とある民家の一室、所狭しと大量の資料が並べられた大きな木製の机の前に長身の男はいた。ロードエルメロイⅡ世もといウェイバー・ベルベットは葉巻をくゆらせながら資料を睨む。
「それが、他のマスターですか? 師匠」
「うむ」
難しい顔をしたエルメロイⅡ世にグレイが話し掛ける。エルメロイ二世はサーヴァント・ライダー、イスカンダルと感動の再開を果たした後、資料と格闘しながら今後の計画を練っていた。
「すでに四騎はユグドミレニアによって召喚されたようだ」
「ユグドミレニアと言うと……」
「ああ、今回の主催者だ。仲間割れでもしてくれると助かるのだが」
ライダーは強力だが一騎対四騎では勝ち目は薄い。となると同盟を組むことも視野に入れるべきだろう。
「それと他に魔術協会側から獅子劫界離というネクロマンサーが参戦しているな」
そういってエルメロイⅡ世は背もたれに寄り掛かった。同盟を組むなら彼あたりが妥当だろう。彼は魔術の戦闘家として有名であるし、魔術協会側として妥当ユグドミレニアのために協力することは可能であるように思える。となればライダーにもこのことを伝えなければならない。
「ライダーはどこにいる?」
「はいっ、えっと、その、街を見に行くと言って飛んで行きました」
「なにっ!」
エルメロイⅡ世はグレイからの報告を受けて咳き込む。
「あいつ!」
そして、エルメロイⅡ世は飛び出すようにして部屋を後にした。
エルメロイⅡ世とグレイはルーマニアの夜の街を走る。
「どこにいるんだ、あいつは」
使い魔も放って捜索しているがエルメロイⅡ世の腕前では数も少なく、精度も低いために中々見つからない。
「大丈夫ですか、師匠」
息の上がった師匠をグレイは心配そうに見つめる。
「大丈夫だ。心配するな」
いつもなら弱音を吐いてもよさそうなものだがⅡ世もこの時ばかりは文句一つ言わない。
つまりそれだけ危機的な状況にあるということだ。Ⅱ世は手の甲の令呪を見つめる。いざという時は令呪を使ってでも呼び戻す必要があるだろう。
「すみません、師匠。拙が止められないばかりに」
グレイは俯いて謝罪する。
「君のせいではない。ライダーが戦車で飛び出したのならば止めることはできないだろう」
そう言ってⅡ世は大きく息を吐いた。
「とりあえず急ごう。敵に見つからん内にな」
そして、再びⅡ世とグレイは走り出そうとする。その時、雷鳴と共に征服王が空からやって来た。
「おお。探したぞ、マスター」
「ライダー。今までどこに行っていたんだ」
「うむ。少しこの街を見物していた」
ライダーは悪びれることなく言い放つ。
「ライダー。悪いが聖杯戦争の間は私達から離れないでもらえるか」
「そんなことよりマスター――」
「そんなことではないだろう。サーヴァントと戦えるのはサーヴァントだけだ」
「ええい、煩いのう。お前とそこの弟子とで余が来るまでぐらいなら持ちこたえられるだろうに。そんなことより、さっき一戦あったぞ」
「本当か⁉」
「うむ。おそらくあれはセイバーとランサーだな。遠くからだったがはっきりと見えたぞ」
「三大騎士クラスか……」
Ⅱ世は葉巻を取り出すとナイフで先端を切り、火をつけ煙を吸った。
「とりあえず、部屋に戻って作戦会議だ」
そう言ってⅡ世は先頭に立ち拠点に向かった。