機動戦士ガンダムSEED~二重の輪舞曲   作:アマゾンズ

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好奇心は時に命を脅かす。

柄じゃない事をする蛇使い座の乗り手。


青い蛇と赤いギルド

アークエンジェルの中へ戻ったマサユキはサイと一緒に食事をしていた。彼自身の中で食事が一番、腹を割って話せると思っているからだ。

 

「サイ、少しは食わねえとダメだぜ?」

 

「ああ、解ってるけどさ。どうしても・・・」

 

「なら、スープぐらい飲んどけよ。小さい肉入りだから腹持ちは良いぜ」

 

「・・・マサユキ」

 

「ん?」

 

サイの真剣な表情にマサユキは口に入れていた食べ物を飲み込むと、、一口水を飲んだ。

 

「俺さ、正直・・・キラがお前に殴られて「ざまあみろ!」って思ったんだ」

 

「・・・」

 

「フレイもキラも大切な筈なのに、何でだろうな・・・どうしてもそう思う自分が居て、俺・・・どうしたら」

 

「良いんじゃねえか?別に」

 

「え?」

 

「ナチュラルだから、コーディネーターだからってのは無しにしてよ。どっちも人間なんだから嫉妬もするし、悔しさもあるし、許せない気持ちもある」

 

「・・・」

 

「仮に俺とキラが逆の立場だったとしても、同じ思いになるだろ?「俺の婚約者を奪った奴」ってさ」

 

「それは・・・否定できないな」

 

「だろ?サイはサイ、キラはキラだ。まぁ・・・婚約者を悪く言っちまうのは勘弁して欲しいが、フレイは本心を隠してるだろうしな」

 

「え?」

 

「気持ちが戻るって意味じゃねえよ。これは俺の勘という事を前提として聞いて欲しい」

 

「?」

 

「フレイは恐らく、「コーディネーターを根絶やしにして欲しい」と考えてるんじゃないか?って俺は思ってる」

 

「フレイが!?何で!?」

 

「まぁ・・思想の問題もあるだろうけど、一番は親父さんの件だろうな」

 

「あ・・・それは。けど、もしかして?」

 

「そう、今サイが考えてる通りさ」

 

フレイがキラへ心変わりした理由をマサユキの言葉でサイは理解してしまった。確証は無いが、キラへ近づいた理由は「お父さんの敵討ち」と「コーディネーターへの復讐」だという事に。

 

自分に戦う術はない。ならば、自分を守る理由を与えて利用すれば良いと考えたのだろうと、サイは自分の中で結論が出てしまう。

 

「あー、そうだ。それとストライクかアスクレピオスを動かそうなんて考えるなよ?」

 

「っ!?」

 

「あれはコーディネーター専用のOSになってるから動かすのは無理だ。システムもロックしてるからな」

 

「・・・」

 

「あと一つだけ、割り切りは出来るだけ早い方が良いぞ?いつまでもしがみ付いてると自分が辛くなるからな」

 

「!マサユキ、お前・・・」

 

「はぁ、柄にもねえ事しちまった。後はロクとかと話してくれよ」

 

マサユキは立ち上がるとトレイを持って、片づけた後すぐに食堂の扉へと向かった。

 

「マサユキ!!」

 

「なんだよ?」

 

「その・・・うまく言えないけど、ありがとう・・・俺を止めてくれて」

 

マサユキは何も言わず、背中を向けたまま二本指を上げてビッ!と振ると食堂を出ていった。食事で自分を誤魔化し、カッコつける癖は相変わらずのようだ。

 

 

 

 

 

何気なくストライクを見に来たマサユキだったが、マードックとロクが何やら愚痴りつつゴミを片付けている様子だ。

 

「マードックさん、それにロク?何やってんだ?」

 

「あ、マサユキ。見ればわかるだろ?ストライクのコクピットの掃除だよ」

 

「なんでまた」

 

「坊主がコクピットで寝泊まりしてんだよ、全く」

 

「あー、何か抱え込んでるんですね、きっと」

 

「キラと何かあったのか?」

 

「此処じゃ言えねえから、離れた場所で話すわ。俺も手伝うよ」

 

「おおー、助かる!」

 

マードックがゴミを分別し、袋に詰めて出しに行くロクとマサユキ。掃除を終えて人から離れたモビルスーツデッキの端でキラと自分に何があったのかをロクへと話した。

 

「うわぁ・・・なんだよ、その昼ドラさながらのドロドロ修羅場はよ」

 

「俺だってあんまり出しゃばりたくなかったけどよ、サイの事を考えるとなぁ・・」

 

「お人よし」

 

「うるせー」

 

「けど、俺もそこは出しゃばるだろうな」

 

「だろ?」

 

「にしても、フラガ少佐との鍛錬が地味に役立ってるよな?それ」

 

「あー、コーディネーターだってのが役立ったな今回は・・・。で、話変わるんだけどよ」

 

「ん?」

 

「なんでお前、整備班のツナギ着てる訳?」

 

「ああ、これか。機械工学を独学で学んでたから機械修理できるってのが重宝されたんだよ」

 

「へぇ、意外な特技を持ってたんだな」

 

「うるせ。近々、スカイグラスパーのシュミレーターも入るらしいから、それもやろうって思ってる。お前はやらなくても大丈夫だろうけどよ」

 

「曲がりなりにもモビルスーツパイロットだしな、俺」

 

そう言った会話をしているとフレイの声がモビルスーツデッキ内部に響き渡る。

 

「キラ、ねえ!キラってばー!」

 

「本人は何事もなく接して来る・・・か」

 

「あれは、咎められねえだろうな」

 

「おい!ロク!!サボってねえでスカイグラスパー3号機を調整しやがれ!」

 

「あ、はい!すんません!!じゃあ、またな!」

 

「ロクもロクで忙しいんだな」

 

マードックにどやされながらロクはスカイグラスパー3号機の調整へと向かっていく。

 

独りになってしまったマサユキはアスクレピオスを調整でもしようとしたが、艦内放送でマリューに呼び出された。

 

『マサユキ・クロス少尉。至急、艦長室へ来て下さい』

 

「艦長の呼び出し?珍しい事もあるもんだ」

 

放送を聞いたマサユキは急いで向かい、艦長室の扉をノックした。

 

「マサユキ・クロスです」

 

「どうぞ」

 

「失礼します!」

 

軍属である以上、敬礼は欠かさない。マリューはマサユキの敬礼を見届け楽にしていいと促す。

 

「何か御用でしょうか?」

 

「ええ、貴方にお願いしたいことがあるの」

 

「なんでしょうか?」

 

「数時間だけしか取れないけど、ヤマト少尉とカガリさんを連れて街へ行ってきて欲しいの」

 

「買い物・・・ですか?」

 

「それもあるけど、何より貴方達の状態が心配なの・・・」

 

「!」

 

今のマリューに艦長としての威厳は無く、優しい年上のお姉さんといった雰囲気が出ていた。

 

「解りました。お心遣いに感謝します」

 

「もう、用は済んだわ。行っても構わないわよ」

 

「失礼します」

 

艦長室から出たマサユキは真面目な態度が一転して、普段の調子に戻った。

 

「街で買い物・・・か。精神的に追い詰められてんの解ったのかな?にしてもキラとカガリかぁ」

 

 

 

 

 

約束の時間となりキラ、カガリを連れてマサユキは街へ買い物へ出かけていた。荷物を入れられる袋を複数用意したうえで、だ。

 

「ん?」

 

「どうしたの?マサユキ」

 

「ちょっと悪い!!向こうの店を見てくるわ!!」

 

「え?ちょっと!!」

 

マサユキはすれ違いざまに只物じゃない雰囲気を持つ、サングラスをかけた男を好奇心から後を追ってしまった。無論、荷物はキラへ押し付けた。

 

「こっちへ行った筈だったな!なら・・・うっ!?」

 

「何者だ?」

 

いつの間にか背後を取られており、サングラスを掛けた男はマサユキの首元にナイフを触れさせている。マサユキは降参と無抵抗の意味を込めて手を上げた。

 

「マジか・・・全然わからなかった」

 

「何者かと聞いている」

 

「只物じゃない雰囲気を感じて好奇心のまま追ってきてしまった、ただの一般人ですよ」

 

「・・・嘘はついていないようだな」

 

「ええ、本当の事しか口にしていません」

 

「だが、俺の実力を見抜くとはお前も一般人にしては修羅場を潜り抜けているようだな?」

 

「この時代、生き残る方が最優先でしょう?」

 

「違いない、お前の名は?」

 

「マサユキです」

 

「俺は劾、マサユキ。少し時間を貰えるか?」

 

ナイフを仕舞った劾はマサユキの背後から離れ、それを感じたマサユキも向き直る。

 

「何か?」

 

「少しの間、運動に付き合って欲しいだけだ」

 

「?・・・ああ、解りました」

 

言葉の意味を理解したのか、マサユキは簡単に構えを取った。劾も構えると2人は格闘戦を始めた。まるで演武のようにお互い当てる気は無く、一撃を止めては返し、防御と攻撃の応酬をする。時間にして5分程度だがマサユキは汗だくで劾は顔色一つ変えていない。

 

「どうやら此方の迎えが来たな」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ええ?」

 

牙を向いた頭を下に、そこから上に向かって稲妻の様に曲がった緑の体を持つ蛇の小さなエンブレムを付けた車がやってきた。

 

「遅いぞ」

 

「済まない、少し厄介ごとがあってな?この小僧は?」

 

「しばらく運動に付き合ってもらった相手だ」

 

「そうか・・・」

 

色白細面で非常に美しい男性が近づいてくる。男性はマサユキの手に何か握らせると車へ戻っていった。

 

「俺達は傭兵だ。依頼があればそこへ連絡しろ。それと此処から左へ行くともっと面白いことがあるぞ」

 

そう言い残して車は去っていった。マサユキはその通りにしようと握らされた物をしまうと左の道へ行き、まるでアタッシュケースのような物を見つけ出した。

 

「なんだ、これ?アタッシュケース?」

 

『ケースじゃない!』

 

「ケースがしゃべった!?いや・・・ひょっとして、これコンピュータ?」

 

『そうだ!私の名は「8」』

 

「ハチ?へぇ・・・で、何でこんな所に置かれてんの?」

 

『置いて行かれ迷った』

 

「ぶっ、コンピュータが迷う事ってあんのか!?」

 

『私は旧世代のコンピュータ故にマップデータは無いのだ』

 

「ふーん、とりあえず持ち主を探すか」

 

『助かる。特徴は青いバンダナをしている男だ』

 

抱えながら歩いていると、道という道を隅々まで見ている男性が歩いていた。

 

「あれ~?ハチを何処に置いたっけなぁ?」

 

「ん?」

 

『あれだ!あの男だ!!』

 

「え?ああ!!ハチ!お前さんが見つけてくれたのか!?」

 

「え、見つけたというよりは偶然拾ったというか」

 

『この小僧のおかげで命拾いしたんだ!』

 

男の勢いに若干、引き気味になるマサユキ。とりあえず持ち主にハチを渡す事にする。

 

「ありがとな!本当に!そうだ、名前を教えてなかったな!俺はロウ、ロウ・ギュールだ!ジャンク屋をやってる」

 

「はぁ、俺はマサユキと言います」

 

なんとなく敬語で話してしまうマサユキ。ロウと名乗った男はハチに小声で何かを話した後、データチップのようなものを渡してきた。

 

『モビルスーツに乗る事があれば使ってくれ!!私からの礼だ!』

 

「まぁ、使う機会なんて無いだろうけどな!それと、これは俺がやっているジャンク屋の連絡先だ!お宝があったら買い取るぜ!機械修理も受け付けてるからよ!!じゃあな!」

 

ロウはすぐに走って行ってしまった為、置いてけぼりをくらったマサユキは道を引き返し、キラ達と合流したが流石にキラとカガリに怒られてしまい、買い物を再開するのだった。

 




今回は「王道じゃない」ルートのキャラの登場回です。

傭兵とジャンク屋の二組の組織との繋がりが出来ましたが、めったに使いません。

データチップを渡されましたがその中身は次回に持ち越しです。
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