I want to know   作:Honorific88

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第3話

「つか、飯田ってあいつとは結局付き合ったのか?」

俺の恋愛事情を散々暴露してくれやがった同級生だが、さらなる追撃を見せてくれる。

いやもうほんとにやめてくれませんかね?

「・・・付き合ってたよ・・・まあ、1ヶ月でフラれたけどな。男遊びやめてくれって頼んだら」

こいつが知っているのは、高校に入ったばっかりの頃のことだ。あの時は初めて相手から告白されたので嬉しくてそのまま付き合っていたが、まぁいかんせん相手が悪すぎた。男遊びという意味で・・・。

「そっか・・・うん、まぁドンマイ?」

そもそも、あの時の俺は何を考えていたのかわからんがとにかく彼女が欲しいという一心だった。若い奴はよくそんな気分になるんじゃねぇかな?

「まぁ、お前変わったよな」

最初はどんな意味かわからなかったが、見た目のことを言っているらしい。たしかに、大学に入るまでの俺はとにかく着れればいいだろうという考えから普段着はジャージで、それ以外のTシャツやジーパンとかは親が買ってきた物だけを着ていたのだから仕方ないのかもしれない。

「それはお前らも一緒だろ」

「いや、そうかもしれないけどさ?お前アクセサリーとか身につかなかったじゃねーか」

「・・・たしかに」

あぁ。今日は厄日なのか?こいつらにバレたらあとあと面倒なことになると思っていたことが今まさに、バレそうになっている。

 

8月になると暑さが最も厳しい上に今日は雲ひとつない晴天のためか、コンビニのアイスの売り上げがとんでもないことになっている。急いで在庫を補充しても直ぐ減ってしまうのでキリがない。そして、そんな時に限って在庫の補充が来るのだから嫌になる。

期末試験から1ヶ月が過ぎ、余裕ぶっこいていた斎藤はギリギリで夏休み中の補習を回避してなんとか無事に夏休みを迎えることができていた。

あの日から時たまバイトのシフトが一緒になることが増えていて、今はそれなりに仲も良いと思う。まぁ、バイトに来るのがいつも遅いからか、仲のいい俺が炎天下の中迎えに(探しに?)行くことが多くなっているので案外デメリットの方が多いのではないかな?

今日もいつも通り遅刻している彼女見迎えに行くように、と店長からのお達しでが出たのでコンビニの制服から着替えて外へ出る。いつも迎えに行くことになった時は場所を聞くのだが、いつもいつも場所が異なるためこの辺りを探せば間違いない!、って場所は存在しないので今日もいつも通りラインで居場所を聞き出す。

 

『今、どこいんの?もうバイトの時間でっせ』

 

いつもなら直ぐにでも既読がつくのに今日はいくらか遅く感じる。まぁ、そんなこともあるだろうと10分ほど放置して歩き回るが未だに反応はない。念のためにラインを確認してみるが既読すら付いていない。流石に不安になってきたので電話を掛けてみるが、しばらく呼び出し音が鳴った後に留守電に繋がる。ひとまず連絡がつかないことを店長に報告してから斎藤を探すべく町を歩き回る。

1時間ほど歩きまわったところでとりあえず店に戻ってきてくれと店長からの連絡が入ったので、店に戻ろうとした時にスマホが着信音を奏で始める。表示されていたのはこの1時間歩き回って探していた“さいとう”の文字。こんなに長時間探し回っていた体は直ぐに頭に血が上り、電話に出ると同時に怒鳴ったが帰ってきたのは知らない男の人の声。その人の言葉に上っていた血は下がり、店長に連絡することを忘れてただただ男の人に告げられた目的地へと走った。

 

 

気がつけば目的地に着いてからどれほどの時間が経っていたのだろう。最も高い位置にいた太陽はすでに沈みかけており、窓から入り込む薄暗い夕焼けはベットの上で横たわる彼女の横顔に陰を落とす。

 

『斎藤花菜さんの親戚の方でしょうか?私、浅井病院のものですが斎藤花菜さんが先ほど救急搬送されてきたのですが・・・』

 

あの時のかけてきた電話は病院からの電話だった。斎藤が倒れたが家に電話しても繋がらず、両親とも連絡が取れない(そもそも連絡先がなかったらしい)ためそれ以外で唯一電話帳に残っていた俺に電話が来たらしい。

どうやら、バイトの掛け持ちによる過労と原因は不明だが少しの栄養失調が原因らしく、しばらくは入院して安静にしておいた方がいいらしい。加えて、両親との連絡が取れないので目が醒めるまでは代わりにここにいて欲しいとのこと(未だに斎藤の親戚と間違えられている)で、とりあえず友達の家に泊まることになったと普段から仕事が忙しいために家に帰ってくることができない親へ返信が基本ないために意味をなさなくなっている連絡を行い、こうして彼女が目覚めるまでここで待っているというわけだ。

ここまで待つ中で彼女に対していくつかの疑問が浮かんでくる。“なぜ、彼女の連絡先には親がないのか”“なぜ、親に頼って生きているのが当たり前な学生の一人である彼女は過労で倒れてしまったのか” “なぜ、栄養失調なんてことになってしまっているのか” “なぜ” “なぜ”・・・。

思考の海へと沈んで行きかけた時、彼女の目がゆっくりと開かれていくのをみる。慌てた俺はベットの上のナースコールを押して看護師が来るのを待つ。しばらくして来た看護師と医師による問診からひとまず大丈夫であろうということになった。

面会時間が終わる20時まであと1時間半程度。今更帰るのも微妙だなぁ。

そんなことを考えていたら、腕を引かれたので斎藤を見てみると・・・。

 

「私ね、家族がいないの」

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