I want to know   作:Honorific88

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第1話

 ーお前、気になるやつとかいないの?-

 23歳の誕生日。10年来の親友に言われた言葉なぜか、心に刺さるような感じがした。

 

 6月の中旬となると、全国的に梅雨に関するニュースが多く取り上げられている。中でもどこかで起きた大規模豪雨による土砂災害によって多くの被害が出ているんだとか。

 学校も梅雨の影響を受けて廊下の床は湿度で濡れており、走って足を滑らせて保健室へ行った友人の痛々しい顔は当分いじりのネタになるだろう。

夕方を迎え、どこかしらからで野球部の甲子園に向けて応援間の練習をしている吹奏楽部の演奏が聞こえる。

 この時間帯であれば帰宅部はほとんどが家に帰り、部活動生は最も集中している時間帯だろう。

 バイトの時間までは大体後1時間ほど。バイト先は幸い学校と家の中間点で10分程度で着くことができる。残念ながらいつもはシフトが同じ友人は部活の大会が近いということで当分は部活に専念するそうで、代理の人が今日は来るらしい。

 バイト先は何の変哲もないコンビニ。いつも通りにタイムカードを通して制服に着替え、いつも通りにレジを交代し、いつも通りレジ打ちを行う。ただいつもと違うのはあいつがいないこと。友人の代わりの人はまだ来ないらしく、いつも優しい店長はいつも通り心配性を発揮している。

「ねぇ、今日の代わりの子。いつ来るとか聞いてないわよね?」

「さすがに今日誰が来るかなんて知りませんから・・・。あいつに聞いてみればわかるかもしれませんが、たぶん今頃部活に熱中しすぎて電話に築かないでしょうし」

「それもそうよね・・・・」

バイトが始まってから早1時間ほど。いまだに来る気配のない代わりの人に店長は誘拐でもされたんじゃないかと心配してさっきから携帯のキーパッドを呼び出しては“110”と打とうとしては消している。そろそろ代わりの人は来ないのだろうか。マジで通報するぞ、この人。

「遅れてすみません!ちょっと先生に呼び出されちゃって」

 バイト先に遅れてようやくやってきた友人の代わり。同じ学校の同級生でいつも教室の片隅にいる俺とは正反対にいるような。太陽のような明るい女の子。

「飯田君だよね?同じクラスの」

 彼女はいつも周りに気を配ることができて友人も多く、同級生の名前を全員分覚えているような子だ。俺の名前を知っているのもある意味当然なのだろう。

「そうだよ。今日はよろしくね斎藤さん」

 

これが、彼女とのハジマリ。

この日から俺は少しづつ変わってゆく。

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