志村転弧【死柄木弔】の妻   作:フ瑠ラン

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第5話

反省文(途中から物語風)は校長からは好評を受け、相澤先生からはお叱りの言葉と不評を受け、オールマイトからは苦笑いを貰った。結局、あの後残業して帰った私は偉いと思う。て言うか、普通の人は今どき反省文なんて書かせないと思う。いや、遠回しに相澤先生が普通の人じゃないとか言ってるわけじゃない。

 

結局、1-Aの学級委員長は飯田というパッとしないメガネに決まったらしい。興味が無いのですぐに忘れてしまうと思うが。

 

今現在、1-Aの生徒と共に私はバスの中で揺れている。席は真逆の相澤先生の隣だ。苦痛ではないが、嬉しくもない。勿論の事ながら、相澤先生との会話はなく、テンションの上がっている生徒達の会話を盗み聞きするぐらしかやることが無い。

 

 

「そう言やよォ。前々から思ってたんだけどさ」

 

 

赤髪のつんつん頭、名前は確か切島が思い出したように言った。

 

 

「志村先生と爆豪ってなんか似てね?」

 

 

プツンと何が切れる音が2つした。その音に気づいたのは2人に縁がある出久だけで、他の生徒達は気づいていない。逆に「似てる似てる」と盛り上がっていた。

バスの中はザワザワしていると言うのに、相澤先生は私の横ですぅすぅと寝息をたて静かに寝ていた。

 

 

「なんか喋り方って言うの? 似てるんだよな」

「そうそう!! キレた時なんか特にね!!」

「顔も似てるよねぇ」

「2人とも黙っとけば美人なんだけどな」

「お? これは意外と志村先生の隠し子説出てきたんじゃね?」

「いや、それはねーだろ。例えそうだと仮定して、爆豪産んだ時、志村先生幾つだ──」

 

 

切島は最後までセリフを言えなかった。何故なら、爆豪が思いっきり切島の顔面を爆発させたからだ。爆豪に顔面を掴まれた瞬間、反射で硬化していたからそこまでダメージは無かったものの、痛いものは痛い。

 

 

「何すんだよ爆ご──」

「誰がこいつの隠し子説だ!! 巫山戯たことぬかすのも大概にしろ!!」

「私の腹から産まれた奴がこいつだって!? 有り得ないね!! 絶対に有り得ない。生理的に無理だわ!!」

「あん? こっちだって願い下げたわ!! くそババア!!」

「そのくそババアに1度も勝ててない奴はどこのどいつだよ! 威勢だけじゃ何も出来ねぇんだよ!!」

「つーか、危ないから志村先生も爆豪も座れって!」

 

 

バチバチと爆豪と皐己の間で火花が飛び散る。止めようとするが止まることはなく、逆に火に油を注いでいっているように感じてくる。

 

 

「お、おい緑谷! なんでこんな喧嘩になったか、分かるか…?」

 

 

爆豪の幼馴染だとどこかで出久が言っているのを覚えていた切島は、思わず出久に助けを求めた。出久も出久で「…大体は……予想がつくかな」と小さく頷く。

 

 

「かっちゃんと皐己さんは……姉弟なんだよ」

「「え、ええぇぇぇ!?」」

 

 

バスの中で1-Aの生徒のこだまが響き渡った。

 

 

「確かに、志村先生は私達と歳が近く思えるもの。姉弟でも可笑しくないわ」

「で、でもよ…苗字が違うだろ?」

 

 

「真逆、複雑な家庭だったり…」と誰かが小声で言った。出久は「全然違うよ。普通に皐己さんは結婚してるんだ」と軽々しく生徒達にとっては爆弾発言をする。

 

 

「「え、ええぇぇぇ!?」」

 

 

2度目の叫び声がバスの中にこだまする。

 

 

「マジでか!? 結婚してたんか!?」

 

 

「何か意外……」や「爆豪と同じで志村先生もクソを下水で煮込んだような性格してんのに結婚って出来るもんなんだな」「う、羨ましい!! 俺もあのボッキュンボンとあんなことやこんなこと…ぐへへへ!!」「峰田サイテー」等々色々な感想が飛び出てくる。

 

 

「「おいコラ上鳴ィ!!」」

 

 

その中でも私と愚弟に標的にされたのは上鳴だった。「クソを下水で煮込んだような性格」が癪に触ったから名前を呼べばあの愚弟も同じタイミングで上鳴の名前を呼びやがった。私と愚弟はお互いを指さしながら言う。

 

 

「「こいつと一緒にすんなや!!」」

「「ちっ、真似すんな!!」」

「おいコラてめぇ、マジでいい加減にしろよ? ホントに殺すからな…調子乗んのもいい加減にしとけ」

「あ"ぁ? 今度こそ俺様が勝つ。これはもう決定事項なんだよ。てめぇ如きか覆すことなんて不可能だ」

 

 

座る気が無い私と愚弟は、互いに互いの胸ぐらを掴み、罵倒し始める。一気に上鳴からターゲットを変えた私達は思いっきり個性を使おうと発動するが、上手く発動できない。

 

 

「いい加減にするのはお前ら2人だよ」

 

 

怒りを含んだ声で言われた。勿論、言ったのは我らが1-Aを担任している相澤先生である。

 

 

「君ら本当にヒーローの卵とヒーロー? 普通バスの中でそんな派手な個性使わないでしょ」

 

 

ガンガンと私と愚弟の頭に相澤の鉄拳が落ちた。たんこぶが何個も積み重なっていく。凄く途轍もなく尋常ではなく痛かった。

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「緑谷ちゃん、緑谷ちゃん」

「ど、どうしたの? つ、梅雨ちゃん」

 

 

僕の横に座っていた梅雨ちゃんが僕の肩をちょんちょんと叩いた。

 

 

「あの二人は昔からあんなに仲が悪かったの?」

 

 

現在進行形で相澤先生に怒られている二人に梅雨ちゃんは視線を移し言った。どうやら梅雨ちゃんから見るとあの二人は凄く仲が悪いように見えるらしい。……確かに、昔と比べると凄く悪くなったような気がする。顔を合わせる度に喧嘩なんてしていなかったし。

 

 

「小さい頃はすっごく仲が良かったんだよ。仲が悪くなったのは……多分だけど、皐己さんが雄英に進学して、体育祭が終わった頃だと思う」

 

 

 

確か僕とかっちゃんが小学4年生の時だったと思う。あの時のかっちゃんは、雄英に進学した皐己さんのことを凄く誇りに思ってた。色んな人達に自慢したりして、凄く楽しそうだった。

 

雄英の体育祭が近づくにつれて、ソワソワし始めて。かっちゃんのお母さんも僕のお母さんと話してる時に「楽しみにし過ぎて落ち着きがない」って困ったように話してたのも記憶にこびりついている。

 

普段、僕をいじめて来てたかっちゃんが体育祭の時は優しくて、かっちゃんのお母さんが「雄英の体育祭良ければ一緒に見ない?」って僕に言ってきた時も反論しなかった。

 

かっちゃんのお母さんの誘いを断ることも出来なくて、僕もかっちゃん家で体育祭を見たけど、テレビから張り付いて離れないかっちゃんは普段のかっちゃんとは全く違った。DVDに移す準備も万端で「永久保存だ!」と楽しそうに話している姿は年相応だった。

 

 

「てことはよ、爆豪ん家に行けば志村先生の体育祭が見れるってことかよ?」

「え? た、多分あると思うよ?」

 

 

「んじゃ今度、爆豪ん家押しかけてみっか!」と楽しそうに切島君は言った。す、凄いな。僕には絶対出来ないよ…。

 

 

「緑谷、今度爆豪ん家教えてくれよ! どうせなら一緒に行こうぜ!!」

「む、無理無理無理!! 絶対無理! 行くなら一人でお願い!!」

 

 

首を必死に横に振って断れば切島君は少し引いたような顔をして「そこまで嫌がることかよ…」と言った。かっちゃん家に押しかけるなんて、命がいくつあっても足りない。僕はまだ死にたくないんだよ。

 

 

「つーか、なんでその体育祭で仲が悪くなるんだよ」

「かっちゃんはね、その体育祭を見て皐己さんを更に尊敬して、かっこいいかっこいいって連呼してたんだけど…体育祭から帰ってきた皐己さんは、凄く不機嫌でね。かっちゃんのかっこいいって言葉で何かがキレちゃったみたいで……」

 

 

そこからは凄い喧嘩になった。最後はかっちゃんのお母さんが事態を収拾してくれたんだけど、ボコボコにした皐己さんもボコボコにされたかっちゃんも、凄い不機嫌で。で、その後、皐己さんは()()喧嘩を初めて。

なんというか、兎に角荒れてた。

 

1位、凄いと思うんだけどなあ…。

 

なんで皐己さんはあんなに荒れてたんだろう。今でも僕はよく分からない。

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