モチベで文章力がかなり左右してますが許せ
2017年3月23日
今日のお寝んね当番:束
過去のことがあったからと言って、今行っている行為が許せるものとは限らない。
だが彼女らは、
私は欲望に忠実になってもいいのだろうか。
私は今まで、そんな権利がないと思っていたからこそ、自分を騙し、他人を騙して計画を行ってきた。
まあ、あの三人や束は早々に見透かしているだろうが。
私とて元はただの凡人だ。
しかし、現代の雁字搦めのシステムに縛られるよりは、『愛』に溺れていた方がいいのかもしれない。ただただ社会の波に呑まれ、幸せを見い出せないままに死んでいくのも、それは愚か者の行うことだと考えている。
対価………ではないが、自分の内に眠る欲望を満たす代わりに、私は彼女らの心を救わなければならないと思っている。
ただでさえ、こんな厳しい世界で、不完全な身体を持って我々は生きているわけだ。完璧と思われる束にだって、足りないものはあった。救わなければいけない女性が押し潰されそうになっているのを、ただ見ていられるほど私は無責任ではない。
そう考えると、私はまるでシャア・アズナブルにでも精神を乗っ取られたのではないかと錯覚してしまう。
先程私は『愛』に溺れると言ったが、私が本当に欲しいのは、家族ではないだろうか。女性が欲しいと何度も思いながら、今私の周りにいるのは、私を認めてくれる者達ばかりだ。三人に至っては、擬似的な家族を形成してしまっている。
つまり私はそうしたいと潜在的に思っていたのだろう。
『ファミコン』か………。
更に考えれば、私はシャアと考えることが皮肉にも合致している。
シャアは、地球にアクシズを落とし、地球を住めない星にして人類を残らず空に上げ、強制的に人類をニュータイプへと昇華させようという計画を持っていたが、それは自分を認めてくれる『家族』を探すための建前に過ぎなかった。
私も同じだ。地球人類を選別し、地球のあるべき姿を取り戻す。結局それも建前でしか過ぎなかった。
たまに葛藤することがある。私のしていることは、ただの醜い欲望ではないのか。
建前と言えども、私だって本腰を入れて取り組んでいる筈なのだが………。
だから、本部に束が来る今日、思い切って私は彼女に相談することにした。とても恥ずかしいことだ、組織のトップである私が、そんなどうでもいい欲望の話を自ら曝け出すなどということは。
結果として、私は束に一喝されてしまった。無理もないだろう。彼女らは、曲がりなりにも私へ身を捧げていた。そんな努力を無碍にするような発言をしたのだ。当然である。
だが、同時に束は私を励ましてくれた。私自身がここにいるのは、束やスコールが、私の顕現を願ったからであると。
束は、私の我儘を、端から望んでいたのだった。
その時、私は気付いた。これまでも、人類はそうだったではないか。
初恋の人のために犠牲を重ねる
奪いたいもの全てを奪うまで暴走を止めない
人類の上に立ちたい
みんな、自分の欲望のためにしか生きていない。そして、その側には、それを支える者達がいた。
ハマーンならばマシュマー、デュランダルならばレイ・ザ・バレル、そして、私には、亡国機業と束がいる。
それを考えると、今までの悩みが波のように引いていった。
束の話を最後まで聞いた時には、踏ん切りがついていた。私は私のやりたいようにやる。
そう心に決めて、私は総帥の席で高笑いを始めた。
………のだが、元々束が来た目的は、こんな下らない話をするためではない。我ながらとても締まりが悪いと思う。
束は、彼女の妹である『篠ノ之箒』を救う(ついでに亡国機業に引き入れる)ために、小学五年生に扮し、箒の転入先へ一緒に転校して欲しいというものだった。
篠ノ之箒は、ISという分野においての、最大の被害者と言ってもいい。
ISを開発し、天災と呼ばれる束を姉に持ち、束の関係とはいえ、織斑計画の中核を担う織斑姉弟を知人に持つ、表の世界でも裏の世界でもかなりの有名人である。
個人でも、剣道のスキルがとても高く、私が8才の頃にインド旅行をしている間に全国優勝してしまうなど、目に余るものがある。
IS適正も、十中八九Sだろう。彼女は訓練を積めば、織斑千冬と並び立つ最強の操縦者になることは間違いない。
そんな彼女だが、心身はとても疲労している。
ISを作った関係者だからか、家には連日誰かが訪れるようになった。スーツを着た固い顔の男から、白衣を着た研究所の女性(束がどこかで見たような顔と言っていたことから、篝火ヒカルノと思われる)、果てはTシャツを着た半グレまで訪ねてくるようになったという。大抵は父親である篠ノ之柳員が撃退しているそうだが、箒は毎日ビクビクしながら生きていたそうだ。
更に、校内での虐めもある。男勝りな性格だから男女と呼ばれているのだ。
まあ、その辺りは忌まわしき
そんな時、ついに束が失踪した。……世間的な話だと付け加えておく。
日本政府は束を国際手配し、重要人物保護プログラムを発令させた。簡単に言えば人質作戦である。
そのため、篠ノ之一家は離散。箒は両親と離れて暮らすことになり、更に年ごとに住居を変更しなければならない。おまけに監視付きで、学校から帰ってくる度に束について事情聴取を受ける始末。
と言うわけで、そんな酷な状況におかれている箒を助けに行く。
これは束のたっての願いでもある。束は、ISを作ったことで今どれだけ箒から憎まれようと、なんやかんや言って箒を妹として愛している。ISは箒を苦しませるために作ったものではない。ただ、製作したのが皮肉にも姉だったというだけなのだ。姉妹で似通わない所が多くても、
だから二人にはいつか、普通の姉妹として幸せな暮らしを送って欲しい。
計画が終わった頃には世の中は一新され、我々は平和に暮らすことが出来る。まあ、人類の大半は洗脳されている、傍から見ればディストピアだ、と批判されそうな世界だが。
その話は今はいい。
箒を助ける方法なのだが、今の箒の状態は、言うなれば
『護衛のついた馬車に乗って、各地を練り歩くお姫様』
状態なのである。居城は最近作られたIS学園か。
近付けば護衛に止められ、最悪殺されるだろう。
だが、そんなお姫様にも、無防備な場所が一箇所だけある。
それこそが学校だ。
学校内では、箒は普通の小学生として暮らすことが出来る。校内に護衛は入ることは出来ず、彼らはGPSを確認しながら、外で道草を食っている。
そのため、私自らが小学生となって校内に入り込み、箒と仲良くなる。また、登下校の時間、護衛が箒の監視に集中している間に、護衛を亡国機業の工作員にすり替える。
こうして我々好みの土俵に作り変えた所で、亡国機業に引き入れる。これがおおまかな算段である。
引き入れた後の話だが、流石に箒が工作員になるというのは、精神的にも経験的にも難しい話だ。かと言って、このまま放っておくわけにもいかない。入学までに、ISの経験を積んでおく必要がある。
私は総帥の椅子の上で、私の上に乗っているクロエを撫でながら考えていたのだが、フワリフワリとステラのように踊っていた束が、何かを閃いたように硬直した。
そして束は、笑顔で語りかけた。
「倉持、もらっちゃおうよ」
私は少し早いと感じたが、その案に乗る事にした。
これからは暫く忙しいだろうな。
4月7日
今日のお寝んね当番:マドカ
今日は始業式の日であった。重要人物保護プログラムを管理するコンピューターをハッキングして、我々が家族として暮らしている家から通えるように、データを改竄していたのだが、家から出掛ける時にスコールが実の母親のように見えてしまった。スコールは家事は駄目な割には母性が溢れている。埋め込んである特殊ナノマシンのおかげで美貌を保っているが、実年齢はもう四十路を超えていたか。
ランドセルを背負って通学路を歩いた感想としては、長年この街で暮らしておきながら、私の気付かなかった点が多くあったので、自分の観察眼を鍛えたいと思い直した所存だ。改めて見ると、意外にも登校している小学生の数は多かった。今歩いている大通りの向こう側には、黄色い帽子を被った同じ小学生の二、三人のグループが点々と、列を成して歩いている。
ここの辺りも都会ではあるが、老朽化している建物も多く、その分過疎化が進んでいると思っていたが予想外であった。
どうやら、学区には築年数の経った長屋の他にも、ここから東に見える新築マンションも入っており、この児童らはそこの住人と思われる。
小学校にも無事辿り着き、私は転校生という事もあり、職員室に寄る予定だったのだが、職員室前の廊下に差し掛かった時、職員室へ入っていく少女の姿を目にした。
一瞬で詳細なことは分からなかったが、その少女の髪はポニーテールで束ねてあり、それは肩下まで伸びている。
彼女こそが、篠ノ之箒だった。私もそれを追って、職員室に入る。
ガラガラ、と戸を引く時、箒は女性教師と話をしていたが、音にビクッとして、こちらを振り向いていた。
これは、思っていたよりだいぶ酷いな。あんなに強気だった少女が、ここまで怯えているとは。
驚かせてすまない、と謝ったのだが、未だにビクビクしたままだ。
先生の仲介によって何とか恐怖心を取り払うことが出来たので、取り敢えず自己紹介をすることにした。
箒も自己紹介をしてきたのだが、天災科学者の妹だと知られると面倒なために、偽名を使っていた。こんな小学生の時から偽名を使うことになるとは、大変だな。
いや、俺も偽名使ってるわ。総帥としか呼ばれないし、別にそれでいいし、前世の名前なぞ覚えておきたくない。
そんなどうでもいいことは置いといて、私が『転校生同士仲良くしよう』と手を出したら、箒は恐れながらも手を出してきた。
本当はいきなり、「君を助けに来た」とか言いたいけど、こんな人間不信の状態じゃ分かってくれないだろうし、護衛に睨まれるのがオチだから厳禁である。あくまで自然に、友達にならなければいけない。
そうして、私の
5月30日
今日のお寝んね当番:オータム
転入当初のことを考えると、箒は元の凛々しい姿に殆ど戻ったと思う。
今朝、家に束が訪ねてきたのだが、教室に設置しておいた隠しカメラに映る箒の映像を見せたら、だいぶ喜んでいた。
束自身も、自分のせいで箒を苦しめたことをしっかり自覚していた。実際、箒は束のことが嫌いだろうし、ISも憎らしいと思っている。
束は、計画のためとはいえ妹を苦しませるのは本意ではないし、結果がこうなった以上助けるのは使命だと思っている。
更に言えば、私はその手助けをしているのであって、箒を真に助けることは出来ない。
箒を真に救うためには、二人が仲直りをしなければいけないのだ。
そろそろか、と思いながら、私は箒を訪ねようとした……のだが、いきなりアナウンスが入った。
クラス対抗リレーに出場する選手の招集が掛かったのだ。
今日は運動会。陽キャがはしゃぎ、陰キャが無理矢理走らされて恥をかく日である。
当人としては、走るのはもはやただの仕事だと割り切っているため、適当な速さで走って一位を掻っ攫うことにした。
因みに私は毎日腕立て伏せ腹筋背筋を千回、ランニング十キロという、どこかのヒーローに似たことをやっていた。そのおかげか、知らぬ間に身体能力が常人を遥かに超えていた。最近日曜日に放送されている、新人スポーツ選手を紹介する番組にオファーが来そう。余談であるが髪は抜けてない。
しかし、競争や競技以外にも、運動会において行う種目はもう一つあった。
ダンスである。
中身が大人である私にとって、恥ずかしいったらありゃしなかった。ダンスといっても、ブレイクダンスでも、ダンススクールで並ぶ本格的なものでも勿論ない。
この学校に組体操は無かった(前はあったそうだが、数年前に事故があったので自粛ムードらしい)。
流石に低学年みたいにボンボンは持たないが、やはり運動会らしい、子供らしいの二言で完結するものである。
何より恥ずかしいと思ったのは、私の踊っている姿をスコールやオータム(流石にマドカはいなかった)が一生懸命にカメラに収めている、彼女らの親馬鹿っぷりである。
あくまで亡国機業の一員だし、親に紛れて監視している護衛もいるというのに、帽子とサングラスという申し訳の恰好をして来る馬鹿がいるか。
おまけに、世界を変えようというこの私の痴体が永久保存されることが、物凄い屈辱である。
某薬で小さくなった名探偵もこんな思いをしながら運動会をしていたに違いない。
しかも、私はそれだけでは終わらなかった。
この学校は少子化の影響で赤組と白組しかなく、運動会も赤組クラスと白組クラスで、学年を隔てずに団結する。それぞれの競技種目にはポイントがついており、最終的に累積ポイントが多い方が勝利する。私と箒は赤組である。
また、その団結を深くするために、高学年は有志で『応援団』というものに参加するのだが、教師やクラスメートから強く推薦されてしまい、赤組の応援団長を務めることになってしまった。
というのも、私は箒を周囲に馴染ませようとする余り、クラス委員を差し置いてクラスでもリーダー的な立ち位置に立ってしまい、その統率力を買われてしまったためである。
司令台に立って、決まり文句や三三七拍子、二三六拍子を叫ぶのだが、実に自分の本質とはかけ離れている感じが否めなかった。
勿論これもスコールによって永久保存された。
さて、箒を訪ねようとして、招集に阻まれたのは、その二つも終わり、残すはリレーだというところ。
リレーはクラスの中で速い者が男女それぞれ一人選抜されて、他学年の同じクラス同士で六人のチームを編成するというもの。男子は午後の部であるが、女子は今一年生が行っている玉入れの後である。箒はそれに出なければならない。
箒はとても緊張していたが、私が、今までの練習を思い出せ、と言って軽く背中を押すと、箒は仕方ないな、といった顔をしながら感謝し、招集場所に向かっていった。私も箒もリレー走者だったため、放課後によく走り方の練習していた。
あのような笑顔を見ると、箒は
そうして箒を送り出したのだが、振り向いたら束がいた。こちらは変装して絶対にばれないような細工をしていたが、それでも仰天した。
ただ、いつもの笑顔の間から見える眼差しは、妹の勇姿を一目見たいという思いがひしひしと伝わってきた。
箒はなんと
そして、遂にバトンが渡された。
赤色のバトンを受け取った時、白組の走者とはかなりの間が空いていた。それでも、箒は腕を精一杯振り、走る。
段々とその差は詰まっていき、遂に二人は横並びになった。しかし、相手も抜かれまいとデッドヒートが続く。
そして、ほぼ同時にゴールテープを切った───。
結果として、箒は負けた。ビデオ判定で(最近は保護者が、自分の息子の方が速かったと煩いため、その対策である)、相手の白組の選手が粘り買ったのだ。
泣いている箒に、私は励まそうと肩を叩いたのだが、彼女はその拍子に感極まって泣き出し、私に抱き着いてきたのだ。
私はよしよしと頭を撫でると、箒の顔はポッと紅く染まった。
箒がこんな調子であるため、今日束のことを伝えるのはやめにしておいた。次は、箒の誕生日である7月7日あたりに伝えようか。
余談であるが、男子のリレーは四走の私が走り終えた時点でもうかなりの差が空いており、圧倒的な差で勝利した。累積ポイントでも赤組は快勝を遂げた。
7月7日
今日のお寝んね当番:箒
箒は、すっかり私にぞっこんになった。運動会での一幕や、遠足での一幕。箒がツンデレなのはあまり変わってはいないが、初めのビクビクした印象はすっかり取り払われ、快活な美少女へと昇華していた。
さて、今日は箒の誕生日である。私は彼女を家に招くことにした。箒は今は一人暮らしのため、家に行っても誰もいない。そんな寂しい誕生日を迎えて貰っては私の心が傷む。
それは、箒に真実を伝えるため。箒を幸せにするため。
もしかしたら箒は、幻滅するかもしれない。私から離れてしまうかもしれない。
でも、これだけは箒自身で乗り越えて貰わなくてはならない。
彼女が幸せであるために。
護衛もすっかり工作員にすりかわり、準備は万端である。
箒を家に入れて、スコールやオータム、マドカと一緒に、箒の誕生日を祝った。勿論、彼女は喜んでくれた。
今日は箒の誕生日であると同時に、七夕でもある。私達二人は、テラスに飾ってある笹の葉に、短冊を取り付けに来ていた。
その時、私は箒に何を書いたか尋ねたのだが、秘密にする訳でもなく、意外な答えが帰ってきた。
『姉さんに会いたい』
私はてっきり私自身か、織斑一夏に関することを書くかと思っていた。
だが、よりにもよって束のことを書くなど、私にも予想外だった。
彼女は続けて、姉のことは憎たらしいが、それでも会って話さないと、何も始まらない、と言う。
その話を聞いていたら、家の中から束が現れた。いつものエプロンドレス姿なのだが、その顔はいつになく真剣だった。それだけは箒の顔と似通うものあった。
束は淡々と、全てを話し始めた。
ISを作ったワケ。
我々の目的。
そして、それでも箒を妹として愛していること。
箒は始め、怒りでその拳を束の肩にぶつけていたが、束が全てを受け止めたことで、箒は崩れ落ちて、泣き出した。
そこには、何にも縛られない、姉妹の姿がそこにはあった。
箒に、亡国機業に入ってくれないかと頼んだら、あっさり了承して貰えた。その後、目的のためには織斑一夏を殺さねばいけないことも、包み隠さず話した。
箒はまたショックを受けたが、あれは今日という時には生きていてはいけない男だと言ったら、きっぱりと一夏を捨ててくれた。
これで箒を救うことが出来た。箒をこちらの側に置くことが出来たので、あとは箒を鍛えるために倉持技研を手に入れるだけだ。
ついでに、
まさに、ヒーローのように。
7月8日
今日のお寝んね当番:
しまった!やっぱり
白組と赤組で問題があったので修正・変更しました。
クズ主と箒のクラスを白→赤組に変更しました。
次回は箒とのお話です。
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