【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】   作:天城黒猫

14 / 28
不意打ち気味の0時投稿。
この小説は作者の趣味を全開に書かれています(今更の注意)
つまり、やりたいことはとことんやるということですとも!


第14話

 コンテナの上へと乗ったバーソロミューは、地面に立っているガレスへと目掛けて銃弾を数発放った。

 しかし、ガレスは己へと向かってくる弾丸を恐れる様子もなく、その盾で真正面から弾丸を弾くと、バーソロミューが立っているコンテナへと一気に跳躍し、その槍を叩き付けた。

 

 バーソロミューはコンテナから降りることによってガレスの槍を回避し、少し前まで彼が立っていたコンテナはまるで巨大な鉄球をぶつけられたかのように、轟音とともに変形していた。……彼女の槍はまさしく、巨大な鉄球を落とすのと同等の威力を持っており、鉄製のコンテナをいともたやすく変形させるその攻撃をバーソロミューがその身に受け止めれば、彼の肉体は粉々に砕け散るだろう。

 

「これは何とも恐ろしい槍ですね」

 

 とバーソロミューは眉を潜めて言った。

 

「逃がしませんよ!」

 

 ガレスはバーソロミューの後を追い、槍を振るった。

 バーソロミューは己の元へと向かってくるガレスに、弾丸を次々と放つが彼女の盾と鎧の前には通じることはなく、弾かれるのみだった。彼は銃からカトラスへと持ち替え、ガレスの槍を迎え撃つことを選択した。

 槍の切っ先とカトラスの刀身が接触すると、閃光のごとき火花が発生し、金属と金属がぶつかり、こすれ合う耳障りな音がこの場にいる者達の鼓膜を震わせた。

 

 槍とカトラスとのぶつかり合いは一度のみにとどまらず、何度もぶつかり合った。

 常人の目では到底追いかけることのできない速度で武器が振るわれる度に、砂埃が巻き上がり、その余波がコンクリートを砕き、二つの武器の重奏が奏でられた。

 

 ……傍目から見れば、バーソロミューとガレスとの二人はほとんど互角のように、武器を切り結びあっているが、実のところはそうではない。

 武器が交差するたびに、バーソロミューは一歩ずつ後退し、逆にガレスは一歩ずつ前進しているのだ。そしてよくみれば、バーソロミューは自分から攻めることは無く、ガレスの槍の軌道を別方向へと逸らすだけで精一杯といった様子だった。

 

 それも仕方のないことだろう。ガレスは円卓の騎士として、その武勇によって歴史に刻まれ、英霊となったのだ。彼女は騎士として無数の可能性を秘めており、いずれは円卓で最も優れた騎士になるとまで言われているほどの実力を秘めているのだ。

 その実力はまさしく一騎当千という言葉が相応しく、ありとあらゆる難敵を彼女はその槍と盾と鎧と技とで打ち倒してきたのだ。

 

 そしてもう一方のバーソロミューは、海賊としては確かに非常に優れた人物といえよう。しかし、彼は直接的な戦いには不慣れであり、どちらかというと荒くれものの海賊たちをまとめる、指揮官としての能力が優れているのだ。

 つまり、このような武器と武器とを直接交わし合う戦いにおいて、不利となるのはバーソロミューであった。バーソロミューが、今の今まで彼女の攻撃を捌き続けていたことを称賛するべきであろう。

 

「ぐっ……!」

 

 バーソロミューは思わず歯噛みをした。

 ガレスの激しい攻撃をこうしてカトラスで受け止め、別の方向へと受け流す──この行為を始めてから、実際の時間は数分と経過していない。しかし、バーソロミューにはすでに何十分も経過したかのように思えた。

 彼女の攻撃を受け止める度に徐々にカトラスを握る手が、その凄まじい衝撃によって痺れ始めており、そしてとうとうカトラスは、ガレスの槍の一撃を受けてバーソロミューの手を離れ、地面を転がった。

 

「貰ったぁーッ!」

 

 ガレスはそれを好機とし、バーソロミューに最大の一撃を叩き付けようとした。

 しかしそれが実行に移されることは無かった。なぜならば、突如発生した轟音と共に、ガレスの体は何かに叩きつけられ、コンテナのほうへと吹き飛んだからだ。

 

 ガレスの体が叩きつけられたコンテナはひしゃげていた。バーソロミューは一息吐くと、不敵に笑いながら言った。

 

「私の攻撃手段はカトラスとマスケットだけではありませんよ。大砲も用意しているので、ご注意を」

 

 彼の背後には、二門の大砲が置かれていた。それは、彼の船に搭載されている大砲であり、この砲撃によってガレスは吹き飛ばされたのだった。

 

「なるほど、ご忠告痛み入ります!」

 

 ガレスは立ち上がり、砂煙を槍の切っ先で切り払ってみせた。その鎧と肉体に傷がついた様子はなく、全くもって無事といった調子だった。

 それを見たバーソロミューはどこか関心したように、嘆息してみせた。

 

「いやはや、無傷とはね。全くもって羨ましい限りですよ。砲弾を喰らっても体が弾けないほどの頑丈さとは。いや、切実に羨ましいですね。貴女は生前からそのように頑丈だったのですか?」

 

「さあ、どうでしょうか。大抵の戦いには勝ってきましたが」

 

 ガレスは不敵に微笑んでみせた。

 

「それはそれは、逞しいですね。余程高名な騎士と見える。一体どの時代のどこの騎士なのやら。どうです? 騎士ならばそれらしく名乗るつもりはありませんか? 是非とも貴女の名前を聞きたいものですね」

 

「そうですね。これが騎士同士の、正式な決闘ならばそうするべきなのでしょうが、これは聖杯戦争。真名を名乗るつもりはありません。マスターからも名乗ることは禁止されていますからね。……最も、私のみが貴方の真名を知っているというのは、些かフェアではありませんがね。バーソロミュー・ロバーツ」

 

 ガレスはチラリとケイネスへと目線を送った。それは彼に己の真名を公開しても良いかどうかという意味合いをもつ問いかけであった。最も、彼女は己が真名を名乗ることは許されないと思っていたし、実際にその通りだった。

 ケイネスは首を横に振り、バーソロミューとウェイバーを見下すように言った。

 

「ランサーよ、真名を名乗ることは許さん。貴様からすれば、そのような海賊は貴様からしたら格下であろう。さっさと叩き潰してしまえ」

 

「──とのことです。申し訳ありませんが、私の真名は明かせません」

 

「そうですか。それは仕方がありませんね。では、再開といきましょうか!」

 

 バーソロミューは己の背後にある大砲を発射した。二発の砲弾がガレスへと目掛けて放たれた。

 ガレスは一発目の砲弾を槍で粉々に破壊し、もう一発の弾丸は盾で地面へとねじ伏せた。彼女はバーソロミューを睨み、しかし不敵に笑ってみせた。

 

「そうですね。では、次はこちらの番です!」

 

 ガレスは槍をコンテナへと突き刺し、振るうことによってコンテナをバーソロミュー目掛けて投擲してみせた。この攻撃にバーソロミューは驚いたが、その身を屈めることによって空中を移動するコンテナを回避してみせた。

 

 コンテナは巨大な水しぶきを発生させながら海中へと沈んだ。

 巻き上げられた水しぶきは、瞬間的な豪雨となって港へと降り注いだ。一瞬の雨によって視界が遮られ、雨が止んだときバーソロミューはガレスの姿を見失っていた。

 

「どこに──」

 

「ライダー、上だッ!」

 

 ウェイバーの声を耳にしたバーソロミューは、咄嗟にその場から飛び退いた。その瞬間、先ほどまでバーソロミューが立っていた場所に、空中に跳躍していたガレスの槍による一撃が降り注いだ。

 この一撃は非常に凄まじいものであり、コンクリートは粉々に砕け、その下にあった地面も抉れ、その衝撃があたり一面の空気を震わせた。砕かれたコンクリート片や地面の砂や小石が巻き上げられ、辺り一面は砂埃に覆われることとなった。

 

「ライダーッ!」

 

 バーソロミューの姿が見えなくなったことにより、ウェイバーは思わず叫んだ。

 彼は砂埃の中から、こちらへと()()()()()()()ウェイバーを見ると、安堵を与える意味で軽く微笑んでみせた。

 

「問題ありません……ッ」

 

 しかし、バーソロミューの微笑みは崩れ、彼はカトラスを手に持つと、駆け寄ってくるウェイバーへと目掛けて振るった。

 それとほぼ同時に、ウェイバーは槍による鋭い一閃をバーソロミューへと振るった。

 

「──良く気が付きましたね」

 

 とウェイバー、否、ウェイバーの姿に変装したガレスは関心したように言った。

 彼女は生前ライオネットから貰った変身の指輪により、その姿を様々な人物へと変化させることができるのである。これにより、彼女は砂埃に紛れてウェイバーの姿へと変身し、バーソロミューの油断を誘ったのであった。

 

「声の方向は同じでしたが、微妙に位置がずれていましたからね……」

 

 とバーソロミューは苦し気な呻き声を上げながら答えた。

 

「今の一撃で仕留めるつもりでしたが、成程。そう上手くはいかないようですね」

 

「よく言いますね──私の左手と顔に傷を付けて、まだ満足できないのですか」

 

 バーソロミューは独りごちた。ガレスの不意打ちにより、彼の左手は切断され、その顔には真横に一筋の傷が出来上がっており、そこから血を流していた。

 彼がカトラスを振るい、ガレスの槍の軌道を変化させなければ、今頃は首と胴体が泣き別れすることとなっていただろう。それほどに、この不意打ちは恐ろしいものだった。

 

「ライダー! お、お前。手が……! それに顔も……!」

 

 砂埃が完全に晴れると、ウェイバーは傷ついたバーソロミューの姿に仰天し、思わず叫んだ。

 バーソロミューは困ったようにため息を吐いた。

 

「いやはや、これは困りましたね。海賊に傷は付き物とはいえ、顔に傷がついては私のハンサムフェイスが崩れてしまいますね……いや、逆に傷のある男も魅力的ですかね? ふふふ」

 

「冗談言っている場合かよ! 大丈夫か、オマエ!」

 

「はははは、問題ありませんとも。と言いたいところですが、少し困りましたね。──なので、ここは一つ宝具を使用しましょう」

 

「え、ラ、ライダーアァァ! 何を……!」

 

 バーソロミューはウェイバーを右手で抱きかかえると、海へと跳躍した。突然の彼の行為に、ウェイバーは思わず叫んだ。

 

「──させません!」

 

 とガレスは宝具を発動させまいと、バーソロミューへと向かって駆け出した。しかし、数歩ばかり前に進んだところで、彼女に数発の砲弾が突如降りかかった。ガレスにとってその砲弾は防御さえ行えば何ら脅威ではなかったが、地面へと着弾した砲弾が砂埃を巻き上げ、彼女の視界を塞いだ。視界が見えない最中で降り注ぐ砲弾がガレスの足を止めることとなった。

 

「では──お披露目といきましょうか」

 

 砂埃が完全に消え去り、露わとなった目の前の光景にガレスは最大の警戒を見せた。

 

 ──かつて海を自由自在に駆け回り、思いのままに略奪を繰り返し、財宝を手に笑い、酒を片手に踊り、市民を震え上がらせた海賊は無数に存在した。

 例えばフランシス・ドレイク。例えばエドワード・ティーチ。例えばジョン・ラカム。例えばウィリアム・キッド。……名だたる海賊は多数存在する。しかし、その中で最も多くの船と部下を率いた海賊は史上ただ一人のみである。

 即ち、その海賊こそがバーソロミュー・ロバーツに他ならない! 

 

 大航海時代最後にして、最大の海賊団を率いた海賊──それこそがバーソロミュー・ロバーツなのだ。

 

 さあ、刮目するが良い! これこそがバーソロミューの宝具、合計で20をも超える海賊船によって構成された大船団──『高貴なる海賊準男爵の咆吼(ブラック・ダーティ・バーティ・ハウリング)』である! 

 

 海の上にはバーソロミューの旗艦、ロイヤル・フォーチェン号を中心とした大小様々な海賊船が並んでおり、それら全てが彼の部下であり、彼の宝具なのだ。

 

「これが……ライダーの宝具……」

 

 バーソロミューの船の上で、ウェイバーは周囲を浮かぶ船を見回した。彼はバーソロミューの宝具を目のあたりにし、これだけの数の船を率い、指揮をした彼のカリスマにただ圧倒されるしかなかった。

 

「大砲に砲弾を込めなさい。マスケットを構えなさい。──バーソロミュー海賊団はこれより、海賊を執行する!」

 

 バーソロミューの合図により、今か今かとそれぞれ船の上で、銃の引き金に指をかけ、大砲の導火線に火を点けるための松明を手にしていた船員たちは、歓喜の叫びを思うが儘に上げ、一斉に銃の引き金を引き、大砲の導火線に火を点け、砲弾を放った。

 

 20もの船から全く同時に、全く同じ場所を狙って放たれた無数の弾丸は、閃光となってガレスの元へと迫った。

 

「なんと……! 恐るべき数の船ですね。ですが、それでも私は突き進むのみ!」

 

 ガレスはその閃光を前に、勇気を振り絞り立ち向かう様を見せた。

 

 

 

 冬木ハイアットホテルのスイートルームに入ってみるとしよう。そこではソラウが一人部屋の中で過ごしていた。

 彼女はこの聖杯戦争の間、安全の観点から外に出ることは許されていなかったし、彼女自身も危険性は理解していたから、このホテルの部屋の中に閉じこもっていることを選択した。

 

 とはいえども、一日中ホテルの部屋の中で過ごすのは流石に退屈を覚えるのは当然のことだった。ソラウはベッドに腰をかけながら、ぼうっと天井を見上げていた。

 

 ……ソラウやケイネスを狙い、この部屋に侵入するのにはケイネスが用意した結界や悪霊などによって構成された、凶悪であり強固な守りを突破しなければならなかったし、侵入者がいれば警報装置が作動し、即座にケイネスやソラウの元へと知らされるようになっていた。

 故に、ケイネスはソラウの身に何かがあれば、令呪を使用してガレスをソラウの元へと移動させることも考えていたし、己もすぐに駆け付けることができるようにしていた。

 

 しかし、このソラウが過ごすスイートルームに、侵入者が現れた。

 それに気が付いたソラウは身構え、叫んだ。

 

「誰!? ここに来るにはケイネスの結界を突破しなければならないのに……!」

 

 そのソラウの言葉に答えたのは、メディアだった。

 

「あの仕掛けのことですか? アレを用意した者は、なるほど現代の魔術師にしてはかなりの実力者のようですが……どうということはありませんでした」

 

 神代の魔術師からすれば、ケイネスの仕掛けた結界を無力化するのは簡単なことだったし、凶悪な悪霊達もヘラクレスの前では、ただの羽虫のようなものだった。

 侵入者が発生した際、ケイネスやソラウに知らされる警報装置も、あっという間に無力化され、メディアたちはこうして部屋に入るまでソラウにその存在を気付かれることはなかった。

 時計塔のロードを担うケイネスの結界を、こうも容易く突破されると思っていなかったソラウは、混乱するばかりであり、ケイネスに助けを求めようとしたり、敵の前から逃げたりしようということを考えることができなかった。仕方のないことだろう。彼女はこうした戦いのような場は未経験だし、こうした非常時にどのような判断をすれば良いのかも分からなかったのだから。

 メディアは己の横に立つイアソンに問いかけた。

 

「イアソン様、こちらはこの街で一番良い宿泊施設の、一番良い部屋のようです。お気に召されたでしょうか?」

 

「フン──」

 

 イアソンはじろりと部屋を見回し、このスイートルームの評価を行った。

 彼はアインツベルンの城が崩れ、拠点を失ったため新たに過ごすべき場所をこうして品定めしていたのだった。

 

「安っぽい作りだな。見栄えだけ整えただけの張りぼてのようなものだ。現代にはこんな時化た建物しかないのか? 高さだけは評価するがな! だが、メディア。お前が調べ、見つけた場所なのだ。ここを私の寝床にするとしよう」

 

「ありがとうございます。彼女はどうしましょうか?」

 

 メディアはソラウを指して、イアソンに問いかけた。

 

「適当に眠らせておけ。どうやら聖杯戦争の関係者のようだが、マスターではないようだ。殺すほどでもないし、人質にもなるだろう」

 

「はい。いざという時は有効活用しましょう」

 

 メディアは魔術を発動し、その場から逃げようとしていたソラウをあっという間に眠りの海へと落とした。

 ソラウは己の意識が途絶える最中、ガレスとケイネスのことを思い浮かべた。

 

「ケイネス、ランサー──」

 

 ソラウはぽつりと、己の婚約者と、そのサーヴァントの名を口にした。

 

 

 





顔の傷から血をだくだく流して微笑むイケメンって良い……良くない? 好き!
ちなみに傷の向きが縦方向だったらバーソロミューは物凄い怒りそう。

次回は9月24日までに投稿します。
連休だから、今日か明日に投稿しますぜ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。