機動戦士ガンダムSEED~二重の輪舞曲   作:アマゾンズ

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二人の心に大きな傷が付く




第8艦隊と合流したアークエンジェルはハルバートン提督との対談の為にマリューをはじめとする重要メンバーは出払ってしまっている。

 

「・・・さて、どうすっかなぁ」

 

マサユキは身体を伸ばしながら、これからの事を考えていた。このまま民間人として除隊し、地球へ降りれば戦争とは無縁の生活を送れるだろう。

 

「メラク・・・」

 

だが、そうはいかない懸念が彼にはあった。それは幼馴染であり初恋の相手であり、今も想いがくすぶっている女性、メラク・アウストの事だ。

 

戦場で再会してしまい、更には地球軍とザフトという敵対関係にある組織にお互い居る状態。

 

このまま無関係なままでは居たくないが、戦争を続けてもいたくは無いという矛盾した思いがあるのも事実なのだ。

 

「まだ時間はあるし、少し考えるか。自分でしっかり考えて行動しろとかキラに言ってたクセに自分が悩んでてブーメラン刺さってるな、俺」

 

ぼやきながらマサユキは格納庫へと向かうことにした。愛機となっていたアスクレピオスを見れば何か変わるかもしれないと。

 

アークエンジェルの格納庫では補給作業が行われており、マードックが中心となって作業している。

 

「スカイグラスパー3機!?オイオイ、大気圏用の機体じゃねえかよ!それに空戦用ウイングパック!?急造品みてえだがアスクレピオスに装着すりゃあ、かなりの戦力じゃねえか?」

 

 

 

 

 

その頃、除隊許可証を貰っていたサイやロック達は仮眠室でこれからどうするかを話し合っていた。

 

「んで、どうすんだい?俺達」

 

「どうするって・・・ロクは決まってるのかよ?」

 

トールの言葉にロックは笑みを浮かべると皆の前で除隊許可証を縦に破いた。それ見たサイも同じように除隊許可証を破く。

 

「ロク!?サイ!?」

 

「俺はもう関係ないって言えない状況なの解ったからだよ」

 

「フレイの言ってた事は俺も感じてた事だ。それに、彼女だけ置いていくなんて出来ないしさ」

 

この場に居ないフレイは自ら地球軍に志願すると言って、既にナタルに連れられてアークエンジェルへ乗艦したままだ。

 

サイの言葉を聞き、今度はトールが除隊許可証を破き、それに対してミリアリアは驚いた表情を見せる。

 

「トール!?」

 

「アークエンジェル人手不足だしな。この後、落とされちゃったら・・なんか、やっぱ嫌だしよ」

 

今度はミリアリアが自分の除隊許可証を破いた。

 

「ミリィ!?」

 

「トールが残るんなら私も」

 

「おやー?彼氏が心配なだけじゃないのか?」

 

「ちょっと、ロク!!」

 

ミリアリアが抗議しようとした瞬間、また紙を破く音が響く。それはカズィが自分の分の除隊許可証を破いた音であった。

 

「みんな残るってのに、俺だけじゃな」

 

「バカばっかだな」

 

「ロクが人の事を言えるのか?」

 

「そういうサイもだろうが」

 

全員が笑い合っていたが、トールとミリアリアが2人分の除隊許可証に視線を移す。あの2人はどうするのかと思いながら。

 

 

 

 

 

一方、ザフト軍の旗艦ヴェサリウスではメラクとイザークが口論をしていた。

 

「イザーク、その傷・・・無茶な事したんでしょう?」

 

「うるさい!!女如きが口を出すな!!」

 

「!今、なんて言った?大人しくしてればつけ上がって・・・プライドが高いだけの傲慢野郎!!」

 

「なんだと貴様!!」

 

「図星を突かれて逆ギレしてんじゃないわよ!!いい!?僅かな時間の出撃は拠点破壊を始めとした、スピードを重視する任務だけに限定されているはずよ!アークエンジェルを10分で沈めようなんて無謀を通り越して呆れるわ!!」

 

「ぐっ!」

 

「作戦失敗の代償が機体損傷とその額の傷!教訓として冷静さを身に付けなさい!!」

 

メラクは「女だから」という点を指摘されるのを最も嫌っており、それを言われると憤慨しこのように口が悪くなってしまう。

 

それでも失敗した原因と改める部分を指摘するのは、彼女の優しさの表れでもある。優しさゆえの厳しさというものだ。

 

「はぁ・・・さて、次は」

 

ギロリと聞こえそうな鋭い目つきを今度はディアッカとニコルへ向け、2人はビクッと脊髄反射を起こしたように硬直する。

 

「ディアッカ?あんたもよ、無謀な事に首突っ込んで何考えてたの?」

 

「い、いや・・俺も足付きを沈めちまえば後は楽だろうな~とか考えてさ」

 

「少しは踏みとどまって考え直しなさいよ!友人を殺すつもりだったの!?」

 

「そんな訳ないだろ!」

 

「同じ事よ!!今回は運が良かっただけに過ぎないんだから!!」

 

メラクの怒号にディアッカも言い返そうとするが迫力負けしてしまい、口ごもってしまう。

 

「解ったよ、それにそんな怒るなって!美人が台無しだぜ?」

 

「どさくさに紛れて口説いてんじゃないわよ!軽いノリも時と場合を考えなさい!!」

 

「おお、怖っ!」

 

「最後にニコルちゃん」

 

「は、はい・・・!」

 

厳しい目つきのままメラクはニコルの近くへと歩いてくる。ニコルも先程の怒号を聞いていたので少し怯え気味だ。

 

「2人の意見に根負けしたのは仕方ない事よ、けれど・・・単体でアスクレピオスを討とうとしたそうね?」

 

「あ・・・それは」

 

「機体の相性を考えなさい!!君の機体はアスクレピオスとの相性は悪いのよ!今回で身をもって知ったわよね!?」

 

「うう・・・ごめんなさい」

 

「いいえ、許さないわ。機体の相性を考えずに無謀な戦闘をした子にはお仕置きよ!」

 

そう言ってメラクはニコルの額に強めのデコピンをした。女性とは言えどコーディネーターでしかも軍人だ。並みの女性よりも威力がある。

 

「痛いっ!!」

 

「今度から機体の相性を念頭に置いて戦う事!良いわね!?」

 

「うう・・・はい」

 

涙目で額を押さえるニコルにメラクは厳しい態度のまま、長い黒髪をなびかせてオペレーターの女性のもとへと行き会話を始めてしまった。

 

「ぐうう・・・メラクめ!」

 

「けど、アイツの言ってる事は正しいから文句言えねえんだよなぁ」

 

「それに、改善点も教えてもらえますからね」

 

3人がオペレーターの女性と笑顔で会話しているメラクを見ながらボヤいていると、ブリッジにアスランが入ってきた。

 

「どうしたんだ?3人とも、メラクに説教でもされたのか?」

 

「似たようなもんだよ、足付きを10分以内に沈める作戦が失敗したことに関して言われてた訳、ニコルはデコピンのオマケつきでさ」

 

「メラクらしいと言えばらしいな」

 

代表して話したディアッカの言葉にアスランは苦笑しつつ、自分もメラクの説教は勘弁願いたいと思うのは賛同していた。

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルの格納庫ではハルバートン提督との僅かな会話を終えたマサユキとキラがそれぞれ、自分の愛機であるストライクとアスクレピオスを見合上げていた。

 

「マサユキ、どうするの?このままアークエンジェルを降りるの?」

 

「うーん、時間が少しあるから考えてるなぁ・・・なんだかんだで、コイツに愛着も出ちゃってるし」

 

「・・・・機体に愛着が?」

 

「キラ、俺達はコーディネーターだけどな。その前に一人の人間なんだよ、出来る事や出来ないことがあって当たり前さ」

 

「そうだけど・・!」

 

「あの提督とか言われてた・・・えーっとハルバートンさん、だっけ?あの人も言ってただろ?1人で戦争は勝てるものじゃない、自惚れるなってさ。あれ、正しいと思うぜ」

 

「けど、僕は・・・」

 

「頭でっかちに考えてたって何も解決しないんだよ、今の俺が言えた義理じゃないけどな」

 

マサユキの言葉にキラは口ごもってしまう。言っている事は理解できるし正しいのだが、自分の感情が納得していない。

 

「それによ、俺はアークエンジェルに残るかなって考え始めてる」

 

「え!?それって地球軍に志願するって事だよね?」

 

「そうなるな、勘違いしないで欲しいのは地球軍の味方になるって事じゃない。此処に居れはアイツとまた一緒に居られるようになる可能性が高いからなんだ」

 

「アイツって・・・・あっ!」

 

「そう、そういうこった。ありがとな、キラ!話して決意が固まったわ」

 

そう言ってマサユキはアークエンジェルの中へ向かおうとしていたが、キラはそれを呼び止めた。

 

「待って、マサユキ!僕は・・その!」

 

「キラ、迷うなとは言わないけどよ。時間は待ってくれないぜ?サイ達はこのままアークエンジェルに残るって志願したらしい。ロクも残るって本人から聞いたよ。サイ達はロクからの情報だけどな」

 

「え!?」

 

「俺は俺の考えで此処に残るって決めた!前にも言ったけど、どうするかはお前次第だぞ!じゃあな!」

 

マサユキはそう言ってアークエンジェルの中へと向かった。それと同時に警報が鳴り、第一戦闘配備の放送が響く。

 

 

 

 

 

アスクレピオスのパイロットスーツはマサユキが自室として使っていた部屋に置きっぱなしだった。

 

「さぁて、行きますかね」

 

すぐに着替えて本来着替えのためのパイロット用ロッカーへ向かうと自動ドアで完全に閉まっているはずの扉が少し開いていた。

 

「ん?誰か・・・!?」

 

マサユキはそこでフレイがキラへ口づけする瞬間を見てしまっていた。更にキラの手に折り紙で作られた花があったのを見て、以前ぶつかりそうになった少女が作っていたのをも思い出していた。

 

「(覗き見は趣味じゃねえし、仕方ねえ)」

 

そこで彼はドアを思いきりノックし、ラブシーン状態の2人を現実に引き戻した。

 

「っ!?誰!?」

 

「俺だよ、マサユキだ。カギが閉まってたからノックしたんだよ」

 

「じゃあ、私は行くわ」

 

「う、うん」

 

フレイはロッカーから出ていくと同時にマサユキに対してほんの一瞬、一瞥していった。

 

「・・・・キラ、残ることを決めたのか?」

 

「うん、僕だけじゃ嫌だし・・それに」

 

「それに?」

 

「マサユキと似た考えが、僕にもあるから」

 

「・・・ああ!そうだったっけな。んじゃ行こうぜ!第一戦闘配備だから愛機の所へよ」

 

「うん!!」

 

ロッカーからヘルメットを取り出し、ストライクとアスクレピオスが置かれている格納庫へと向かった。格納庫では出撃待機状態のフラガがマードックに愚痴をこぼしていた。

 

「俺に怒鳴ったってしゃーねぇでしょう!まぁ、このまんまズルズルよりは良いんじゃねえですか?」

 

「いや、けどさぁ!」

 

「ザフト艦とジンは振り切れても」

 

「あの5機が面倒になってますからね!」

 

「坊主達!?」

 

「ストライクとアスクレピオスで待機します。まだ、第一戦闘配備ですよね?」

 

「キラ、また頼むぜ?」

 

「うん、任せて」

 

マサユキとキラはお互いの健闘を祈る誓いの方法として、互いに軽く拳をぶつけ合うとストライクとアスクレピオスへ向かい、コクピット内部へ入る。

 

「あいつ等、艦を降りたんじゃ」

 

「あんな若い頃から、戦場とか戦争なんかに行かされちまうと、後の人生・・・キツイぜ」

 

フラガの言葉にマードックも顔を少し顰める。若年で殺し合いをしているのも同義であり、その後にどんな人生を送るのかが解っているからだろう。

 

 

 

 

 

第一戦闘配備の中、奪取されたイージス、デュエル、バスター、ブリッツ、ラスタバンが出撃し第8艦隊の戦艦を次々に撃沈させていた。

 

その中でデュエルだけが本来の姿と違っていた。機体自身はアサルトシュラウドと呼ばれる追加装備が施されていた。

 

これは第1世代MS用強化パーツとして開発されていた性能向上パッケージで、増加装甲や肩部に装備された武装、バックパック及び脚部に追加された高出力スラスターで構成されされており、これによって火力と宇宙空間における機動性は向上している。

 

「ストライクとアスクレピオスは何処だ!?」

 

「アスクレピオスは出撃していない!?」

 

イザークはストライクを探しつつ、アスクレピオスも探しているがメインターゲットはストライクなのだろう。

 

ニコルも自身のメインターゲットであるアスクレピオスが出撃していない事には苦虫を潰していた。

 

「はぁ・・・あの2人ってば全く反省してないわね」

 

「戦闘に集中しろ、メラク!」

 

「はいはい、集中するわよ」

 

アスランに注意され、メラクは戦闘へ集中する。可変型のMSの利点を生かした突撃強襲はイージスとのコンビネーションによって驚異的だ。

 

アークエンジェルは大気圏突入状態になっており、第8艦隊が盾となって防いでいる。だが、デュエルとバスターが隊列を突破し、アークエンジェルへと向かってきていた。

 

「フラガ大尉!」

 

「ああ、解ってる!!」

 

「・・・・!」

 

「艦長!!ギリギリまで俺達を出せ!!何分ある!?」

 

「何をバカな!?・・・・俺達?」

 

フラガの言葉にマリューは違和感を持った。「俺」ではなく「俺達」と口にしたのが引っ掛かったのだ。

 

「カタログスペックでは、ストライクは単体でも降下可能です!」

 

「アスクレピオスも同じく可能ですよ、艦長さん!」

 

「キラ君、マサユキ君!?」

 

「どうして貴方達、そこに!?」

 

「このままじゃ、メネラウスも危ないですよ!艦長!!」

 

「キラの言う通りです!!遊撃と牽制だけなら、大気圏突入のギリギリまでに戻ってこれます!艦長さん!!」

 

驚きで呆然としているマリュ-をよそに3人の要望に応えたのが副艦長であるナタルであった。

 

 

「解った!ただし、フェイズ3までに戻れ!!スペック上は大丈夫でも、やった人間はいないんだ。中がどうなるかは知らないぞ?高度とタイムは常に注意しろ!特にアスクレピオスはエール装備のストライク以上に引き込まれ易いからな!」

 

「了解です!」

 

「っ・・・バジルール少尉!!」

 

「此処で本艦が墜ちたら、第8艦隊の犠牲の全てが無駄になります!!」

 

意見の食い違いと状況による判断とのせめぎ合いで、冷静な判断をしてくるナタルに対し、マリューは何も言い返すことが出来なかった。

 

第8艦隊の戦艦は次々に奪取された五機のGによって撃沈されていく。その間、アークエンジェルにある左右のカタパルトが開き出撃体勢の整ったメビウス・ゼロとストライクがカタパルトの出撃ブースターの上に乗っていた。

 

「・・・・」

 

「ふぃー・・・」

 

「こんな状況で出るなんて、俺だって初めてだぜ・・・!」

 

「キラ・ヤマト、行きます!!」

 

ストライクが出撃し、エールストライカーのウイングが展開されると同時にフェイズシフト装甲も展開されていく。

 

それに合わせてメビウス・ゼロも出撃しストライクの位置へと並んだ。その後へ続く形でアスクレピオスはストライクの出撃に使ったブースターへ足を乗せた。

 

「マサユキ・クロス、行くぜ!!」

 

ストライクとは違い、宙域用のスラスター増加パーツを装備されたパックを装備しアスクレピオスがカタパルトから飛び出すとストライクと同様にフェイズシフト装甲を展開させ、得意の獲物であるビームサーベルを手にしてストライクの真横へと位置を取った。

 

「アークエンジェルよりX-105ストライク、メビウス・ゼロ、X-106アスクレピオス発進!!」

 

「なんだと!?」

 

地球軍側の主力が大気圏突入のギリギリのラインで出撃して来た事にザフト側も驚きを隠せなかった。

 

「この状況でか!?」

 

特に驚いたのがクルーゼだった。第8艦隊の盾に隠れて足付きは地球へ降下するものだと思い込んでしまっていたからだ。

 

出撃したアークエンジェルの主力3機は機体が何かに押さえつけられ、引き込まれるような感覚を味わう。

 

「っ!?」

 

「くっ!重力に引かれているのか!?」

 

「ストライクはエールの推進力が強いから多少で済んでるのか?こっちは宙間用のスラスターがあるから、何とかなってるようなもんだ、無かったらアスクレピオスはあっという間に重力に引き込まれてた!」

 

ストライクとアスクレピオスは姿勢制御とスラスターを全開にする事で一時的に重力を振り切って、戦闘域へ入ることが出来た。

 

待ち構えていたようにデュエルが迫ってくる。

 

「ようやくお出ましか、ストライク!それにアスクレピオス!この傷の礼だ!受け取れえええ!!」

 

「デュエル!?装備が!」

 

「キラ!デュエルは俺が引き受ける!ムウさんを援護してやってくれ!!」

 

「解った!あのデュエル、装備が追加されているようだから気を付けて!!」

 

「おう!!」

 

「まずはアスクレピオスか!!」

 

「もうやめろってんだあああ!!」

 

デュエルのビームサーベルによる斬撃をアスクレピオスは左腕のビームクローで受け流し、右腕に持ったビームウイップで反撃するが互いに得意とする距離が同じになった為に拮抗して攻め手にかける状態になっている。

 

「くそっ、マジでそろそろヤバいぜ!」

 

「しつこいんだよ!!お前ら!!!」

 

「ムウさん!」

 

「キラ!?」

 

「おいおい、ストライクがなんでこっちに来て・・・!アスクレピオスに足止めされたのかよ!?」

 

バスターへ迫るストライクにメビウス・ゼロ、その間にデュエルとアスクレピオスは互いに攻め合っているが徐々に地球の引力へ引かれ始めていく。

 

ザフト側の戦艦、ローアシア級が第8艦隊の旗艦へと接近していた。ザフトの艦長の一人であるアデスは通信を送る。

 

「ガモフ出過ぎだぞ!何をしている!?ゼルマン!!」

 

「此処まで追い詰め・・・退く事は・・・もとはと言えば我ら・・・足付きを」

 

「くっそおおお!」

 

ストライクがバスターを引きつけている間、ムウのメビウス・ゼロがザフトのローアシア級のエンジンを破壊する。

 

「!?ニコルちゃん、アスラン!!ガモフが!!」

 

「何!?」

 

「えっ?」

 

「アスラン、ニコル、メラクの3人を戻せ!!今から追っても何も出来ん!!」

 

3人には帰還命令が出る。それは地球の重力に引き込まれる事を懸念しての事だ。その結果、三機のGはナスカ級の傍にとどまるしかなかった。

 

「差し違えるつもりか!?」

 

「すぐに避難民のシャトルを脱出させろ!此処まで来て、アレに落とされてたまるか!!」

 

ハルバートン提督は命令を出しつつ、最後まで戦う事を止めようとはしない。シャトルが射出され、アークエンジェルが大気圏突入へ入る。

 

「艦長、フェイズ3突入限界点まで2分を切ります!!」

 

「融除材ジェル、展開用意!!」

 

「ゼロ、ストライク、アスクレピオスを呼び戻せ!!」

 

「くそぉ、限界か!?」

 

「えええい!!」

 

「うわっ!?しまった!」

 

ストライクのキックを受けたバスターはそのまま大気圏へと引き込まれ、キックの反動を利用しストライクはアスクレピオスを援護するべく、急いで向かった。

 

「ハルバートン提督!!」

 

二隻の戦艦は大気圏との摩擦で損傷している装甲が剥がれ落ち、爆散していく。

 

「ゼルマン艦長!!」

 

メビウス・ゼロはギリギリの所で着艦用アンカーをアークエンジェルへ打ち込み、着艦する。

 

「坊主達は!?」

 

「コイツぅ!!」

 

「いい加減、しつこいんだよおおお!!」

 

距離を離しながら、イーゲルシュテルンを放つアスクレピオスに対しデュエルは新しい武装であるレールガン「シヴァ」を放つがシールドによって防がれてしまう。

 

「イザーク、ディアッカ!」

 

「(キラ・・・)」

 

「(マサユキ・・・)」

 

「坊主達が!!」

 

ムウの言葉にアークエンジェルのクルー達がそれぞれ、声を上げた。

 

「キラ!!」

 

「マサユキ!!」

 

「キラ君、マサユキ君!!」

 

それでも、アスクレピオスとデュエルの戦いは止まらず、デュエルがビームライフルを放ってきたのを対ビームシールド掲げたまま、突進し体当たりする。

 

「うおおおおお!!」

 

「ぐうぅぅぅ!?」

 

「オラァアアアア!!」

 

アスクレピオスが得意とする大振りのテレフォンパンチをデュエルは顔面に打ち込まれ、距離を離されてしまう。

 

「くっそおおお!」

 

反撃のビームライフルを放つが、それを防御して援護に来た機体が現る。重力に引き寄せられながらも到着したストライクだった。

 

「マサユキ!!」

 

「キラか!?やべえぞ!アークエンジェルから、かなり離れちまった!このままじゃ大気圏へ!」

 

「解ってるけど、キミを置いていけないよ!くっ!?」

 

「ストライクゥゥゥ!邪魔をするなあああ!」

 

そこへ2人は見慣れたシャトルが眼前を通り過ぎる。

 

「ミネラウスのシャトル!?」

 

「なんで、このタイミングで此処へ来るんだよ!?」

 

一瞬とはいえ、ロックを外されデュエルの射撃はアスクレピオスにもストライクにも当たらない。同時に逃げ出そうとしているシャトルを見てイザークは更に苛立ちを加速させた。

 

「貴様ら・・・!よくも邪魔を!」

 

デュエルのライフルの銃口は民間人を乗せたシャトルへと向けられていた。それを見た二人は目を見開く。

 

「まさか!?よせえええええ!!」

 

「逃げ出した腰抜け兵がああ!!」

 

「やめろぉーーーー!!それには!!」

 

アスクレピオスがシールドをデュエルへ投げつけるが後一歩のタイミングで遅かった。デュエルのライフルから発射されたビームはシャトルを貫通してしまい、投げつけたシールドは的確にデュエルのビームライフルを弾いたが二人の目の前でシャトルが爆散してしまう。

 

「あっ・・・あああああ!!」

 

「なっ・・ぁ・・っ!!!!!!」

 

 

「うわあああああああ!!!!」

 

 

「ちくしょおおおおお!!!!」

 

 

ストライクとアスクレピオスはシャトルの爆発によって吹き飛ばされ、大気圏へと落下していく。キラとマサユキは絶望と無念さを含んだ嘆きをコクピット内部で叫びながら落ちていった。




助けたようで助けられていない「傷」になる出来事でした。

フリーダム始まってますね、映画館が無いので観に行けない…。
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