ドールズ・フロント・オペレーション(仮) 作:ショゴス指揮官
震える指でタブレットを操作する。
敵の位置、戦力、編成を確認。
『彼女達』が可能な限り傷付かない様に頭を使う。
相性、戦力差、地形、残りの弾薬と配給、即ちレーションの補給タイミングの調整。
敵増援の元になる飛行場のLZを確保させない様に、部隊配置を変更して行く。
1つ目は此処、2つ目は其処、3つ目は此方で、4つ目は彼方と。
この基地に来てもう半年が経った。
シャツの胸ポケットのスマートフォンに片手で触れる。
じっとりと汗ばんだシャツの感触が不快ではあるが、『彼女達』の帰還までは着替える気になれなかった。
何より、今着替えたとしても直ぐに冷や汗で元通りであるだろうし。
何も知らなければ『可愛らしいと感じる』デフォルメキャラクターが、
画面の中を駆け回っているのを見ながら、何度『もう止めたい』と思った事か。
だが、それは。
それだけは俺と、『彼女達』の為にも絶対に止めてはいけない操作なのだ。
俺が間違えたり、躊躇ったりすれば『彼女達』が死に、
その後はどうしようが身を守る戦力を失った自分もそう間を空けずに此処で死ぬ事になる。
『上司』ならこんな時、如何するだろうか。
『彼女達』には代替品が存在するという事を免罪符にして、遅滞戦闘を命令。
その稼ぎ出された僅かな時間で貴重な機密や人的資源の撤収と処分を行う、という所まで想像し、効率性の産物である不愉快さに吐き気すら覚える。
少なくとも半年前より以前なら躊躇わなかった部隊の移動指示すら、今の自分には難しかった。
戦力分析が間違って居たら、少し多目に弾薬を使い過ぎて居たら。
敵の構成がドローンで確認したモノと変わっていれば、移動時間が遅ければ。
たら、ればの可能性を考えながら、万が一の芽を一つ一つ潰して行く。
ここ数ヶ月、真実を知ってから悪夢を見ない夜は無い。
眠りが如何しても浅くなり、同僚から心配される日々。
睡眠薬を飲んで倒れる様に眠れたとしても、直ぐに悪夢を見て飛び起きてしまう。
現在、襲撃の発生から52分が経過。
防衛線は爆発音や発砲音と共に此方に後退しながらも拠点防衛戦を継続中。
遠距離通信は途絶し、残りの弾薬とレーションの貯蔵量も底が見え始めた。
そして何よりも最悪なのは、日が暮れ始めている事だ。
『彼女達』を入れ替わりで帰還させ、手早く夜戦用装備に換装させなければならない。
臆病な自分の所為で『彼女達』は夜の闇の中での戦闘経験に特に不慣れだ。
未だか未だかと後方幕僚からの救援部隊来援の報せを待っては居るが、この大規模侵攻だ。
本部も混乱していても可笑しくは無かった。
本部からの救援は未だ、来ない。
プロローグにしても短い?
やっぱり短いよネ!(知ってた)
ボロを出さない様に削ったらこんなに短くなっていました。
でも内容を可能な限り薄めず表現だけ増やすのは至難の技なのぢゃ……
ソレっぽさが出せているかも不安だけれど、取り敢えず今後も努力はさせて頂きます。