クズな男の世界征服日記   作: ASO(活動休止中)

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前回より短め。
因みに原作のオータムさんは色々と不憫なのでこちらのオータムさんは後々魔改造が入ります。


オータムとのお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オータムは、とてもイライラしていた。

 

 

彼女のよくある一日を振り返って見ると、まず、朝六時に起床して、シャワーを浴びて、パジャマから着替える。鼻歌交じりに冷たい水を浴びて、目を覚まさせるのが、彼女の日課だ。

添い寝当番だった場合、総帥も一緒にシャワーを浴びることもある。

 

そして、キッチンに行くと、彼女はヤカンに水を入れて、お湯を沸かす。IHのコンロの温度を調節して、居間に戻る。

テレビの電源を付けると、丁度ニュースのペットの映像が流れるコーナーが流れており、それを彼女は楽しそうに眺める。正確は荒っぽいが、彼女もやはり女性で、可愛い生き物を見る事が好きなのだ。本当は飼いたいが、それだと散歩や躾で任務が疎かになってしまうので今は我慢している。だが、世界を変えたら総帥に飼ってもらう約束らしい。

 

閑話休題、暫くすると笛のような、甲高い音が聞こえてくる。ヤカンのお湯が沸いた音である。急いでIHを止めて、お湯を魔法瓶に入れる。その後、朝食の準備に入ることにした。

 

『明日は、活発な低気圧の影響で大雨が予想されていますが、なんとか食い……』

 

天気予報を聞きながら、冷蔵庫から卵を三つ取り出し、それをボウルの中で割って、少量の塩胡椒を加えてかき混ぜる。フライパンを温め、バターをひく。

フライパンが十分に温まったら卵を入れて、形を整えながらかき混ぜる。

 

そうしてスクランブルエッグが出来る頃には、総帥とスコール、マドカが起きてくる。

 

総帥はおはようと言った後、いつもご飯作ってくれてありがとうと笑顔で言ってくれる。

 

それから少ししたら、時刻はもう七時。タイマーを点けておいた炊飯器のアラームが鳴り、炊けた事を知らせる。

 

そうして彼女は人数分のご飯と、炊ける間に盛り付けておいたサラダとスクランブルエッグを食卓に並べるのだ。

 

そして、一家揃って食事を始める。

 

ここで何となく察した人間も多いだろうが、オータムは、総帥一家の家事全般を担っている。

 

スコールは出回りばかりで家事は余り上手くないし、マドカや総帥はそれぞれ知識と体格の面で危なっかしいからである。

 

そのため、オータムにはこの後洗濯、掃除、皿洗い、家事全般に振り回されることになっているのだ。

 

食事が終わったら私服は洗濯機に入れて、ドレス類は亡国機業の手の回っているクリーニング店が家に引き取りに来るので、用意しておく。

 

皿を食洗機に入れて、D○SONのコードレスクリーナーを取り出し、掃除を始める。

 

掃除が終われば、今度は洗濯機のアラームが鳴るので、洗濯機から洗濯物を取り出し、ベランダにそれを干す。

 

それでやっと終わり……と思いきや、その頃にはもうお昼時なのである。次は昼食の準備を行わなければならない。

 

そうして、一日の内に彼女が休めるのは、昼食が終わって少しした後の、数時間のみである。

 

このように、現代の主婦がやっていることを、彼女も変わらずやっているため、オータムには総帥と触れ合う時間というのは、殆ど無かった。

 

だから、たまにオータムが爆発しても、致し方ないことだった。

 

「あーーー!!総帥!どうして私はこんな雑用ばかりなんだ!」

 

 

そして今、オータムは爆発していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳で、オータムと総帥は、デートをしていた。所謂水族館デートである。

 

………と言うのも、オータムと総帥は、いつも家事全般をやってくれるお礼に、一週間に一度、デートをする約束なのだ。

だが、任務へのストレスなど、様々な内的・外的要因によって、彼女はそれでも耐え切れずに、爆発してしまうことがある。

そういう時、総帥は爆発した日の翌日に、デートの予定を追加するのだ。

 

これは、互いの信用から成り立っている。彼女はデートに行くために爆発している訳ではないからだ。その辺りは、役割があるのをオータムは知っているし、その上で総帥は押し付けているのを申し訳なく思っているからこそ、こうしてデートに連れて行っている。

 

そして、今まで色々な場所に行っているこの二人だが、今日は水族館に行くことにした。家から車で十数分の範囲にあり、この辺りでは最大の広さを誇る水族館である。長期休暇があろうものなら、県内外から多くの観光客が押し寄せ、長蛇の列が出来る程だ。

 

しかし、今日は平日、更に朝というのもあり、客足はとても少なかった。総帥とオータムは手を繋いで、会館を待っている。

 

「総帥、どうして朝に来た方が良いんだ?」

 

今は午前九時半前。オータムが親子のふりをしながら、総帥に聞いた。

 

総帥も、元気のある声で子供のふりをしながら、答えた。

 

どうやら、朝に来ると、人が少ないだけでなく、イルカの水槽の水が澄んでいるのと、イルカ達がこちらを気にかけてくれるらしい。

オータムは、可愛い生き物が好きなんでしょ?と総帥が首を傾げると、オータムはそっぽを向きながら、頬をかいた。

 

「ま、まあな。総帥も可愛いけど………

 

しかし、それは総帥に丸聞こえであった。

 

オータムは赤面した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、二人は水族館を多いに楽しんだ。

 

シャチを目の前にしたオータムの顔はとてもうっとりとしていた。何トンもの水圧に耐えうる強化硝子一枚を隔てて向かい合うオータムとシャチ。

すると、シャチはオータムに反応してキィキィという鳴き声を発してくれた。

 

シロイルカ(決してとあるVtuberの俗称ではない)の生み出すリング状のバブルに驚き、一万匹のマイワシが織りなす、トルネードに感嘆した。

 

「餌で群れを操って………凄いな」

 

イルカショーでは、世界最大のスタジアムでスピードを上げて泳ぐイルカ達に、拍手をしていた。

 

もはやどちらが子供でどちらが親か分からない程に、オータムは水族館を楽しんでいた。

 

一日中見回って、休憩にサンゴ礁の大水槽の前のベンチで座っていた二人だったが、オータムは吹っ切れたように、総帥に話しかけた。

 

「アイツらは、生き物が好きだからここで働いているんだよな」

 

清掃員のダイバーが、水槽の窓を掃除していく。

総帥は無言で、彼女の話を聞き続けた。

 

「…………私も、可愛い物が、………好きだから、始めは動物関係の仕事に就こうとも思ってた時があった。実家を継ぐつもりだったんだ。私は」

 

それは、オータムがまだ、本名を名乗り、裏の世界に入る前の話。

彼女は生き物………特に犬や猫を始めとした可愛い生き物が好きだ。これは今でも変わらないが。

 

幼い頃、彼女は犬を飼っていた。バーニーズ・マウンテン・ドッグという、光沢のある白・黒・茶の毛並みが特徴的な大型犬である。

飼う犬を選んだのは、他でもないオータム自身だったが、実家は広大な敷地を有しており、室内型のドッグランまで完備していたため、それを飼うのは容易いことであった。

 

犬種から取って、「バーニィ」と名付けられた犬と彼女は直ぐに仲良くなり、暇さえあれば戯れあって遊ぶ程の仲になっていた。

 

実家は農場も経営しており、牛が放牧されている。その広大な野原で一人と一匹は育った。夏は青々しい草原を駆け、冬は雪の原を駆ける。

 

彼女らのその姿は、とても微笑ましく、今のオータムにとって、かけがえのない大切な思い出だった。

 

しかし、運命は二人を引き裂いた。

 

明くる日、学校からオータムは帰ってきた。ごく普通に、いつも通りの帰宅である。

 

そんなオータムの目に飛び込んで来たもの。

 

「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

その光景に、彼女は絶叫せざるを得なかった。

 

彼女と共に成長してきた存在。

 

彼女が心から寄り添える存在。

 

そんな存在が、バラバラと崩れ去っていく。

 

目の前で横たわっている、一つの死体によって。

 

その後、自宅の居間で、両親が刃物によって死んでいるのを見た。

 

たった一瞬で、彼女は愛する者全てを失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の両親は、元々裏の世界の人間だった。闇の情報屋で得た大金をして、自宅と広大な農場を買って、残りの人生を過ごそうとしていた。

だが、裏の世界の住人は、それを許しはしなかった。彼らに追い討ちをかけた。

その時に、敷地に踏み入った者達に楯突いたバーニィも、一緒に殺されてしまった。

彼は番犬として立派に役目を果たそうとして、死んだ。

 

一人残されたオータム。翌日、何も考えられずに家でうずくまっていると、黒服の男達が現れ、亡国機業へ連れて行かれた。

 

亡国機業は、彼女がそのメンバーとなる代わりに、彼女の身の安全を保証すると共に、復讐を手伝うという待遇を与えようと言った。

彼女はそれを飲み込むしかなかった。

 

「あの頃は、とても必死だった。覚えることを覚えて、やることやって。両親と違って、がさつな私にはとても大変だった。今考えると、身の安全を保証するなんて、殆ど嘘っぱちだったんだなーって思う」

 

旧体制の亡国機業というのは、所属している人間でさえも恐怖を感じる組織であった。

今の新体制は、カリスマである総帥の元で、効率的な業務かつホワイトな職場を維持しているが、旧体制というのは、それとは打って変わって地獄だった。

 

旧体制は方針を決める『理事会』と、その方針に沿って活動を行う『実働部隊』に分かれている。エヴァン○リオンでいう、ゼーレとネルフの関係に近い。

 

しかし、この理事会というものが、この上なく横暴だった。

些細なきっかけで、実働部隊内で争いを起こそうとする。同士討ちだ。

理事の機嫌が悪くなると、無謀な任務を任せられる。とんでもない組織だった。

 

おかげで部隊内の空気は、戦場でもないのに血と硝煙の匂いが絶えない。

 

誰も信じられなかった。

 

だが、彼女は逃げることは許されなかった。逃げればどういう末路が待っているか目の前で見た事があるから。

ピリピリとした空気から逃げたくて、二人で助け合いをしてきて、ある程度信じられるスコールと恋仲になった。

 

それでも、上からの恐怖に、彼女の心は打ち勝てず、押し潰されそうになった。

 

「もう少しで、私は駄目になっていただろうな」

 

神は彼女を見捨ててはいなかった。颯爽と、総帥が現れたのだ。

 

総帥は、またたく間に理事会を破壊し、新体制を発足させた。

 

「忘れられねぇよ、総帥が私にかけてくれた言葉」

 

 

オータムは、どんな未来を望むんだい?

 

 

その時、彼女は出会った。天使に。

 

それを聞いた彼女は、自然と涙を零していた。

 

 

私は、君のために世界を変えよう。

 

 

その言葉には、不思議と根拠が感じられた。

オータムは、暫くの後、総帥に縋りよってすすり泣き始める。

総帥は、それを優しく抱き止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、総帥がいなかったらどうなってたんだろな」

 

重いことを喋りきったオータムは、とてもスッキリとした様子で、吹っ切れていた。

 

「だから、私は暗い闇の底から救い出してくれた総帥の事が大好きだ」

 

オータムはニカっと笑って、その顔を総帥に向けた。

そんなに眩しい笑顔を見ると恥ずかしいな、と、総帥の顔が紅くなる。

 

水槽の中では、相変わらず大小様々な魚が泳ぎ続けている。

 

オータムは椅子から立ち上がり、水槽を指差した。

 

「確か、一ヶ月くらい前に束博士とアソコ(南の島)に行ったんだろ?いつか私も連れてってくれよ。もっと間近で綺麗な景色(サンゴ礁の海)を見てみたいな」

 

総帥には、水槽を見つめるオータムの顔が、とてもキラキラして見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は日記に戻ってラウラとクロエ攻略かな…
IS学園までの道のりは長いです。

ラウラとクロエ編終了後はどっち先にやって欲しい?

  • アイリス編
  • 篠ノ之箒編
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