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「うぅ、ここは‥‥‥?」
一夏が目覚めたのは、知らない天井の部屋だった。いったい、何故こんなところにと頭を抱えていると、ドアが開き、メイド服の女性が入ってきた。
「おや、お目覚めになりましたか。しかし、検査すれば、水分不足と疲労とは。倒れていたのでビックリしましたよ。」
「え、あ、はい‥‥‥」
誰だこの人。一夏は、そう言うしかなかった。
「今から、主人を呼んできます。」
そう言うと、一礼をし、部屋から出ていった。
(何でこんなことになったんだ‥‥‥?)
正直、訳が分からない。何故こうなった?一夏には、何も分からなかった。少しすると、またドアが開き、今度は、白髪の優しそうな雰囲気を纏う男性が入ってきた。
「あぁ、起きたかい?よかった、心配したんだよ」
「あ、はい、起きました‥‥‥」
「そうか、体は大丈夫かい?」
誰だこの人。本当に誰だ?
「あぁ、すまない。私は、藤堂久義(とうどうひさよし)だ。君は?」
「‥‥‥織斑、一夏‥‥‥」
それを聞いた藤堂は、驚いた顔をする。
「‥‥‥嘘はついていないんだね?」
「‥‥‥何ですか、俺が嘘をついていると?」
「そういうのではない。ふむ、これを見てほしい」
いったい何を。そう思って見た一夏は、絶句した。何故なら、自分と全く同じ顔で、同じ名前の人物が、自分に代わって帰ってきたと取り上げられていたからだ。
「これで、何故私が嘘をついていないか聞いたか、分かったかな?」
「何、で‥‥‥?一夏は、俺なのに‥‥‥?」
「分からないが、恐らく、孤児か誰かが君を騙って、織斑家に入ろうとしたのかな?」
「なんでだよ‥‥‥おれは、おれはぁ‥‥‥!」
そう言って、一夏は泣き出してしまう。自分と違う奴が、自分に代わって帰ってきたと取り上げられる。それは、自分の存在を否定されたようで、千冬の件でダメージを受けたこともあり、一夏の心を叩きのめした。
「‥‥‥」
藤堂は、何も言わず、一夏が泣き止むのを待った。それから、数分後、一夏は泣き止んだ。その代わり、頭に浮かんだのはこれからどうしようという不安だった。自分の代わりがいるということは、家にはもう帰れない。
「どうしよう‥‥‥」
「もしかして、行く宛がないのかい?」
それに頷く一夏、すると、藤堂はある提案をした。
「ふむ、一夏君、どうだね?私の夢に協力してくれないか?」
「協力?」
「あぁ、協力だ、協力してくれたら、戸籍と住むところは用意しよう、どうだね?」
「‥‥‥やります」
その答えに、藤堂は満足げに頷くのであった。
終わりです。