すいません。
また、ダーニックとヴラド三世には酷いことをします。
すいません。
フィオレはホテルの一室で頭を抱えていた。もともとフィオレはユグドミレニアの一員として聖杯戦争に参加するためミレニア城塞にいた。そこで英霊召喚の儀が行われたのだがそれに大きな問題が起きたのだ。そのためフィオレは城から逃亡しなければならなかったのだった。
遡ること三日、聖杯に選ばれたダーニック、フィオレ、ロシュの三人はミレニア城塞にいた。もう一人選ばれた男がいたのだが彼は城ではなく日本で召喚する手筈となっていたためにいなかった。三人は英霊召喚の準備をし、用意した触媒を持ち寄った。最初はダーニックが召喚することとなっていた。
ダーニックは憂いていた。本来なら身内のみで聖杯戦争は行われるはずだった。しかし、魔術師協会からの横槍により七騎のマスター全てをユグドミレニアが独占することは叶わなくなった。ダーニックの呼び出す英霊はルーマニアの地では最強に近いはずではある。しかし、協会の用意するサーヴァントによっては力負けすることも考えられた。新たな触媒を探している時間はない。ならば、呼び出すサーヴァントを強化するより他にないではないと考え、ダーニックは召喚するヴラド三世を強化することに決めた。狂化と冬木の解体された聖杯からこっそり盗み出した泥とを組み合わせて吸血鬼ドラキュラとして召喚することとしたのだ。もしダーニックが他の聖杯戦争に参加していたのならばこのようにサーヴァントをしょせん使い魔と侮ることはなかったかもしれない。しかし、この世界で彼は初めての英霊召喚であった。故に悲劇は起きた。
かくして吸血鬼は召喚された。召喚されたヴラドは故意にドラキュラとして召喚されたことに怒りダーニックに襲い掛かった。ダーニックの喉を抉るヴラド三世、死を悟ったダーニックは令呪を使用した。
使用された令呪は三画。
「我が存在をその魂に刻み付けろ」
「聖杯を死守せよ」
「聖杯戦争が終わるまで生き続けろ」
この命令により吸血鬼ドラキュラは単独行動のスキルを得て、ミレニア城塞に君臨することとなった。彼は吸血鬼の本能のためかフィオレたちを吸血鬼にしようとしてきたが、ダーニックの二つ目の令呪が幸いして吸血鬼は聖杯からは離れられなかったためにフィオレとその手伝いに来ていた弟のカウレスはなんとか逃げ延びることができたのだった。
フィオレの頭の中には今後の聖杯戦争のことがぐるぐるとめぐっていた。フィオレは逃亡の後になんとかアーチャーの召喚に成功する。召喚したアーチャーは三大騎士クラスにふさわしい高いステータスを持つ、優秀なサーヴァントだ。しかし、ロシュとは途中ではぐれてしまい今も連絡がとれなかった。日本にいったマスターとも連絡がつかない。ダーニックの死でユグドミレニアの代表となったフィオレの今後はまだ暗かった。