セイバーが召喚されてから数刻、俺はある人物にセイバーが召喚されたのを報告するためにこの街の教会に来ていた。
「──言峰、いるか?」
「今日は珍しい客が多いな。何か用かアヴェンジャー」
礼拝堂の奥から現れた一人の男。
ここの教会の神父で10年前の聖杯戦争で生き残ったマスター、言峰綺礼である。
「その様子じゃあ、セイバーのマスターがここに来たんだな」
「──ああ。アーチャーのマスターも連れてな」
言峰はやれやれと言った感じで、肩をすくめた。
「なるほど。……セイバーが召喚されたのを報告に来たつもりだったが、もうここに来ていたとはな」
俺は振り返って、入ってきたドアの方に歩いていく
「何かを始めるのか?」
「まあねぇ」
俺はそう言って教会から出ていき、残っていたセイバーの魔力を追っていく。
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セイバーの魔力を追って歩いていると硬い物がぶつかり合う音が聞こえてきた。
俺は音がしている場所に着き、近くにあった木々に体を隠し、木の陰からその場に音がしている場所を覗いて様子を見る。
そこではセイバーと大男が戦っていて、音の正体はセイバーの剣と大男の斧剣がぶつかり合う音だった。
(この魔力、この力…… あいつはバーサーカーか。それにこの感じは神性持ちのやつだな。これは厄介だな………ん?あれは……)
バーサーカーの後ろの方に銀髪の少女が立っていた。
(あれは……今回の聖杯の器を持つホムンクルスか。バーサーカーのマスターをしているとはな。……これは一石二鳥が出来そうだな)
俺は久しぶりに自分の魔力のスイッチをいれた
「
俺がそう呟き、ある一本の武器を出現させる。
それはかつて世話になったワルキューレ達の創造神であり、北欧神話の主神オーディンの使っていた槍、グングニルである。
「
俺はホムンクルスの少女に向かってグングニルを射る。
グングニルは物凄い速さでホムンクルスに迫っていき、俺は「取った!」と思った。
しかしそこで予想外の事が起きた。
セイバーと戦っていたバーサーカーが自身のマスターに迫っているグングニルに気付き、セイバーとの戦闘を止めて自身のマスターの前に立ち塞がったのである。
(ほう!まさかマスターを庇うとは!このバーサーカー、狂化が低いのか?……まぁどうでもいい。バーサーカーは狩れたからな)
グングニルはバーサーカーの心臓部分を穿ち、バーサーカーはその場にへたりこんだ。
(まず一体……)
そう思ったその時!
「■■■■■■■■■■───!!」
バーサーカーは雄たけび上げて立ち上り、胸に突き刺さっているグングニルを抜き、こちらに投げ返してきた。
グングニルは俺の右後ろの木に刺さり、霧散した。
(……ほぅ、仕留めたとと思ったが、まさか生き返るとは……これは面倒なサーヴァントだな)
「そこにいるのは誰?!」
ホムンクルスの少女は俺の方に向かって叫び、セイバーと近くにいたセイバーのマスターもこちらの方を向く。
(……バーサーカー単体だったらここで姿を現しても狩れるが、アーチャーはまだ脱落していないから狙われるかもしれないし、下手したらセイバーがバーサーカーと手を組んで俺と戦うかもしれない。それは避けたいからな……今日のサーヴァント狩りはここで終わりにして、撤退しよっか)
俺は適当な場所に転移して、その場を離脱した。
こうして俺の最初のサーヴァント狩りは終わった。
次回もお楽しみ(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪
評価、感想お待ちしています。
新たなるアヴェンジャー一周年記念内容
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オリジナル異聞帯予告
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水着回