【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】 作:天城黒猫
コイツはこんなこと言わないって言われると、ビクッとなります。新キャラだけど、どうなんだろうなあ。
自分の中のガレスちゃんはほかの人と結構違う像持ってる感じだし……(ガレスちゃんレベル100にした人)
アインツベルン城にあるいくつもの部屋の中でも、とりわけ豪華な部屋に置かれた椅子の上で、召喚されたセイバーはふんぞり返っていた。
彼の目の前に置かれたテーブルの上には、元々はたくさんの食事が乗っていたであろう皿がいくつもあった。その大量の料理を口にしたのはただ一人である。セイバーが平らげたのだ。
アインツベルンのホムンクルスが用意した食事は、どれもセイバーの舌にそれなりに合うものであり、質と量も問題なく平時ならば傲慢、あるいは我が儘な彼も満足したであろう。
しかし、この聖杯戦争に召喚されてからというもの、セイバーは殆どの時間は不機嫌そうな表情を浮かべていた。
そのことを察したアイリスフィールは、恐る恐るとセイバーに問いかけた。
「セイバー、私の勘違いでなければ、ずいぶんと機嫌が良くないように見えるわね。一体何が気に入らないのかしら?」
「何が気に入らないのか、だって?」
セイバーはアイリスフィールの問いかけに、舌打ちして答えた。
「全てだ! そも、私は召喚される気など全くなかったんだよ! それこそ、私のみを狙って呼べるような触媒を用いてもな! 拒否するつもりだった。今回の召喚だってそうだ! 呼び出されると感じた時に、その召喚を拒否しようとした。だが、なぜかそれはできなかった。まるで何かに引っ張られるように、召喚されてしまったのだ!
ええい、よりにもよってなぜ私を召喚するのだ貴様等は!? 聞けば用いた触媒は我が船の一部だそうじゃないか。それならば、私の他にも色々居ただろう! アタランテとかな! なぜ私なのだ!」
「それは分かりません。ですが、イアソン。我々の手によって貴方が呼ばれたという事実だけは確かです。聖杯を手にするためにも、手を貸して貰いたいわ。ギリシャに存在する数々の英雄をまとめ上げ、アルゴナウタイの長として旅をした貴方の力があれば、聖杯を手にすることも不可能ではないわ」
アイリスフィールの言葉に、イアソンは椅子の上でふんぞり返り、彼女を馬鹿にしたように見下ろした。
「断る!」
「な──」
予想外の言葉に絶句するアイリスフィールに構わずに、イアソンは続けた。
「聖杯だと? 願いを叶える杯だと? ハン、馬鹿馬鹿しい。そんなモノを奪い合ってどうするんだ。戦うなどまっぴらごめんだとも!」
「望みはないの? 聖杯を手に入れれば、どのような望みでも叶えることが可能──」
「それこそ馬鹿馬鹿しい! 何でもかんでも願いを叶えるだと? 女、お前は本を読んだことはないのか? 物語を見たことは? 神話を聞いたことは? 願いだと? そんなモノ、叶いっこない! こういうのは、どうせ最後には何かしら酷いことになるのが見えているんだよ。どうせろくでもないモノだろう!」
衛宮切嗣が召喚したサーヴァントの真名はイアソン。
コルキスという海の果てにあるといわれている、黄金の羊の毛皮を持ち帰るために、多くの英雄を集めて旅立った船の船長である。
セイバーとして召喚された彼は、召喚されてから数日の間このように、聖杯戦争に参加するような意思を見せず城中に居座っては食事を要求したり、城の中を適当にぶらついたり、時折使用人のホムンクルスに対して威張ったりしていた。
アイリスフィールは、何とかイアソンを聖杯戦争に参加させようと何度も説得を試みているが、やはり結果は芳しくない。
「……聖杯の降臨は我らアインツベルンの悲願なのです」
「フン、何を言っている! 降臨? 悲願? 下らないな! ああ、下らなさ過ぎて思わず欠伸が出てしまうとも。いいか? 俺は戦うつもりはないし、聖杯戦争などというモノに興味もない。そもそもだ、人形の癖に願いを持つこと自体が烏滸がましい!」
「──キリツグ……あなたのマスターは世界の平和を望んでいます」
イアソンは、アイリスフィールの言葉を耳にするたびにいちいち鼻で笑ったり、大げさに彼女を見下したりしていた。それも仕方がないことなのだろう。
イアソンは聖杯戦争に興味はなく、そしてアイリスフィールを始めマスターである衛宮切嗣のことを見下しており、彼らの言葉を聞き届けるようなことはしなかった。これは彼の中にある王族としての傲慢さによるものであろう。
「何度も言わせるな!
なぜ今この瞬間、世界が平和ではないのか? 万能の願いを叶えるものが今までの人類史にいたか? 世界を平和にしようとしてそれを叶えたものがいたか? いいや、いないとも! そんなことは不可能だ! そんなことができるのならば、ギリシャの神々や英雄がとうに実行しているんだよ。そんなことも分からないのか?」
「──今まで誰もができなかったのならば、僕がそれをやるまでだ」
「キリツグ!」
彼らのいる部屋に、衛宮切嗣が登場した。
切嗣は、イアソンを睨みつけて言った。
「聖杯にはそれを叶える力がある。だから、力を貸せ。セイバー」
「お断りだと言ってるだろ! わからないやつらだな、お前たちは!」
切嗣は己の手の甲にある令呪をイアソンに突きつけ、威圧するような調子で言葉をつづけた。
「僕たちに手を貸さないのならば、令呪で命じることもできる。ここで自害させることもできるだろう。それか体を動かせないようにして、日本まで引っ張っていこうか? ああ、それとも死ぬよりもマシな痛みを令呪で発生させてやろうか?
忘れるな。セイバー。お前は王族だったし、アルゴー船の長だったのだろう。けれども、この場でその権力は一切通じないと思え。命令権はこっちにあるんだ。どんな手を使っても、聖杯を手に入れなくちゃあならないんだ」
「…………」
切嗣とイアソンはお互い睨みあった。
時間にしてどれほどだっただろうか、彼らの目線や殺気によって空間が凍り付き、時間の動きは静止したかのように思えた。彼らの冷たい感情に挟まれたアイリスフィールは、さながらその前身を鋭い剣でめった刺しにされたかのような錯覚を覚えた。
「……ハァ」
一つのため息があった。
それはイアソンのものだった。彼のため息により硬直は解け、空間は元通りの温度となり、静止した時間は動き出した。
イアソンは諦めたかのように──否、実際に諦めていたのだ。今彼の目の前にいる衛宮切嗣という男の意思は固く、言葉を投げかけようが、実力で制圧しようがどうこうできる類のものではないと気が付いたし、目的のためならばどのようなこともしてみる人種だと見抜いた。それ故に、イアソンはマスターに対して言った。
「クソ、死しても召喚に抵抗するべきだった! いいだろう、そのニホンだったか? 闘いの舞台に移動しようじゃないか! だが、私は何もしないぞ! 戦うのは、魔術師。お前だけだ。ああ、その女も戦うというのならば別だがな!
ああ、それとその忌まわしき令呪をこっちによこせ。あるいは放棄しろ! 強制的に前線に引っ張り出されても叶わん。言っておくがな、私は弱いぞ! それこそ、なぜセイバーで召喚されているのかも不思議なくらいにな! お前たちの結末はどうせロクなことにならないだろうよ! 呪いあれ!」
「令呪の放棄はできない。これは僕にとっての生命線だ。だが、令呪による命令はしないと約束しよう」
「……フン、どうだかな。まあいい。それと豪華な食事と部屋を用意しておけ。この私が居るのにふさわしい場所をな!」
さて、場所をドイツから日本は冬木市へと移動するとしよう。
冬木は遠坂時臣の屋敷の一室に、4人の人物が集まっていた。一人は言わずもがな、この屋敷の主である遠坂時臣である。もう一人は彼の弟子──聖杯戦争の監督役として教会に属しながらも、遠坂時臣の協力者である言峰綺礼。
そして遠坂時臣のサーヴァントであるアーチャー、パリスに、言峰綺礼のサーヴァント、アサシンのクラスをもって現界したシャルロット・コルデーである。
時臣はゆっくりと口を開いた。
「……先ほど知らせがあった。すべてのサーヴァントが召喚されたというな」
「それでは」
綺礼の言葉に、時臣は頷いた。
「そうだとも。いよいよ始まる。聖杯戦争がね。その際は、君たちにも頑張って貰うよ。アーチャーにアサシン」
「は、はいっ!」
アーチャーは己のマスターの言葉に、おずおずとしながらも、幼い少年特有の元気な声で答えた。
「未熟者ですが、アポロン様もいますし、精いっぱい頑張らせてもらいます!」
アサシンも微笑んでみせた。その笑顔は、万人を魅了するほどに美しかった。
「私も努力します! どこまでできるかは分かりませんが……」
サーヴァントたちの言葉に、時臣は頷いた。
「ああ。だが闘い自体はまだまだだろう。今は二人と共に親交を深めるなりしておいてくれたまえ。私も、綺礼と話があるからね」
彼の言葉に、パリスとシャルロットは頷いてその場から立ち去った。
残された時臣は、言峰に声をかけた。
「いやはや、全く驚いたよ。アキレウスの召喚こそは叶わなかったが、彼を殺したパリスに加え、どうやら神格は大分落ちて、そこらの使い魔のようになっているが、神霊までもが召喚されるとはね」
「全くです。いかがしましょうか?」
「私の目的は変わらない。根源への到達だ。聖杯を用いて根源へと到達する。そのためには、聖杯戦争で召喚されたすべてのサーヴァントの魔力が必要だ。だから──」
時臣の言葉を、言峰が続けて言った。
「我々が召喚したサーヴァント以外の者を脱落させ、最期に残ったサーヴァントも令呪によって自害させる」
「そうだとも、綺礼。君にも働いてもらうぞ」
「はい──」
遠坂時臣と、言峰綺礼はこの先どうやってほかのサーヴァント、そして魔術師を脱落させるか何度も協議を重ねた。
さて、次にウェイバーの様子を見るとしよう。
ウェイバーは、自分が召喚したサーヴァントの態度に、非常に不機嫌になっていた。始まりは己がサーヴァントを召喚したときだった。
彼は自分が英霊を召喚したという事実に、興奮を隠せずに絶頂へと至っていた。しかし、その快感は召喚されたサーヴァントの言葉によって、一気に冷えてしまった。
「ライダー、バーソロミュー・ロバーツ、召喚の求めに応じて参上した。……君が私のマスターということでいいのかな?」
「あ、ああっ! そうだ!」
ウェイバーは突然の問いかけに、しどろもどろになりながらも答えた。
「ぼぼぼ、ボク……いや、ワタシがお前のマスターだ!」
「そうかそうか!」
「うわぁ!?」
ウェイバーは驚きのあまりに悲鳴をあげた。ライダーが突然、両手で彼の肩を掴んだのだ。
「ふぅむ……惜しいな! どことなく長髪……メカクレの気質は感じなくもないが、ああ。それにしても惜しい!」
「な、なんの話だよ!? メカクレって何だ!? バカにしているのか!」
「おっと。これはすまない」
バーソロミューはウェイバーから手を放し、紳士らしいふるまいを見せながら言った。
「メカクレとはな、世界の宝だ。ああ、それはとても素晴らしいものだ。君にちょっと、ほんのちょっぴりだけメカクレの素質を感じたのだが、どうやら少し違うようだ。だが、安心したまえ。マスター。私はサーヴァントとして、貴方に仕えよう。海賊として、欲するものは全て手に入れてやろうではないか!」
「あ、ああっ! 当然だろう! 聖杯を手に入れるのはこのボクだ! せいぜい活躍しろよ、ライダー!」
そう啖呵を切ったウェイバーに、ライダーは頷いた。
しかし、それからというものライダーは特に闘志を見せる様子は一切なく、街中をうろついては道行く人物(特に目が隠れた人物)に声をかけたり、本屋へと赴いては目の隠れた登場人物がある本を購入したりなど、そのほかにも現代における娯楽をゆっくりと満喫していた。
今朝も、ウェイバーが暗示をかけて居候している老夫婦の朝食に、舌鼓をうったり食事後に洗い物をしたりと、老人を助ける紳士といったようなふるまいをしてみせた。
「いつになったら戦うんだよ!」
ライダーの態度に、限界が来たウェイバーは街中の道すがら、そう怒鳴った。
「お前は、メカクレだか何だか知らないけれど、遊んでばっかりじゃないか!」
「いえいえ。そんなことはありませんよ。メカクレの素晴らしさを説いてもあなたは理解できないのは残念ですが、押しつけはよくありません。あなたを私の同志にするのは諦めましょう。
戦いに関してですが、そう急ぐことはありませんよ。無策で戦っても敗北するだけです。ですから、私はまずこの戦いの舞台となるこの地の地形を把握するために、あちこちうろついているのですし、ついでにサーヴァントの気配を探っているのです」
「……しっかりやることはやっているんだな?」
「ええ。もちろんですとも。戦いに最も重要なのは、策です。策を練るには、まずはありとあらゆることを知らなければ。全て必要な行為なのです」
「メカクレ本を買ったりするのもか? 正直アレ、結構出費があるんだぞ?」
「あ、それは単純に私の趣味ですね」
「ふざけんなっ!」
ウェイバーは激昂し、ライダーを怒鳴りつけた。
それにライダーは申し訳なさそうに頬を掻きつつも、ウェイバーに尋ねた。
「そういえばマスター。貴方は何を聖杯に願うつもりですか?」
「……決まってる! ボクを馬鹿にしたやつらを見返すんだ! 先生に、時計塔の同期……この戦いに勝って、ボクを見下すやつらの認識を改めさせてやるんだ!」
「なるほど」
ライダーは笑顔で頷いた。
「評価……名誉を欲しますか。それはとてもいい。大切なことですからね」
「そうだ。ライダー、お前はどうなんだ? 何を聖杯に願うつもりなんだ?」
「そうですねえ。私の理想とするメカクレを呼び出して欲しい! とかどうですか?」
「ふざけんなっ!」
「ハハハ、まあ。ご安心を。──私は海賊です。海賊とは、欲しいもの全てを奪い取るものなのです。故に、私が欲するものは、すべて手に入れてみせましょう」
ライダーの態度は、常に紳士的だった。しかし、この時ばかりは彼の目の奥に狂気ともいえるような、暗い光が宿っていた。それにウェイバーは身震いしたが、同時にこのバーソロミュー・ロバーツという人物に確かな期待を抱いた。
「……ま、頼むぞ。ライダー」
「ええ、お任せください」
ライダー陣営がギャグテイストなのは仕方がない。
真面目にやるときは真面目にやるので大丈夫。
次は明日(8月12日)投稿します。