時田「んじゃ、二人ともダイビングスーツを着てみてくれ」
伊織・耕平「「へ?」」
寿「今日は実際に装備をつけて海に出てみるぞ」
二人はダイビングスーツに着替えた。
時田「サイズはどうだ?」
耕平「ちょっと苦しい程度ですね。」
時田「隙間が出来ていなければOKだ。」
寿「じゃあ 行くぞ」
耕平「はい」
伊織「海か・・・あれ、千紗は行かないのか?」
千紗「私は店番しなきゃ」
伊織「そっか・・・じゃ、行ってくる」
千紗「あのさ 伊織」
伊織「うん?」
千紗「大学生活が始まる時・・・ワクワクした?」
伊織「ん~そう言えばしてたなぁ・・・先輩達に会う日までは・・・(汗)」
千紗「・・・と・・・とにかく楽しめると思うよ・・・(汗)」
伊織「そうか?」
そして伊織達は海へ向かった。
~海~
チャプッ
伊織と耕平は器材を装着して海に入る。
伊織「おお・・・寒くない」
時田「ドライスーツは中に温かい空気が入っているからな。」
寿「手と足と頭以外は濡れないし寒くない」
耕平「なるほど」
寿「さて、伊織は俺と組んで練習だ。」
時田「じゃあ、俺は耕平と練習だな。行くぞ。」
耕平「わかりました。」
寿「やる事は至って単純 水の中で呼吸する感覚を体験する。」
伊織「・・・はい」
寿「レギュレーターを咥えて息を吸ってみろ。」
伊織は寿に言われ通りにレギュレーターを咥え、息を吸ってみる。
すーっ すーっ
寿「どうだ?」
伊織「普通に息するのとはだいぶ感覚が違いますね。」
寿「そうだな。吸うと一気に空気が流れ込んでくる感じだろ」
伊織「それもありますが息を吸う時に若干力がいると言うか・・・」
寿「ああ 慣れないうちは意識しないと呼吸に詰まるかもな。」
伊織「そうですね。」
寿「じゃあ、実際に潜ってみろ」
伊織「・・・わかりました。」
カポッ
トプンッ
伊織はレギュレーターを咥え、海に潜る。
寿「・・・」
伊織「ぶはあっ」
ザバッ!
伊織は勢いよく海から顔を出す。
伊織「ぜーはー ぜーはー」
寿「なぁ伊織・・・」
伊織「なん・・・ですか・・・?」
寿「なぜ 息を切らしているんだ?」
伊織「苦しいからです。」
寿「お前は何の為にタンクを背負っているんだ?」
伊織「・・・怖いんですよ。水の中で息を吸うって事が」
寿「怖い?」
伊織「はい・・・」
寿「そうか・・・まぁ最初は戸惑うかもしれないがすぐに慣れるさ」
伊織「・・・じゃあ・・・もう一回やってみます。」
カポッ
ドプンッ
伊織はレギュレーター加えもう一回海に潜る。
伊織「っっ!? !?」
ゴポッ
伊織は勇気をだし目を開けるがマスクの中に水が入ってしまう。
伊織「ぶはぁ!!」
伊織は再び勢いよく海から顔を出す。
寿「どうした 大丈夫か?」
伊織「マスクの中に水が・・・」
寿「付け方が緩いのかもな貸してみろ。先にプールでやった方が良かったかもな。」
伊織は寿にマスクを渡した後、店の方を見て何かに気づく。
伊織「あれ・・・さっきのお客さんたち・・・」
それは先程の男性客二人が急いで車に乗り込んでいる様子だった。
寿「ん?ああ、そうだな」
伊織「なんか大変そうですね。お金出して時間を使って・・・あんなに忙しいのにわざわざスーツまで持ってきて・・・」
寿「ははは 頼もしいだろ」
伊織「?頼もしい?えっと・・・何の話を・・・」
寿「だってそうだろ?あの人たちは貴重な金銭や時間や労力を使ってまで潜っている。」
伊織「は はぁ・・・」
寿「それはつまり・・・海の中にはそれほどの魅力が詰まっているという証明じゃないか。」
伊織「・・・っ!」
伊織は水槽トンネルの時を思い出す。
寿「さっき 水の中が怖いと言ったな。」
寿は伊織にマスクを渡した。
伊織「すみません」
寿「謝る事はないさ。水中で空気がなくなったらなんて考えたら俺だって怖い。」
寿は伊織についているある物を手に取る。
寿「これ、なんだかわかるか?」
伊織「?え~と」
寿「こいつはオクトパスと言ってな水中で仲間が空気切れを起こした時に渡してやるんだ。」
カポッ
トプンッ
寿はオクトパスを咥え、海に潜る。
スーッ スーッ
ザパッ
寿は海から顔を出す。
寿「ウェイトベルトはつける向きが決まっているが・・・これにも理由がある。わかるか?」
伊織「いえ」
寿「何かがあった時 一緒に潜っている仲間が手早く外してやる為だ。ダイビングの器材はそうやって出来ている。自分の安全だけじゃなく一緒に潜る仲間を助けられるようにってな。水の中ってのは怖いものだが俺達はそれを知った上できちんと対策を取っている。」
伊織「でも事故がないわけじゃ・・・」
寿「確かに事故は存在する。だが、その殆どが安全確認が不十分だった場合なんだ。」
伊織「・・・」
寿「安全確認はしっかりやった。ここにはお前だけじゃなくて俺もいる。大丈夫だから根性入れて潜って来い。何があろうと助けてやる。」
伊織「・・・いよしっ!頭柔らかくなったんで行ってきます。」
寿「おう!」
トプンッ
伊織は海に潜る。
ゴポッゴポッ
伊織(・・・まったく先輩は・・・ダイビングの事となると急に真面目に・・・調子くるうよな本当に・・・)
スーッ フーッ
伊織(ん?あれ・・・今・・・もう一度・・・)
スーッ フーッ
伊織(できた・・・できた!?苦しくない全然・・・!!やった・・・)
そして伊織は海の中の景色を見る。
伊織(これが・・・水の中・・・俺の・・・知らなかった世界・・・)
そして伊織達は海から上がり、店へ戻る。
奈々華「伊織君、おかえり」
千紗「どうだった?海の中」
伊織「千紗が言っていた事がわかったよ。海の中で息ができるって凄い事なんだな・・・俺、全然泳げないのに・・・」
千紗「そうでしょ?」
伊織「千紗達が好きになのがわかるよ・・・これがダイビングなんだな。だから・・・俺、もっとやってみたい・・・っ!」
千紗「そっか・・・!」
バシャ バシャ
寿、時田、耕平の三人はドライスーツを洗っている。
寿「アレばっかりはできる事だけ選んでる奴には一生わからん喜びだな。」
時田「違いない。」
耕平「何の事ですか?」
寿「ん?お前はわからないか?」
時田「そりゃお前、アレだよ。できない事ができるようになる喜びって奴だ。」
伊織・耕平・寿・時田「「「「かんぱーい!」」」」
カンッ!
伊織と耕平は缶ジュース、時田と寿は缶ビールで乾杯する。
ゴクゴクッ!
伊織「ぷはぁーっ!」
耕平「う・・・うまいっ!」
寿「染みるだろ」
時田「塩水で口の中が塩辛くなっていたから特にクるよな。」
登志夫「ほれ、ツマミだ。」
どんっ
登志夫は伊織達に魚の刺身を提供する。
伊織・耕平「「おおーっ!」」
時田「これ、どうしたんですか?」
登志夫「近所の人にもらってな」
寿「ありがとうございます。」
時田「それにしても良かったな伊織 苦手を克服できて」
伊織「克服できたって程じゃないですけどね。」
寿「だが、新しい世界に踏み込む楽しさを知る事はできただろう?」
伊織「ありがとうございました。」
ペコッ
伊織は時田と寿に頭を下げる。
時田「随分と素直だな。」
伊織「今回ばかりは本当に感謝してますから。」
寿「いやいや、礼には及ばんさ。」
時田「そうだとも これで・・・」
ガサゴソ
時田「こっちの新世界を断る理由も無くなったわけだしな。」
時田と寿は女子高生の制服を取り出す。
伊織「嫌ですよ!男性用の服ならまだしも俺は女装趣味はありませんからね!」
寿「ええい 我儘言うな!」
時田「無理ならビールを飲んでもらうぞ!」
伊織「二人とも知ってます!?本人の意思を無視して無理矢理酒を飲ませるのは傷害罪になるんですよ!!あと、人前で全裸になったりする行為は公然わいせつ罪って事も!!なんでアンタらは捕まらないんだ!?」
耕平「北原の言う通り人前で平然と全裸になったりするのに何でこの人達は捕まらないんだ?(汗)」
千紗「不思議だよね・・・(汗)」
奈々華「伊織君 未成年なんだからお酒は駄目だからね!」
伊織「絶対に飲みませんよ!」
~翌朝 伊織の部屋~
伊織は目を覚ます。
「う~ん そういや耕平と先輩達は離れの部屋で寝てるんだっけ・・・皆の朝飯を作んないとな・・・」
伊織は起き上がろうとしたその時・・・
ガシッ! ボスッ
誰かが伊織の頭を掴み枕に叩き付ける。
伊織「え・・・っ!?」
伊織は隣を見て驚く。何と隣にはスタイルのいい黒髪の女性が寝ていた。
???「もうちょい寝ようよ・・・」
伊織「誰・・・!?」
これも時間かかった~!