エミカス怪文書置き場   作:流れ星

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角谷杏の悔恨

天翔ちゃんおっかえりぃ!それでそれで?此度の練習ではいかなる成果をあげて来たわけ…って怪我してるじゃん!

西住ちゃんは!?秋山ちゃんは!?なんで連れていかなかったの!?

ただの練習だからって…このくらいなんでもないわけないでしょ!?

外が傷付いてるって事は中はもっと酷いかもしれないんだよ!もし菌とか入り込んでたらどうするの!?

ダメージから体の不調が表に出てくる事だってあるの、本当に分かってる!?

天翔ちゃんがこんなことで傷付いたら西住ちゃんも秋山ちゃんも河嶋も私も皆悲しいんだからね!?

せっかく優勝できたんだから、お願いだから自分の体を大事に…ごめん。言い過ぎた

……あーうー……

天翔ちゃんはもう……色々頑張ってたじゃん

それを何の因果か大洗に来てさ……

そりゃ元の学園艦じゃ天翔ちゃんのチームメイトが今でも頑張ってるんだと思うけど……

うちに来ちゃったものはもうしょうがないじゃん

だからご褒美みたいな感じでさ色々吹っ切っていいと思うんだ

天翔ちゃんはもっと皆の役に立とうとして練習してたんだよね

でも…今度からは一声をかけてほしいな、どこでも付き合うからさ

どうしても都合がダメなら他の皆に頼めばいいんだし…どうせ強くなるなら皆でなった方が楽しいじゃん?ホラ私達…仲間なんだし!

あ、それとちゃんと傷は治して小山の健康診断も受けること!おっけー?…うん、安心した

それじゃまた後でねー!

 

…大丈夫、だよね。あのくらいで急に悪化したりしないよね

私達まだこの学園艦に期待してていいんだよね、西住ちゃん……

 

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「あれから会長に言われたことを色々と考えてみたんだけどさ…私、この学園艦をもうちょっと楽しんでみようと思うんだ」

話があると、部屋に呼び出された私に天翔ちゃんは開口一番そう言った

その意味することを何度も反芻し、じわじわと広がっていく喜びに私は満面の笑みを返す

な、なーんだっ改まっちゃってさ!真面目な顔するもんだから告白でもされるのかと思ったよ!

でもいいね!やっと天翔ちゃんもその気になったんだね!んじゃさっそく皆でパーっと楽しんで来なよ!

あっそれとも西住ちゃんを誘って二人っきりでデートとか!?照れるな照れるなこのへたれ!天翔ちゃんはもっと積極的にさ――

「だからさ、会長もそうしてくれよ」

早口でまくし立てる私を遮り、天翔ちゃんは真剣な表情で見つめて来ながら言った

「私が吹っ切れたら自分もそうできるかなって、言ってただろ?」

天翔ちゃんが私を見ている

「本当に会長には感謝してるんだ。もちろんみほや秋山さんや皆にも」

見ている

「いま会長が何に苦しんでるのか、馬鹿な私にはわからないけどさ…そんな私でもわかることがあるんだ」

見ないで

「会長は、なにも悪くない」

 

気づけば、何処でもない道をひたすら走っていた

両手で覆われた顔は真っ赤に染まり、全身のあちこちを小枝で切り、靴はいつの間にか片足だけ脱げていて

口からは嗚咽なのか呻き声なのか、意味のない音だけが溢れてとまらない

そんな状態だから当然のように電柱にぶつかり、躓き、転び、それでも走り出す。何かから逃げるように

だが、逃げられない。例え海の上であっても絶対に逃げられない

自分自身からは、自分の為して来たことからは、絶対に逃げ切れはしない

何もないのに苦しい

楽になれるはずなのに苦しい

責められるべき人から、許されたのが苦しい

限界に息を切らせ、やがて杏は山中の池で立ち止まった。そこに自分が映っていた

その美しい水面に映る青ざめた少女の顔に耐え切れず

杏は胃の中身をすべてぶちまけていた




僕がガルパンで一番好きなキャラは会長です
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