ポケモントレーナーによる匿名掲示板ss(仮題)   作:風剣

6 / 15
・今までとは少々異なる形式、三人称視点あり
・慣れない構成して文字数もやたら多くなってしまった、次からは普通に掲示板やるか三人称と掲示板で話を分けますもう二度と一話に纏めたりするもんか
・勢いしか考慮してないから設定とか解釈違いとかには目をつぶってください
・ポケモンコンテストに関する需要もあるのは理解したのでちゃんと書きます感想と評価くれれば筆も進むと思います
・前話更新してから半日程度ではありましたが日刊2位でした本当にありがとう


降臨のメガカビゴン/バトル雑談スレPart209

 

1.名無しのトレーナー

ここはトレーナーたちによるポケモンバトルについて語るスレです。バトルに関する談義、相談、大会について存分に語り合いましょう。

前スレ【URL】

過去スレ【URL】

 

2.名無しのトレーナー

>>1乙

 

3.名無しのトレーナー

おつおつ

 

4.名無しのトレーナー

>>1 立て乙

いよいよ始まるな7戦目

 

5.名無しのトレーナー

カズナリさん結構応援してるから楽しみにしてる

 

6.名無しのトレーナー

前回参戦したシンオウリーグで過去ジョウトでボコボコにされたエリートトレーナーにリベンジした時のバトルはすごく熱かった

 

7.名無しのトレーナー

わかるアレはよかったよな

 

8.名無しのトレーナー

今日は14戦までか……一部対戦時間の被った試合もそこそこな数あるし録画は必須かなあ

 

9.名無しのトレーナー

テレビもそうだがPokeTubeにある公式アカウントの方でもリーグの配信してくれるの本当に助かってる

 

10.名無しのトレーナー

リーグ観たいって社長に要望出したらあっさり職場で観る許可出たけれど昨日から作業誰も進んでなくて試合後のデスマーチに今から目が死んでる

 

11.名無しのトレーナー

 

12.名無しのトレーナー

どうしても期限までに終わらせなきゃいけない仕事はあるからね……(遠い目)

 

13.名無しのトレーナー

あながち他人事じゃなくて草枯れる

 

14.名無しのトレーナー

かなしいなあ

 

15.名無しのトレーナー

普通にリーグ観させてくれる辺り温情はあるがノルマに対しては厳しい

 

16.名無しのトレーナー

当然なんだよなあ

 

17.名無しのトレーナー

もうすぐやる試合に出るブリーダーの娘どっかで見たんだけどなあどこだったっけ……?

 

18.名無しのトレーナー

>>17

あーヨシナちゃんでしょ?まだカビゴンしかリーグで使ってないの

そりゃトレーナーなら旅もバトルもやるだろうしどこかの街で顔を合わせたんじゃない?

 

 

19.名無しのトレーナー

そうだったっけなあ……割りと最近だった筈なんだが

 

20.名無しのトレーナー

というか我このブリーダーのこと今日初めて知ったんじゃが観客席見るに結構人気っぽい?

どんなトレーナーなの?

 

21.名無しのトレーナー

やばい奴

 

22.名無しのトレーナー

やべー奴

 

23.名無しのトレーナー

何年か前ドキュメンタリーに出た時は自分のポケモンのための農地をホウエンに8つは持ってた筈そのほとんどはグラードンカイオーガ騒動で壊滅したけれど

 

24.名無しのトレーナー

アッ……

 

25.名無しのトレーナー

あれは……悲しい事件でしたね……

 

26.名無しのトレーナー

ルビーさんがやってくれなければあの人がマグマ団アクア団滅ぼしてたまである

 

27.名無しのトレーナー

ああ思い出した去年うちのマーケットで取り扱うようになった人工生産トロピウスバナナ生産してる農家の人やんけ!

 

28.名無しのトレーナー

マジかよガチ農家やんどうやって8のジムとリーグ予選突破したんや

 

29.名無しのトレーナー

まあ、うん

見ればわかるさ

多分

 

30.名無しのトレーナー

くるぞ

 

31.名無しのトレーナー

よっしゃきた

 

 

 

 

 

***

 

 

少なからず。身体が強張っているのは自覚していた。

 

「すぅうううううう……………………」

 

 吸い、吐く。吸い、吐く。その繰り返しで良い。無駄な力を抜くようにして、深い呼吸を行い──それで、緊張は解けた。

 残るのは純粋な闘志。

 知識はある。経験も積み重ねてきた。自身のポケモンに対する信頼はこのリーグに参戦するどのトレーナーにも劣りはしないという自負がある。

 ならば、後は挑むのみ。

 

 協力してくれた仲間たちとともに積み重ねてきた研鑽と努力に、信頼を寄せる相棒たち。それらに恥じることのない闘いをするだけだ。

 

 迷いのない足取りで薄暗い通路を突き進んでいき、自分たちに用意された舞台へと向かって。眩い光へと照らされた通路の先へと歩み、そして――ポケモンリーグの部隊となるフィールドに、足を踏み入れる。

 

『『『――あぁああああ……!!』』』

 

 観客の熱狂が肌を打つ。数えるのも鬱陶しくなるほどの視線が突き刺さるが、それに怯むような性質の持ち主であればそもそもこのような場に立っていたりはしない。

 フィールドの向かい側に立つ、自分たちの対戦相手となるトレーナーに視線を向ける。彼もまた会場の熱量に圧倒された様子をみせることもなく佇み、熱く、しかし冷静にこちらを推し量るような視線を向けてきていた。

 

『さあ注目の組み合わせがただ今交錯を遂げました! ジョウトマダツボミの塔の寺社を抜け8つのバッジを集め、ジョウト、ホウエンのリーグで辛酸を舐めさせられながらもシンオウでは3回戦まで駒を進めた破戒僧カズナリ氏と! これまでカビゴン「のみ」を使用し、イッシュポケモンリーグ予選を勝ち進んできたポケモンブリーダーヨシナ氏!

 過去の敗北を糧に鍛錬を重ねこのリーグにおける優勝候補の1人にまで至ったカズナリ氏とカビゴンの圧倒的タフネスとパワープレイで予選を勝ち抜き未だにその全貌を明かさないダークホースであるヨシナ氏の勝負は、果たしてどのようなものとなるのか!』

 

 一段と上がる会場のボルテージ。随分と大袈裟な解説に、思わず苦笑させられる。

 そりゃあ隠している手札の一つ二つくらいは当然あるが、自分が使うポケモンはカビゴンだけなのに全貌も何もありはしない。使用するポケモンはきちんと登録している以上本当に知らないということはない筈で、であればこの紹介も演出の一環でしかないのだろうが──こうして当事者の一人としてフィールドにたってみると、なかなか上手いものだと実感せざるをえないものがある。

 ここまで盛り上げられては今更後に引けはしない。であれば……こちらも、上手く観客の熱気を煽ってやるというものが、良いエンターテイメントというものだろう。

 

『ルールは3対3! 事前に登録した5体に自由枠を加えた6体から選出した3体によるシングルバトルです! リーグ一回戦におけるフィールドは共通でノーマル! 特徴らしい特徴に欠けたごくごく平凡なステージですが、だからこそ最もポケモンとトレーナーの地力を問われるバトルとなるでしょう!』

 

「──これより!キキョウシティのカズナリ、ハジツゲタウンのヨシナによる、リーグ1回戦第7試合を開始します!では――」

 

「行くよ。度肝を抜いてやりましょう――」

 

 手持ちのカビゴンが入ったモンスターボールの一つを握り、彼にのみ聞こえる程度の大きさで呟く。審判が合図を出すのに応じ、僧衣の巨漢と同時に腕を振り上げる。

 

「――グランド!」

 

 

 

 

***

 

 

43.名無しのトレーナー

え、でかくね?

 

44.名無しのトレーナー

でかい

 

45.名無しのトレーナー

太い

あと微妙に毛深い気がする

 

46.名無しのトレーナー

3メートル近くは確実にあるな

 

47.名無しのトレーナー

太さはそこまで違和感は感じんな

平均のカビゴンより一回りでかいくらいか

 

48.名無しのトレーナー

カズナリはゲンガーかよ完全にメタって来てるやんけ

 

49.名無しのトレーナー

いやこれ無理だろ

近づかれないようにしながら中遠距離から技打ちまくれば終わりじゃん

 

50.名無しのトレーナー

リーグでカビゴンなかなか選出されない理由の一端よな

ハガネール程のリーチも持たず鈍足を補える範囲攻撃も少なく

特に今回なんて地震だって浮遊できるゲンガーには通じんやろ

 

51.名無しのトレーナー

無理ですねこれは次のポケモンに変えるしかない

そう思ったそこの貴方

ヨシナさん、登録してる5体全部カビゴンなんですよ……(協会の公式サイトを見よう)

 

52.名無しのトレーナー

……??

 

53.名無しのトレーナー

嘘だろ

 

54.名無しのトレーナー

本当でした

27326175248.jpg

 

55.名無しのトレーナー

草……(震え声)

 

56.名無しのトレーナー

どうやって予選勝ち進んだんよ

 

57.名無しのトレーナー

この先想像してニヤニヤしてる

くるぞメガカビゴン

 

58.名無しのトレーナー

あ、シャドボでフィールドの視界潰された

 

58.名無しのトレーナー

詰みましたねこれ

メガカビゴンってなんだy

 

59.名無しのトレーナー

!?!?!?

 

60.名無しのトレーナー

えっ

 

61.名無しのトレーナー

え、なに???なに?

は?

 

62.名無しのトレーナー

見えなかった

 

63.名無しのトレーナー

何があったし

 

64.名無しのトレーナー

いや何でゲンガー叩き潰されてんねん

 

 

 

 

 

***

 

 

「っ……!」

 

 揺れるフィールド。総身を揺るがした衝撃に顔を歪め――破戒僧のカズナリは、熱狂から一転して静まり返ったリーグのフィールドで繰り出したばかりだったゲンガーの居た場所を見遣り、絶句する。

 

「馬鹿な……」

 

 顔見知り、という訳でもないが。もともと、今回の対戦相手でもあったポケモンブリーダーについては、一定の警戒と共にその存在を認知していた。

 何せカビゴン6体──恐らくリーグ本戦においても当然のように自由枠にもカビゴンを据えているだろう――ただ一種のポケモンのみでパーティを編成して予選を突破した女だ。決してまぐれで片付けて良いものではない。どうしても無視できる領域を超えていた。

 だから、誰が見ても口を揃えて頭がおかしいと言うだろう手持ちのバランスの狂った相手に対しても、確実に打ち破るつもりで戦略を練った。

 

 カビゴンの鈍足についてアドバンテージとして捉えはしなかった。かつて同輩であった坊主に貰い受けた*1予選の映像においても、幾ら攻撃を浴びようとも何度距離を取られようとも、ヨシナのカビゴンは訪れた好機を逃すことなく相手のポケモンを捕らえ、強烈な一撃で戦闘不能に陥れていた。

 故に、接近は下策。一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)ですら確実ではないと受け入れて。一番手にノーマル攻撃の通用しないゲンガーを選出した上で、呪い、道連れ、毒毒、気合玉やリーフストームなど、搦め手で着実にダメージを刻み込んだあとから高火力で葬らんと3体のポケモンを編成して。初手では本来ノーマルポケモンに通用しないシャドーボールを足元に打ち込み、粉塵と煙幕で視界を遮りながら気合玉を複数度命中させ戦況を有利に持ち込もうとして――煙幕を突き破って現れたなにかに、やられた。

 

『――』

 

 ()()()()()()()()()。口の端から気炎を漏らすカビゴンのようなナニカの纏う尋常ならざる覇気に、ポケモンに一番言ってはいけない言葉(バケモノめ)を言いそうになったのを呑み込んで。脂汗を流しながら唸る。

 

「なんなんだ、一体。――本当に、そのポケモンはカビゴンなのか?」

 

「勿論」

 

 にこやかな笑顔だった。閉口したカズナリに、何がおかしかったのかあからさまにテンションを上げたヨシナはゲンガーを組み敷く自身のカビゴン──あっという間に距離を潰してゲンガーを捕らえ、浮遊をしての離脱も許さぬまま持ち上げた片腕で「地震」を打ち込んだ、グランドと呼んだ巨体を見守りながら語る。

 

「ねえ、カズナリさん。貴方――カビゴンが一日でどれだけの食べ物を食べるか知ってる?」

 

「400キロ、だったろう」

 

「正解☆ では第二問――こればっかりは本当に自慢させて貰いたいのだけれど――これだけの量をきちんと毎日手持ちのカビゴンに食べさせられるトレーナーは、果たして全国にどれだけいるでしょうか??」

 

「………………………………おいおいおい」

 

 まさか、とは思う。

 そんなトレーナー、いる訳ない。ただでさえあらゆるポケモンの中でも随一の大食漢であろうカビゴンが満腹になるまでの食糧を毎日提供することのできるトレーナーなどたった一人を除いている筈がないのだ。いるとしても精々トレーナーですらない大貴族か何かだろうし、カビゴンを複数体抱えていては普通に貴族も破産する。

 それでも、本来自分を満足させることのできる量の1割も食べられなかったとしても、カビゴンはトレーナーの指示に従って戦うのだ。確かなタフネスと腕力を持った、強力なポケモンの1体として。

 ではもし、それが、常に空腹に悩まされていて。それでもなお今ある環境の中で自身に最大限の食事をさせてくれるトレーナーのために戦っているのだとしたら。

 空腹の状態でさえその体力と膂力において一定以上の評価を下されるカビゴンが、目の前のトレーナーが抱える、常に満腹で在れる環境に巡り合えたら。一体それは、どう化ける――?

 

 その疑問に対しても、ヨシナは慈母のような微笑みのまま肯定した。

 それはまるで13の農場をカビゴンのためだけに運営してのけた彼女の恩に報いるかのようにカビゴンの見せた更なる力を、世界に誇示するかのようで。

 

「ええ。残念ながら今の私でも、6体を養うのには大体腹9分目くらいまでしか食べさせてあげることはできないけれど。それでも、彼らは応えてくれた――」

 

 

 

 

 

***

 

 

188.名無しのトレーナー

いやその理論はおかしいと思います()

 

189.名無しのトレーナー

メガカビゴンひっさげてリーグに殴り込んできたやべー奴

 

190.名無しのトレーナー

ええ……

 

191.名無しのトレーナー

「満腹のカビゴンはポケモンにて最強」ドヤア

 

192.名無しのトレーナー

なにを言ってるのこの怪人……

 

193.名無しのトレーナー

怖い

 

199.名無しのトレーナー

やばすぎるんだが

 

200.名無しのトレーナー

頭おかしいよこいつ……

 

201.名無しのトレーナー

全く参考にできねえポケモン談義本当にありがとうございます試合再開してください

 

202.名無しのトレーナー

やばいやばい言ってるけれどこの人普通に自分のポケモン満腹にできる手段探してただけなんだよなあ

なんだかんだでカビゴンの数も増えてより必要な土地と技術と金が増しただけで

うん実現した辺りやっぱ狂ってるわ

 

203.名無しのトレーナー

やばい

 

204.名無しのトレーナー

ここまでくるともう偏執的だわマジでやべえ

 

205.名無しのトレーナー

>>201

普通に聞き入っちゃったけれどそういえばまだ審判判定くだしてねえな

 

206.名無しのトレーナー

おらはよ試合再開しろよあくするんだよ

 

207.名無しのトレーナー

これ肝心のメタ要員であるゲンガーを落とされたんだよね

カビゴン無双くるー?

 

208.名無しのトレーナー

ん?ちょっと違和感

 

209.名無しのトレーナー

これは……

 

210.名無しのトレーナー

ヨシナさん自分語りでやらかしましたねえ

 

 

 

 

***

 

 

「……ところで、審判? 既に1体、倒してるはずだけど……」

 

 ポケモン自慢が過ぎて軽く悦に入ってしまっていたことを自覚したのか、恥じらうように頬を染めて。未だに反応を見せることなく沈黙する主審に、ヨシナが疑問符を浮かべ問いかけると、沈黙を貫いていた彼は――重々しく、首を振った。

 まだです、と。

 

「っ、グランド」

 

「痛み分けぇ!!」

 

 驚愕も露わにカビゴンに止めの指示を出そうとしていたヨシナの声よりも早く、破戒僧の指示が飛ぶ。

「地震」のインパクトと同時に叩きつけられ地面に半ばまで埋まったゲンガーと、それに圧し掛かるカビゴンを穿つようにして、双方の影から黒刃が飛び出し身体を貫いた。

 ゲンガーには、カビゴンの有り余る体力を。

 カビゴンには、瀕死寸前まで追い込まれたゲンガーの受けた強烈なダメージを。

 互いの損耗が均等になるように、ダメージが分配される。

 では、瀕死して当然のダメージを受けて尚ゲンガーがその技を打てたのは何故か。

 ヨシナはフィールドに落ちた、既に役目を果たしたゲンガーの持ち物を確認し己の失態を呪うように唸った。

 

「気合の、タスキ……」

 

「――グゥォオ!!」

 

「飛べ、ゲンガー!」

 

 苦悶の唸り声をあげるカビゴンの一撃を透過したゲンガーが浮遊、カビゴンの腕も届かない上空へと避難する。

 この時点でカズナリの勝ち筋は固定された。それしか残っていなかった。

 

(既に痛み分けで体力は削れている、気合玉を安全圏から連打して数発当てればこのカビゴンは撃破できる筈だ! 流石に2体目は気合玉だけで撃破しきれないかもしれないがそれでもいい。ゲンガーに道連れを挟み込ませてこの狂ったスペックのカビゴンを撃破する……!)

 

「ゲンガー、気合玉!」

 

 上空でエネルギーを収束させ狙いを定めるゲンガー。

この程度ではあのカビゴンであれば一跳びで届くだろうが、それよりも早く命中させれば動きも止められる筈だ。逆に一度でも跳躍されてしまったら、ゲンガーを気合玉ごと粉砕されてもおかしくない。

 

「ぬぅぅぅうう」

 

「今だ……!」

 

跳躍のためだろう、カビゴンがその巨体を沈め力を溜め込むのを見計らっての指示に従い、ゲンガーが気合玉を放つ。

格闘タイプの気合玉はカビゴンに対し効果抜群。直進するだけならともかくあの巨体で気合玉を咄嗟にかわすだけの回避行動をすることは不可能。痛み分けによるダメージに加えて気合玉さえ命中すれば最早グランドに2発目を受け止められる体力は残ってはいまい──。

そんな希望も、再びの轟音と、真上に飛ばされていった気合玉、視界から消え、そしてフィールドを砕くようにして着地したカビゴンによって打ち砕かれた。

 

腕の体毛を軽く焼き焦がしながらも、その表情は晴れやかで。砲弾さながらに飛び出したカビゴンの口には、気合玉を放った直後に「噛み砕く」を浴びたゲンガーが瀕死になってくわえられてた。

そしてフィールドには、圧倒的な力をみせたカビゴンの一挙一動による破壊痕を除いたものは少ない。精々が初擊のシャドーボールくらいのもので──気合玉が爆ぜた痕跡もない。

カズナリは絶句する。つまり今のは見間違いではなく……

 

「気合玉を……殴り飛ばしたのか……!」

 

 ふざけるなと言いたくなる。

 先のゲンガーを捕らえてからの「地震」や、今ゲンガーを仕留めた際の高速機動についてはもはや何も言うまい。ごく普通のカビゴンですらその身体能力を発揮した時にはその巨体に見合わぬ凄まじい跳躍力を発揮することもあるのだ――満腹の状態となった眼前のカビゴン「たち」が、少なくとも腕力に劣ることはあるまい脚力を最大限発揮し攻撃に移った場合の瞬間速度は、それこそ速さを売りとする飛行ポケモンにも勝る脅威となろう。

 だが、よりにもよって相手に対して最大の火力源であった気合玉をほとんどノーダメージで凌がれ、「道連れ」さえ挟み込むこともできずにゲンガーを撃墜されて。こうまでされて動揺しないで居られるほどカズナリは修行を積めてはいない。

 次のポケモンを構えながらも狼狽する破戒僧に対し、ヨシナもまた消耗しているグランドをボールに戻しながら冷や汗を拭う*2

 

「私も、今のはかなり危ないと思ったわ。だけど、ええ――グランドは、私のカビゴンの中でも一番全力の防衛を潜り抜けてのつまみ食いの速度が速いの。多分純粋な瞬発力と動体視力なら熟練のかくとうポケモンにも劣らないんじゃないかしら」

 

「……」

 

 煽っているのだろうかこれは。

 いや普通に惚気てやがる。

 

 どうあれ、敗北がほとんど確定した状況であるとしてもこの激情を止めてやる理由にはなり得なかった。

 ボールを割りかねない勢いでフィールドに叩きつけ、相手の繰り出したカビゴンと向かい合ったウツボットに青筋を浮かべながら指示を出す。

 

「――リーフストぉぉぉームっ(死に晒せぇっ)!!」

 

「粉砕するわよ、マックス。ギガインパクト」

 

 

 

 

 

 

466.名無しのトレーナー

勝負ありか

 

467.名無しのトレーナー

こだわり?ハチマキ持ちのカビゴンが強すぎた

 

468.名無しのトレーナー

ウツボット真正面からぶっ飛ばしてたからな

 

469.名無しのトレーナー

カズナリさんには申し訳ないが最後に出てきたヨルノズクの催眠術を物凄い機敏な動作で回避してたのには草はえた

 

470.名無しのトレーナー

よくやったよ……とんでもない災害だった

 

471.名無しのトレーナー

オダマキ博士が学会で見覚えある名前と連名で見計らったように論文発表してるの草

なんだよカビゴン【まんぷくのすがた】って

 

472.名無しのトレーナー

ああ道理で

それこそ満腹で過ごせてるカビゴンの観察誌とか最高の研究題材のひとつだろうしポケモン博士たちにかけあって持ち主のいなくなった農場や土地を確保したんか

 

473.名無しのトレーナー

人材の活用やな

企業と取引したトロピウスバナナもきっとカビゴン用の果実を開発した成果のひとつなんやろうなあ

 

474.名無しのトレーナー

それにしたって13の農場なんぞ一介のブリーダーがどうやって運営しとるんや石油王に嫁ぐ選択肢はなかったんか

 

475.名無しのトレーナー

カビゴン6体とか石油王でも真顔になって追い出すレベル

 

476.名無しのトレーナー

王族だってお断りだわ

だからって野良に捨てて良い訳じゃないぞ街のレストランやショップ、スーパーに掛け合えば売れ残りや残飯なんかの廃棄品を安く大量に仕入れて食わせてやれるからな

 

477.名無しのトレーナー

>>476

有能

 

478.名無しのトレーナー

>>476

これはガチで有能

わかってるじゃねえか……

 

479.名無しのトレーナー

ほんそれ

寝てるイメージ先行してるし普通に1日の大半寝てたりしてるけれど路上でずっと眠ってるカビゴン満足に食えてない説すらあるからな

 

480.赤

ああポケモンの笛吹いた時カビゴンが襲い掛かってきたのってそういう……やっぱ腹減ってたんだな

 

481.破戒僧カズナリ

こんなに疲れたバトル初めてだわ

マジあのブリーダーいつか泣かす、ハメ倒してやる

 

482.赤

というかこれ満腹の姿だったんだなあ

いっぱい食ってたら微妙に毛深くなってパワフルになったから遅めの成長期かなって思ってた

でも1体ならともかく6体はとても無理だよ、ヨシナさん? 本当に凄い人だなあ

28362761169.jpg

 

482.名無しのトレーナー

!!??

 

483.名無しのトレーナー

チャンピオン出没してるやんけwwwww

いや待って

は??????

 

484.名無しのトレーナー

 

485.破戒僧カズナリ

!!??

 

486.名無しのトレーナー

は????

 

485.名無しのトレーナー

びっくりしすぎて椅子ごとひっくり返った

 

486.名無しのトレーナー

ドンガラガッシャーン

 

*1
寺育ちのS「私は貸したんだぞ? お前今回こそはちゃんと返すんだろうな? なあ??」

*2
ちょっと、少しだけ、やられたかと思っていた




カビゴン【満腹の姿】
・筆者が一番やりたかった奴。悪ノリが過ぎるよなごめん。でも設定組んでる時が一番楽しかったです。
・自分のカビゴンを見ていたヨシナの「なんか私のカビゴン他とは違う気がする…(色眼鏡込み)」を発端に提唱された「1日400キロ食ったカビゴンめちゃくちゃ強い説」。
・特性「めんえき」「あついしぼう」を標準搭載。おなかいっぱいである限り全能力4段階上昇
・ぶっちゃけ農場8つ程度じゃ普通に足りなかった
・だがマグマアクア団は許さな
・赤帽子のカビゴンが最近めちゃくちゃ強いらしい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。