【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】 作:天城黒猫
もう色々忙しいので、マイペースにゆっくりやっていきまっせ。もう少しなので、どうかお付き合いください(白目)
聖杯戦争も三日目となり、今日一日だけで注目するべき出来事がいくつもあった。その出来事のほとんどが、昼間に続いていた。しかし、聖杯戦争とは本来魔術の隠匿の関係もあり、その戦闘のほとんどが夜中に行われるものであり、昼間から戦うような場合は非常に珍しいと言えるであろう。
であれば、聖杯戦争において戦闘が多く行われるであろう夜中の時間帯に生じた出来事について話すとしよう。とはいっても、サーヴァント同士の戦闘は生じないし、特筆すべき出来事はあまりないと言えるであろう。しかし、それでもこの先に生じる出来事を語ったり、聖杯戦争の関係者が、各々どのようにして夜中を過ごしていたのか、ということを説明することは必要であるから、少しばかり簡単にしてその様子を見るとしよう。
まずは一番短く説明を終えることのできる、パリスとシャルロット・コルデーとの様子について話すとしよう。
とはいっても彼らは前に説明したとおり、陳宮と話を終えた後、両者ともに翌日に、バーソロミューの元へと向かい彼と戦闘を行い、パリス達のマスターの居場所を聞き出そうと決意をして、夜を過ごしていただけである。
そのため、彼らについて語ることはほとんどないと言えるであろう。
次に衛宮切嗣ではあるが、彼についてはケイネスと戦闘を行った後、冬木の街中を駆け巡り、アイリスフィール、あるいは間桐臓硯を見つけ出そうとするべく、奮闘していた。しかし、その結果は芳しくなく、二人を見つけ出すことは叶わなかった。
切嗣は何の成果も得られず、ただただ精神と肉体を酷使するだけの夜を送るのみとなった。
さて、衛宮切嗣の次はウェイバー・ベルベット及びバーソロミューの様子を見てみるとしよう。
彼らはマッケンジー夫妻の家の一室で、夜を過ごしていた。バーソロミューは相変わらず、ゲームばかりをしており、それを見たウェイバーが呆れるといった様子であった。
「ああ、何と感動的な……!」
バーソロミューは涙を流しながら、ゲーム画面を見ながらコントローラーを操作していた。
「ボールを渡すたびに消えてゆく……メカクレの皆が消えてゆく……! 悲しい、私は悲しい……! だが、彼らとの会話を聞けば、これまでに攻略したメカクレ乙女たちのことを知っているだけに感慨深いっ! 非常に感動的ではある! 彼ら彼女らの成長、精神状態、身の上を知っているだけに、彼らのことを思えば、この展開は感動的ではありますが、それでも──嗚呼、素敵なメカクレたちが消えていくのは悲しい……!」
ウェイバーはそうしたバーソロミューの様子を呆れながら見ていた。数日間という短い間ではあるが、このバーソロミューの様子にも慣れてしまい、いちいち突っ込みを入れたりするのも馬鹿らしくなっていたので、ウェイバーとしてはマッケンジー夫妻に、大きな声を立てて迷惑を掛けたり、不審に思われたりしなければまあ良いとしていた。
「……む、これは彼を運ぶか、あるいは手当をして放置するかの二択なのですね……ふむ、非常に心苦しいですが、放置としましょう。これまでの様子をみれば、彼の目を隠している髪が、バスが爆発しないように蓋となっているのですね」
「いやどんな状況だ……」
ウェイバーはバーソロミューの言葉に思わず、小さく呟くがバーソロミューは、彼の言葉など耳に届いていないようで、ゲームを進めていった。
「ああ、これでストーリーも終わりですね……主人公とメインヒロインの成長を描く良い作品でした……それにしても、マスター」
「何だよ?」
「尊い……! このゲーム、とても好きです! 好き!」
「分かった分かった。終わったなら、さっさと寝てくれ……オマエも怪我してるだろ。ボクの魔術じゃあ、傷を塞ぐことはできても、切れた腕は生えないんだから」
「……そうですね」
バーソロミューは微笑みながら頷いた。
「今日は私の宝具を使用したのですから、マスターもお疲れでしょう。魔力もそんなに回復していないようですし、これ以上負担をかけるのも忍びない。私も霊体化しておくとしましょう」
ウェイバーは赤面した。というのも、バーソロミューが言った通り彼の宝具によって、ウェイバーは魔力を消耗しており、それは夜となった現在でも回復していないのを見破られたからだ。そして次に、彼は怒りの感情を覚えた。
「だったら最初から霊体化してろ! 何でこんな時間までゲームなんてやってるんだよ!」
「はははは、それはもちろん海賊ですから。今やりたかったのですから、仕方のないことでしょう」
とバーソロミューは笑い、ウェイバーはそれに呆れた。
「オマエ、いい加減にしろよな……昼間も突然酒を飲むし、今もゲームをずっとやり続けるとか、自由というか突飛も無さすぎるぞ」
「まあ、海賊というのはそういうものですよ。船上での規則はあれども、基本的には呑みたいときに呑み、歌いたいときは歌う。そして奪いたい時は奪う。自分のやりたいように、好き勝手に動くのが海賊というものです。ああ、思い出しますね。最初、そんなならず者たちをまとめるのは苦労したものです……皆何というか、こう、雑なんですよね」
ウェイバーは、バーソロミューの話はどうでもいいといった様子で、早く休みたいという思いが大きかった。ウェイバーはさっさと布団をかぶると、目を閉じて言った。
「そうかよ、今は休みたい時だ。だから、さっさと寝るぞ!」
それを聞いたバーソロミューは、少しばかり微笑んで了承してみせた。
「分かりました──それではお休みなさい、マスター」
バーソロミューは頷き、部屋の電気を消すと霊体化をした。ウェイバーは暗くなった部屋で、ゆっくりと微睡みの中に落ちて行った。
……そんな微睡みの中で、ウェイバーは一つの夢を見ていた。
始め、それが何かは分からなかったが、時間が経つたびに、その夢が己のサーヴァントである、バーソロミューの記憶だということが分かった。
今、ウェイバーがいるのは、木造でできた部屋の中だった。時折不規則に揺れることから、船の中、つまり海賊船の中だと辺りをつけた。
周りを見回しても、人影は見えなかったため、どこかに人がいないか、ビクビクしながらも船の中を歩き回ることにした。
「ライダー、いないのか?」
ウェイバーはしばらく船内を歩き回っていたが、どの部屋にもバーソロミューの姿は見えなかった。そしてとうとう、様子を見ていない部屋は一室のみとなった。船の窓から外を見ていると、夜のようで甲板には精々が見張りなど、必要最低限船を運用するだけの人員しかいないであろう。部屋の中には、消灯を行う前なのか、寝る準備をしている海賊の船員たちがいた。
それに、その最後の一室というのはさながら船長室といった様子だったため、ウェイバーはバーソロミューがここにいると確信した。よく見れば、その部屋の扉は僅かに開いており、ランプの灯りが廊下に漏れていた。
ウェイバーは興味を持ち、その部屋の中を外からこっそりと覗き込んだ。
「……ま、あいつのことだからメカクレ云々で、何かやってるんだろ」
部屋の中を覗き込んだ彼の目に映ったのは、椅子に座って、何やら書きものをしているバーソロミューの後ろ姿であった。バーソロミューは書きものを終えると、ため息をついて呟いた。
「ふう、この我が船の
「……」
ウェイバーはバーソロミューの台詞と、声を聞いてどこかあっけにとられたような、きょとんとした様子となった。
バーソロミューは椅子から立ち上がると、
その顔は非常に静かであったが、無表情というわけではなかった。口をきゅっと結び、眉は少しだけ垂れ下がっており、目は静かな光を灯していた。その表情が意味することは、ウェイバーにはさっぱり分からなかった。けれども、どこか無機質な様子を宿していた。
バーソロミューはコンパスの針が指している方向と、船が進んでいる向きを確認すると頷いた。
「船の航路は問題なし。さて、そろそろ消灯の時間ですね。では、船内の見回りといきましょう」
「うわっ!」
彼は船長室の扉を開き、船の通路を移動していった。
ウェイバーは扉が開いた時に、驚いてつい尻餅をついてしまった。この時彼はバーソロミューの顔を見たが、その表情はいつも彼が見せるものと同じであった。ふとバーソロミューが向かった通路を見ると、暗闇しか広がっておらず、バーソロミューはすでにその暗闇の向こうへと消えていた。
「…………」
ウェイバーはただただ唖然とし、その暗闇を見つめていた。
バーソロミューが見せた顔は、ほんの僅かなものではあったが、その僅かな表情の変化はウェイバーの心に、何かしらの打撃を与えるには十分なものであった。
さて、ウェイバーが見ている夢はここで終わることとなる。その夢が終わっても、時間はまだ深夜であるから彼が目を覚ますのは当分先となるであろう。
次に冬木ハイアットホテルのスイートルームにいる人物、すなわちイアソン達がどのように過ごしているのかを観察するため、スイートルームの中を覗き込むとしよう。
イアソンはベッドのスプリング、生地の安っぽさに文句を言いつつも、寝転びながら愚痴を漏らしていた。
「ヘラクレス、まさかお前が獲物を取り逃がすとはな。まあいい! あいつらを始末できなかったお前も悪いが、私も悪かった、お前のでかいその図体では、この建物をあまり破壊せずに戦闘するというのも難しいだろう。だが、次は確実に仕留めろ!
メディア! 防備はちゃんとできているんだろうな?」
「はい、イアソン様。つつがなく全ての作業を終えました。この建物の階層全てに細工をし終えました。この下の階層で過ごす者たちから、僅かではありますが精力を吸い取り、イアソン様やヘラクレスの魔力とするようにもしました。少しばかり体調不良となる者も居るでしょうが、誤差の範囲です」
「そうか──龍脈はどうなっている?」
「それについては、要となっている場所でなければ、龍脈から完全に魔力を供給させるのは難しいかと。申し訳ありません、イアソン様」
「いいや、問題ないとも。流石は私の妻だ! ああ、メディア、お前は優秀な魔術師だ。だが、そうだな。私は聖杯戦争に興味がないといえども、やられるのは御免だ防備は万全にしなければならない。
特にヘラクレスを戦わせるには、膨大な魔力が必要となるし、ヘラクレスの命を回復させるのにも魔力は必要だ。──メディア、私の妻よ。言いたいことはわかるね?」
イアソンの問いかけにメディアは頷いた。
「はい、イアソン様。お任せください」
「ああ、任せたとも。では、私はそろそろ寝るとしよう」
イアソンはベッドに横になり眠り始めた。
そして──彼は夢を見た。
その夢には、常に炎と血と泥と死と絶叫と慟哭と絶望とがあった。
戦場は赤い炎で燃え盛り、大地は死体で満たされ、血が流れ落ち川となっていた──それは、一人の男が歩んできた人生であった。
衛宮切嗣の足跡には、常に死が、争いが、絶望が、悲しみが付き纏っていた。そして、それらを発生させるのはいつも衛宮切嗣という一人の男であった。彼は己の肉体を道具として扱い、殺戮機械として殺すべき者達を選別し、始末してきた。
そこに彼の感情や私情が入る余地は無かった──この男は機械となり、常に死を纏い、死を生み出してきた。そして尚も歩むのだ。
なぜそのような事をするのか、それは当然理由がある。
我が理想をこの手に! ああ、しかしその理想が叶わないことは
それしか方法を知らないのだ。多数を救うのならば、残る少数を切り捨てよ。多数を生かすには、少数を殺すしかないのだ。
──衛宮切嗣という機械は、その歯車を稼働させ続けていた。しかし、その歯車は二人の存在によって容易く錆び付き、歯を壊してしまった。
言わずもがな、その歯車を狂わせたのはアイリスフィールと、イリヤスフィールという、彼の妻と子である。衛宮切嗣という人間は、この二人を失うことを何よりも恐れた。しかし、それは衛宮切嗣という
迷い──衛宮切嗣は彼女たちを、
……その答えを出さなければならなくなった時、彼が出す選択は──既に決まっている。
次はサーヴァントや、そのマスターではないものの、聖杯戦争と関わりを持つ──と言っても良いのか、少しばかり怪しいが、遠坂凛の様子を見てみるとしよう。
遠坂凛──この聖杯戦争が行われている時代にいては、小学生であり年齢に相応しい天真爛漫な様子を見せていた。
彼女は聖杯戦争の最中、その身に危険が降りかかってはいけないと、案じた時臣によって彼女の母親である遠坂葵の実家へと避難をしていた。とはいっても、その生活には大きな変化はなかった。精々があまり外をうろついたり、人気のない所に行かないように、と母親から注意されているぐらいであった。
小学校に通いつつ、友人と遊び、魔術について学び、時折聖杯戦争に参加している父親の身を案じる──遠坂時臣が行方不明となったという情報は、彼女たちのもとに送られるようなことはなかった──といったぐらいの生活を送っていた。
「凛、そろそろ寝なさい」
「はーい。お母さま」
凛は、母親である葵の言葉に頷くと、寝室へと向かい布団の中に潜り込んだ。
寝る直前に、彼女は一度父親の心配をするも、優れた魔術師であるのだから大丈夫と頷き、次に今日学校と友人と交わした約束を思い出した。
(明日はコトネと遊ぶ約束。公園にいって、それから……──)
凛はコトネと明日、どのようなことをして過ごそうか、考えているうちに眠りに落ちた。
さて──丑三つ時も眠る深夜となり、パリスとシャルロット・コルデーとは屋敷の跡地で、バーソロミューと戦う覚悟と作戦を整えていたし、衛宮切嗣は相変わらず街中を捜索しており、ウェイバーやイアソン、それに凛は眠りについていた。
ここまで彼らの様子を見ていったが、柳洞寺を根城としている陳宮や、彼の元で捕虜となっている言峰や時臣、舞弥達の様子はあえて省かせてもらおう。
最後に残る人物──間桐臓硯と、ガレスとの様子について見るとしよう。
場所は冬木市の住宅地、その中の一つの家へと入ってゆけば、間桐臓硯とガレスの姿を見ることが可能となる。
「に、逃げて──!」
それは恐怖と悲痛と願望とが混じりあった女の金切り声であった。
その言葉が叫ばれると同時に、彼女の肉体は砕かれ、血液や内臓をまき散らし、その生命を終えることとなった。
「あ──」
コトネは、母親の血を顔に浴び、その生暖かい感覚に体をぶるりと震わせた。
なぜこんなことになった? コトネは今日一日の出来事を、さながら走馬灯のように思い出していた。凛と明日遊ぶ約束をして、学校から帰って、宿題をやって、母の手料理を食べて、家族と他愛のない話をして、ベッドの中に入ったのだ。
そして、突然夜中に、母親に叩き起こされたのだ。
始めは寝ぼけながらも、まだ深夜だというのに起こした母親に文句を言ってやろうとして──床に横たわった、父親の死体を目にすると怯え、絶叫した。
母親に抱きかかえられ、寝室から逃げるもすぐさま、母親は殺された。そして、次はコトネの番となるのだ。
「嫌……やめて……! 助けて……来ないで!」
コトネは、突如この惨劇をもたらしたガレスを追い払うように、手を振り回した。
けれども、ガレスはゆっくりを彼女の方へと歩み──その返り血に染まった手を振るい、槍でコトネの肉体を砕いた。
ガレスの様子を見れば、彼女の体や槍にはおびただしいほどの返り血が付着しており、このコトネの一家だけではなく、他の家でも同じように殺戮をしていたのは一目瞭然であった。
間桐臓硯はガレスにこのような行為を、この晩令呪によって強制的に行わせていたのだ。彼は暗闇のなかで、笑みを浮かべながらガレスへと命じた。
「さあ、サーヴァントとしての本領を果たすが良い」
するとガレスは、コトネの遺体からその心臓を引きずり出し、まだ熱を持つそれを口の中に運び、飲み込んだ。
「サーヴァントとは魂喰いよ。傷はすでに癒えたであろう? その霊基もより強靭なものとなっている筈よ」
臓硯の言葉を聞いたガレスは、突如体を震わせ、涙を流しながら呟いた。
「……や、めて……ごめ、ン……なさい……」
その言葉を聞いた臓硯は関心したように言った。
「ほう、まだ正気が残っておるか。大したものよ──じゃが、無駄なこと。狂気へとその身を堕とせ。正気を砕け。騎士としての誇りを忘れよ」
「嫌──いや……お兄、さ……ごめん、なさい……おウ……ソラウ……助、け──ラン、ス……ロットさ、ま……」
臓硯の令呪が赤く、不気味に光り、彼は不気味に笑って見せた。臓硯にすれば、これは必要な作業であると同時に、ガレスが苦しむ様を見て愉しんでいるのであった。
ガレスは手をきつく握りすぎたことによって、爪が食い込み血が流れ──彼女の手は最早赤黒く染まっており、己が流した血は、今まで殺した人々の血と同化していた。
それを認識したガレスはあらん限りの大声で、咆哮した。
「あああアアァァアアアAAAAAAaaaaaaaa──ッ!」
さて、これで三日目の夜は終えることとなる。
次は聖杯戦争の初戦から四日目となる──この戦いも、少しずつ激しくなって行くであろう。各々備えは十分にできている。ならば後は戦うのみである。
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