その頃、神楽(なのは)はと言うと?
久しぶりの投稿な上に今回は少し短めになっちゃいました。
〜??? 高町なのは(神楽)サイド〜
目を覚ますと、目の前に白い壁が目に入ってきた。
白い壁だなと認識した辺りで寝ている事に気づき、見ているのが壁でなく天井だとすぐに気づいた。
鼻につく薬品の匂いからここが病院だと言うのもすぐに察することが出来た為か、その表情は少し嫌そうになっていた。
神楽にとって病院は余りいい思い出がない。
過去に病院で起こった事といえば、
腐った蟹を食べてあたり、入院した先で騒動を起こしてさらに怪我させられた事や、バイクで事故った銀時の見舞いに行ったら銀時が男のケ○を掘ってる場面に出会した事や、仕事が面倒くさかったので初期設定を使って仮病で入院したら火葬されかけた事など、他にもあったがまぁとりあえず病院にはろくな思い出がない事だけは確かだった。
そして、今の状況はと言うとーーー
「・・・寝難いアル」
今現在、なのは(神楽)の体は全身包帯やらギブスやらでガチガチに固められている有様だった。
そりゃ寝難いだろう。
寝返りをうとうにも体を固定されてしまってる為にろくに動けないし、背中がむず痒くて堪らないのにかくことも出来ない。
これでは拷問だ。
「目が覚めたんだね」
「うん?」
声のした方を向くと、其処には昨晩助けたであろう小動物の姿があった。
そいつも手当ての跡があったが今の自分ほどじゃない。
「本当に・・・ごめん。僕のせいで君に大怪我させてしまって」
「全くだよ!てめぇのせいでこの有様ネ!どうしてくれんだよ?」
「えぇ!?えと、そのぉ・・・」
余りの事に対応出来ずしどろもどろし始める小動物。
恐らく彼の頭の中では「君のせいじゃないよ。だから気にしないで」とか言われて美談になるだろうと思っていたのだろうが、生憎今のなのはの中身は神楽だ。
リリカルでマジカルな魔法と優しさのバフ○リンみたいな世界とは違い血とゲロとう○こと下ネタのオンパレードな銀魂ワールド出身の彼女が他人の気を遣うなんて真似などする筈がない。
「ほ、本当にごめんなさい!でも、あの時はあぁするしかなかったんだ!僕一人の力じゃあれを撃退なんて出来なかったから」
「あれってのはこないだのあのけむくじゃらの事アルか?あれは一体何アルか?」
「前にも言ったと思うけど、あれはロストロギア【ジュエルシード】が暴走したせいで誕生した怪物なんだ。あのまま放置してたら所構わず暴れまわって大きな被害が出てたと思う。でも、どうにか最小限に抑えられたと思うよ」
「この私の怪我も最小限って言いたいアルか?」
「ご、ごめんなさい」
失言をしてしまったと頭を下げる。
「そもそも何であんな物が私の住む街にあったアルか?」
「その為には、まず僕の事について話すね。僕の名前はユーノ。ユーノ・スクライアって言うんだ。スクライアってのは僕のいた部族の総称みたいなもので、ユーノが僕の名前だよ」
「んで、そのスクライア族のユーノさんとジュエルミートと一体何の関係があるアルか?」
「ジュエルシードね。あれは古代の人類が作り出した古代の遺物でね。僕が古代遺跡を探索した際に発見したんだ」
「ほぅ、ユーノ。お前トレジャーハンターだったアルか?」
「単なる歴史調査の一環だよ。それでジュエルシードを見つけたまでは良かったんだけど、それを護送していた際に事故かそれとも故意なのかは分からないけど、輸送中の船が爆発しちゃって、中のジュエルシードが全て散らばってしまったんだ」
「傍迷惑な話アル」
「本当にそうだよね。だから僕は一刻もそれを回収しようとしてそれでーーー」
「それでそいつにコテンパンにされて助けを求めた結果私はこうして巻き込まれた、と」
「本当にごめん!もうあの時はあぁするしかなかったんだ。僕の事を恨んでくれても構わない。だから、お願いだ!僕に力を貸して!僕と一緒にジュエルシードをぐえっ!!」
言い終わる前にユーノの首根っこをなのは(神楽)の手が掴みそのまま面前へと引き寄せてきた。
「おめぇ、何虫の良い事言ってるアルかぁ?」
「ぐえぇぇ・・・ぞ、ぞのぉ・・・」
「元はと言えばてめぇが撒いた種だろうが!それなのに一人じゃ手に負えないから力を貸せとかマジで情けない奴アルな。○玉ついてんのかてめえ?」
「ず、ずびばぜん・・・」
「おまけに私にこんな大怪我負わせやがったってのにその上に一緒に石集めしろだぁ?てめぇのケツくらいてめえで拭きやがれボケェ!」
完全に怒り心頭だった。
今にもユーノの首根っこをへし折らんばかりの力が込められてる。
その怒りの前にすっかりユーノは縮こまってしまっていた。
「まぁ良いアル。乗り掛かった船アルからな。協力はしてやるヨ」
「ほ、本当に!?あ、ありが「そのかわり!!」・・・へ?」
お礼を言おうとしたユーノを遮るなのは(神楽)の声。その時の彼女の顔はとても不気味な笑みを浮かべていたのだそうな。
「こっちも慈善事業でやるつもりはないアル。やるからには相応の報酬を貰うアルよ」
「ほ、報酬・・・ですか?」
「そうアルなぁ・・・これだけの大仕事アルからそれだけ費用も嵩むアル。まぁ少なく見積もったところで百万と言ったところアルな」
「ひゃ、百!!」
「それか現物支給でも可アル。私に依頼したいなら酢昆布かフライドチキンの皮を一年分上納するヨロシ」
「は、はぁ・・・」
「それと、お前前にこんな事も言ってた筈アルなぁ?「何でも言う事聞く」って」
「は、はい・・・言いました」
観念したのかユーノは小動物の姿でありながら器用に正座して頷いていた。
「なら話は早いアル。私のこの怪我が治ったら共に石ころ探しをしてやる。その代わりお前には学校の宿題をやって貰うアル」
「しゅ、宿題?!」
「正直超面倒だったアルよ。だから石ころ集めを手伝ってやるからお前も私の宿題を手伝うアル」
「えっと、宿題ってのは自分でやって初めて意味があるんだと思うんだけどーーー」
「この話は無かったことにするアル」
「わわわ!わかりました!やります!やりますからぁ!!」
慌てて了承するユーノになのほ(神楽)は上機嫌ににんまりと笑った。
「よし、契約成立アルな!これからは石ころ集めは私に任せるアルよ!」
「よ、宜しくね、僕も少しだけどサポートするから安心してね」
「蛇の餌のお前の助力なんて宛になるアルかぁ?」
「大丈夫だよ。少なくとも魔法関連に関しては僕の方が先輩なんだからさ」
「おうおう、早速先輩風吹かしてるアルかぁ?」
「そ、そんなつもりじゃ」
「言っとくけど、報酬の話も忘れんなよ!もし踏み倒そうものなら、容赦なくキングコブラの餌にしてやるからな!生きたまま頭から丸呑みさせてやるから覚悟しとけよ」
「き、気をつけます」
冷や汗が流れ顔が青ざめていく。その時ユーノは内心こう思っていた。
(頼る相手、間違えたかな?)とーーー
***
〜江戸 神楽(高町なのは)サイド〜
その日は何の代わり映えのない日常になるだろうよく晴れた日の事だった。
普段からあまり仕事のない万事屋銀ちゃんの事務所内では晴天の晴れやかな気分も合間ってかその日の神楽(なのは)はとても気分が良かった。
これで体が元に戻っていたら言う事なかったのだろうが、まぁそこはしょうがない。
折角の晴天の日を寝て過ごすなんて勿体ない真似はするもんじゃない。
早速布団から飛び起きていつものように定春を撫で回して朝食の支度をする。
「今日は天気もいいし、気分もあげあげだから新メニューに挑戦しちゃおうかな?」
腕まくりしながらそんな事を一人呟く。決して痛い子とか病んでる子なのではなく彼女なりに決意を新たにするべく一人呟いただけのようだ。
まず取り出したのは生卵。多くの人が愛する卵。かけてよし、すすってよし、のんでよし、食べてよしとあらゆる面において完璧な性能を誇る食材だ。
しかも、近年では宇宙食にも卵がそのままの状態で使われてるそうだ。
勿論、嘘だけどもーーー
「今日はオムレツを作るぞぉ!」
仮にも喫茶店の娘がオムレツの一つも焼けないのでは恥ずかしい。まだ将来の明確なビジョンが出来上がってはいないが、こうしたところから努力するのもまたアリだろう。
そう自己完結しつつ調理に入った。
一応店の手伝い等は何度かした事があるし、体が入れ替わる以前にも家族がオムレツを作る場面を何度か見ているので手順は理解している。
理解しているのだが、それで上手く作れれば世の中料理人など居なくなってしまう。
まぁ、要するに理屈だけで上手く出来る筈がないと言う事だった。
「うーん、結構難しいなぁ」
そう言ってる彼女の前には歪な形をした卵の塊らしき物が出来上がっていた。
一応オムレツのつもりなのだろうが火を通し過ぎた為に中までガチガチに硬くなってしまっており、外見も半円型と言うよりは四角形になってしまっていた。これではオムレツじゃなくてだし巻き卵だ。
「むむぅ、お父さん達は簡単に作ってたけど、案外大変なんだなぁ」
此処にはいない家族達の知られざる苦労を知り、また一歩大人へと近づいた神楽(なのは)なのであった。
「何朝から無駄にハイテンションしてんだよ。こっちのメンタルも考えろやバカやろー」
いつもよりも数段やる気のない声を出しながら銀時が起きてきた。いつもなら昼過ぎまで寝てる筈なのだが今日はやけに早起きしてきていた。
「おはよう。今日は早いんだね」
「そりゃそうだろうが。朝っぱらから焼けた卵の匂いなんざ嗅がせやがって。こちとら二日酔いだっつぅのに胃が破裂するだろうが!」
やる気も無さそうだし機嫌も相当悪そうだ。
まぁ、この男が起きた直後は大概こんな感じなんだけれども。
「んで、今日の朝飯はなんだ?厚焼き卵か?だったら大根おろしを用意してくれや。そんで白飯と味噌汁とーーー」
「ち、違いますよ!これはオムレツなんです!し、失敗してますけど」
「はぁ?!これがオムレツだってのかぁ?!そりゃねぇだろお前。どう見てもだし巻き卵じゃねぇか!こんなの出された日にゃ普段は温厚な烈○王ですら両手大回転させて殴りかかってくるほどのもんだぞ」
「そ!そこまで言わなくてもいいじゃないですかぁ!これでも初めて作ったんたよぉ!まだ練習中なの!」
「おいおい、オムレツなんざ簡単に作れんだろ?ったくしょうがねぇなぁ。俺が手本を見せてやんよ」
そう言って何故か銀時がオムレツを焼くと言い出した。
「ぎ、銀さん焼けるの?」
「馬鹿にしてんじゃねぇぞ。俺ぁ一通りの料理は作れんだよ。まぁ見てろって」
自信満々に銀時は調理を開始した。正直普段の銀時を知ってるせいかハッタリではないかと思っていたのだが、実際に見てみるとこれがまた手際良く行われているのだった。
卵を割るところから始まり、それを生クリームと合わせて掻き混ぜ、熱したフライパンにバターを溶かしてその中に卵を流し込み、間髪入れずに掻き混ぜて、全体に火が通る前に形を整えて数回味をひっくり返せば完成だった。
「ほらよ。簡単だろ?」
「す、凄い!中はトロッと半熟で、それでいて生じゃなくてしっかり火が通ってて、形も綺麗に半円型だし卵の味が生クリームとバターと合わさって絶妙なハーモニーをーーー」
「何熱心に食レポしてんだよてめぇは?これはグルメ漫画じゃねぇんだぞ。それがしてぇんならト○コかソ○マのとこに行ってこい」
正直言って凄い悔しい気持ちだったが、それでもこの銀時作のオムレツの出来は凄まじい物だったと言える。
恐らく商品として出せば金を取れるほどの出来栄えとも言えた。
「どうして?どうして銀さんこんなに上手にオムレツ作れるの?」
「だからさっきも言ったろ?俺は一通りのものは作れんだよ。オムレツなんざ余裕よ余裕」
「むきぃぃぃぃ!なんか銀さんに言われると凄い悔しいぃーーー!教えて!このフワトロオムレツの作り方教えてぇぇ!!!」
叫びながら銀時に縋り付いてくる神楽(なのは)のそれにさしもの銀時も慌て出す。
別に恋愛フラグとかラブコメ要素などではなく単に鬱陶しいと思ったからのようだ。
「離れろ!暑苦しいんだよ!」
「いやぁぁぁ!この中はふわっとしてトロッとしてて外はパリッとひたオムレツの作り方教えてくれなきゃやだぁぁぁ!!」
是が非にでも教わろうといつになくしつこい神楽(なのは)とそれを引き剥がそうと必死になる銀時の二人。
側からみると朝からイチャついてるようにも見えるが当人達にそんな意思は全くない。
「しつけぇぞ!俺は面倒な事は嫌いなんだよ!」
「良いじゃん教えてよ!減るもんじゃないんだしさぁ!」
「減るだろうが!俺の自由時間とか俺の体力とかその他諸々減るからやだよ!」
「そんなこと言ってどうせ今日も仕事ないんでしょ?だったら教えてよぉ!」
「嫌だっつってんだろうがクソガキ!仕舞いにゃ殴るぞゴラァ!」
教わりたい神楽(なのは)と教えたくない銀時。両者の一進一退の無駄な攻防はこの後、新八がやってくるまで延々と続けられていたのだそうな。
相変わらず銀魂パートはギャグメインなようで。
次回は皆大好きなあのキャラの登場の予感?