【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】   作:天城黒猫

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 作者からのクリスマスプレゼントですぜ。
 つ『早い更新』

 あ、それと感想欄でギリシャのネタバレとなるようなことは、御遠慮ください。
 していいネタバレは、バーソロミューがメカクレ好き過ぎる、とか、バーソロミューが気持ち悪い、とかそのくらいです。




第19話

 ホテルにて、ヘラクレスと戦い、見事ソラウを救出して逃げ出したその後のガレスについて、少しばかり語りたいところではあるが、ガレスがヘラクレスと戦っているのと、ほとんど同じ時間に、もう一つ別の場所でサーヴァント同士が対面をしているのだ。

 また、さらに別の場所でも注目するべき出来事がこっているため、そちらの様子も見なくてはならないだろう。

 そのため、彼女については後回しにして、ひとまずはもう一つのサーヴァントの対面が行われている方に目線を移動するとしよう。

 

 場所は柳洞寺の入り口、すなわち柳洞寺へと通じる階段を上った先にある門の前には、二人のサーヴァントが立っていた。一人は言わずもがな、この柳洞寺を根城としている陳宮である。そしてもう一人は、遠坂時臣のサーヴァント、パリスであった。

 パリスはヘラクレスと戦い、アポロン神を失った昨夜の戦いの後、行方不明となった己のマスターの居場所を知っている、と陳宮に言われ、今日そのことについて話すために、ここに誘われたのだ。

 

 シャルロット・コルデーもまた、己のマスターである言峰綺礼の行方が知れなくなっているし、パリスから陳宮が言峰の居場所も知っている、ということを伝えられているため、彼らから離れた場所、階段の横にある木の背後に、気配遮断を使用して隠れながら、パリスと陳宮との話に耳を傾けていた。

 

 彼女はここに来る前に行われたパリスとの会話を思い出していた。

 

「それで、あのキャスターさんが、僕たちのマスターがどこにいるか知っているらしいんですよ! だから、明日行って教えてもらおうと思うんです!」

 

 とパリスは己のマスターの行方が分かるかもしれない、という事実に喜びを隠せない様子で、ピョンピョンと小さく飛び跳ねながらシャルロット・コルデーへと言った。

 彼女もまた、粉々に砕け散った遠坂邸へと帰った後、己のマスターである言峰がどこにもいないし、念話も通じないということに気が付き、不安になっている最中、パリスからもたらされたその情報はまさしく朗報とでもいうべきものであった。

 

 彼女もまた、パリスと同じように行方知れずとなったマスターの居場所が分かる、ということに喜び、パリスと共にその喜びをしばらく語り合った。しかし、その最中彼女はその情報が罠ではないか、という可能性を思い浮かべ、不安げにパリスにそれを伝えた。

 

「それは喜ばしいことですね! ふふ! でも……それが罠という可能性はないのでしょうか? いえ、疑うのは失礼でしたね。私ってば何を言っているのでしょうか? せっかくマスターの場所が分かるっていうのに」

 

 シャルロット・コルデーの言葉に、パリスは眉をひそめながら答えた。成程、なぜ陳宮がマスターの居場所を知っているのか、疑問ではあるし、そういったことを考えると罠である可能性は非常に高いと言えるであろう。

 

「え、ええっ……罠、ですか? そうですねっ、確かにその可能性もあるかもしれません──うう……どうしよう。ええと、罠だったら危ないですよね。でも、行かないとマスターがどこにいるのか分からないですし……ええっと、この場合どうしたら……」

 

 といった具合に、パリスは陳宮のもとに行くべきかどうか考え続けた。しかし、答えは一向に出ず、シャルロット・コルデーもまた、どうすれば良いのか判断が付かなかった。彼らは一晩中悩み続け、お互いに意見を交換しつつ、結局のところマスターの居場所について手がかりもない状態であったから、行くしかないという結論に辿り着いた。

 しかし、罠であることも警戒しなければならないから、シャルロット・コルデーがアサシンのクラススキルである気配遮断を使用し、パリスと陳宮が対話を行う傍に潜み、パリスの身に何か危害が降りかかる時は、シャルロット・コルデーが陳宮を攻撃する、というような結論に辿り着いた。

 

 こうして、二人は警戒を巌にして陳宮と対面することとなった。もちろん、警戒こそはしているが、それでもやはり彼らの中では、マスターの居場所が分かるかもしれない、という希望と喜びの方が大きかった。

 

 こういった事情で、シャルロット・コルデーは、物陰に潜みながら彼らの様子を伺っているのだ。

 

「さて──今日は来ていただき、ありがとうございます。アーチャー」

 

 陳宮はニコリと微笑みながら言った。パリスもまた、笑顔を浮かべながら答えた。

 

「いえ! いなくなった僕のマスターが、どこにいるのか教えてくれるんですよね? マスターは今、怪我をしていて意識がないから、不安で不安で仕方がなくって……」

 

「そうですか。確かにそれは心配ですよね。私も親切心というものがありますから、お教えしましょう──さて、あまり長話をするのも何ですから、結論だけ申しましょうか。アーチャーだけではなく、アサシンもこの近く……まあ、木の裏にでも隠れているのでしょうか? 生憎、気配遮断を見破る術を持っていませんから、どこにいるのかは分かりませんが……まあ、どこかにいるのでしょうね」

 

「──ッ」

 

 シャルロット・コルデーは陳宮からの思わぬ言葉にビクリと体を震わせ、唾を飲み込んだ。パリスもまた、驚きを隠せない、といった様子で目を見開き、シャルロット・コルデーが隠れている、ということを見破られていることに慌てた。

 しかし、陳宮はそうした彼の様子を気に留めることはせず、むしろ宥めるような調子で言葉を続けた。

 

「そう警戒する必要はありませんよ。貴方たちが手を組んでいるということも私は知っているので。しかし、私と貴方たちは敵同士の関係なのですから、アサシンならば用心していつでも私を攻撃できる、あるいはアーチャー、君を連れて逃げることができる、というような場所に潜むのは当然の用心でしょうから」

 

 と陳宮はなおも驚き続けるパリスの顔を覗き込み、非常に深刻な顔をしながら言葉を続けた。

 

「本題に入りましょう。貴方たちのマスターを誰が連れ去ったのか、についてですが、答えを言うならば、昨夜貴方たちが拠点で戦った時、その場にいた人物の仕業ですとも」

 

「それって!」とパリスはハッとした顔を浮かべ、遠坂時臣と言峰綺麗を連れ去った犯人についての心当たりが浮かびあがり、その人物のことを口にした。

 

「ライダー……! ライダーが僕たちのマスターを誘拐したんですか!」

 

 陳宮は、子供をあやすような、あるいは諭すような優しい笑みを浮かべながら答えた。

 

「戦いのどさくさに紛れて、マスターを誘拐したのでしょうね。手を組んでいるアサシンはその場にはおらず、戦場はライダーの砲撃が降り注ぎ、自動車とが次々と突撃してくる、非常に激しい状況でしたからね。アーチャー、貴方がライダーと戦っている時、ライダーではない、別の人物がマスターを連れ去るのは、まあ難しくはないでしょうね」

 

「──っ」

 

 パリスとシャルロット・コルデーは、憎悪と後悔との二つの感情を浮かべ、己の歯を食いしばった。憎悪については、言わずもがなサーヴァントを狙わず、己のマスターを連れ去る、という卑怯ともいえる行いをした敵へと向けられたものである。

 そして、後悔については、なぜ敵に悠々とマスターを誘拐させてしまったのか、なぜそれを阻止することができなかったのか、といったものが理由であった。

 

 パリスと、シャルロット・コルデーの二人はマスターを連れ去った犯人がライダー陣営であると思い込み、彼らに憎悪を向けているが、この物語を読んでいる我々は遠坂時臣と言峰綺麗の二人を連れ去った真犯人は、パリス達の目の前にいる陳宮本人であることを知っている。

 そのため、まんまと陳宮の言葉に誘導され、まんまとライダー陣営が犯人だと思っている彼らのことを、阿呆とか道化とかのように見えてしまうかもしれない。

 

 しかし、こうなるのは仕方のない、あるいは当然のことなのだ。

 陳宮は三国時代という乱戦の時代を、一人の軍師として知略を使用し、のし上がった非常に狡猾であり、優秀な頭脳を持つ人物である。それに対してパリスは、よく物事を考えない、成長途中の純粋な少年だし、シャルロット・コルデーはただの町娘であるから、陳宮のような優秀な頭脳も、狡猾さも持ち合わせていない。そうした彼らは、知略、あるいは策略というカテゴリにおいて陳宮に敗北しているのだ。

 

 ここに書いた以外にも、陳宮はあれこれと目の前にいるパリスや、どこかに隠れているシャルロット・コルデーに、彼らが動揺するような言葉を投げかけ、犯人がライダーである、と思い込ませるような言葉もまた、次々と投げかけていた。

 

「──というわけで、そうですね。貴方たちの言う通り、これらの理由からライダー陣営が犯人であるという可能性はありますね。

 ああ、そわそわしていますね。マスターを救うべく、ライダーのもとに向かいたい気持ちはわかりますが、彼らの居場所は分かっているのでしょうか?」

 

「いえ……」とパリスは今にも飛び出しそうな状況だったが、陳宮の言葉に首を振り、俯いた。

 

「私は町中に使い魔を放っています──ですから、明日ライダーの居場所が分かったら、連絡をします。今日は寄り道をせず、真っすぐ帰ることを勧めますよ。その場で殺さずに連れ帰った、ということはすぐに殺す、というようなことは考えていないのでしょう。慌てる必要はありません」

 

 と陳宮は言った。現在彼は、バーソロミューがガレスと港で戦闘を行っている、ということを把握していたが、それをパリス達に知らせることは無かった。というのも、彼には一つばかり気がかりなことがあり、現在パリス達がライダーのもとに向かわれるのは、彼にとって不都合であった。

 そのため、陳宮は翌日にパリス達がライダーのもとに向かうように差し向けたのだ。

 

 こうして、パリス達はライダーを標的に定めることとなった。

 さて、彼らはこれ以上話すこともないようで、その場は解散となった。パリス達は今や瓦礫のみの状態となった遠坂邸へと帰った。

 そのころにはすでに日が暮れており、空には満点の星々が煌めいていた。

 

 パリスは瓦礫に座りながら、その星空を見上げていた。その顔はどこか浮かないものであった。

 

「そんな顔をしてどうしましたか?」

 

 とシャルロット・コルデーは、そんなパリスの顔を覗き込み、問いかけた。彼は俯いて、答えた。

 

「不安なんです。僕がライダーに勝てるのか……マスターを取り返せるのか。アポロン様ももういないですし、僕一人だと……」

 

 現在のパリスには共に召喚されたアポロンが付属していない。幼い彼は、アポロンの力を借りて戦う──アポロンを頼りとしていたのだ。しかし、その頼りとなる存在を失った今、彼はライダーに勝利することができるのか、不安になるのは、当然と言えるだろう。

 

「大丈夫ですよ」

 

「──え?」

 

 パリスはシャルロット・コルデーの言葉に、思わず顔を上げ、彼女の顔を見つめた。座っているパリスの正面に立っている彼女は、優しく微笑みながら言葉を続けた。

 

「私がいます。私がライダーを倒します。前に言いましたよね? 『手伝いをさせてください』って。だから、私に手伝わせてください。──心配する必要はないですよ。私、こう見えてもアサシンですから。ライダーを暗殺してみせましょう。

 アーチャー、いいえ。パリス。トロイア戦争を戦い抜き、アキレウスという大英雄を射貫いた凄いひと。あなたなら、必ずマスターを救い出せます。そして、あなたなら聖杯戦争を勝ち抜くことも」

 

「……」

 

 パリスはシャルロット・コルデーの表情をまじまじと見つめた。

 そして、ガバリと立ち上がると頷いた。

 

「──はい! お願いします! マスターを、助けましょう!」

 

「ええ。はい。頑張りましょう! 私にお任せください」

 

 シャルロット・コルデーは煌めく星空を背にしながら、微笑んでみせた。

 

 

 

 さて、時間を巻き戻し、もう一つの注目するべき出来事を見るとしよう。

 場所は教会、その内部──すなわち礼拝堂の様子を見るとしよう。そこには、二人の老人がおり、彼らは会話を交えていた。

 

 一人は言わずもがなこの教会の神父にして、聖杯戦争の監督役を務める言峰璃正である。そしてもう一人は、間桐臓硯であった。

 間桐臓硯が唐突に教会を訪れ、璃正がそれに対応しているという状況である。

 

「今回はどうしましたかな?」

 

 と璃正は臓硯へと尋ねた。彼は笑いながら答えた。

 

「いや何。聖杯戦争中、マスターでもない儂が外をウロウロ出歩くわけにもいかん。かといって家に籠っているのも退屈でしてな。少しばかり老人の他愛もない暇つぶしにでも付き合ってもらおうと思ってのう」

 

 そういう臓硯の様子は、これまでに見せたような恐ろしい、何かを企んでいる怪物のようなそれではなく、ただの好々爺といった調子だった。

 

「そうでしたか……それでは私が相手でよければ、付き合いましょう。しかし、貴方のお孫さんは残念でした。彼の魂が安らかに過ごせるように、祈りを唱えるぐらいしかできませんが」

 

「なあに、気にせずとも良い。魔術の世界は殺し、殺されがまかり通るからのう。後継も桜がおる故。しかし、態々雁夜めの為に祈ってくれるというのなら、奴めも喜ぶことでしょう。それに、儂などより、そちらの方が大変な状況と認識しているが。

 戦いの痕跡の隠ぺい──それに加え、御子息の行方も知れないと聞いておる故。その心労、儂には図り知れぬなあ。儂の使い魔で、町中を監視しておるが居場所は判っていない……」

 

「何と──」

 

 璃正は臓硯の言葉に驚いた素振りを見せた。

 というのも、言峰が行方不明になった、という事実は知られないように、内密に捜索を行っていたからである。しかし、臓硯が町中を監視している、と聞いて納得した様子をみせた。それと同時に、聖堂教会が聖杯戦争に、遠坂との同盟を組んでいるという形で、参加しているという事実も見破られていると考え、警戒を行った。

 

 しかし、臓硯はその璃正の警戒を見破ったかのように、笑いながら答えた。

 

「カカカ、別に儂からどうこう言うことは無いとも。そちらにも事情があるのじゃろう。何よりも、願いを叶える杯を手に入れる機会を得ることができるのだから、そのために手段を選ばないというのは当然のことであろう。それに、我ら間桐はすでに敗れておる。何かを言う権利はないとも」

 

「──そうですか」

 

 璃正はほっと溜息を吐いた。

 この臓硯の言葉は、聖堂教会が行った反則行為を見過ごすということであるからだ。この話題をこれ以上引きずる理由も無いし、璃正は話題を別の物へと切り替えた。

 

「大変といえば、外部からの不埒な輩の乱入を防いでおられる、臓硯殿と比べれば、我々などどうということはありません」

 

「なあに、儂は己の役目を全うしておるだけじゃ。それはそちらも同じであろう? 魔術の隠蔽、これは儂らには欠かせない要素じゃ。重大な役割を全うしておる──それはお互い同じだとも。どちらも重要な行為じゃ。助け、助けられじゃよ」

 

「そうですね。いや全く」

 

 璃正は臓硯の言葉に頷いた。

 臓硯はそれを見るとその場から移動し始めた。彼の足が向く先は、教会の出入り口の方であった。

 

「……さて、付き合ってもらって済まんな。長居するのも不躾というもの。儂はそろそろ帰るとしよう」

 

「ええ、そうですか。それでは貴方に幸があらんことを祈っています。また退屈なされたら、私で良ければいつでも相手になりましょう」

 

 と璃正は右腕を振り、臓硯を見送ることにし──右腕を持ち上げようとした。

 しかし、彼の右腕が持ち上げられることは無かった。その代わり、何かブツリと千切れるような音と、何かが床に落ちたような音。

 璃正は己の右腕に突如生じた違和感──痛みに気が付き、己の右腕を見下ろした。

 

 果たしてそこに膝から先にあるべき、右腕は存在しなかった。右腕は床に横たわっていた。

 彼の右肩には、一匹の鋭い歯を持つおぞましい形状をした蟲が這っており、その蟲が右腕を切り落としたのは火を見るより明らかだった。

 

「──え?」

 

 璃正はそれを見るなり、突如意識を失い、バタリと床へと倒れ伏した。この時すでに彼の命は失われていた。

 そして璃正が床に倒れ伏すなり、今までどこに隠れていたのか、物陰から無数の蟲が這い出てきて、璃正の遺体へと群がり、彼の体を貪り始めた。それは右腕もまた、同じだった。

 

 その蟲を差し向けた張本人である間桐臓硯は、璃正の最期を見ることもなく、己の右腕に新たに宿った、いくつもの赤い文様をしたそれらを、見つめた。

 

 ──それこそは、つい先ほどまで言峰璃正の右腕に宿っていた、今までの聖杯戦争に参加したマスターが残した令呪、すなわち預託令呪であった。

 

 臓硯は璃正の腕に宿る預託令呪を奪い取ってみせたのだ。これは令呪を開発した間桐臓硯だからこそできる荒業であろう。

 

 間桐臓硯は、先ほど璃正と会話をしていた時のような、好々爺然とした様子は一切見られず、その代わり怪物の如き、邪悪な、良からぬことを企んでいるときの笑みを浮かべていた。

 

「──さて、そろそろ本格的に動くとするかのう」

 

 

 





 

 地獄で会おうぜ(メリークリスマス)

 更新を速めていくっ……!

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