地獄を見た少年は、青薔薇の女神たちに出会う。 作:クレナイ・改
生活編どうぞ
気が付いたら、真っ暗な空間にいた。いくら見渡しても真っ暗なままで怖くなる。
しばらく歩いていると、スポットライトがある人物に当たる。
「父さん!母さん!」
その二人を呼ぶ、こっちに来てほしいと。
またいつものように、頭を撫でて、またおいしいご飯を食べて、いつもの様に
「また!!同じように!!」
叫ぶ、走る、それでも、追いつかない、追いつけない。
「どうして!どうしてなんだよ!!」
父さんたちが離れていく。どんどん見えなくなっていくその背中を必死に追いかけていく。
だがその背中はいつしかなくなってしまう。
「ちくしょおおおおおおおおぉぉ」
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「はぁはぁ・・・・・。またこの夢。」
部屋が暗い。という事は、まだ夜中か・・・・・。
とりあえず、水を飲もう。キッチンに向かうため、ドアを開けた先には今井家が揃っていた。
「いったいどうした!?すごいうなされてたぞ!」
「そうだよ!隣の部屋にいた私でも聞こえたほどに!」
「リサから聞いたときは焦ったわよ?」
父さん、リサ姉さん、母さんの順番で質問攻めに遭う。
「ごめんなさい、すごく嫌な夢を見てしまって・・・。」
「そっか、無理もないな・・・。すまないよく考えずに・・・。」
「いえ、お心遣いありがとうございます。」
「じゃあ父さんたちは寝るから、ゆっくり休めよ。」
「はい、夜更けにごめんなさい。」
「気にするな、本当にきつかったら遠慮せずに言うんだぞ」
「はい、ありがとうございます。では、おやすみなさい。」
僕はタオルを持ち、洗面台に向かう、真っ暗な廊下は先に見た夢を彷彿させる。
もしかしたら電気をつけたら、父さんと母さんがいるような気がして.....。
そんなことは無い、ありもしない希望を振り払う。
「顔洗って水飲んで・・・・。」
これからの事をぶつくさ言いながら考える。時刻は夜中の2時。
まだ寝れるが、5時間寝たのでもういいかなと思ってしまう。
会社の人たちや、ビルの瓦礫を片付ける人たちも、朝早くから頑張っているというのに社長の一人息子は、秘書にすべてを任して新しい生活を謳歌しているなんて、自分が嫌になる。
お前は何もできない。
だって何も知らない。
言い訳して逃げるのか?
違う、子供が出る幕じゃない。
やっぱり逃げてるじゃないか。
「しかたないよ」
綺麗な声が聞こえる。
僕はすぐ後ろを振り返り、水の入ったコップを置く。
「リサ姉さん」
「眠れないの?」
「ええ、眠るのが怖いというか、なんというか、寝てる場合じゃないと、言う感じです。」
「そっか・・・・。」
「リサ姉さんは?」
「私もそんな感じかな。」
「それって?」
話が長くなりそうなので、電気ケトルでお湯を沸かそうと立ち上がる、だが肩に手をそっと置かれ、椅子に座らせられる。
「お姉さんに任せなさい!」
「すみません。」
「カフェオレでいいよね?」
「はい。お願いします。」
「あのさぁ?一応姉弟なんだから敬語なしでいいよ?」
「あ、うん・・・。」
「そうそう。ムズムズするんだよね~敬語ってのは☆」
「わかりまs・・・。わかった」
「はい、おまたせ。」
「ありがとう」
「私もさ、ついこないだ、友達のお父さんの事でいろいろあって」
僕は話を黙って聞く。
「その子も元気をなくしちゃったんだ。」
「その子のお父さんはバンドを組んでいて、その子も私もそのバンドが大好きだった」
僕の父さんも若いころ、バンドを組んでいたらしい。不意にそのことを思い出す。
「そうなんだ。姉さんもバンドが好きなんだね。」
「うん。でもね去年のイベントでそのバンドは、審査から落ちてしまったの。」
「どうして?」
「確かに人気はあった、でも、審査員の趣味に合わなかったのか、わからないけど、明らかに目の敵にされたみたいで」
「そのショックでバンドが解散しちゃったってこと?」
「まさにそう。」
「そうなんだ。」
「その子も昔はお父さんの影響で楽しく歌ってたんだ。」
「楽しく・・・。か」
「そう、とても楽しそうだった、でもその楽しそうな歌声は、もうなくて、誰かに強く訴えるような、強い歌声になってしまった」
「そう、なんだ」
「うん、黒もさ、両親のことがあったわけじゃん?だから、今度こそ救いたい。」
「え?」
僕は耳を疑った、急に変な子供が家に来て、てっきり煙たがれるかとずっと思ってた。
気が付いたら、後ろから抱きしめられていて僕は、何が何だか分からなくなっていた。
「辛いよね、苦しいよね。」
姉さんは優しく声を掛ける。それは母さんを彷彿とさせるような声だった。
「もう、大丈夫だから」
「うん....。うん」
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「泣き疲れちゃったか.....。」
私は、大切な弟を抱き抱え、部屋に連れていく。
まだこんなにも小さいのに辛い事を経験してしまい、この子は心も生活も壊れてしまった。
「絶対.....。絶対に幸せにするからね。友希那も黒も....。」
そう、諦めたらそこで全てが終わるから.....。
また次回で