地獄を見た少年は、青薔薇の女神たちに出会う。 作:クレナイ・改
「じゃあ行ってくるから。いい子にいて待ってるんだぞ。」
「ご飯は冷蔵庫にあるから、チンしてね。」
8月4日僕の誕生日の1日前。明日には12歳になる。
今日は僕の誕生日プレゼントを買いに行く予定だったのに、父さんと母さんは
、直前に父さんの携帯に着信がきて、その予定がキャンセルとなった。
よく考えればこの時から怪しかった。だが、その時の僕なんか幼すぎて考えなんて回らなかった。大人の事情と言われて納得して、僕はその急用に納得してしまった。
この後、父さんと母さんは死んだ。
その日はあまりにも平凡だった。いつも通り起きて、みんなでご飯を食べて、
笑って、いつも通りの楽しい会話をして。明日もそんな楽しくいつも通りの日常を送れると、だがそんなことはすぐに壊れてしまう。その壊れた僕の心のお話。
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「誕生日プレゼントは何がいんだ?」
父さんが聞いてきた。僕の欲しいものといえば、最近一目惚れをした新しいベースだった。あの楽器店で見た真っ黒なベース。
「もちろんあのベースがいい」
「なんだもう父さんのベースに飽きたのか?」
「もちろんこのベースは大好き。だけどこれはあくまで父さんのベースで僕のベースじゃあない」
「ふっそうか」
「それに小学6年になったら僕のベース買ってくれるって約束だったでしょ」
「そうだったな、すまんすまん」
「今日は一緒に買いに行くんだよね」
「もちろん!でも開けるのは明日だけどな。
「それはわかってる」
僕は小さい頃からベースが大好きだった、父さんがもともとベーシストで、
僕も父さんが奏でる音が大好きだ。小学生に入ってから、ずっとベースを弾いていた。ベースは父さんのを借りて、父さんが言うにはベースを持つのはせめて小学6年からと言われていた。どうしてか聞いたら父さんも最初にベースを持ち始めたのが小学6年からだったかららしい。そんな回想をしていると、父さんの携帯電話に着信がきた。
「すまん」
父さんは一言僕に断って部屋から出て行った。
『何、本当か!?』
『わかったすぐに行く』
「父さん?」
「すまん急用ができた。」
「急用って何?」
「父さんの会社のメインサーバーが…。ってこんなこと言ったってわかんないよな」
「うん」
僕は素直に頷いた。
「ならよく聞くんだ。父さんと母さんはこれから会社に行ってくるから、家でいい子にして待ってるんだぞ」
「うん」
父さんと母さんは同じ会社で働いている、僕の父さんはその会社の偉い人らしい。
「幸子、準備はでいてるか。」
「うん、クーのご飯も作ったしね!」
「OK!」
「じゃあ行ってくるから、いい子にして待ってるんだぞ」
「ご飯は冷蔵庫にあるから、チンして食べてね」
「うんわかった」
「じゃあ」
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PM19:00
「そろそろご飯食べよっと」
父さんと母さんか出発してから、数時間経った。気がつけばお腹が空いていて、
腹の虫が限界を指していた。
「お、炒飯だ」
すかさずレンジに入れて、温める。と、その時、家のチャイムがなった。
「はーい、どちら様でしょうか」
「警察です。開けてもらえますか」
「あ、はい」
「君が、千葉 黒くんだね。」
「はい、そうですけど」
父さんと母さんに何かあったのかな。
僕は一気に不安になった。
「とりあえずお父さんのところ行こうか。」
「え?あ、はい」
僕は言われるがままにパトカーに乗った。
しばらく走っていると、何やら火事みたいな煙が上がっていた。
まぁ関係ない、いや、関係ないはずだと思った
その時助手席にいる警婦さんと警官さんの話が聞こえた。
「先輩、この子は…」
「今は聞くな」
「はい、わかりました。」
そして、ついたのが病院だった。
そこは地獄だった。火傷した人、足や腕が無い人などたくさんいた。
「なに、これ」
「先輩!やっぱりやめましょう!」
「言わなきゃ駄目だろう。なるべく本人から言った方がいい」
「くっ」
「さあこっちだ」
そしてある部屋についた。そこには左腕がない父さんがいた。
「とう…さん?」
「おう黒数時間ぶりだな」
「なに、なんで、こんなどうして!」
「いいか、よく聞けお前は俺たちの希望だ。俺と、もういない母さんのな」
「なんで急にそんなこと」
「だから、お前はしっかりとした人間になれよ!」
僕はもう父さんの目が見えてないことに気がついた。だって
近くにいるのに目を合わせられてないから。だから僕は父さんの右腕をしっかり握って、「わかってる」と返事をした。
「俺のベースはお前にやろう俺からの最期のプレゼントだ」
「そして、これをお前に渡そう。もうない物だがな。」
そう言った父さんは僕に銀色の四角いものを渡してきた。
「色んな事で困ったことがあったら、
「うん、わかった。」
「じゃあ、あとは頼んだぞ・・・。」
父さんの息が止まった。
その日始めて大きな声で泣いた。
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父さんの会社のテロ事件から一週間、僕はある女性との待ち合わせをしていた。
デートするわけじゃない。白という女性に合うためだ。
家の近くのスーパー前での約束なのだが、未だに来ない。待ち合わせ時間の30分は過ぎている。
「やっぱり会社があんなことになったんだもん。忙しすぎてくる余裕ないよな。」
「ごめんなさい!!」
そういった瞬間一つの謝罪と一人の女性がこちらに走ってきた。
「あなたが千葉社長の息子、黒君ですね!」
「はい、僕が黒です。」
「私は白。千葉 白」
「白さん......。」
「私は、雄二さんの.......。あなたのお父さんの秘書でした。」
「そ、そうなんですか。」
「あ!あの!1つ質問いいですか?」
「なんなりと。」
「どうして、僕らと同じ苗字なんですか?」
「私は、親に捨てられたところを、あなたのお爺さん...。千葉 雄三さんが拾ってくださいました。」
「私のことはいいのです。それよりあなたのことなのですけど。」
白さんは一息入れて、こう言った。
「あなたには親戚の家に預かってもらいます。」
「え、普通白さんが引き取ってくれるんじゃないんですか?」
「そうしたいのはやまやまなのですけど、私も自分のことで手がいっぱいで」
「そこで事情を聴いたあなたのお母さんの弟さんが黒君を引き取ってくれるって」
「そっか.....。」
納得をせざるを得ない状況なのだ。小学生6年生でもそこら辺はわかる。だが、ひとつの疑問が頭の中に浮かんだ。
「あの、家はどうなりますか?」
「あの家は一旦私が預かります。君のお父さんからそう言われました。基本的な財産相続はあなたなのですが、固定資産税はあなたに払えますか?」
素直に首を振る。そんなのわからないから、大人に任せろって父さんも言ってたし。
「まぁでも困ったら、いつでも帰ってきてください。私はここにいますから。」
「わかりました。」
あ、そうだあの銀色の箱を渡さなきゃ。
「あの、白さん父さんからこのケース?箱?を預かっていたんですけど」
俺は白さんに銀色の何かを渡した。そうすると白さんも不思議そうにそれを見つめた。
「これは、SSDですかね?」
「パソコンに取り付けるパーツです。」
「僕にはできそうにないので、頼んでも大丈夫ですか?」
「はい、わかりました。」
「では、さっそくお母さんの弟さんの所に行きましょう。荷物をまとめてください。」
「はい。」
僕は、ベース、ベーススタンドその他必要な衣類などをまとめた。
「ここの家とはしばらくお別れか。」
少し寂しい気持ちになるがそんな事気にしている暇なんてない。
「もう大丈夫です。行きましょう。」
僕は、青いスポーツカーに荷物を積み、助手席に乗り込んだ。
これからどこに向かうのだろうと不安と期待に心を膨らます。
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車で30分移動し、着いたのは大きな駅近くの駐車場だった。
「せっかくですし。街や、商店街に行ってみませんか?」
「いいですね。行きましょう。」
白さんの提案に賛同する。少し気になっていたし。
駅から少し歩いて、商店街に出る。近くにショッピングモールもあるのにこの商店街は明るく、繁盛していた。
「精肉店に喫茶店にパン屋さんに.....色々ありますね。」
「そうですねそれに、ここの人達は皆笑顔だ。」
商店街を後にした僕らは、目的地である引き取り先に車で向かう。
着いたのは、一軒家が立ち並ぶ住宅街だった。
「ここです。」
白さんはインターホンを鳴らし、少し待つ。
その時既に空は綺麗な夕焼け空だった。
「はーいどちら様で....。」
「こんにちは。千葉白です。」
「ああ!白さんね!どうぞどうぞ!入って!」
「失礼します。」
「お邪魔します。」
見渡す限り、綺麗な家だった。僕はこれからこの家に住まわせて頂くのかとまだ実感が持てない。
僕達はリビングに案内され、椅子に座らせられる。
「お父さん?白さん達来たよ?」
「お、今行くよー」
パタパタと降りてきたのはどこかで見た顔だった。
「お、くーくん。葬式ぶりだな。」
そうだ。思い出したこの間の葬式の時、いたおじさんだ。
「くーくん.....姉さんと義兄さんは......その.......」
「大丈夫です。ちゃんとわかっています。」
「そっか....。君はもう大人だな。」
「ありがとうございます。」
「君もこれから大変だろうからこの家で預かることにした。」
おじさんは一息置いてしっかりとした眼差しでこちらを見る。
「いいかい?」
「はい。」
「そっか...。本当にいいんですね。白さん」
「ええ、私よりも貴方の方がこの子は.....。」
白さんは僕の頭を撫でる。その手は本当に綺麗で、そして暖かい。
「なら、これからは僕らもこの子の両親だな!」
「改めてよろしく!黒!」
僕はおじさんと握手しながら少し呆然としてしまった。
「....。さて母さん。市役所に行こう。」
「あ、こちらが書類です。」
白さんがクリアファイルを出し、新しい父さんに渡す。
「ありがとうございます。白さん。」
「では、この子の荷物などは.....?」
「玄関に置いてくれれば大丈夫です。」
新しい母さんが答える。
「わかりました。」
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しばらくして、僕の荷物が運び終わった。
「ここが新しい部屋か.......。」
僕は新しい部屋から夕焼け空を見つめる。もう日は落ちる所だった。
その時、ドアがノックされる。
「どうぞ。」
すると、父さんが入ってくる。その後ろには僕よりも大きい子がたっていた。
「ほら、自己紹介しな!」
その女の子は僕の前に立ち、一礼をして、こう言った。
「今井リサです。よ、よろしく!」
いかがでしたか?納得いくまで書いていたらここまでになりました。続きます。