ…そんな事を俺は漠然と考えていた。

何か拭く物をと思いバックパックをあさろうとしたその時、突然女性の口が動いた。

 

…して

 

え?

 

殺して…

 

羽虫の鳴く様な小さな、掠れた声で

 

殺して

 

女性は確かにそう言っていた。

俺はどうしていいか、解らなかった。

だから聞こえないフリをしてその場を立ち去り、その後すぐに真後ろで聞こえた銃声にも聞こえないフリをした。

その後どうなったのかは知らない。

しかし、今ならあの時の女性の気持ちが痛い程理解できる。

比喩表現抜きで

 

「なぁ、45?」

 

「なぁに」

 

満足そうに鼻歌を歌う45に声をかける。

 

「俺の事がその…好きなんだよな?」

 

「ええ、そうよ」

 

何を当たり前の事を聞いてるのか?

そう言わんばかりに45は目を見開く。

 

「元々、俺を殺すつもりだったんだろ?」

 

「…最初は」

 

「なら殺してくれないか?」

 

「ん?」

 

「俺の神経やら臓器なんかが欲しいんだよな…なら、片目だけじゃない、俺の全部をやる…なんならナインと分けても良い…だから終わりにしてくれ…」

 

「…」

 

「殺してくれ、もう疲れた」

 

掠れた声で懇願する様に喉を震わせる。

もう嫌だ。

疲れた。

何故こんな目に合わねばならない。

こんな状況が続くのならいっその事…。

死んでしまった方が楽だ。

俺はすがる気持ちで45を見詰めた。

殺してくれ…。

自殺はできない恐いから。

 

「んーっ嫌よ?」

 

だが、懇願虚しく45は随分と可愛い声で俺の懇願を拒絶した。

 

「だって私、もう貴方の全部を貰ったもの、だから殺す理由無くなっちゃった。これからよろしくね貴方っ!」

 

 

薄暗い地下室で彼女の握るシャワーヘッドは俺と彼女の交わっていた証を排水溝へと流し続けていた。

 

 

───

 

「うーん、別にこれといった異常はありません…」

 

「そう、ありがとうRO」

 

「いえ、私は貴女を守る為に作られましたから」

 

グリフィンのとある一室。

戦術人形RO635はM16を伴ってM4の部屋を訪ね、今朝、ペルシカに頼まれたM4のメンタルモデルのチェックを行っていた。

その結果はRO曰く極めて良好。

どこにも不審な点は認められない。

 

「でもM4が変な夢を見るのは本当なんだろ?何か異常があるんじゃないのか?」

 

納得いかないといった感じでM16はそう言う。

 

「何度も言うようですがM4が夢を見るメカニズムは不明なんです。…というかM16、またお酒ですか?」

 

顔は至って真面目なM16だが、その手にはいつの間にか新しい酒瓶が握られている。

ジャックダニエル。

実銃のM16の次に頼もしい彼女の相棒だ。

 

「酔いが覚めてな、別にいいだろう?」

 

「…もう」

 

酒臭いM16にRO635は溜め息を吐く。

いい加減この姉には困った物だ。

 

「念のためにもう少し見てみますね」

 

 

気を取り直して、より詳しくM4を調べようとするRO635。

 

「いえ、もういいわ前に自分でトラブルシューティングをして異常は無い事は解っているんです。只少し…気になって…」

 

しかし、M4はRO635の提案をやんわりと断った。

彼女自身、メンタルモデルに異常が無い事はもうずっと前に自分でやったトラブルシューティングで解っていた事なのだ。

 

「ごめんなさいRO、でも今回、貴女に見て貰って私には異常がないって確信を持てた…ありがとう…夢は夢よね」

 

M4はそう言ってはにかむ。

今回の事で自身を持てた。

やはり異常なのは自分ではないのだ。

そう、おかしいのは自分以外なのだと。

 

「…そうですか、何かあったらまた頼って下さいね、では私はこれで」

 

「もう行くのか?一緒に一杯…」

 

「遠慮しときますこれからサービス残業で報告がありますので」

 

「…報告?」

 

M16は首を傾げる。

 

「ええ、ペルシカさんと上の方からM4のメンタルモデルの検査結果とデータを提出する様に言われてるんです。ちょっと時間がかかる事なので速めに取りかかろうかと…」

 

「そうかお疲れ覚だな」

 

「ええ、ではM4、失礼します。M16もお酒は程々に」

 

「今日はありがとう」

 

RO635はそう言って二人を一瞥すると足早に部屋から出て行った。

フィードバックという時間外の労働でこれから忙しくなるのだろう。

部屋には姉と妹の二人が取り残される。

 

「…」

 

二人きりの室内で無言の時間が続く。

M4は何か思い詰めている様でM16の方を全く見ようとはしない。

いつもは会話が絶えない二人組。

こんな事は珍しい。

 

「良かったな何も無くて」

 

先に沈黙を破ったのは姉の方。

M16は眠たげな目でポツリと呟いた。

そしてフワァと欠伸をかいて酒瓶をもう一度煽る。

琥珀色の中身はもう残り少ない。

さっき指揮官とやった分も含めれば、そろそろ彼女の許容量を越えるだろう。

さっきの言葉は彼女自身、別にM4から何か返答が欲しくて喋った訳ではない。

酔っ払い特有のぽっと口から出た独り言。

それに深い意味は無かった。

 

「ええ、異常なのは私じゃありません、M16姉さん達の方ですよ」

 

だから、M16は可愛い妹の意外な発言でイッキに酔いが醒めてしまった。

 

「あ…?」

 

真面目なトーンで放たれたM4の言葉に片目だけの目を丸くする。

可愛い妹分から姉さんは異常だと言われれば誰でもそうなるであろう。

ましてやお酒で少し気分の良い状態でだ。

寝耳に水だった。

 

「M4、私のどこがおかしいんだ?」

 

「M16姉さん…指揮官について最近、何か気づいた事はありますか?」

 

「その質問二日前にも聞いたが…まさか、指揮官がM4に何かしたのか!?」

 

彼女の脳裏に一抹の不安が過る。

前からM4は姉から見ても指揮官に好意を寄せている節があった。

 

(まさか指揮官はその好意に漬け込んで…!)

 

妹思いの姉はそんな考えに至りかけた。

 

「違うんです…!姉さん!アレは指揮官なんかでは無いんです!アレを指揮官とは言わないで!」

 

だが、そうではないらしい。

 

「どうした?M4!?少し変だぞ…?いや私が酔っているから…?」

 

「私は変ではありません!お酒のせいでも…!さっきROに確認してもらったばかりです!」

 

「落ち着けM4、そうだROにまた来てもらおう!」

 

堰を切った様に捲し立てるM4は何かを訴えている。

それは解る。

だがM16のアルコールで鈍った頭では上手く話が噛み合わない。まるで指揮官が指揮官でないと言っている?

 

「だからっ!私はどこもおかしくはないんです…!どうして姉さんは解ってくれないんですか!?指揮官の事を忘れたの!?」

 

どんどん感情の激化するM4。

普段の物静かな彼女からは想像もできない、その荒ぶった態度に眼帯の少女はどうしていいか解らない。

 

「おい、さっきから指揮官、指揮官ってまるで指揮官が別人にでもなったみたいに…」

 

「…!それです!そうなんです!」

 

「は?」

 

やっと話が通じた。

M4はそう思いここぞとばかりに言葉を続ける。

 

「だから指揮官が別人になっているんです!アレは別の人間が指揮官に成り済ましていて…本当の指揮官は…」

 

「M4!いい加減にしろっ!」

 

がM4の声は最後まで続く事なくM16に中断された。

 

「いくらお前でも指揮官をそんな風に言うなら怒るぞ」

 

「え?」

 

「M4、お前が指揮官の事で思い詰めているのは解った。だが、指揮官の事をそんな風に言うのは彼が可哀想だろ」

 

「違うんですM16姉さん…アレは」

 

「だからアレとは何だ!どうした…M4?お前は指揮官の事が好きじゃなかったのか?やっぱり変だ…もう一度ROに見て貰おう」

 

「姉さん…?」

 

M16は本気で心配な顔でM4に言う。

まるで気が触れた人間を宥める様に。

可哀想な物を見る様に。

おかしくなった病人を見る様に。

怖い夢を見た後の子供を安心させる親の様に…。

 

M16の一つしかない目は慈愛と諦念の感で溢れていた。

 

「お前は私達と違って特殊な造りになっている。だからメンタルモデルに負荷がかかりやすいんだ。それはペルシカも言っていた。大丈夫だM4。ペルシカに頼めばすぐ元通りになる。それまで我慢だ。指揮官には私から伝えておく…疲れたんだよな?」

 

痛い優しさを醸し出す姉にM4の瞳はクラッとする。

 

おかしいのはどっち?

私?

でもROは何とも無いって…。

M16姉さん?

でも姉さんは私の事を心配していて…。

 

どちらが狂っているんだろう?

 

彼女は早くも、先程得た確信が揺らいでいくのを感じた。

 

 

───

 

「はい、ペルシカさん頼まれていたデータです」

 

人気の無い場所。

あえてそこを選んだROは調度、M4の検査結果とデータをペルシカへと転送していた。

 

「異常はありませんでした。夢のメカニズムは依然解りませんでしたが…」

 

端末でペルシカと会話をしているのだろう。

彼女は事務的な口調で言葉を紡ぐ。

 

「ええ、お望み通り、勿論記録ログは弄っていません。M4は指揮官の事を記憶したままです。他の人形は忘れています。ですが、本当に良いのですか?今からでもM4の記憶を弄った方が…」

 

この時、端末越しに聞こえるペルシカの声が大きくなった。

どうやらROの提案を彼女は望んでいないらしい。

 

「…解りました。機密保持の観点からは不安が残りますが了解です」

 

RO635はペルシカからのオーダーに納得がいかないが、命令なら従わなければいけないのが人形の辛い所だ。

 

「あっ約束忘れないで下さいね、全部終わったら指揮官は頂きますよ?私は他のAR小隊と違って物を忘れませんからね、では」

 

ROはそう言うとペルシカとの通信を終了した。

 

 

 

 

 




妹思いとか言って妹の好意を寄せているであろう相手を襲いにいくM16姉さん怖いね
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