機動戦士ガンダムSEED~二重の輪舞曲   作:アマゾンズ

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キラがSEED覚醒


覚醒

マサユキとキラはサイとミリアリアと会話をしていた。オペレーターの二人は罰清掃を言い渡され、キラとマサユキは独断行動を今後しないという厳重注意を受けたという事を話した。

 

「けどさ、あのイージスのパイロットお前の昔の友達なんだって?」

 

「それにラスタバンの方はマサユキの想い人だって聞いたわよ」

 

「どこでそれを聞いたんだよ?」

 

「カズィが歌姫の女の子達とお前達が話しているの聞いたって」

 

「あの野郎・・・内気な性格の割には口が軽いな」

 

怒っているようだが、本気で怒っている訳ではない。軽く注意しておくか位の様子だ。

 

「責めないでやってくれよ、悪気は無かったんだから」

 

「悪気の無い方が余計に厄介だっての!」

 

「ふふ」

 

この会話の仕方にミリアリアが思わず笑ってしまう。これはまだヘリオポリスが崩壊する前、学生時代に良くしていた会話だったからだ。これが遠い事だと思っていたが身近で再び聞けたのが嬉しくなってしまったから。

 

「はぁ・・まぁいいか。とりあえず、腹減ったからなんか食ってくる。フラガ大佐との訓練もあるし」

 

「あ、マサユキ!」

 

「相変わらずだな、マサユキは」

 

「弱みを見せずに強がっちゃってるからね、すぐに食事で誤魔化す癖も変わってないわ」

 

学生のガレッジに居た時のような会話をしつつ、マサユキの背中を見送ったサイとミリアリアだった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、メラクはアスランと共にクライン姉妹をプラントへ送り届ける任務を終わらせ、アスランと共に旗艦へと戻ろうとしていた。

 

 

「はぁ・・・」

 

「どうしたんだ?メラク、ため息を吐いて」

 

「え?ああ・・・緊張が解けただけよ。気にしないで」

 

「?そうか」

 

メラクはほんの少し嫌な予感がしていた。同じクルーゼ隊所属のイザークとディアッカの性格を考えていたからだ。あの二人、特にイザークは好戦的な性格だ。ディアッカも飄々とした態度はしていても戦う事に関して疑問を持たない。

 

「(あの二人の事だから・・ほんの僅かな時間でも出撃して、足付きを沈めようとか考えてそうよね。ニコルちゃんだと止められない気がするわ)」

 

ニコルは生真面目で優しいが気弱な一面がある為に、強気な姿勢を崩さないイザークとディアッカに対して強気の意見を言える事はないだろう。

 

「はぁ・・・とにかく急いで戻らないといけないわね」

 

そんな呟きはプラントの空へと溶けていき、隣にいたアスランにも聞こえる事はなかった。

 

 

 

 

 

合流前の時刻、メラクの予想は当たっており別の艦であるローアシア級へ移乗していたイザーク、ディアッカ、ニコルの三人は宙域図を見ながら出撃準備に等しい会話をしていた。

 

 

「確かに合流前に追いつく事は出来ますが、これでは此方が月艦隊の射程に入るまで10分程しかありませんよ」

 

「10分あるって事だろう?」

 

「臆病者は黙っているんだな」

 

「!・・・っ」

 

ディアッカとイザークの挑発とも取れる言葉にニコルは言葉を飲み、感情を抑えた。この場面での出撃はリスクが高い事も理解しているが、同時に敵を倒すチャンスであるのを理解は出来ている。

 

「10分しかないのか、10分はあるのか、それは考え方って事さ。俺は10分もあるのにそのまま合流するアイツを見送るなんてゴメンだけどね」

 

「同感だな。奇襲は実動時間で決まるもんじゃない」

 

「それは解ってますけど・・・!」

 

「ヴェサリウスはラコーニ隊長の船にクライン御姉妹を引き渡したらすぐに戻るという事だ。それまでに足付きは俺達で沈める!いいな?」

 

「オーケー」

 

「解りました。ただし、僕から一つだけ」

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

「アスクレピオスだけは、この僕が討ちます!二人には絶対に譲りませんから!!」

 

ニコルからの意外な言葉にディアッカとイザークは目を丸くした。ニコル自身、いつもは納得はしていないと言った表情だけだったのが、アスクレピオスの名前を出す時だけは目付きが怒りに酷似したものになっていたからだ。

 

「ふん、良いだろう」

 

「宣言したからには見せてもらおうじゃないのさ」

 

 

 

 

 

合流直前に第一戦闘配備がアークエンジェル内に放送され、自主的に行っていた筋トレを中断しマサユキは急いで格納庫へ向かっていた。

 

「戦争よー!また、戦争が!あっ!」

 

「おっと!悪い嬢ちゃん!早く、戻ってくれよ!」

 

「お兄ちゃん・・・」

 

マサユキは走って警告している民間人の少女を咄嗟に避けると同時に両親が居るであろう、居住区へ向かうよう促し、再び走り出した。少女は戻る途中、走って行くマサユキの背中を一瞬見つめて戻っていった。

 

「・・・そうよ、アンタもやっつけてよね」

 

その後ろ姿に呟くフレイの姿もあった事に気づく事はなかった。同時に格納庫ではフラガとキラが出撃準備を済ませ、発進する寸前だった。

 

「少し遅れました!すみません!!」

 

「大丈夫だ!ギリギリだけどな!」

 

マードックの言葉を聞きつつ、アスクレピオスへと誘導されマサユキも愛機のコクピットへ入る。

 

「くそっ、こんなタイミングでよくやる!」

 

「ザフトに好戦的な奴が居るんでしょうね、じゃなきゃこのタイミングを狙う事なんてしませんよ」

 

マサユキはフラガに対し通信で話しかけた。準備が出来ている事にフラガは笑みを浮かべた。

 

「お、もう乗り込んでたか!今回も頼むぜ!」

 

「はい、大尉は牽制をお願いします!もし、奪取された機体が来るとしたら」

 

「ああ、俺の機体じゃ厳しいからな!ムウ・ラ・フラガ!出撃る!」

 

メビウス・ゼロが先に出撃し、OS調整を行っているモビルスーツ搭乗者の二人に管制であるミリアリアが通信してくる。

 

『キラ、マサユキ!ザフトはローアシア級1!デュエル、バスター、ブリッツ!』

 

「ん?イージスとラスタバンは出撃していないのか!?」

 

「けれど、あの三機だって!」

 

「解ってる!恐らく合流までにアークエンジェルを沈めようとか考えたんだろうさ!あの三機のパイロットの中に好戦的な奴でもいるんじゃないのか?」

 

通信でお互いに会話しつつ、左右のカタパルトへストライクとアスクレピオスが移動し出撃体勢に入る。

 

『ATU起動!ストライカーパックはエールを装備します!!』

 

「(エール装備か、なら俺が牽制と遊撃も出来るな)」

 

『アスクレピオスに宙間用スラスターパックを装備します!カタパルト、接続!!』

 

アークエンジェルの左右にあるカタパルトデッキへストライクとアスクレピオスが接続され、バッテリーの確認や出撃の合図が送られる。

 

『ストライク、アスクレピオス!スタンバイ!!』

 

『システムオールグリーン!進路クリア!ストライク発進です!』

 

「キラ・ヤマト!行きます!!」

 

アークエンジェルの右カタパルトから先に出撃したストライクは、PS装甲を展開し戦場へと向かう。

 

『続いて、アスクレピオス発進です!』

 

「マサユキ・クロス!行くぜ!!」

 

アークエンジェルの左カタパルトから出撃し、アスクレピオスもPS装甲を展開しストライクと並ぶように向かう。

 

「マサユキ!」

 

「坊主達!散開しろ!!」

 

「っ!?」

 

フラガの言葉にストライクとアスクレピオスが散開する。それと同時にローアシア級からの砲撃をザフト側の三機で隠す事でアークエンジェルへ肉薄したのだ。

 

「機体で射線を隠すとは、味な事をやってくれるじゃないか!」

 

「くそっ!ストライクと離された!」

 

「はあああああ!!」

 

「っ!?ブリッツ!!」

 

アスクレピオスは咄嗟に腕から出力されるイージスと同様のビームサーベルを発生させ、ブリッツのビームサーベルを受け返した。ブリッツの独断行動にイザークが声を上げる。

 

「ニコル!貴様、先行しろとは言っていないぞ!」

 

「言ったはずです!アスクレピオスは僕が討つと!!邪魔しないで下さい!!!」

 

「!?」

 

「お前は僕が必ず討つ!」

 

「ったく!アルテミスやら追撃やら以来だけど、ブリッツに此処まで執着される覚えはないぞ!!」

 

ビームサーベルの応酬を繰り返すブリッツとアスクレピオスだったが、突然ブリッツの姿が消えた。その瞬間にマサユキはアークエンジェルで調べ、今自分の中にある知識と今起こった出来事を照らし合わせ答えを口にする。

 

「ミラージュコロイドか!ぐあああっ!?」

 

アスクレピオスのコクピットに凄まじい衝撃が走る。ミラージュコロイドによる奇襲でランサーダートをアスクレピオスの背面に直撃させたのだ。だが、曲がりなりにも同じ技術であるPS装甲を持ち、兄弟機であるGAT-Xシリーズのアスクレピオスに実弾射撃が通じるはずもない。

 

それでも衝撃までは緩和する事は出来ず、アスクレピオスの内部に伝わっているのだ。

 

「野郎!アスクレピオスのセンサーをなめるなよ!?索敵範囲を周囲100kmから400kmへ変更!熱源センサーを80%に!」

 

ミラージュコロイド・ステルスによって姿をカモフラージュしているブリッツは、通常の索敵機能では見つける事は出来ない。だが、バッテリー駆動である為、どうやっても熱反応だけは隠し通す事は不可能。

 

加えてアスクレピオスはパートナー機となるはずだったラスタバンの強襲位置を割り出す役割を持っていた為に、センサー類の中で特に索敵と熱源反応用センサーが他のGAT-Xシリーズよりも強化されている。

 

「センサーはあくまで目安だ。自分の反射神経を信じろ・・・って、また!この極端な冷静さは何なんだ!?まぁ、いいか・・・引きつける方法は」

 

アスクレピオスはその場で制止し、人間の自然体のような状態になっている。ブリッツを駆るニコルからすればチャンスとも言える状態ではあるが、此処で彼は一歩引いて冷静になるべきであった。

 

「貰ったぁーー!」

 

「っ!!そこだ!」

 

アスクレピオスの腕から出力されるクロータイプのビームサーベルを左腕のみ出力し、ブリッツの特徴とも言えるトリケロスから出力されたビームサーベルを捌き、両腰部にあるうちの右側からアーマーシュナイダーを素早く抜くと同時にブリッツの左脇腹部分に刃を突き立てた。

 

「何!?うわっ!」

 

「恨まれてる覚えはないが、邪魔だってんだ!!」

 

機体の隙間へ刃を通し、PS装甲によって深くは刺さらなかったがブリッツのコクピット内部から電気系統がまるで爆竹が破裂した程度の軽い爆発を起こしてしまう。これはパイロットにとって致命的な隙となる。爆竹程度の爆発であっても、その音と衝撃によって注意が逸れてしまうからだ。

 

アスクレピオスはブリッツへ膝蹴りと同じ要領のキックを腹部へと打ち込み、体勢を崩した一瞬の隙を逃さずに右腕でテレフォンパンチをブリッツの顔面へと撃ち込んだ。機体へのダメージは無いが勢いのあったパンチはコクピットへ衝撃を与え、ブリッツをアスクレピオスの範囲外へと吹き飛ばした。

 

「うああああああ!!」

 

「お前にだけ構っていられないんだよ!」

 

アスクレピオスはスラスターを全開にし、アークエンジェルの援護へ向かう。そこにはバスターガンダムによる砲撃を受けているアークエンジェルとデュエルガンダムに阻まれてアークエンジェルの救援へ向かう事の出来ないストライクガンダムが競り合っていた。

 

メビウス・ゼロは武装であるガンバレルを破壊され、帰還しているようだ。マサユキは内心、苦虫を潰したような顔をしつつキラへ通信をする。

 

「キラ!悪い!!ブリッツに付きまとわれてな!」

 

「マサユキ!」

 

「デュエルは俺が引き受ける!バスターの方を頼む!!」

 

「!うん!!」

 

デュエルを引き受けると言ったのは単純に相性の問題だ。ストライクはエールストライカーを装備している為に機動力によってあらゆる距離に対応できる。アスクレピオスは主に中・近距離に特化している装備しかない。

 

よって、射程の範囲外から攻撃が可能なバスターガンダムへの対処が出来る算段が高いのがストライクという事になる。

 

ストライクとアスクレピオスはお互いに標的を切り替えると背中合わせを行い、アスクレピオスはデュエルへ、ストライクはバスターへと突撃する。

 

「アスクレピオスとか言ったな!コイツが来たという事はニコルはしくじったか!!」

 

「デュエル!あん時の借り、此処で少しは返させてもらうぜ!」

 

両腕のビームサーベルを展開し、デュエルの迎撃へと向かう。デュエルもビームライフルで中距離から応戦するが、間合いを取る速度はアスクレピオスの方が上だ。

 

更にイージス同様、腕から出力されるアスクレピオスのビームサーベルがデュエルの反撃を鈍くさせている。

 

「コイツ!」

 

「いつまでも、最初に戦った時と同じな訳があるか!!」

 

「うっ!?」

 

ビームサーベルの光が目の間に迫り、イザークは死の恐怖が自分の中から出てきたのを味わう。

 

「なーんてな!」

 

だが、それはフェイントだった。ビームサーベルの出力を切り通常のパンチをデュエルの腹部へと押し込んだ。浮き上がるような状態になったのを見るや否や、ヤクザキックに似た蹴りをアスクレピオスがデュエルへと打ち込んだ。

 

「うあああああ!?」

 

「しばらく、漂ってろ!」

 

しかし、この攻撃がイザークのプライドをひどく傷つけた。戦士として軍人として、自分を殺せるはずだった攻撃を止めたというのは敵に情けをかけられたと同義、そんな考えがイザークの頭をよぎる。

 

「クソおおお!!アスクレピオスゥーーーー!!」

 

デュエルの体勢を強引に引き戻そうとするも、遮蔽物のない宇宙空間における体勢の立て直しは非常に難しい。イザークは叫びながら戦闘域から離されそうになるが、それを止められた軽い衝撃が走った。

 

「うっ!なんだ?」

 

「イザーク、無事ですか?」

 

「ニコルか、余計な真似を!」

 

それはアスクレピオスが吹き飛ばしたはずのブリッツであった。幸か不幸か吹き飛ばされた先が旗艦の位置であった為にわざと旗艦へ移動してくれるよう通信で頼み体勢を立て直し、戦闘域へ再び向かう途中にデュエルを見つけ、ピアサーロックと言われる有線式ロケットアンカー「グレイプニール」でデュエルを掴み、体勢を立て直したのだ。

 

「悔しいですが、アスクレピオスには僕達の機体だと1対1では敵いません!」

 

「うるさい!!お前は足付きを狙え!」

 

「イザーク!!」

 

デュエルはスラスターを全開にして、先行してしまう。ニコルは足付きことアークエンジェルへ攻撃を仕掛ける為、アークエンジェルがいる方向へと進路を変えて向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃、バスターは一人でストライクとアスクレピオスの相手をしていた。遠距離から援護しつつ隙あらば接近戦を仕掛けてくるストライク、そのストライクの死角から中距離で牽制しビームウイップとサーベルで接近戦をかけるアスクレピオス。

 

「ちきしょう!2対1とか!少しは遠慮しろよな!!」

 

バスターの最大の強みは350mmガンランチャーと94mm高エネルギー収束火線ライフルの2門のライフルを交互に使う他に、それを連結させる事で使用できる対装甲散弾砲、超高インパルス長射程狙撃ライフルがあるのだが、アークエンジェル所属の2機にそれが阻まれている。

 

「アスクレピオスゥーーーー!!」

 

「もう、戻ってきたのかよ!?」

 

デュエルがアスクレピオスへビームライフルの連射からビームサーベルへ切り替え、斬りかかると同時に、アークエンジェルのブリッジ付近から爆発が起きているのをキラとマサユキはコクピットから視認し、アークエンジェルからの援護をミリアリアから受けた。

 

「キラ!!マサユキ!!ブリッジに取りつかれたわ!戻って!」

 

「んなこと言ってもよ!!」

 

「お前だけはーーー!」

 

アスクレピオスはデュエルからの執拗な攻撃にアークエンジェルへ向かう事が出来ずにいる。

 

「アークエンジェルが・・・!」

 

そんな中、アークエンジェル攻撃を受けているのを見てフレイの父親の乗った戦艦を沈められてしまったのをキラは思い返していた。もう2度とあんな思いはしたくはない、今度こそ必ず守り抜いて見せる。

 

その思考がキラの頭の中で一つのイメージを見せた。まるで小さな水辺に小石を落とすと波紋が広がるように一粒の種が水面で僅かに跳ね上がり、紫色の種が弾けたイメージだ。

 

「アークエンジェルは沈めさせやしない・・・!!」

 

それと同時にキラの五感のうち視覚、聴覚、触覚、更には認識力までがシャープとなりバスターへ牽制するとアークエンジェルへ真っ先に向かった。

 

そのまま、ブリッジ付近を攻撃していたブリッツを勢いのまま蹴り飛ばし、すぐさまアスクレピオスへ回避行動を行わせるべく援護射撃をする。

 

「嘘だろ・・・なんだよ、ありゃあ?」

 

ストライクの機体制御を超える動きを見たマサユキは思わず、驚愕の声を口に出していた。ストライクはブリッツを蹴り飛ばした後、デュエルとバスターの2機を相手に互角以上に渡り合っていた。

 

後ろから狙い撃ちされているはずが、背後に自分の目があるか、広範囲の空間を認識しているかのように攻撃を回避し的確な攻撃を行っている。

 

その的確過ぎる攻撃を接近戦で受けてしまったのがデュエルであった。ストライクからデュエルは脇腹にアーマーシュナイダーを突き立てられ、その余波が爆発として起こりコクピットを襲ったのだ。モニターの正面から爆発がイザークを直撃しパイロットスーツとヘルメットをしていたおかげである程度は守られていた、が。

 

「痛い・・!痛い!!痛いーー!!!」

 

イザークは眉間に衝撃で割れたヘルメットのバイザーの破片が突き刺さり、痛いと喚いている。ブリッツがデュエルに寄り添いなんとか回収できる体勢になる。

 

「イザーク!大丈夫ですか!?イザーク!!」

 

ニコルが呼びかけるがイザークは痛い!痛い!としか返事を返さない。そこへバスターが対装甲散弾砲をストライクとアスクレピオスへ向けて放ち、撤退できるだけの隙を作りだした。

 

「ディアッカ!」

 

「どうした!?ニコル!!」

 

「イザークが!!」

 

「ディアッカ!引き上げです!敵艦隊が来る!!」

 

「くそっ!」

 

「(アスクレピオス、次こそ!)」

 

ザフト軍は撤退していき、ストライクとアスクレピオスはアークエンジェルへ着地する。ストライクの圧倒的な戦闘力を目撃していたマリュー以下、アークエンジェルの面々は驚きを隠せないままでいた。

 

アスクレピオスはストライクの肩に手を添え、支えるような形にすると通信を繋げようとしたが先にフラガが激励の通信を行ってきた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「奴ら、引き上げて行ったぜ!よくやったな!坊主達!!」

 

「大尉、いや・・・今回はキラのおかげですよ。な?」

 

「う、うん」

 

「ん?・・・いや、凄い奴だよ。お前は」

 

「いえ・・・」

 

フラガは戦闘時に感じていたキラの雰囲気が違っている事に気付いたが、あえてそれを口にしなかった。フラガの会話を終えたタイミングでマサユキがキラへと話しかけた。

 

「キラ、戦闘時のアレ・・・何だったんだ?」

 

「解らない」

 

「は?」

 

「解らないんだ、アークエンジェルを沈ませる訳にはいかないって思ったら急に」

 

「ふーん、火事場の馬鹿力みたいなもんだったのかな?」

 

「何、それ?」

 

「切迫した状況における、普段は想像できないような力さ。例えば腕を骨折しているはずなのに助かる為に重たい瓦礫を持ち上げたりする事がある・・・。それを火事場の馬鹿力って言うんだよ。人間の身体のメカニズムに関する本で読んだ事があってさ」

 

「そうなんだ。マサユキって意外と博識なんだね」

 

「あ?キラ、俺のこと口が悪い脳筋野郎とでも思ってたのか?」

 

「ち、違うよ!プログラミングの話が多かったから人体なんて興味がないと思って!」

 

「なるほど、実は本だけは色々と結構読むんだよ。時間潰しに丁度良いから」

 

マサユキの意外性にキラはポカンとしてしまった。学生であった時も彼と交流は殆ど皆無であった為にマサユキが読書好きである事は知る由もなかった。

 

「さて、合流すべき艦隊に合流か・・・」

 

「そうだね」

 

「(お役御免って訳にはいかないよ、な)」

 

マサユキは信号を出しながら近づいてくる第八艦隊をメインカメラで見ながら心中で言葉を呟いていた。

 

「(それになんだか、嫌な予感がしてしょうがねえ・・・言葉で表すのは難しいけど)」




次回は二人にとって大きな傷となる出来事が・・・。
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