「いきなりなんの話をするんだ?俺たちまだ23で仕事もこれからが大事って時に恋愛にうつつ抜かしてる暇なんてねぇよ」
「いやいや。お前の仕事的には今後の出世具合を決める時期なんだろうけどよ?お前のそういった浮ついた話を聞いたことがなかったからよ」
「そうだぞ。少なくとも一人くらいいただろう?今まで好きになったやつくらいは」
「俺、こいつが好きになったやつ知ってるぞ」
「「なにそれkwsk」」
なぜ俺の恋愛事情となると気に限ってこいつらは元気になるのだろうか?
特に中の良かった同級生3人との飲み会はまだ始まったばかりではあるが既に帰りたくなってしまている俺を一体だれが責められるのだろう。
いつもとは少し違う。友人の代わりとしてクラスの華である斎藤さんが同じシフトでバイトをすることになった。ただでさえかかわりのない人とかかわることになってしまっていることで気を遣ってしまって疲れてしまった。
彼女とともにバイトをすることが疲れるというわけではないのだがそもそもの問題として、俺 はクラスの中心人物とは程遠く、関わることなんて日直の当番が一緒になった時くらいのものなのだ。さらに言ってしまえば斎藤さんは学年で1、2を争うような美人さんなんだ。そんな人に対する耐性を持ち合わせていないのだから気を遣ってしまうのは仕方ないことだと思う。仕方がないことなのだ。
バイトもあと1時間ほどで終わってしまうが、それはいたっていつも通りなので歓迎すべきことなのだ。問題は・・・
「だから!私がバイト遅れちゃって迷惑かけちゃったんだから!せめてペットボトル1本でもいいからおごらせてよ!」
「いやいや。先生に呼び出されて遅れちゃったのにおごらせるのはなんか違うと思うんだけど?」
「いいから!黙っておごらせろぉ!」
「それちょっと横暴じゃねぇ!?」
バイトに遅れてしまったからという理由で何かしらをおごろうとしてくるのだ。いつもシフトが同じ友人に関しては遅刻してくること自体が当たり前のようなやつなので、俺からしてみればもはや日常の一コマと言っても問題ないようなものなのだが・・・・。彼女はどうしてもおごろうとしてくる。
借りは作りたくない人なのだろうか。それはそれでいいことだとは思うんだけど、やることがいささか横暴すぎる気がしなくもないのだ。というよりも穏やかな人だと思ってたけど実はかなり駄々っ子なのだろうか。かなり意外に感じているのだが・・・。
「わかった!わかったよ。それなら、お茶もらってもいい?」
「え?そんなのでよかったの?てっきり、おごってもらうんだったらエナジードリンクみたいに馬鹿みたいに高いやつにするのかと思ってたんだけど」
「そんなもん飲んだこともないよ。第一、バイト前ならまだしもバイト終わった後にエナジードリンク飲んでいったいこの後俺はなにすんだよ?あとは寝るだけだぞ?」
「えぇ~ほんとかなぁ?夜のテンションでなんか変なことしてるんじゃないの?」
「そんなことする暇あったら勉強するよ。来週は1学期の期末試験だろ?」
7月から始まる夏休みの1か月前に俺の学校では期末試験を行う。というの夏休みは先生たちも働きたくないということらしく、早めに期末試験を行い、赤点の奴らの補修を夏休みまでに終わらせてしまおうという考えらしい。一応うちの学校はこの辺りでは進学校なんて言われてはいるが、模試とかで出てくる都道府県別の学校順位は全日制普通科の中では中盤程度の普通の学校。もはや一部の商業高校や農業高校よりも学校偏差値が低い状態だ。そんなんでもこの学校の怖いところは進学率は85%でほとんど全員が国公立大学へ進学し、一部は難関私立に入学する。残りの25%のうちのほとんどが公務員系の専門学校か実家の家業を継ぐ奴らなのでほとんどが自分の進路につくことができている。こんなとんでもない学校の実績の割には先生たちはさぼりたがりなのだ。
そんなもう間もなく始まるテスト期間に向けての残りの期間とこれからの勉強計画を思い出しながら話すも隣からの返事が返ってこない、ただのしかばねのようだ。っておい。
「もしかして斎藤さん?勉強できない人?」
「・・・勉強なんてしなくても、仕事には就けるでしょ?それに、今が楽しければそれでいいのよ!」
「・・・・」
かっこいいことを言っているつもりのようだが、その実はかなりしょぼい。勉強をおろそかにしているのはこの後どうするつもりなのだろう。
「ほら、そんな顔してないで早く買いに行くわよ」
でも、それを感じないような笑顔で俺の前を走っていく彼女の後ろ姿はどこか、遠く感じた。これが、彼女と俺の性格的な違いなのだろうな。彼女は俺と違ってかなりポジティブな思考をしている。
そうなりたいとは思わないが少し、うらやましく感じてしまう。