【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】   作:天城黒猫

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 APEX楽しい(白目)投稿遅くて申し訳ありません(土下座)
  
 ……FGO5周年おめでとうございます。もう一年経つんですね(白目)いやぁ、時が経つのは早いものですねぇ。新聞の北斎ちゃん可愛い(静岡県住まい)
 FGOにはもっと長く突っ走って欲しいですねぇ!!
 

 それはそれとして、前話のあとがきで今回で終わるとか言っていましたけど、終わりませんでした(白目)許してくださいなんでもしますから!






第27話

「セイバーッ!」

 

「イアソン様ッ!」

 

 衛宮切嗣とメディアは、ガレスによって切断されたイアソンの腕が回転し、血を撒き散らしながら宙を舞うのを目にしたのを見て、初めてイアソンの腕が欠けたということを理解し、叫んだ。

 そして、イアソンもまた同じように叫んだ。しかし、それは衛宮切嗣たちのようにイアソンの身を心配するかのようなものではなく、痛みによる絶叫であった。その証拠に、イアソンはその美しい顔を歪め、もんどりうっていた。

 

「痛い、痛い――クソ、クソ! メディア、早く治してくれ……ああ、クソ! 止血だけで十分だ。クソッタレ! ああ、畜生め!」

 

「イアソン様、今治します――!」

 

 メディアの魔術によって、何とか止血と痛みを取り除くことに成功したイアソンは、脂汗を流し、肩で息をしながら間桐臓硯とガレスとを睨んだ。

 

「クソ……だが、確信したぞ! ()()()()()()() なるほど、お前たちは脅威だ。だが、そうではない! この私の中にある胸騒ぎの原因は、お前たちではない。答えろ、魔術師――貴様は、何を知っている?」

 

 イアソンは間桐臓硯を睨み付けた。その鋭い眼光は、少しでも誤魔化そうとしたり、嘘を口にしたらすぐさま殺しにかかると言わんばかりであった。

 イアソンはこの柳洞寺に入る前から、胸騒ぎを覚えていたことを読者の皆様は覚えているであろうか? 彼はこの胸騒ぎの原因は、間桐臓硯とガレスとの戦いにあると考えていた。

 なるほど多数の令呪を持つ間桐臓硯ならば、ガレスに尋常ではないほどに強化したり、あるいは転移という奇跡を用いて戦況を有利に運ぶことができるであろう。しかし、それでも、イアソンにはガレスと間桐臓硯とが脅威には思えなかったのだ。それに、間桐臓硯もまた、己との実力差は理解しているであろう。

 イアソンは間桐臓硯を非常に狡猾であり、用心深い性質を持つ人物であると認識した。そんな彼が、ヘラクレスをはじめとしたイアソン達との前におめおめと姿を現し、正面から戦うというのは、非常に在り得ないことなのだ。間桐臓硯が本当に勝利しようとしているのならば、もっと狡猾かつ卑怯極まりない手口を使ってイアソン達を追い詰めること請け合いである。

 だからこそ、イアソンは間桐臓硯に問いかけるのだ。

 

「貴様は何を企んでいる? 何を知っている? 答えろ!」

 

「何を、か」

 

 間桐臓硯は不気味な笑みを浮かべてみせた。

 

「己の企てを喋る阿呆がどこにおる? お前たちが儂の内心を知る必要は無い。なぜならば、皆ここで死ぬのだからのぅ。そら、ランサー。限界を超えよ。敵を叩き潰せ」

 

 間桐臓硯は令呪を使用し、ガレスに命じた。その命令の内容は、彼女の身体能力の強化――それも、彼女の限界を超え、霊格が砕けるのも厭わないほどの超強化であった。それは強化という名の暴走(オーバーロード)そのものであり、ガレスの筋肉は膨れ上がり、その代償としてブチブチと千切れ始めたし、彼女の肉体に流れる血液はその巡回速度を異常なまでに上昇させ、血管はその速度に耐えきれずに破裂し始めた。その他にも、彼女の肉体は強化される代償として、あらゆる場所が破壊されていった。

 もちろん、そうなれば痛みを伴うのは当たり前のことであり、実際に彼女は全身を無数の焼けた針が突き刺さり、万力が肉を力強く掴み、引っ張っているかのような錯覚を覚えるほどの、想像を絶する痛みを感じていた。

 

「ア、AA、AAAAAaaaa、aaァァア゛ッ――」

 

 絹を裂くような悲鳴というのは、このようなことを言うのであろうか。あるいは、地獄にて拷問を受ける亡者の悲鳴か。血を吐き出しながら、ガレスは耳をつんざくかのような大声で叫び、虚ろながらも血走った目でヘラクレスを睨み、彼へと襲い掛かった。

 

 ――『猛り狂う乙女狼(イーラ・ルプス)』。

 彼女は宝具を使用し、凄まじい槍の連撃をヘラクレスへと繰り出さんとしていた。それは彼女の人生における武と技術と力との集大成である宝具。一撃一撃が必殺となるその連撃を以て、彼女は数多の騎士を沈めてきたのだ。

 ヘラクレスはそれに呼応するかのように、咆哮し己の全力を以てその石斧を振り下ろした。

 

「■■■■■■■■■■■!」

 

 狂化によって言語を話すことはできずとも、ヘラクレスが発するその声に怒りの感情が籠っていることを察するのは容易であった。その声を聞くまでもなく、彼の巌の如き表情は仁王の表情を浮かべており、ヘラクレスが怒りの感情を覚えているのは確実であった。

ヘラクレスは怒りを覚えているのだ。その原因は複数存在する――

 まず一つ。己がいながらイアソンという己の友が傷ついたこと。己が守ることができなかった不甲斐なさに怒りを抱いていた。

 そして二つ目。目の前にいるガレスが侮辱され、苦しめられていること。ガレスという騎士はなるほど、そこらの人間や戦士よりは強いのであろう。しかし、ヘラクレスという大英雄から見れば、ガレスは弱く、その実力差は絶望的なまでに大きい。それでも尚、ガレスは諦めずに、己に何度も向かってきた、気高く、逞しい戦士なのだ。イアソンがガレスを認めていたのと同時に、ヘラクレスもまた、ガレスを認めていたのだ。しかし、今のガレスは戦士としての影はなく、間桐臓硯という魔術師によって侮辱され、獣畜生へと堕とされた存在であった。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■――ッ!」

 

 故に、ヘラクレスは怒るのだ。イアソンの親友として。気高き戦士として。

 ヘラクレスは己の宝具であり、ヒュドラを殺した己の武の極致、――『射殺す百頭(ナインライブズ)』を発動させた。

 狂化スキルを得て限界しているヘラクレスでは、本来ならばその宝具を使用することは不可能ではある。しかし、イアソンが己の背後に在り、彼の為に動いているというその状況が、ヘラクレスに確かな理性の光を宿し、その宝具を起動させるまでに至った。

 

 ――それは、一撃一撃が究極へと至った連撃。ヘラクレスの膂力、技量、経験、才能といったあらゆる全てが集約された奥義である。

 

 なるほど、ガレスの振るう槍の技術、力、性能、どれをとっても素晴らしいものである。並大抵の戦士や騎士では、彼女の振るう槍には勝利できないであろう。だが――ヘラクレスという大英雄の攻撃は、ガレスのそれを上回っていた。

 放たれた『射殺す百頭(ナインライブズ)』による攻撃は神速を超え、ガレスの槍を砕き、その肉体を、霊核を、一瞬で消し飛ばした。それこそ、彼女は痛みを感じる暇もなかったであろう。その一見容赦ない連撃は、実に慈悲深いものであった。

 

「ああ――」

 

 ガレスは己の肉体が消し飛ぶ瞬間、この狂気から解放されることに安堵を覚え、ヘラクレスへと感謝の念を抱いた。そして、己が殺した人々への謝罪を発した。

 

「ごめんなさい……ありがとうございます……」

 

  そのかすかな呟きを耳にした者は、果たしてこの場にいたであろうか。ガレスはその小さな言葉を最後に、ヘラクレスの石斧を受け入れ、消滅した。

 そして――この瞬間、今回の聖杯戦争の勝者は決定された。聖杯戦争というサーヴァントによる殺し合いを制覇し、最後まで残ったイアソンこそが、聖杯戦争の勝者なのである。ここまで来れば、あとは降臨する聖杯で願望を叶えるのみである。だが、それでも尚イアソンの胸騒ぎは晴れることはなかった。

 

「何を企んでいる……?」

 

 己が従えていたガレスが消滅しても尚、間桐臓硯は笑みを浮かべていた。そこには、焦燥とか、敗北感といったものは一切感じ取られなかった。それどころか、彼が浮かべる笑みは、王や巫女が闘技場で戦い、死にかけている闘士を見て笑うそれと非常に類似していた。

 故に、イアソンはこの老人が敗北者の立場にあるとは、一切思えなかった。それどころか、自分たちが処刑台にかけられたような気分であった。

 

「企みか。そうさなぁ、儂は確かに何かしらの計略がある。だが、それはお主等には関係の無いことよ」

 

 間桐臓硯は、イアソンの問いかけに答えた。彼はガレスが消滅したものの、別に構わないと考えていた。令呪を使用し、強化してイアソンと戦い、勝利することができたのならば、御の字。そうでなくても、一つを除いてやるべきことは全てやり終えているのだ。残る一つ――即ち、聖杯が降臨し、どのような事が起こるのかを確認するだけである。その結果次第では、聖杯の横取りも考えてはいるが、間桐臓硯は次回への備えに重きを置いている。

  今回敗北しても、次回で勝利すれば良いだけなのだ。遠坂時臣及び言峰綺礼及び言峰璃正の三人が死んだのは、間桐臓硯にとって喜ばしいことであった。

 なぜならば、遠坂に関わる彼らが死ぬことにより、遠坂時臣の娘である遠坂凛をも己の傀儡とすることが可能になる。その他にも、言峰綺礼の死体を操ることによって聖杯戦争の監督役をも自在に操作することが出来るようになるのである。

 つまるところ、今回の聖杯戦争では敗北しても良かったのだ。だが――次への布石をより強靭なものへとすることができると睨んだからこそ、間桐臓硯はこうして聖杯戦争に参戦することにしたのだ。

 そして、今ここに己のサーヴァントは敗れたが、次への下準備はほぼ整ったと言ってよいであろう。懸念があるとすれば、聖杯の様子のみである。それも、すぐに明らかになる。

 故に――間桐臓硯は、己の思考通りに()()が進んでいるため、敗北感など一切抱かないのである。それどころか、イアソン達がこれからどのような事になるのか、さながら処刑される囚人を見送る看守のような気持ちになり、愉悦を抱いていた。

 

「さぁ、この聖杯戦争はお主等の勝利じゃ。この間桐臓硯が認めるとしよう。聖杯の器は、寺の中におる。ゆくが良い。聖杯の魔力は満たされておる。降臨の儀も、ほぼ終えている。あとは願望を口にするだけじゃ」

 

 間桐臓硯は笑い、アイリスフィールが居る場所を指し示した。イアソンは彼を睨み付けながら、本堂へと歩を進めた。

 

「ヘラクレス」

 

「■■■■■■■■!」

 

 ヘラクレスは、イアソンの意思を察し、間桐臓硯へとその巨大な石斧を叩きつけた。間桐臓硯の肉体はあっという間に粉々に砕かれた。

 イアソンは間桐臓硯の残骸を見て、鼻を鳴らした。

 

「魔術師め、やはり本体ではないか」

 

 イアソンは間桐臓硯の残骸――地面に散らばり、蠢く何匹もの蟲を見ながら言った。令呪そのものは本物ではあったが、間桐臓硯の本体はこことは別の、安全な場所に存在しており、己の蟲を通じて、ことのあらましを見ているのだ。

 

「おお、怖い怖い……見破っておったか。流石というべきかのぅ。ギリシャの英雄たちを率いた船長よ」

 

「……私の真名を見破るか。まぁ、今更分からないというのならば、それは余程の愚鈍でしかない。むしろ、お前がそうでなくて良かったぞ、魔術師。

 ――()()()。最後に一つ聞こう。お前は、何を企んでいる?」

 

「……さてな。そう警戒せんでも良い。儂はもう何もするつもりは無い。カカッ! サーヴァントも消滅したのじゃからな。手出しもできんわい」

 

 間桐臓硯の言葉に偽りはなかった。間桐臓硯はこの聖杯戦争においては、敗北した身であり、これ以上何か行動を起すことも、イアソンというサーヴァントが相手では、それも不可能である。――否、そもそも行動する必要がないのだ。間桐臓硯の目的は、この先の出来事を見届け、次へと備えることなのだから。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()明らかに何かを企んでいるヤツを放置するほど、馬鹿に見えるのか?」

 

「何ッ――!」

 

 イアソンが行った問いかけは、間桐臓硯へと対する最後通告であった。だが、間桐臓硯はそれを受け取らず、イアソンの問いかけに答えようともしなかった。己の目的を口にしようとしなかったのだ。故に――イアソンは間桐臓硯へとギロチンを振り下ろすことを決定した。

 すなわち、間桐臓硯がどのようなことを企んでいるのかは不明であり、更に内心を話すことも無いと判断した。それ故に、イアソンは間桐臓硯という不安要素を取り除くことにしたのだ。

 

「まぁ、最もあの男が患者を前に我慢できるかどうか、という話だがな! タイミング的にも、そろそろ処置を終えるころだろう。お前の醜悪さは見るに堪えん! 同情こそ――してやろうにも無駄のようだ。仏の顔だったかな、この国のことわざに乗じて三度ほど機会を与えてやったが、お前は自らの手でその機会を逃した。ならば、死ね」

 

 イアソンは冷たい目で、間桐臓硯を見つめた。そこにあるのは、敵意ではなく、かといって同情のたぐいでもなかった。ただ、これから死ぬ間桐臓硯に対する興味を無くし、感情の籠らない視線であった。

 

「ガッ――こ、これは……! おのれ、貴様ァ!」

 

 間桐臓硯であった蟲の集合体はその統制を失い、地面を蠢いたり、這いまわったり、あるいは空を飛んだりと、各々好き勝手に動き始めていた。

 何が起こったのか――それを説明するためにも、視点を柳洞寺から間桐邸へと移動するとしよう。

 

 イアソン達が柳洞寺にて間桐臓硯と彼が従えるガレスとの戦闘を行っている最中、間桐邸に居るのは、切嗣の拷問によって負傷した間桐鶴野に、間桐臓硯の養子である間桐桜の二名――そして、もう一名。

()()()()()()()()()()()。彼の本体である蟲は、間桐桜の体内へと潜り込んでいたのだ。彼の身を守るのにはうってつけな場所であった。本体はこの安全な場所に潜みつつ、蟲によって構成された分身を通じて活動していたのだ。故に間桐臓硯は、戦いに敗北しようが己が死すことはないと考えていた。だが――それは彼の前では泡沫の如き幻想であった。

 医神アスクレピオス――彼はイアソンの命令により、間桐邸へと向かい、そこに何かしらの仕掛けやら、間桐臓硯にとっての切り札といえるようなものがあるのならば、そういったことごとくを始末するべく行動していた。

 その最中、彼は蟲蔵の内部に囚われている間桐桜を発見し、彼女を救助している最中、彼女の内部に潜り込んでいる間桐臓硯の存在に気が付いたのだ。アスクレピオスからすれば、それは悪性の腫瘍の如き異物であり、体内に潜り込んでいた他の蟲達と共に摘出をしたのだ。

 そういった訳で、現在間桐臓硯の本体は、アスクレピオスの手によって握りしめられていた。間桐臓硯はその体を必死にじたばたと、くねらせながらアスクレピオスへと命乞いをしていた。

 

「やめろ! 待ってくれ、儂を殺すな! 殺さないでくれ! やめろ! ――ああ、見逃してくれ! 聖杯戦争は既に終わっている! お前たちの勝利だ! だから、殺すな! ああ、やめろ……やめてくれ……ッ」

 

 そんな彼をアスクレピオスは冷たい目で見降ろし、言った。

 

「なんともつまらない命乞いだな。だが、お前のやっていることは、あの外道畜生神共にも引けを取らないな。ああ、だとしたら不愉快だ。この聖杯戦争で、あの男が召喚されていたと聞いた今はとりわけな。さて、患部は全て摘出した――ならば、さっさと始末するとしよう」

 

 「ああ――! 嫌だ! 嫌だ! やめてくれ! 間桐はこんな所で、儂は、こんな所で終わりたくない……終わるわけにはいかないのだ!」

 

 間桐臓硯は、アスクレピオスの握りしめる手に力が入るのを察知すると、これまでよりもさらに必死にもがき始めた。だが、逃れることは不可能であり、かといって命乞いとして、どれだけ上等な言葉を述べようが、間桐臓硯を病原体として見なしているアスクレピオスは、聞く耳を持たないであろう。  

 

「嫌だ! 嫌だ! 死にたくない! 死にたくない! 死ぬわけにはいかないのだ! 儂は、儂は……まだ! おお、そうだ! まだ死ぬわけにはいかないのだ……! ユスティーツァ……! 冬の聖女、ユスティーツァ! 儂は、儂は、生き続けなければならぬ! 願望を成就させるには、生き続けなければならぬ! 死ぬわけにはいかないのだ!」

 

「黙れ」

 

 アスクレピオスは、手の中でもがき続け、叫ぶ間桐臓硯を無慈悲に、一瞬で握りつぶした。こうして、間桐臓硯という500の年を生きた魔術師はその生命を終了させたのである。

 そして、アスクレピオスは横たわる間桐桜を見やり、呟いた。

 

「寿命を延ばすというその行為こそは、なるほど称賛こそしよう。よくここまで長く生きたものだ。だが、魂まで腐りきっていては世話が無いな。こうなってしまっては、もはや救いようはない。

 だが、この子供は違うな。肉体はともかく、精神は長期的な治療を要する。聖杯戦争、か。あとわずかで終わるという話だが……オイ、もう少し現界させろ。具体的には最低でひと月ほどだ」

 

「無茶を言うな、無茶を!」

 

 イアソンは、アスクレピオスから受け取った念話を聞くなり、彼の言う言葉に対して叫んだ。

 だが、アスクレピオスからすれば患者の治療は絶対にして、当然の行為であり、そのうえ間桐桜の状態は心身共に酷く、治療をしないわけにはいかなかった。だが、イアソンからすれば彼の気持ちこそは理解できるし、汲んでやりたくもあったが、首を横に振った。

イアソンの声は、どことなく震えているように思えた。アスクレピオスもまたそれを感じ取った。

 

「いいか、それは不可能だ。アスクレピオス、お前にはもうひと働きしてもらわなければならないからな。さぁ、早くこっちに来い……これが胸騒ぎの正体か! これが嫌な予感の正体か! 下手をすれば、この街が……いいや、全人類が消滅するぞ! ああ、畜生め! これだから願望器とかそういう類のモノはロクでもないんだ!」

 

 イアソンの視線の先には――聖杯があった。アイリスフィールの肉体を依り代とし、この世界へと顕現した聖杯が。イアソン以外の、残りのサーヴァントが皆倒れ、間桐臓硯によって儀式はほとんど終了していたため、自動的に顕現したのだ。

 だが、そこにあるのは決して願いを叶える黄金の杯といったような、輝かしいモノではなかった。

 漆黒の穴が天に開き、禍々しい気配を発する泥がその穴から地上へと降り注いでいた。泥は地上を舐めるように広がり続けていた。

 

「アイリっ……!」

 

 衛宮切嗣は絶望の表情を浮かべた。なぜならば、聖杯が降臨し、泥が落ちた場所というのは、柳洞寺の本殿であり、間桐臓硯はそこにアイリスフィールがいると言っていた。だが――本殿は既に泥に飲み込まれ、粉々に破壊されていた。……衛宮切嗣は図り知らぬことであるが、どのような形であれ、どのようなモノであれ、こうして一度聖杯が降臨したからには、アイリスフィールの肉体は既に存在しないのだ。だが、どちらにしろアイリスフィールが助かることは無いであろう。

 

「まずいな、逃げる――いいや、間に合わない! チクショウ、クソッタレ! 飲み込まれる……!」

  

 泥はさながら津波の如く勢いで、イアソン達へと迫り、抵抗しようとする彼らを無慈悲にも、一瞬で飲み込んでみせた。

 

 ――災禍はここに降誕せり。聖杯はここに降誕せり。

 その泥は、かつて行われた聖杯戦争の残り香である。即ち――復讐者(アヴェンジャー)として召喚されたこの世全ての悪(アンリマユ)による呪い。人々が生み出し、人々へと降り注ぐ災厄なり。

 

 だが、儀式は終わっていない。まだ終了していないのだ。なぜならば、このような状態となろうが、聖杯は願望器であるのだから。願望器であるのならば、願いを口にする者が必要であろう。

 

 故に、聖杯は問いかける。最後に残ったマスターである衛宮切嗣へと問いかけるのだ。

 

 ――汝、何を願うのか、と。

 

「僕は――――」

 






 あと1、2話くらいで終わりますー!!ガチで!!!!多分!!!
 残りは全て今月中に投稿して完結させます!!んでもって鬼滅とFateのクロスを書くのです!!!
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