まだ物語開始地点には行きそうにないっぽいです。
後、一部キャラ崩壊がありますので苦手な方や許せない方は読むのを控えるのを勧めます。それでも構わんと言う方はどうぞご覧ください。
〜神楽(高町なのはサイド)〜
俺の名は【坂田銀時】
少年ジャ○プで人気連載されてた漫画【銀魂】の主人公を勤め上げた絶世のイケメン男子だ。
なんやかんやあってラスボス的なのを倒して晴れて大団円で話が終わった事により俺の華々しい主人公生活も一旦は終わり、今は再びジャ○プからオファーが何時来ても良いように日々トレーニングに勤しんでいるナイスガイだ。
あ? 嘘ついてるんじゃねぇだと?
黙れボケナスども!てめぇら全員の足の小指の爪深爪にさせてやろうか?
とと、まぁそんな訳でここではネタバレ的な事を言っちまうとアレなんでボカすが、激しい最終決戦が終わり、ようやく江戸も元の活気を取り戻して早く数日ってとこだな。
何しろ殆どが片付いた後の江戸と言ったらまるでどっかの世紀末ヒャッハーな世界と見間違えるかのような荒みっぷりだったけらなぁ。
なに?もっとちゃんと説明しろだと?
そんなに知りたきゃコミックスを買え!一々人に頼んな愚民ども!
一人10くらい買ってこの俺に少しでも貢献しやがれ!
後DVDも買えよ。これも一人10な!
そんな訳で俺の居るかぶき町も元の活気を取り戻したって事で晴れて万事屋銀ちゃん再開をする事になった。
正直仕事なんてやりたくなかったが来週のジャ○プ代もないと言う経済的に危機的状態だったんで止む無く仕事を再開する事にした。
早速依頼が入ってきて心機一転これから荒稼ぎしまくるかと思った正にそんな日の朝方だった。
・・・神楽が突然おかしくなったーーー
嫌、あいつがおかしいのは今に始まった事じゃねぇんだけどよぉ。
銀魂ヒロインの癖に色気の欠片もねぇし大飯ぐらいだし暴力的だし所構わずゲ○吐きまくるしガキだし(以下省略)
とにかく普段の神楽って言ったらそんな印象だったんだが、今朝の神楽は様子がおかしかった。
何故か自分で拾ってきた定春にビビりまくるし俺みたいなイケメン好青年の俺の事も覚えてないみたいだし、新八の事をメガネ扱いしないし(ここ重要)とにかくいつもと様子が違っていた。
仕舞いには自分の事を【なのは】とか言い張ってる始末だし。全く勘弁して欲しいぜ。
んで、その神楽はと言うとーーー
***
場所は再び万事屋銀ちゃん事務所内に戻る。
来客用の長椅子の上に横になってうんうん唸っている神楽を前にして、銀時と新八は完全にお手上げ状態であった。
「一体何がどうなってんだ?外に出て天人の飛行船を見た途端その場でぶっ倒れちまうなんてよぉ」
「変ですよね。あんなのもう見慣れてる筈なのに。特に神楽ちゃんなんてあれに乗ってる側の筈なのにどうしたんだろう?」
一行に目を覚さない神楽に銀時も新八もどうしたら良いのか困り果ててしまっていた。
まぁ、そのお陰で今日はわりと静かな万事屋銀ちゃんなのだが。
「どうしましょう。今日の仕事」
「参ったなぁ。今日の仕事は力仕事だからこいつに全部丸投げしようと思ってたんだけどなぁ」
「本編が終わってもあんたの屑っぷりは健在なのが良く分かりましたよ」
深くため息をつく新八を横目に銀時は面倒臭そうな顔をし始めた。
本来ならもう仕事に向かわなければなるないのだが肝心の神楽がこの状態なので身動きがとれない状態だった。
まぁ、それなら神楽をこのままにして仕事に行けば良いのだろうが、生憎今日の仕事は廃材撤去作業の補助と言う言うならば力仕事の類いだ。
そんなの二次小説の序盤でやる仕事じゃない。
其処はもっと派手なかつ楽に出来る仕事にして欲しいもんだ。
後報酬も割高な奴ーーー
とにかく、そんな訳なので銀時としてはそんな面倒な仕事なんてお断りしたかったのだが生憎今の万事屋銀ちゃんには貯蓄と呼べる物が全くない為、このままでは来週号のジャ○プが買えなくなってしまう。
それだけはまずいって事で渋々その仕事を受けることにした。
本当に渋々ーーー
そんな面倒な仕事ではあるがそれも神楽がいれば万事解決すると思っていた。
宇宙最強の戦闘民族【夜兎族】として育った神楽であれば廃材撤去など朝飯前の夜食後と言った所。
そんで仕事を神楽に全て丸投げしてその間自分はパチンコにでも行こうかと密かに計画していた矢先にこの事態である。
「定春も心配してるんだな。未だに神楽ちゃんの側から離れないし」
「仲の良いこって。んな事よりどうすんだよ。今日の仕事?いっその事ドタキャンしちまうか」
「何言ってんですか。原作が終了しちゃって仕事もなくなっちゃって今月の家賃すら払えなくて困ってた所に舞い込んで来た仕事ですよ。今の僕たちには仕事を選んでる余裕なんてないんですよ。これからは万事屋銀ちゃんとしてバリバリ仕事していかないと。家賃もそうですけど僕等の給料だってないんですからね。聞いてるんですか銀さん?」
「新八ぃ。お前台詞長すぎ。一人でどんどけ喋ってんだよ空気読めよ。だからてめぇはいつまで経っても新八なんだよ!」
「僕の存在全否定すんな!とにかく、神楽ちゃんがこんな状態なんですから僕達だけでも仕事しないと」
「え〜・・・めんどいからやだなぁ」
「おい、ちょっと面貸せよ。そのふそわけた顔面殴ってやっからよぉ」
拳を震わせる新八。しかし銀時はまるでどこ吹く風の如く全く気にしてない。
相変わらずやる気の欠片も感じられない堕落し切った顔をしていた。
「う、うぅん・・・」
そうこうしていると、さっきまで気絶していた神楽が目を覚まして起き上がった。
「あ、えっと・・・」
「その様子じゃ、さっきのまんまって奴か?」
「・・・は、はい」
銀時の言葉に神楽が答え、そのまま萎んだように俯いてしまった。
明らかに何時もの神楽じゃないと言えた。
「まぁ、この際仕方ねぇ。お前がどこの誰かなんてのは今は置いておく。とりあえずここにいる間はお前は神楽だ。なのはとか言う名前の奴なんぞ知らんし一々呼び名を変えるのも面倒なんで神楽って呼ぶからお前もそれで良いな?」
「はい、それで・・・良いです」
こんな潮らしい神楽なんて初めて見た。
新八は思わずそう心の中で思った。
「その、元気を出して。僕らで良かったら相談に乗るからさ」
「ぱっつぁん。お前・・・もしかして神楽に惚れたのか?」
「なんでそうなるんですか?」
「いや、いつになく神楽に優しくしてっからよぉ。てっきりそのまま神楽のハートをハートキャッチした後に今度は物理出来にキャッチするのかとーーー」
「ちっとも上手くねぇんだよ!!」
新八は憤慨していた。顔を真っ赤にして身を乗り出して声を荒立てている。
今にも殴り合いになりそうに見えた。
「あわわ、おお落ち着いて下さい!け、喧嘩しちゃ駄目ですよぉ」
いても経ってもいられなかったのか咄嗟に二人の間に割って入って喧嘩を防止する神楽に、さしもの新八も思い止まった。
これが二人の知ってる神楽でたあったなら、きっと側で我関せずと鼻をほじってるかヤジを飛ばすか、はたまたうるさいの一言で喧嘩両成敗よろしく二人まとめて叩きのめしていただろう。
「えと、ごめんね。なんか気を使わせちゃって」
「良いんです。こうなっちゃったのは仕方ないですし、今は私の出来る事を頑張るつもりです。この体って凄い力があるんですよね。わたし元の体の時ってあんまり力とかなかったから、少し羨ましくてーーー」
そう言って神楽は指先を合わせてモジモジしだした。
途端に新八は口元を押さえた。
ヤバイ!今の神楽ちゃん、なんか可愛い!!
そう思ってしまったのだ。
今の神楽はもう16歳。まだまだ成長期らしさを感じるがそれでも女性らしさは滲み出ていた。
それが中身が入れ替わったことにより中に居るなのはの動きが追加された事により新八の男を露骨に刺激してしまったようだ。
「そうかい。そんじゃ早速役に立ってもらうとすっか。この後俺達は仕事をする事になるんだが、その仕事にお前が必要なんだ。言いたい事分かるか?」
「えっと・・・働けって事?」
「物わかりが良いじゃねぇか。案外ずっとこのままでも良いんじゃね?」
「ふぇぇっ!!?」
突然そんな事を言い出す銀時に思わず戸惑ってしまう神楽。
「ちょっと、銀さん。神楽ちゃん困ってますよ。そんな事を言うのやめて下さいよ」
「何言ってんだよ。ぱっつぁんだって今の神楽の方が良いだろ?」
「そ、それは・・・」
途端に渋り出す新八。あながち間違ってはいないからだ。
「大体考えても見ろよ。あのヒロインもどきのゲロインと今のヒロインらしいヒロインと、どっちが良いかなんて比べるまでもねぇだろ?俺だったら迷わずこっちを選ぶね」
「げ、ゲロイン?」
気が慣れない単語なんだが、なんとなく罵倒文句だってのは理解出来た。
出来たので聞くのは辞めておいた。
なんか聞きたくないしーーー
「でも、それじゃ銀さん。元の神楽ちゃんは一体何処に行ったんですか?」
「はぁ?んなの俺が知る訳ねぇだろ!何でも銀さんにたよんじゃねぇよ!たまにはてめぇが考えろよ!」
「う〜ん。確か、今神楽ちゃんの中にはなのはちゃんが入ってるんだよね。だとしたら、今のなのはちゃんの体の中にもしかしたら神楽ちゃんが入ってるんじゃないの?」
「はあ?お前なにベタな事言ってんだよ!そんな小学生でも分かるような展開ある訳ねぇだろ」
盛大に笑い飛ばす銀時。しかし、先の新八の言った事に神楽は青ざめた。
(そ、それじゃ・・・今、私の体の中には、その神楽って人が入ってるって事?ど、どうしよう・・・何か変な事してないよね?家族に暴力たか振るってないよね?)
不安になりながらも、今の神楽にはどうする事も出来ないのであった。
***
〜高町なのは(神楽)サイド〜
俺の名は高町恭也。高町家の長男だ。
尊敬する両親の下に生まれ、可愛い妹達に囲まれた生活をしている。
何、リア充だって?誰だそんな事言った奴!前に出ろ!三枚におろしてやる!
すまない。話が逸れたなーーー
俺達高町ファミリーは海鳴市と言う海辺の街で喫茶店を経営している。
因みに俺も上の妹も働いている。一時は閉店の危機に見舞われた時期もあったがなんとか持ち直し、今は常連さんや遠方から訪れる客に愛される店としてそれなりに繁盛している。
俺の父は剣の使い手であり、俺と上の妹は父と日々剣の稽古をして互いの技を高め合っている。
今はまだ父には及ばないがいずれは超えるつもりだ。
何?なんだそのエーテルちゃぶ台返しってのは?
そんな訳のわからん技なんぞ使わんぞ!
はぁ?中の人ネタだと?!何言ってんだお前ら!みじん切りにするぞ!
また話がずれたな。
先も言ったが俺にはもう一人妹がいる。
上の妹とは違って大人しい子だ。
兄の俺が言うのもアレなのだが可愛い妹だとおもっている。
は?シスコンだと?!
それがどうした?妹を愛でたら駄目なのか?
今度変な事言ったらぶつ切りにするからな!
その日はいつものように父と上の妹の三人で剣の稽古をする予定だったのだが、その日はどう言う風の吹き回しか、下の妹に一言声を掛けてから行こうと思い下の妹が寝ているであろう個部屋へと向かった。
その時俺は焦っていたのか、それとも別のことを考えていたのかどうかは不明なのだが、その時俺は本来ドアをノックする筈がそれをせずいきなりドアを開けてしまった。
あ、ノックするの忘れてた!!
と思いながらも開けてしまった以上閉めるのもあれだと思ったのでこの際怒られても良いかとドアを開いて部屋に入ると、部屋の主でもある下の妹の怒号と共にドテッ腹に向かい飛び蹴りが放たれた。
めっちゃ痛かったーーー
怒られるのは覚悟してたが、まさかいきなり鳩尾に向かって飛び蹴りを喰らうとは思ってもいなかった為にそれを諸に食らってしまい、そのまま部屋を叩き出されて地に倒れ伏す。
あれ?おかしいなぁーーー
下の妹ってこんな暴力的だったっけ?
俺の記憶ではもっと大人しめだった筈。
喧嘩なんてした事なんてないし勿論格闘技経験だってなかったはず。
間違っても走り幅跳び並みに跳躍してからの飛び蹴りなんてしない筈。
それに、下の妹はこう言っては失礼だが運動音痴だった筈。
一体何が下の妹を変えてしまったのだろうか?
思考が追いつかない俺の上に馬乗りになった下の妹が兄貴である俺の胸倉を掴み上げて怒声を放ってきた。
まさか寝ぼけてるのか?
そう思い必死に説得を試みたのだが、説得は全く通じず、それどころか今の今まで知り得ない筈だった卑猥な単語が可愛い妹の口から飛び出した時は正直ショックの余り泣きそうになった。
突然豹変してしまった下の妹にどうすれば良いのか判断に困り、なすがままと言った具合にボコられていた所を上の妹が来るのが遅いのを気にして見に来たようだが、その上の妹も豹変した下の妹に戸惑っていた。
分かるぞ妹よ。愛する可愛い妹が突然暴力を振るってきたらそりゃ驚くよね。
しかもその豹変した下の妹が奇妙な事を叫んでいた。
自分は【なのは】ではなく【神楽】だとーーー
一体どう言う事なのだろうか?
何故なのははあぁも豹変してしまったのだろうか?
「ところで兄さん、なんでなのはの部屋の前にいたの?」
「そ、それは・・・朝の挨拶をしようかとーーー」
「シスコンも大概にしなよ。変態兄貴」
【グサッッッ!!!】
上の妹のその一言は、今まで生きてきた中で一番痛いと思えた。
それで、今のなのははと言うと・・・
***
今朝から異常事態が起こった為にその日の稽古は一旦中止となり、仕方なく朝食を取ってから稽古をする事にして、とりあえず家族全員が食卓に集まり朝食を取る事となった。
その日も変わらず母こと桃子の手料理の数に舌鼓を打ちつつ幸せを噛み締める我が家の大黒柱こと父士郎。
その横では父士郎の惚気をスルーしつつ食事をする美由紀と何故か全身ブルー一色に染まり、ガックリと項垂れる恭也。
そしてーーー
「おかわり、ヨロシ?」
そう言って空になったご飯茶碗を突き出す次女のなのは。
「珍しいなぁ、なのはがご飯をおかわりするなんて」
「成長期かしらね?」
豹変したなのはに全く気づかず、成長期なのだろうと笑って済ます能天気な両親。
「絶対違うと思うよ。そうだよね?シスコン兄さん」
「美由紀・・・お願いだから兄貴の傷口に塩を塗り込むような真似をしないでくれないか?流石の俺もそろそろ泣きそうなんだけど」
「ウダウダ言ってねぇでおかわり入れろよロリコン兄貴。どうせ飯を盛る事しか出来ねぇんだからよぉ」
「ぐはぁっっ!!」
その一言がトドメとなったらしく、食事の途中だと言うのに自分の席で真っ白に燃え尽き力尽きるロリコンシスコン兄貴。
「私が入れてあげるわね。どれくらい入れれば良いの?」
「特盛で頼むアル!なんだったら炊飯器ごとでも構わないアルよ」
「あらあらなのはったら。幾ら成長期でもそれは食べ過ぎよ」
くすくすと笑いながら桃子はなのはの茶碗を受け取りご飯をよそう。
そして白飯で満たされた茶碗を受け取ると、そのまま口元まで持っていき一気にがっつきだした。
「今日のなのはは食欲旺盛だなぁ」
「そうね。何時もはすぐにお腹いっぱいになってるのにどうしたのかしら?」
相変わらず能天気に目の前の料理を次々に平らげていくなのはを見守る両親。
「ご馳走様。お父さん、私先に道場行ってるから」
「分かった。後片付けが終わったら俺も行くよ。恭也は・・・」
視線を恭也に向けた士郎がそのまま固まってしまった。
彼の目の前ではドス黒い闇を抱えながら何かブツブツと呟く危ないオーラが出まくっている長男の姿があった。
「き、恭・・・也?」
「ふふっ・・・ロリコンでシスコン・・・ふふっ。別にそれでも良いさ。妹は好きだし自慢の妹だし俺は兄貴だし俺が我慢すれば良いんだしそもそも妹がお兄ちゃん嫌い!とか言うのってテンプレだし後でまたお兄ちゃん大好き!てなるだろうし俺頑張れるし俺はやれるしまだ大丈夫だし一応スピンオフでは主人公だったし原作でも主人公だったし(以下余りにも長すぎたので割愛)」
すっかり闇を抱えてしまった恭也に流石の能天気に夫妻もどう対処したら良いのか困り果ててしまった。
そんなダークな兄貴の事など一切気にも留めずに部屋を出ていく美由紀。
上の妹は案外ドライな性格みたいだ。
「ごちそうさまヨォ!」
そして、下の妹ことなのはもまたダークになった恭也の事など全く気にする素振りも見せずそのまま食卓を後にする。
「なのは、今日は何処かへ行くのかい?」
「ん?そうアルなぁーーー」
なのはは考えた。
この世界の事はよく分からない以上下手に動くのはあまり良いとは言えない。
しかし、だからと言って部屋に篭るのも良いとは言えないし何より退屈でしかない。
それに、折角こうして見知らぬ場所にきたのだから折角なら色々歩き回るのも悪くないと思えた。
そのせいで何かが起こったとしてもその時はその時って事で良いやと適当に考えつつ今日のスケジュールを模索する事にした。
その時間、およそ5秒ほどーーー
「適当にその辺をぶらつくアル。どうせ部屋に篭ってても暇なだけアルし、天気もいいから外で遊んでくるアルよ」
「あらあら、今日のなのはは活発ねぇ。一体どうしちゃったのかしら?」
「うんうん、元気な事はいい事だね。でも気をつけてね」
「バカにすんなよ!私そこまでヤワじゃないネ!」
そんなこんなで外へと繰り出したなのは。
その手にはいつもの癖なのか雨傘が握られていた。
「なんで傘を持っていくんだ?今日は一日晴れのはずだけど」
「日除けアル。乙女の肌はデリケートアルよ。これ常識ネ」
そう言って傘をさしながら外をぶらつくなのはは、ふと空を見上げた。
雲ひとつない快晴の空。
しかし何かが足りない事に気づいた。
「飛空船がとんでんないアル」
そう、江戸ではお馴染みの天人が使用する飛空船が全く見当たらなかった。
さらに言えば道行く人たちにもどこか違和感があった。
皆見た事のない服を着ているのだ。
それはこの際どうでもいい。
服装なんてそれこそ人の数だけ違ってるのだから。
しかしそれ以上に気になったのは人々の髪だった。
既に何人かの人とすれ違ったのだが、誰もマゲを結ってなかった。皆普通にのばしてるのが殆どだった。
それに腰に刀も差してなかった。
廃刀令を敷かれたとは言え腰に刀を差してる浪人は江戸では然程珍しくはなかった。
だが、そんな人間がどこにも見当たらなかった。
「まるで別の世界アル」
少なくとも江戸ではない事は理解できた。
まぁだから何だと言う話なのだが。
別に此処が江戸でないとは言っても別に生活に問題はないし、何より此処の飯は美味かった。
それに此処なら自分は幼女から一皮剥けた程度の少女のようだ。
となれば別に仕事をしなくてもいいと言う事になる。
夢の食っちゃ寝生活が今こうして実現しているのだし、今の所元の世界に戻る方法が分からない以上焦るだけ無駄だし、それだったらいっそ今いるこの世界を大いに楽しむべきだろう。
そう言う割り切れるところがなのはこと神楽のいいとこであり、また欠点とも言えるのだが。
「返して!返してよ!」
「ん?」
のんびり散歩していた時に聞こえた来た。
声のした方を見ると、二人の少女がいた。金髪の気の強そうな少女が紫色の気の弱そうな少女となにやら揉め事を起こしていた。
「お願い!それを返して!」
「嫌よ!返して欲しいなら自力で取り返して見なさいよ!」
まぁなんと言うか典型的な弱いものいじめみたいな奴だった。
別に珍しい話じゃない。いじめなんて江戸でもあった。
中には神楽に苛めをしようとした輩もいたがそう言った輩は当然の事鉄拳制裁をお見舞いしていた。
んで、今その場面に出会したなのははと言うとーーー
「何真昼間からイチャついてるアルか?」
別に止めるでもなければ静観するでもない。
だが、折角なので絡んでみる事にした。
見た所同年代のようだし話し相手には丁度良さそうにも見えた。
「何よあんたは!?」
金髪の少女がドスの効いた感じの声を放って威嚇してくる。
これが同年代の少女であったなら恐らくビビって尻込みしていたであろうが、今のなのはの中に入っているのは16歳の少女。
しかも宇宙最強の戦闘民族出身だ。
子供程度の睨みなど毛程も感じない。
「なぁに、余りに熱烈にイチャついてたみたいだからついつい茶々いれただけアルよ。私の事は放置してどうぞ遠慮せず好きなだけ乳繰り合うがイイネ」
「乳繰り・・・合う?」
「何意味分かんない事言ってんのよあんたは?」
流石に少女達二人には今の言葉の内容を理解するのは無理だったようだ。
「え?まっ昼間から二人が愛し合ってるのをアピールしてたんじゃないアルか?」
「そんな訳ないでしょ!なんでそんな事しなきゃ、ならないのよ!」
「おやおや照れ隠しアルかぁ?初々しいアルなぁそう言うのお姉さん好きアルよぉ」
「何がお姉さんよ!あんた明らかに私とタメじゃないのよ!」
「女は見た目だけじゃ分からないものネ。最初はツルツルの筈の場所にいつの間にか毛がモジャモジャ生えてるみたいなもんアル」
「モジャモジャって・・・一体なんのことよ?」
「そりゃ勿論ちんーーー」
「だあああーーーーー!あ、あああんた何度とんでもない事口走ろうとしてんのよ!」
なんの毛なのか察したのか顔を真っ赤にして狼狽だす金髪の少女。
その隣ではさっきまで涙目になっていた紫髪の少女が必死に金髪の少女を宥めていた。
「おんやぁ?私何も卑猥な事言ってないアルよぉ?もしかして妄想したアルかぁ?」
「だだ、誰が妄想なんてするのよ!あんたこそどうなのよ!」
「やれやれアル。女もいつかは男を侍らせて○○○○とか○○○○とかやるアルよ。それからさらに発展して○○○○になったり○○○○とか○○○○とか後はーーー」
「ストップストップストーーーーーーップ!!もう分かった!とりあえずあんたはもう喋んな!」
「お、落ち着いて。そんなに怒ると良くないよぉ」
その後もなのはと金髪少女との口論は続いたのだが、終始なのはがリードする形になっていた。
口論が終わる頃には、何故か肩で息をしている金髪少女と、それを心配そうに見つめる紫髪の少女がいた。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・な、なんなのよあんたは・・・」
「私はなのは!高町なのはアル!将来この町の女王になる女アル!平伏すが良いネ愚かな愚民どもよ!」
「「・・・・・・」」
余りにも唐突かつぶっ飛んだ内容に二人は言葉を失ってしまった。
それを見て気を良くしたのかない胸をおおいに張り上げるなのは。
やってやったぜ!と言いたげな表情を浮かべている。
「・・・ぷ!あははははは!」
突然、金髪の少女が大声で笑い出した。隣では紫色の髪の少女もまた口元を押さえて肩を震わせている。
多分笑いを必死に堪えているのだろうが丸わかりだった。
「なに笑ってるアルか?」
「だって、この町の女王なんて、今時小学生でも言わないわよそんな事!もうお腹痛い!でもおかしくておかしくてあははははは!」
目尻に涙を浮かべながら金髪少女は腹を抑えながら爆笑した。
それを見て、なのはは何故そんなに笑っているのか理由が分からず首を傾げるのだった。
それから三人はすっかり意気投合し、他愛無い雑談を楽しむようになっていた。
「さっきは、ごめんなさいね。私、なんかモヤモヤしてて、うまく言えないんだけど、人付き合いが上手にできなくてね。それでーーー」
「もう良いよ。気にしないから」
「うんうん、仲良くなれて良かった良かった!」
「って、あんたが言うんじゃ無いわよ!」
ビシッとツッコミを入れてきた。
「おぉ、流石はツッコミに定評のあるアリサアルな。将来芸人としてやっていける筈アルよ」
「ならんわ!ってか、勝手に人の事を芸人にするな!」
またしてもツッコミをしてしまった。
案外彼女にはツッコミの才能がありそうだ。
「ダメだよなのはちゃん。アリサちゃんをからかっちや」
「硬い事言いっこなしネすずか。私達の仲なんだしすかしっ屁アルよ」
「それ、もしかしてスキンシップって言いたいの?」
「そうそう、それアル!」
「スキンシップをすかしっ屁って・・・本当になのはちゃんはなんて言うか、ちょっと変わってるよ」
「ちょっとじゃないわよすずか!なのははねぇ、か・な・り!変わってるのよ!私が生きてきた7年間の人生でここまで変わってるのはこいつくらいなもんよ!」
「おいおい、そんなに褒めるなよアリサ。照れちゃうアルよ」
「すずか。たまにはあんたがツッコミしてくれない?私もう疲れたわ」
「え〜、どうしよっかなぁ〜」
「ちょっ、すずか!?私を置いて行くつもりなの?!お願い、私を一人にしないで!私一人でなのはの相手なんて無理だから!私死んじゃう!」
もうすっかり仲良く会話していた。とても今日初めて会った仲とは思えなかった。
「なんだろうね。私なのはちゃんとは初めて会った筈なんだけど凄く仲良くなったみたいな気がする」
「そうかもね。あんたと話してると疲れるけど。とっても楽しいわ。なんて言うか、友達・・・なのかな?そんな感じ?」
「ヲイヲイ、何を水臭いこと言ってるアルか二人とも。私はもうとっくに二人とマブダチになったつもりアルよ」
「「マブダチ?」」
「親友、心の友、それと同じ意味ね。私達はもうとっくにマブダチアル!」
「マブダチかぁ・・・なのはらしくて良いわねそれ」
「うん!私も良いと思う。アリサちゃんやなのはちゃんと友達・・・じゃなくて、マブダチになるんだね!」
「そうアル!私達は今日この日よりマブダチになるネ!何か困ったことがあったら遠慮せずに私を頼るが良いネ!」
「あんたに頼ったら余計に事がややこしくなりそうだからお断りよ!」
「うふっ、アリサちゃんってば照れ隠しのつもり?」
「なっ!ち、違うわよぉ!!」
その日、三人は時間の許す限り語り合い笑い合った。
そして、その日を境になのはこと神楽は見知らぬ地にて【アリサ・バニングス】と【月村すずか】の二人と【マブダチ】になったのであった。
つづく
なのは原作のアリサとすずかの出会いイベントでしたが、中身が神楽なせいで折角の感動の場面が台無しに・・・これ、ファンに怒られないよね?
その時は・・・さーせんです。