【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】   作:天城黒猫

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ラスベガスだぜやっほー!

そうそう、感想でご指摘いただいたのですが、通常の聖杯戦争で召喚されるのはアサシンは、ハサンのみという設定があるのですが、実は作者この設定うっかり忘れていて、シャルロトが召喚された説明を全くしていなかったんですよね……あとで説明できると良いのですが……どうやって説明しよう。

他にも忘れている設定とかあるかもしれませんし、このキャラのセリフや行動に違和感があるなー、なんて思ったらどんどん言ってください。作者としても助かります。普通に物語の感想でも嬉しいですし、指摘もしてくださると嬉しいです。なので、遠慮なくサンドバッグを殴る感覚で、感想送ってください!

それと、誤字報告をしてくださる方もありがとうございます!




第5話

 聖杯戦争において、拠点は重要となる。

 

 間桐、遠坂の一族は聖杯戦争の舞台である冬木市で日常を送っているため、拠点は己の住居が存在するし、アインツベルンも、冬木市の森に城を構えている。

 聖杯戦争というシステムを作りあげた御三家はともかく、そうではない外来のマスターたちにとって、拠点の確保は重要な課題と言えるだろう。

 

 というのも、己の工房を作る上げることができなければ、マスターは魔術師としての本領を発揮できないだろうし、襲撃者の対策も不可能である。それに、アサシンのような不意打ちに長けた敵の対策として、強固な守りを作るか、あるいは何者にも見つかることのない場所を選ぶことはとりわけ重要だといえるだろう。

 

 例えば、ケイネスはホテルの一階層を丸々借り取って、その中に何重もの結界を張ったり、異界化させたり、悪霊を放ったりなどして、己の身とソラウを守るための強固な魔術要塞へと改造している。

 本来の歴史にて行われた聖杯戦争において、雨生龍之介は魔術的な隠ぺいができないキャスターと共に、街中の住人を攫っても、貯水槽を隠れ家に選んだため、その拠点を発見することは非常に困難となっていた。

 

 ともかく、聖杯戦争において拠点は一つの重要な課題となるのだ。

 魔術の用意。不意打ちへの対策。単純に寝食を行える──ほかにも拠点の役割はあるが、それはさほど重要な説明ではないため、細かく話すのはやめるとしよう。

 

 さて、ウェイバー・ベルベットはどこを拠点に選んだか見てみるとしよう。

 彼はほとんど勢いに任せてロンドンから、冬木まで渡ったため、その下準備は全くと言っていいほどしていなかった。ホテルの予約もしていないし、空き家を購入するような費用もなかった。

 では、どのようにして拠点を用意し、どこにあるのかを説明しよう。

 

「ご馳走様でした」

 

 朝食を取り終えたウェイバーは、両手を合わせてそう言った。

 日本における、伝統的な食事を終えたときに行うこの行為や、箸の使い方に初めは戸惑ったが、流石に何回か行えば慣れてきた。

 

「ああ、ご馳走様。この後どうするのかね?」

 

 そうウェイバーに問いかけるのは、グレン・マッケンジーという老人だった。

 彼とウェイバーに何かしらの繋がりがあるのかといえば、そうではない。彼らは血も繋がっていないし、それどころか過去に一回も顔を合わせたことはない。

 ウェイバーは、このグレン・マッケンジー、そしてマーサ・マッケンジーという、二人きりで暮らすこの老夫婦に、自分を孫だと思い込むように暗示をかけ、彼らの家を拠点として活動しているのだ。

 

「部屋でゆっくりするよ」

 

「そうかい」

 

 果たして選択としては、非常に良い方法だといえるだろう。

 ホテルなどに泊まれば、名簿などが残されてそこから居場所が発覚する可能性が高い。住宅を購入するのも同じだ。しかし、こうして一般人の家に潜り込めば、そういった書類などによる痕跡から情報を得ることは不可能となるだろう。

 それに、この冬木市には外国人が多く暮らしており、ウェイバーのような英国人がいてもさほど目立つことはない。ウェイバー本人が狙っていたかどうかは別として、マッケンジー夫妻の住居は、絶好の隠れ家となっていた。

 

 ……この選択を、ウェイバー自身は良い手法だと理解していた。

 触媒を手に入れるという幸運が訪れ、日本へと渡り、サーヴァントという過去の英雄を従え、戦いに身を投げた。己の教師を下し、ほかの敵も打ち破り、周囲から天才だと認められる──そんな未来を予想していた。しかし、その幻想はたったの一夜で砕け散った。

 

 昨晩遠坂邸にて行われた戦いを、使い魔を通じてウェイバーは見ていた。

 そこであった戦いはどのようなものだった? 己の教師であるケイネス、そしてその敵である遠坂時臣は、ウェイバーでは到底敵わないほどの、高度な魔術を使用していた。彼らの間に自分が割り込めば、あっという間に粉みじんになるだろう。

 

 サーヴァントにしたってそうだ。規格外の英雄だということは理解していた。けれども、それがどのようなものなのかは、良く分かっていなかった。ガレスとパリス、そしてサロメの戦いは、常人の範疇を超えており、彼らの動きは到底目で追えるようなものではなかった。

 

 挙句の果てに、どこかから頭に攻撃を受けて、倒れる時臣を見たとき、ウェイバーは血の気が引いて、背筋が冷たくなっていた。……魔術師たちの決闘、儀式だというのは理解していた。けれども、こうして目の前で人が死ぬような攻撃を受けて、倒れるとなると話は別だった。

 もしかしたら、この戦いで自分が死ぬのかもしれない──そんなことをついつい考えてしまっていた。

 

 つまり、この時ウェイバー・ベルベットという男は自信を失っていたのだ。

 

「ふむふむ……ここでメガネを振り下ろす。それとも振り下ろさない……それが問題ですね」

 

「……何やってんだ。オマエは」

 

 ウェイバーは、どっと気の抜けた顔で、バーソロミューに問いかけた。

 彼は、ウェイバーの金で入手したテレビゲームを行っていた。

 

「ああ、いえ。この選択肢はどちらにしようかと思いまして。これ、ギャルゲーなのにバッドエンドやデッドエンドもあるから、中々にシビアで油断できないんですよね」

 

「ハァ……どうでもいいだろ。そんなモン」

 

「とんでもない! これは、メカクレ女子のみを集めたヒロイン達に加え、主人公もメカクレという素晴らしいゲームなのです。セーブ&ロードすれば、何度でもやり直せますが、初見プレイですからね。こうして真剣に選択肢を選んで、楽しまなければ」

 

「全く! オマエは呑気だな。ボクがこうして悩んでいるってのに、ゲームなんかやって……!」

 

 ウェイバーは拳を強く握りしめ、苛立った調子で言った。

 バーソロミューは、コントローラーを操作し、セーブを行うと、ウェイバーの方を向き合った。

 

「ふむ、どうやらマスターは苛立っている様子ですね」

 

「誰のせいだ!」

 

「では、今晩にでも戦いに出ましょう」

 

「──は?」

 

 あっけからんと、唐突にそう言い放ったバーソロミューにウェイバーはあっけにとられた。

 

「さて、マスター。貴方は昨日行われた戦いの様子を見ていましたね。では、相手がどのような攻撃を行い、どのような動きをするのかもわかっているハズです。この私が戦うべき相手を教えてください」

 

「……なんだって唐突にそんなことを言うんだよ。昨日の様子は伝えたはずだぞ」

 

「そうですね。ですが、やはり私はサーヴァント。従者の身でしかないのですよ。ただ、私の自由を縛ったりしなければ、マスターに仕えますとも。その点、貴方は私が欲する服やゲームを買い与えました。であるのならば、私はそれに報いなければ。

 そして、マスターなのですから貴方が指示をしてください。よほどの愚策でなければ、私は従いますよ」

 

 バーソロミューは微笑みながらそう言った。もしも、彼の微笑みを見たものが女性だったのならば、たちまちのうちに惚れてしまっていただろう。そういう微笑みだった。

 しかし、その裏では、ウェイバー・ベルベットという一人の人間を試すような意思があった。

 

 バーソロミューの言葉を聞いたウェイバーは、少しの間考えた。

 

「そうだな……攻めるなら、アーチャーかバーサーカーだ」

 

「ほう。それは何故?」

 

「……アーチャーのマスターは、昨日不意打ちを受けて倒れた。ボクの先生が手当を施していたから、きっと生きているんだろう。それでも、頭に傷を受けたんだ。かなりの重体なのは間違いないとおもう。あの傷は当たり所がよほど良くなければ、すぐに回復するなんていうことはないだろう。だから、今ならアーチャーの陣営は実質的にマスターの力が削がれている。攻めるなら今だと思う」

 

「素晴らしい。全くもってその通りです。では、バーサーカーを攻める理由は?」

 

「バーサーカーは、見たところ魔術による攻撃しかしていなかった。アーチャーのマスターに対する攻撃が宝具でない限りは。でも、その可能性も低い……と思う。バーサーカーは、何度か『ヨカナーン』って言っていた。ヨカナーンが人物の名前だとすれば、あのバーサーカーの真名はサロメ……聖書や戯曲で有名な女だ。サロメが不意打ちを行った話なんていうのは無い。だから別の人物による攻撃だったと思う。推測でしかないけど。

 ……それに、攻撃手段が魔術しかないのなら、オマエには対魔力があるだろ。それである程度有利になるはずだ」

 

「素晴らしい! とても素晴らしい!」

 

 バーソロミューは、大げさなぐらいに手を何度も繰り返し、強く叩いてウェイバーを褒め称えた。

 

「全くもってその通りです! 誰を攻めればいいのか、理解していますね。バーサーカーの真名までもを予想するとは。答えはわかりませんが──私も同じ考えですよ」

 

「……不安要素もあるけどな」

 

「ええ。その通り。昨夜の戦いでは、皆宝具を使っている様子はなかったようですね。宝具という一発逆転のとっておきが判明していない、というのは不安要素となりますが、それは戦いの内で調べていけばいいでしょう。それはサーヴァントである私の仕事です」

 

「…………」

 

 ウェイバーは微笑むバーソロミューに対して、問いかけた。

 

「オマエなぁ、ボクのはほとんどが素人考えだぞ? バーサーカーの攻撃手段が魔術しかないっていうのも、ただの予想でしかないんだ。真名もな」

 

「ははは、そうですね。私なら、もっと多くのことを予想することが可能ですとも」

 

「だったら何で──!」

 

 バーソロミューの言葉に憤るウェイバーに、彼は微笑んで答えた。

 

「何やら落ち込んでいた様子でしたので。頭を動かすのは、いい気晴らしになったでしょう?」

 

「……」ウェイバーは何も答えなかった。その通りだったからだ。

 

「貴方は魔術師としては、へっぽこなのでしょう。魔術に疎い私でもわかりますよ」

 

「馬鹿にすんな!」

 

「ですが、何も戦いは力が強い弱いだけではありません。力で敵わないのならば、別の方法で戦えば良いのです。例えば頭脳。例えば作戦。例えば不意打ち。例えば仲間の力を使う。例えば地の利を取る。例えば政治で戦うなど──この世には様々な戦い方が存在します。それは、今も昔も変わりありませんよ」

 

 バーソロミューはウェイバーの頭に手を置いた。

 

「貴方は未熟者でしょう。ですが、それはこの先伸びしろがあるということです。どのような選択肢を取るのか、どのような戦い方をするのか、それを選ぶ権利があります。選択肢次第で、未来はいくらでも決まりますからね」

 

「……ああ。そうだな」

 

 ウェイバーは頷いた。それから、恥ずかしそうに言葉をつづけた。

 

「ありがとう、ライダー」

 

「いえいえ。こうして落ち込む仲間を慰めるのは、生前もよくやりましたからね。それで、アーチャーとバーサーカー、どちらを攻めましょうか?」

 

「そうだな──」

 

 ウェイバーは、アーチャーとバーサーカーどちらを攻めるのか、その選択肢の答えを口にした。

 

 

 

 キャスター、陳宮がどこに拠点を構えているのか説明しよう。

 現在、彼は円蔵山にある、柳洞寺へと陣地を構えていた。

 

 この円蔵山には特殊な結界が張られており、自然霊以外の、霊的な存在、つまりサーヴァントなどは結界の抜け穴である柳洞寺へと通じる階段以外から、この山に出入りすることは非常に難しい状態だった。敵が出入りすることのできる場所が限られているのだから、自らの身を守る拠点としてはこの寺はうってつけな場所だった。

 

 柳洞寺にて過ごす僧侶たちは、魔術的な暗示によって皆寺の中で生活してはいるものの、外に出るようなことはなかった。

 そして、陳宮は本堂の一室にて、先ほど目を覚ました舞弥のもとにいた。彼女は陳宮が来る前までは、体の拘束を解こうと暴れてはいたものの、それは叶わなかった。そして、陳宮が来ると彼を睨みつけた。その目線だけで、人を一人殺すことができそうな鋭さだったが、彼はそれを何食わぬ顔で受け止めた。

 

「目を覚ましましたか。ああ、そうそう。通信機器は全て取り上げましたし、GPSでしたか? その居場所を知らせるための装置は、全身をくまなく調べて破壊しました。外部との通信は一切不可能ですよ」

 

「……何が目的なのです?」

 

「──さあ。それは貴女が知る必要はありませんね」

 

 陳宮は舞弥を見下しながら言った。

 彼女は、どうにか隙を見てこの場所から逃げ出そうと考えていた。それを感じ取った陳宮は、舞弥の後ろ方向を指した。

 

「くれぐれも逃げ出そう、なとど考えないことです。彼のようになってしまいますからね」

 

 陳宮が指した先には、龍之介が意識を失った状態で横たわっていた。それだけではなく、彼の全身にはズタズタに刃物の類で切り裂かれたであろう傷後や、何度も殴打した後があり、非常にボロボロだった。そのうえ、彼の手首は切り取られていた。

 

「彼は私の元マスターです。我が主として相応しくなかった上、少々()()が合わずに逃げ出そうとしたので、あのような目に。……ああ、別に逃げ出してもよいのですよ? まあ、その場合は私の嗜虐心が疼いてしまいますが。それでは、騒がれても面倒なのでまた暫く眠ってもらいましょう」

 

 そう言うと、陳宮は舞弥の腹部に蹴りを一発くらわした。それを受けた彼女は、その痛みに口から息と唾を吐き、意識を失った。

 

「ご安心を。殺すつもりはまだありませんので──」

 

 その言葉を耳にしたのを最後に、舞弥は意識を失った。

 

「ああ、全くどのようなマスターなのか、期待していましたが期待外れでしたね。この時代、私が仕えるに相応しい主はいるのやら。まあ、一々探すのも手間ですし、この聖杯戦争の最中では危険ですからね。諦めるとしましょう。

 いやはや。中々うまくいきませんね。この時代も、それなりに良い時代のようですし……さて、どうしますかね」

 

 






バーソロミューがやっていたギャルゲーのタイトルは、『メカクレ娘たちと泊まって過ごす一晩!』とかそんな感じらしい。
ギャルゲーなのに、バッドエンドやデッドエンドがあり、選択肢が膨大でルートもたくさんあるという、その内容のシビアさから一部のマニアに支持を得ている。らしい。

同じゲーム会社から『メカクレバスターズ!』『メカクレナド』『大図書館のメカクレ』『メカクレブラッド』『目隠姫』『夜明け前よりメカクレな』などのゲームタイトルが出ている。察しの通り、メカクレヒロインしか登場しないゲームシリーズで有名。多分。


あと、聖杯の術式云々で、東洋の英霊とは相性が合わないのに、陳宮が召喚されている件ですが、とりわけいい感じの設定が思いつかないので、聖杯がバグっているせいにしておきます。
こういう時、アンリ君は便利。最悪ハサンではなく、シャルロットが召喚されたのもコイツのせいにしておこう。

次回の投稿は8月15日に行います。

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