【一発ネタ】FGO4周年で実装された英霊たちで聖杯戦争【最後までやるよ】 作:天城黒猫
間桐雁夜は昨夜の戦いを終えると、刻印虫に喰われ、割かれた肉体の痛みに耐えながら間桐の家へと戻った。
移動する間、彼は時臣が死亡したということに歓喜しながら、時折気が狂ったかのように──いや、すでに彼の気は狂っているのだろう。虫に全身を喰われ、激痛に耐え続けてきたのだから──叫んでいた。それは喜びの感情からくるものであり、手を振り回したり、笑ったりして時臣の死を嘲笑っていた。
家に到着すると、一人の幼い少女──間桐桜が生気のない、感情の一切を失った虚ろな目をしながら、雁夜を出迎えた。彼は桜の姿を見るなり、彼女を抱擁した。
「ハハッ……やったんだ。時臣のやつが死んだんだ。待っていてくれ。桜ちゃん……俺は聖杯を取る。そして、君を助けて見せるから」
「…………」
桜は何も答えなかった。雁夜の言葉を耳にしてもいたし、その意味を理解してもいた。けれども、感情の一切を削ぎ落され、間桐臓硯の操り人形のような状態となっている今、彼の言葉に答えようとは思わなかった。
それでも雁夜は構わなかった。彼女の状態は理解していたし、何よりも彼の頭の中は聖杯を取り、それを条件に桜を現状から助け出すということしか頭になかったからだ。
「待っていてね。桜ちゃん。聖杯を必ず手に入れてみせるから……」
その声が届いているのか否か──桜はその場から立ち去った。それと入れ替わるかのように、臓硯が暗闇の中から現れた。
「カカッ、粋がるのは良いがな。どこまでやれるか見ものじゃのう」
その老人の目には、酷く不気味かつ、暗い光が宿っていた。苦しむ雁夜を肴として楽しもうという気が見え見えだったのだ。
実際、臓硯は今回の聖杯戦争では、まともな後継者がいないため聖杯を取るに足る実力を持つマスターが居ないため、参加を保留しようとしていた。しかし、そこに雁夜が現れたため、彼が苦しむ様を見て楽しむために雁夜をマスターとなりえるように蟲を埋め込み、聖杯戦争に参加させるようにしたのだ。聖杯を取ることは期待していないが、もしも最後まで生き残ったのならばそれはそれで面白いという程度のものだった。
「…………」
雁夜はそんな臓硯の思惑を知ってか、彼を睨みつけた。
「そう睨むな。聖杯戦争はまだまだ序盤も序盤。この程度で舞い上がっていては、足元を掬われるぞ?」
「分かっているさ」
「カカカ、ならば良い」
臓硯は言いたいことは全て言ったとでもいうかのように、己の体を無数の蟲へと変化させ、暗闇へと消え去った。その後、雁夜の近くで待機していたサロメが霊体化を解いた。
「あのおじいさん、酷い匂いねぇ。あたし、あの人は好きになれそうにないわ」
「……そうだな。俺も同じだよ、バーサーカー。あの妖怪爺は好きになれない」
「まあ、同じ意見ね」
「ああ。……バーサーカー、戦いはまだ続くだろう。俺は桜ちゃんを助けたい。……そのためにはお前の力が必要だ」
「……うふふ! そうね」
サロメは雁夜の言葉に頬を赤くしながら答えた。
「ええ。そうね。あたしはあなたのサーヴァント。あなたはあたしのマスター。あなたの望みに答えるわ!」
今、彼女は雁夜が己を必要としてくれているという事実に、気分を上昇させていた。雁夜がサロメを召喚してから数日が経過し、その間に彼らは何度も会話を交わした。
例えば、雁夜が聖杯戦争に参加する理由、例えば、サロメはどのようなことができるのか──この会話は外から見れば一見成り立っていた。しかし、真実はそうではない。
雁夜は臓硯から己のバーサーカーの真名を教えられておらず、またサロメも、己の主に真名を教えていなかった。真名を教える機会はいくつでもあったが、二人はそのようなことはどうでもよかったのだ。雁夜はバーサーカーではなく、救い出すべき対象である桜、そして桜をこのような地獄へ堕とした遠坂時臣のことしか見ておらず、バーサーカーのことにはまったく興味を抱いていなかった。せいぜいが、どのようなことができるのか、どのくらい強いのか、その程度だった。
同じくサロメもまた、雁夜自身のことなどどうでも良かった。彼女はマスターとサーヴァントとの関係性は、しっかりと理解していた。
仕えるべき主なのだから、その命令は実行するし、特に酷い命令でなければ反論もしないだろう。しかし、重要なのは彼女が抱える狂気そのものだ。努々忘れることなかれ──サロメの狂化ランクはC-と低く、会話こそもできるだろう。しかし、それでも彼女は狂っているのだ。
召喚されたばかりの時は、雁夜という人間を一人のマスターとして認識していた。しかし、しかしだ。雁夜が投げかける「お前が必要なんだ」「お前の力を貸してくれ」といったような言葉を投げかけられるたびに。雁夜が桜を救おうと努力する姿を見るたびに、彼女の狂気は加速してゆく。
すなわち──彼女は己のマスターに徐々に慕情を抱いていった。
「……雁夜。ええ、そうね。あたしのマスターは雁夜。ふふふ。桜ちゃん、だったかしら? その子を救いたいなら──あたしも頑張らなくっちゃ」
サロメは口の中で小さく呟いた。
雁夜はとっくに休息に入り、寝息を立てていた。彼はこの調子ならば夜中まで起きることはないだろう。
サロメは雁夜の頭と頬をゆっくりと手のひらで、赤子をあやすかのように優しく撫でた。
「──間もなく深夜となる」
ケイネスは十二の数字を指す時計の短針を見ると、そう言った。彼の額には怒りから来る深い皺が浮き出ており、彼の中に溜まりにたまった怒りは今にでも暴発せんとしていた。
そんなケイネスの様子を見たソラウは、関心なさそうに問いかけた。
「ええ。そうなれば貴方はバーサーカーと、そのマスターを探すのでしょう? でも、心当たりはあるのかしら?」
「ふむ、確かにバーサーカーのマスターに関する情報は、カリヤという名しか分からない。だがね、ソラウ。そんなことは何の問題もないのだよ。私は銃という魔道ではなく、邪道に魂を売り、神聖な決闘に乱入し、不意打ちするような卑怯者に、誅伐を行わなければならないのだよ。一人の魔術師としてね」
「そう」
ソラウは呆れたかのように、ソファに座った。実際呆れているのだ。決闘を邪魔され、ケイネスの魔術師としてのプライドは傷つかれたのも、その怒りも理解している。けれども、そこまでするのはどうにも馬鹿馬鹿しいように思えたのだ。
それも仕方のないことで、ケイネスは貴族としてのプライドと、騎士道を持っている。しかし、ソラウはそうしたものは持っていないのだ。
「ご安心を」
実体化したガレスは、ソラウに笑顔で微笑んだ。
「貴女の夫は私がお守りしますから!」
「夫じゃないわよ。まだ婚約者」
「ふっ、だがいずれそうなるだろう? ソラウ」
ガレスの言葉を素っ気なく否定するソラウに、ケイネスは微笑んだ。
ケイネスは己の魔術礼装を用意するために、別室へと移動した。それを見届けたガレスは、ソラウに問いかけた。
「それにしても」
とソラウはガレスの顔を見つめた。その顔つきはどう見ても幼い少女のそれであった。
「最後の円卓の騎士──ガレスが、まさか女の子だったとは思わなかったわね」
「そうでしょうか? 私は別段性別を隠してはいなかったのですが──どうやら、後世には男として伝わっているようですね」
「まあ、あなたの活躍を見れば誰だって女だとは思わないわね。それどころか、女性の騎士という発想がなかったもの」
「むう。私が実際に女性なのですから、そういう発想があっても良いと思うのですが」
ガレスはどこか拗ねたように、頬を膨らませた。
「きっと学者が捻じ曲げたのかもしれないわね。『こんな活躍をする騎士が女性であるはずがない』と。……ごめんなさいね。真実は私にはわからない。別に貴女を侮っているわけじゃないのよ」
「承知していますとも。侮られるのはまあ、
その言葉にソラウは眉をひそめた。
ガレス──円卓の最期の騎士にして、いずれは円卓で最も立派な騎士になるとまで言われた人物だ。彼女の活躍は実に目覚ましいものであった。そんな騎士の最期は、ギネヴィアに死刑を行うため彼女の身柄を輸送中、ギネヴィアを救い出さんとするランスロットに襲われ、武器を持たない無防備な状態で頭蓋を叩き割られるというものだった。
故に、ソラウは己を殺したランスロットに尊敬を抱いている、ということに眉をひそめたのだ。
「その……貴女は」
ソラウはおずおずと、言い辛そうに問いかけた。
「そのランスロットに殺されたハズよ。なのに、彼を尊敬しているの?」
「はい!」
ガレスは頷いた。
「そうですね。確かに私はランスロット卿に殺されました。けれども、それとこれは話が別です。そも、あの時は様々な事情が複雑に絡み合っていましたからね……ランスロット卿は、騎士として尊敬しているのです」
「そう。そういう風に言えるのは凄いわね」
「そうですか?」
「ええ。ケイネスと婚約を結んでいるでしょう? けれども、そこに私の意思は関係なくて、政略結婚によるものなのよ。ケイネスはどうやら、私を愛しているみたいだけれども、私はどうにもね……まだ割り切れないのよ。彼を愛せるのか、その愛を受け止めることができるのか、とかね」
ソラウの表情は物憂げなものとなった。彼女の表情から不安を感じ取ったガレスは、微笑んだ。
「大丈夫ですよ。私のマスターは騎士道を持ち合わせています。きっと、貴女にも優しくしてくれるでしょう」
「そうかしらね。でも、そうね。……そろそろ時間ね。ランサー、あの人をよろしく」
「はい! お任せください! 貴方の主は私がお守り致します!」
とガレスが言い終わるとともに、ケイネスの彼女を呼ぶ声があった。それは出陣を知らせるものだった。
ソラウはこのホテルの一室に残った。この部屋にいれば、彼女の安全はまず保障されるだろう。前話にて話したように、ケイネスやソラウを守るために、このホテルの一階層には悪霊を放ち、や無数の結界を敷き、異界化を行っている──つまり、魔術的な守りは万全といっても良いだろう。
衛宮切嗣は自分の意思とは反して震える手を抑え込んだ。しかし、それでもなお震えは止まらなかったため、精神を整える薬品を摂取した。
一晩が過ぎて、アインツベルンが用意した城へと戻り、その一室でずっと地図を睨めつけたり、銃のメンテナンスをしたりしながら、町中に使い魔を放って舞弥の捜索や情報収集を行った。
しかし、舞弥の姿はどこにも見られなかった──まず、死んでいないことは確実だが、攫われたというのなら何かしらの目的があってのことである。
「……人質か?」
切嗣はポツリと呟いた。舞弥を攫った下手人は今だ不明である。それ故に相手の狙いが全く見えてこないのだ。切嗣は改めて自分が集めた聖杯戦争の参加者たちの情報を見た。
「遠坂時臣、間桐雁夜、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、ウェイバー・ベルベット……そして言峰綺礼。現在はこの五名がマスターであることはわかっている。遠坂時臣はアーチャーのサーヴァントを従え、間桐雁夜はバーサーカーだろう。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトはランサーだ。セイバーは僕が召喚している。
……残るはアサシンとライダー、キャスターの三騎か。よりにもよって、アサシンとキャスターという早めに始末したい者の存在が明らかになっていない」
切嗣は先ほど摂取した薬品の影響もあってか、冷静に物事を考え、かつ頭を高速で回転させ続けた。
「それに、残る一人のマスターの正体も明らかになっていない。……少し軽率だったか。アサシンのような存在をもっと警戒しておくべきだった。……あの役に立たないぐうたらサーヴァントの使い道は、強制的に戦わせるぐらいしかないな」
切嗣は自分の手の甲にある令呪を見つめた。
確かにそれを使えば、サーヴァントを指定の場所に転移させることも可能だろう。それをうまく使いさえすれば、あのセイバーを強制的にサーヴァント同士の戦いに引きずり出すのも可能だ。そのぐらいしなければ、あのセイバーは戦うことはないのは明確だった。
切嗣はさらに気分を落ち着かせるために、タバコを口に加えて火を点けた。タバコの煙はあっという間に天井へと昇り、彼はそれをぼうっと見つめた。
……衛宮切嗣という人間は、この世界を平和にしようとしている。それこそ、どのような手を使ってもだ。……たとえ、愛する妻と子を犠牲にしても。
──本当に? それは否だ。舞弥という、長年使用してきたパートナーを失った今、衛宮切嗣という男の心はもともと不安定だったが、それが一押しとなって大きく揺れていた。何だったら、この聖杯戦争という殺し合いから逃げ出し、妻と子を連れてどこかへと行ってしまおうなどと考えてもいた。
「──」
口にくわえたタバコを手に取ろうとすると、その手が震えているのが分かった。
昔の衛宮切嗣という人間は、もっと冷酷な人間だった。しかし、愛する者を得た今となっては、その冷酷さはなりを潜めてしまっていた。アイリスフィール、イリヤスフィールという存在が彼の歯車を狂わせてしまっていたのだ。
「……ふぅ」
切嗣はぼうっと天井へと立ち昇る紫煙を見つめた。
イアソンは、現在は用意させた一室でゆっくりとくつろいでいた。ホムンクルスのメイドたちに身の回りの世話をさせ、本人は用意させた食事に舌堤をうったり、眠くなったら昼寝をするなどだらけた生活を送っていた。
時折アイリスフィールが戦いに出向くように説得するが、やはり首を縦にふることはなかった。
イアソンは昨夜サーヴァント同士の戦いがあったことを、アイリスフィールから聞かされていた。とりわけ興味なかったため聞き流していた。
イアソンは外を見た。太陽はとっくに沈み、今は月と数々の星が空を彩っていた。彼はしばらくの間夜空を見上げると、つまらなさそうな顔をしてコップに入れられたワインを流し込んだ。
「……フン、まったく馬鹿馬鹿しい」
彼は目を閉じた。その瞼に何が映っているのかは、イアソン本人にしか分からなかった。
「ヘラクレス、メディア、アスクレピオス、アタランテ、カストール、ポルックス、オルペウス、リュンケウス──」
彼は静かに、ゆっくりと次々に人名を口にした。それらは皆アルゴー船に乗っていた者たちの名だった。
「聖杯、か。……どうせ、ロクでもないものに違いない」
イアソンはゆっくりと、微睡みに落ちていった。
このサーヴァントという身は、泡沫の存在だ。故に、彼は夢を見る。眠る必要は別にないのだ。だが、彼は眠る。そのたびに夢見るは、己の人生だった。
「……くだらん」
彼はポツリと呟いた。
彼には一つの願いがある。聖杯というものの存在は眉唾物だし、実際に願いを叶えられる類のものではないと思っている。それは彼の今までの経験則がそうさせていた。しかし、この二度目の生といえる物を手にしてから、時々思うのだ。
もしも、もしも────
陳宮は柳洞寺の門の前に立ち、真正面に広がる光景を見つめた。
森と、長い階段。そしてその先には冬木の町がある──
「これは軍師の勘ですが……今夜、誰かが死にますね。間違いなく」
陳宮は階段を下りながら呟くように言った。
「この時代に来て、指示する軍団はなく、呂布奉先も居ない。味方はこの私の身一つ。……いやはや、中々に燃えてきますね」
そして、道路まで出ると彼の背後から、無数の光が発生した。その無数の光を背にしながら、陳宮は口の端を吊り上げた。
「──この時代にも良き兵器があるものです。それでは、行くとしましょう」
さて、ケイネスはバーサーカーと、そのマスターを見つけようと意気揚々と町へと繰り出した。魔術的な操作を行えば、あちこちに魔術の痕跡があった。しかし、それらは主にどこかのマスターが放った使い魔のものであり、バーサーカーのマスターの手がかりといえるものは一向に見つからなかった。
カリヤという名前のみが明らかになってはいるが、冬木市の住民ならば市役所なりに行って調べれば、その所在は明らかになるだろう。しかし、町の外から来た魔術師ではそうもいかないだろう。そもそも、市役所に忍び込んで調べるなど、ケイネスのプライドが許さなかった。
サーヴァントを同行させ、街中を無防備に見えるようにうろつけば、餌に釣られた者がやってくるかと思っていたが、その餌にかかる者もいなかった。
次の手を考え始めたケイネスだったが、その時彼の前に一人の老人が姿を現した。言わずもがな、間桐臓硯であった。突如現れたこの魔術師に、ケイネスは身構え、ランサーはケイネスをかばいつつ、いつでも攻撃できるような体制を取った。
「そう警戒する必要は無い。貴様らは雁夜を探しておるのじゃろう?」
「──御老人、どこでそれを?」
「カカッ、なあに。長く生きておれば自然と分かることもあるのじゃよ。お主は決闘に横やりを入れられ、怒りを覚えている……そうじゃろう?」
「…………」
ケイネスは答えなかった。
この己の目の前にいる老人は、己よりもはるかに長く生きてきており、かつ時計塔の魔術師たちよりも遥かに狡猾であるということを、本能的に悟っていたからだ。彼が感じた感想をを一言で表現するのならば、間桐臓硯は怪物のようだった。
下手に答えて、あちらの思惑に乗ることは避けたかったのだ。
「ダンマリか? まあ良い。雁夜じゃが、ホレ。あちらの道を歩けば出会うじゃろうて」
と臓硯は杖で、一つの道を指した。
彼の調子から、嘘を言っているような様子は見られなかった。
「罠だと思うもよし。儂を信じて突き進むもよし。なあに、老人の戯言じゃ。信じる信じないは自由」
と、臓硯は体を無数の羽虫へと変化させ、その場から消え去った。
残されたケイネスはしばらくの間考え、臓硯が指し示した道へ進むことを選んだ。
「それで良いのですか? どうにも、あの老人は──」
ランサーはきょとんと問いかけた。それにケイネスは答えた。
「確かに、ヤツは得体が知れない。だが、それがどうかした? 罠であろうとも、破ってしまえば良いだけのこと。ゆくぞ、ランサー」
そのケイネスの言葉と行動は、一見無謀に思えたが、彼の魔術師としての力量はかなり高く、戦闘も十分にこなせる。つまり、実力からくる自信による行動だった。
彼らは臓硯が指し示した道へと進んでいった。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」
ウェイバーは船の上で叫んだ。
現在、彼はライダーの船にのり、高速で冬木市の上空を飛んでいた。船はそれなりに大きかったが、夜空に紛れるようにし、高度もそれなりにあったため、地上から発見されることはそうそうないだろう。故に、神秘の隠匿については問題なかった。
「はははは、マスター。そう驚く必要がありますか?」
「お、おまっ! いきなり家を出たと思ったら、いきなり船が空を飛ぶんだぞ!? 驚くなと言う方が無理があるだろ!」
ウェイバーは、船の舵を操りながら自分の驚き様に笑うバーソロミューへと怒鳴った。
「そもそも、何で空を飛んでいるんだよ! オマエ、近代の英雄だろ!? 神話の時代とかの英雄なら、空を飛ぶ船を持っていたって不思議じゃないけど、オマエが生前乗っていた船はただの船じゃなかったのか!?」
「もちろん。私が生前に乗っていた船は、魔術やら神秘やらとは何ら関係ないありふれた船ですよ。ですが、こうしてサーヴァントとして召喚され、神秘を手にしたため、私の船は海だけではなく、地上や空の走行も可能としたのです。いやはや、これは略奪の幅が広がりますねえ」
ウェイバーはその理屈にあまり納得がいかなかったが、それでも船が空を飛んでいるという事実を受け止めた。
「で、これから相手のところに向かうんだよな?」
「ええ、貴方が指示した場所へと。戦いの際は危険なので、私の船に乗っていれば十分ですとも。……そろそろ着きますよ!」
バーソロミューは舵を操作し、船の高度を落として地上に着陸する準備に入った。
今まで何名かに死亡フラグは立てたつもりです。何本旗立ってるかなぁ……?
さあ、いよいよ二回目の戦闘が始まります。
次回は8月16日に投稿します。