ギル達に追い付くと、ギルはシンジには聞こえない声で話しかけてきた。
「これを持って、ここに居てくれ」
そう言ってギルが渡して来たのはあのホムンクルスの心臓だった。
そしてギルが俺に何を言いたいのかが分かった。
(──なるほど。次にここに来た奴にこれを埋め込めろということか)
「わかった」
そう俺が返答すると、ギルはシンジの後を付いて行った。
俺はもらった心臓は腐らないようにして、半径50mの人間に反応する結界を広げ固定し、次にここに人間が来るまで眠りにつくことにした。
そして2日後、結界の中に人間がやって来たので俺は目覚める。
やって来たのは肩を負傷したシンジだった。
「どうしたんだシンジ?」
「どうしたって、見ればわかるだろ!ギルガメッシュやお前が無能だから、僕はランサーに怪我させられたんだ……!それに遠坂にも逃げられたから、聖杯はもう手に入らなくたった!クソッ!クソッ!クソッ!」
シンジは俺に向かって罵詈雑言を浴びせ、地団太を踏む。
「そう喚くな。その傷も直ぐに塞がるし、それに聖杯は作り出せる」
「はぁ?なに言ってんだお前。聖杯は優れた魔術回路がある器が無いと出来ないって、あの神父もそれを言っていた!」
「その器なら、目の前にある」
「はぁ?それはどういう──────え?」
俺は手に持っていた、あのホムンクルスの心臓をシンジに無理矢理埋め込む。
「確かに優れた魔術回路のある器の方が聖杯の完成度は高いだろう。だが、俺やギルは聖杯自体には興味は無いが、聖杯の中身に興味がある。
だから、優れた魔術回路の無いお前でもその中身を呼び出せる聖杯になるから埋め込んだ。
それに、お前は聖杯が欲しがったのだろ?だから今、お前は聖杯をくれてやったんだ」
「あ───あ、あ?」
シンジの体はどんどん膨張していき、やがてシンジは巨大な肉の塊になった。
「終わったか?」
後ろからギルがやって来て、俺に声を掛ける。
「──ああ。後はこいつが順調に成長していって、孔を開けば、俺とお前の願いがかなう」
シンジだった肉の塊は膨張と腐敗を繰り返し、どんどん大きくなっていく。
「ヴァイスよ、こいつの管理を任してもいいか?」
「構わないが、何かしに行くのか?」
「ああ。とある雑種を殺しにな」
そう言ってギルはこの場から立ち去った。
そして俺はこの肉の塊が変に暴走しないよう、魔力で制御するようにした。
─────────────────────────
──数時間後。
「ようやくここまでたどり着いた」
肉の塊は空に黒い太陽──聖杯の孔を開ける。
そして孔から黒い泥──
黒い泥が地表に落ちると、辺りの草木が死滅していって、ゆっくりとその範囲を広げて行く。
俺の足元にも黒い泥がやって来るが、俺はこの黒い泥と同じ
「──ここに至るまで数万年。世界が余計なことをしなければもう少し早くに実行出来ていただろうな」
そう言って空に浮かぶ黒い太陽に向かって手を伸ばす。
その時、後ろの方からこっちにやって来る足音が聞こえた。
俺はその足音の方を向く。
「───ようこそ、アーチャーのマスター」
「貴方は、あの時のサーヴァント!」
「サーヴァント、アヴェンジャーだ」
「──アヴェンジャー」
通常の聖杯戦争では絶対に召喚されないクラスを聞いたアーチャーのマスターは驚く。
「それにしても自分のサーヴァントを連れずにここに来るとは、素晴らしいよ。
一応聞いておこう、何しにここに来た?」
「慎二を助けて、それを破壊するのよ」
「そうか、それならその望みの一つを叶えてやろう」
そう言って俺は肉の塊に手を突っ込み、中からシンジを取り出すと、シンジをアーチャーのマスターに向けて投げ飛ばす。
「なんのつもり?!」
「ここまでこれが成長したからな、そいつはもう要らないからお前にくれてやったんだ。──さて、そいつを連れて帰ってくれないか?」
「───断るわ。本当なら今こいつを連れて帰りたいけども、その後ろの物を破壊出来なきゃあ、あいつに笑われる───わっ!」
アーチャーのマスターは、懐から大量の宝石を取り出すと、肉の塊に向けて射出する。
俺は打ち出された宝石が肉の塊に到達する前に魔術で打ち落とす。
「なるほど、それがお前の答えだな。……なら消え去れ」
アーチャーのマスターの真上に大量の魔力弾を展開し、死の雨を降らせる。
──その時だった。
「───
魔力弾に向かって強烈な風が吹き、魔力弾がアーチャーのマスター周りに着弾した。
「───セイバー」
風の正体は、セイバーの聖剣を隠す
「大丈夫ですか、凛?」
「ええ、ありがとうセイバー」
セイバーはアーチャーのマスターの状態を聞くと、こちらに剣を向けた。
(なぜセイバーがここに来る!?……この感じはアーチャーのマスターと契約しているのか!なら合点はつくか)
「セイバー、お前もこれを破壊するつもりか?」
「はい。……エルメキス、私は貴方と戦いたくはありません。ですからそこを退いてください!」
「それは無理な話だ。これで俺の願いが叶うんだ、それを邪魔する奴はお前でも容赦はしない」
それを聞いたセイバーは覚悟を決めたのか、剣を掲げ、宝具を放つ準備をする。
「させるかッ!!」
直ぐさま大量の魔力弾を展開して放とうとする。だが、魔力弾は放たれなかった。
突如して肉の塊から無数の肉の手が現れ、魔力弾を喰らっていく。
「な───に──……!?」
肉の手は魔力弾を喰らい尽くすと、今度は俺の方に襲いかかって来た。
俺は手に魔力で出来た剣を出現させて、襲いかかってくる肉の手を斬り裂いて行く。
「──チッ!俺を取り込んで完全になろうとしてやがる」
肉の手は切り落とされた所から再生し、襲いかかって来ており、チキンレース状態になる。
その時──。
「────
セイバーの宝具のチャージが完了し、極光が放たれる。
「不味い─────!!」
俺は防御する暇も無く、肉の手共々極光に呑まれる
─────────────────────────
極光に呑まれ、次に目を開けた時には、青空が広がっていた。
「──破壊されたか……」
俺が常に張っていた障壁も無くなっていて、服もボロボロだった。
「違う世界から聖杯を持ってくるかな」
そう言って俺は紫の渦を作り、その中から以前手に入れた聖杯を取り出す。
この聖杯は願いを叶える力もあの孔を開ける力も失われているが、この聖杯独自が持つ世界を渡る力は残っていた。
「───ぐっ!─────ハァ────ウッ───!」
俺はその聖杯を無理矢理体に押込み、聖杯を取り込む。
これで今まであった世界渡りの負担が聖杯が肩代わりしてくれるようになった。
「さて、行くか」
聖杯の力で虚空に穴を開け、そして俺はこの世界と同等の力を持った聖杯のある世界に向かう。
こうして一つの物語が終わり、新しい物語が始まった。
UBWルート・第5次聖杯戦争編完結。
これまで書いてきた3つのルートはそれぞれ続きがあります。
Fateルート→カルデア、strange Fake
UBWルート→アポクリファ
HFルート→ExtraCCC
となっています。
そして次回からは絶対魔獣戦線バビロニアが始まります。
メインヒロインの登場やビースト対決など様々な出来事がありますので、ご期待ください。
それでは次回もお楽しみ(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪
評価、感想お待ちしています。
新たなるアヴェンジャー一周年記念内容
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オリジナル異聞帯予告
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水着回