志村転弧【死柄木弔】の妻   作:フ瑠ラン

6 / 7
言うのが遅くなってしまいましたが、作者は原作を持っていません。アニメをちょくちょく見ながらこの話を書いているので、基本アニメ沿いとなります。


第6話

あの説教の後、何故か私だけ反省文(1500枚)を言い渡された私は不貞腐れながら、スペースヒーロー13号の話を適当に聞き流していた。

 

くどいし、長い。ウザイ、帰りたい。私の居る意味あるか、なんて悶々と考えながら突っ立っていること何分たったことか。漸く13号の話が終わった。

 

 

「以上、ご清聴ありがとうございました」

 

 

13号がそう言ってお辞儀をすれば、生徒は「素敵〜」やらなんやと言って拍手をし始める。合理的な相澤先生がそれをずっと放っておくことも無く、U(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)の中に入ろうとした時だった。

 

ヴィランが襲ってきた。

 

その気配にいち早く感ずいたのは私と相澤先生で、相澤先生は素早く、生徒達に的確な指示を出す。

 

 

「ひとかたまりになって動くな! ……13号、生徒を守れ!」

「……なんだありゃ…?」

 

 

漸く生徒達もヴィランの存在に気づいたらしい。しかし、まだヴィランだと認識出来ていないのか「入試の時みたいにもう始まってるパターン?」なんて呟いている。

それにしても薄気味悪い。なんだあの黒いモヤは。そんな黒いモヤの中からは大量のヴィランが、ぞろぞろと出てきていた。

 

 

「…あれはヴィランだ!」

 

 

相澤先生のことの一言で漸く生徒達も気づいたらしい。まだヒーローの卵とはいえ、気づくのが遅すぎる。

 

 

「13号、避難開始。学校に電話しろ。センサー対策も頭にあるヴィランだ。電波系の奴が妨害している可能性がある。上鳴! お前も個性で連絡しろ」

 

 

相澤先生の指示に上鳴は「うっす」と気の抜けた返事をした。その指示を聞いて出久が「先生!」と相澤先生に話しかける。

 

 

「先生達は2人で戦うつもりですか!? あの数じゃいくら2人でも……」

 

 

出久の言い方にカチンときた。その言い方じゃまるで、2人では勝てない、無謀だと言っているように聞こえる。

 

 

「バカか。舐めんな。例えイレイザーが居なくても一人で殺しまくってやるわ」

「勝手に俺を消すな」

「出久。お前は、愚弟の次に私を見てきた筈だろ。今までのお前は私の一体何を見てきた。私はあんな数だけの奴らにやられるタマしてねぇんだよ」

 

 

例え2人で殺れなくとも、倒せない相手でも殺らなくてはならない。せめて、生徒達が逃げる時間を確保しなくてはならない。それは教師の仕事であり、ヒーローの仕事でもあるからだ。

 

 

「……13号、任せた」

 

 

相澤先生の言葉に13号は頷いた。

それを見て私と相澤先生は、ヴィランのいる方へと飛び出す。私達が突っ込んでくる所を見てヴィランはブツブツと何かを言い始めた。

 

 

「2人で正面に突っ込んで来るとは──」

 

 

全てを言い終わる前に私と相澤先生で片付けていく。ヴィランの戯言に付き合ってる暇はねぇからな。相澤先生がヴィランの個性を消し、私が爆破してぶっ殺す。

 

ここで私の個性の説明をちょいとしよう。

私の個性は【爆破】。愚弟と同じようで()()()()()()。ニトロのような汗から着火させ、爆発を起こすことは愚弟とまるっきり同じだ。着火させた後が少しだけ違うのだ。

爆発の威力だけで言えばきっと愚弟の方が強いだろう。まだ、流石に負けてはいないと思うが、個性の訓練をしていけばきっと愚弟の方が威力は強くなっていく。そこは断言出来た。

違うところと言えば、私が爆破させた物が()()()ということだろうか。爆破の威力が少し弱い代わりに溶ける。芦戸のように溶かすことに特化した訳では無い。が、溶ける。物は勿論の事、人だって溶かすことが出来る。だからこそ、人に使えば凄いことになる。良くて重症、悪くて死といったところか。

 

 

「加減はしてやる。が、あんまりアテにすんなよ。私は加減が苦手なんだ──!!」

 

 

目の前のヴィランが「ひぃ!!」と小さな悲鳴を漏らした。

私と相澤先生が雑魚と戦っていると、避難を開始しようとしていた13号達の前にヴィランが現れる。あれは…薄気味悪い黒いモヤか。

 

 

「(しまった! 一瞬の瞬きの隙に1番厄介そうな奴を!!)」

「イレイザー!!」

「わかっている!!」

 

 

生徒達の場所へ戻ろうとするが、雑魚が邪魔をして戻れない。

 

 

「ちぃ!! 雑魚が出しゃばってんじゃねぇ!! さっさとくたばれや!!」

 

 

13号達の方をずっと気にかけていれるわけでもなく。着々と雑魚を倒していくが、中々消えない。横目で相澤先生の方を見てみれば、相澤先生は早くもボスっぽい奴と戦闘に入っていた。ズリぃなくそ!!

 

 

 

「あはは!! どうもどうも!!」

 

 

ピエロのは仮面をつけたそいつは黒いモヤよりも薄気味悪く、不気味だった。高揚しているのか、声のトーンは高く、まるで友達と遊んでいるかのような声で、傍から聞けば楽しそうな声に聞こえる。

 

 

「弱い! 弱いねぇイレイザー!! 君の髪が下がる瞬間が瞬きをしている瞬間なんだろう!!」

 

 

そう言って、相澤先生の肘をぐっとピエロは握ると、ボロボロと相澤先生の肘が崩れていく。

 

 

「もう既にイレイザー、君にマーキングは済ませてあるよ! 後は消すだけだね!!」

 

 

「あはは! あははは!!」と楽しそうに笑う姿は壊れたおもちゃに見える。

 

 

「でもね、でもねヒーロー!! 残念ながら本命はボクじゃないんだよ!!」

 

 

私がある程度、雑魚を消し、相澤先生の援護に向かおうとすれば、相澤先生の後ろに脳を丸出しした気持ち悪い奴が立っていることに気づく。

ゾクリと身の毛がよだつ。アイツは何かやばい気がした。あのピエロ単体でも十分にやばい。しかし、更に相澤先生の後ろに居るやつはもっとやばいような気がした。私の野生の勘と女の勘がそう告げていた。

 

 

「イレイザー!!」

 

 

私が動くよりも先に、脳丸出し(ピエロは脳無と呼んでいた)が動いた。一瞬にして相澤先生は捕まり、地面に叩き潰され、腕を折られた。

 

 

「んにゃろ!!」

 

 

私は脳無に突っ込んで爆破を起こす。が、脳無はビクともすることなく私の手首を掴み、相澤先生の時と同じように地面に叩きつけた。

 

 

「んぐっ!!」

 

 

BOOM!! BOOM!! と爆破させるが、脳無は私を全く相手にしようとはしない。小枝を折るかのように、私の全身の骨を折っていく。

 

 

「〜〜っ!!」

「大丈夫か! 爆豪!!」

「〜っ!! 大丈夫に決まっとるわアホ!! 私よりも自分の心配しろ!! つーか爆豪じゃねぇって何回言わせれば気が済むんだ!!」

 

 

全身に痛みが駆け回る。正直、大声を出すだけで傷が痛む。

 

 

「死柄木」

 

 

ピエロの横に黒いモヤが現れた。見たところワープ系の個性らしい。

 

 

「な〜に? 黒霧。今、面白い所だから邪魔しないで欲しいんだけど」

「……13号は行動不能に出来ました。しかし、散らし損ねた生徒がいまして……」

 

 

黒霧という奴の報告を聞き、死柄木と呼ばれたピエロは先程とは違う、真反対の低い声で「はあ?」と言った。

 

 

「黒霧、君がワープゲートじゃなかったら殺してたよ。あーあ。ゲームオーバーだ。あーあ、あーあ。………帰ろっか」

 

 

今、こいつは確実に「帰ろっか」と言った。あいつらの呟きを聞いていれば、この場にはオールマイトを殺しに来たらしい。しかし、オールマイトを殺すどころか、一目も見ることなく帰ると。そんなことをしていれば、ヒーロー達の警戒態勢が強くなる一方で、ヴィラン側からしてみればいい事なんてひとつも無い筈だ。一体、一体、あいつらは何がしたい。

 

 

「でも、タダで帰る訳にも行かないし、ねぇ…。どうせなら、平和の象徴の教師をへし折って帰ろうか!」

 

 

そう言って、ピエロは走り出した。ピエロが向かった先には、出久、蛙、ブドウがいた。

蛙の子がピエロに触られそうになる。ついさっき、あのピエロが触った瞬間、相澤先生の肘が崩れた。もしあいつが転弧と同じような個性を持っていたとしたなら、あの子はやばい。

 

しかし、ピエロは蛙の子に触れる寸前でやめた。

 

 

「本当にかっこいいねぇ。ここまで来ると惚れ惚れしちゃうよ、イレイザー…」

 

 

相澤先生は脳無に押さえつけられているにも関わらず、ぐっと頭を上にあげ、ピエロの個性を消していた。

脳無は一体しかいない。一体で私と相澤先生を拘束していた。しかし、今、脳無は相澤先生に気を取られている。そうなると私の方の拘束は緩むわけで──。

 

全身に電気が走ったかのように痛む。当たり前だ、骨を折られているんだから。痛いに決まっている。でも、それでも、私は教師であり、ヒーローだ。

 

 

「ヒーロー舐めんなよくそピエロがぁぁぁ!!!」

 

 

咄嗟に脳無の拘束から抜け出し、出久達を助けるべく、ピエロの方へ一歩、踏み出した。BOOM!!と音を立て、私の掌から爆発が起こる。その爆発を推進力に変えて、ピエロの方へ突っ込んで行く。

 

 

「派手に爆破して溶けて死ねやボケぇぇ!!」

 

 

右手から大きなBOOM!!と音がなる。ピエロに上手く当たった筈だ。その後、私がいるというのに、出久まで突っ込んできてSMASH(?)を撃つ。出久の風圧で私は飛ばされた。

 

 

「上手くいったか!?」

 

 

私と出久のツーコンボ。上手く行けば無惨な死体を見せびらかせ、死んでいる筈だ。煙でよく見えなかったものが段々と晴れていく。ピエロが立っていた場所には、さっきまで私を拘束していた脳無がいて、ピエロが受けるはずの攻撃は脳無が全て肩代わりしたという状況を直ぐに私は理解した。

 

 

「効いて…ない!?」

「マジかよ。かすり傷ひとつついてねぇぞこのバケモノめ」

 

 

易々と私達の攻撃を受けきった脳無は、バケモノとしか言いようが無かった。深手は負っているものの、今出せる最大火力をぶっぱなした私。勿論、出久だってそうだろう。なのに、なのになんだあいつは。攻撃を受けたことにも気づいていないかのようにして、立ってるじゃねぇか。正直、勝ち目がないと思ってしまった。

 

そして、一瞬にして脳無に腕を掴まれた出久、それを助けようと舌を伸ばす蛙、ビクビクと怯えるブドウ。気が緩んだ隙に乗じて、蛙とブドウを殺そうと手を伸ばすピエロ。私はブドウと蛙を助けようと、痛む足を無理して動かし、痛む腕を気にすることなく必死に伸ばした。

 

その時だった。バン!!と大きな物音がする。ピエロはその物音が気になったのか、物音がした方向──USJの入口を見た。

 

 

入口は煙で覆われていて見えない。しかし、暫くするとその煙も無くなっていき、よく見えるようになる。カツカツと足音がする。そして聞こえたのは──。

 

 

「もう大丈夫。私が来た…!!」

「……オールマイト!!」

 

 

ブドウが叫んだ。蛙は涙ぐんだ声で「けろぉ」と呟く。そして出久は「オール……マイト」と神妙な声でオールマイトの名を呼んだ。

 

 

「待ってたよヒーロー。……社会のゴミめ」

 

 

ピエロはオールマイトを見てそう呟いた。

オールマイトは、残っていた雑魚を一掃し、血だらけになって倒れていた相澤先生を助けた。そしていつの間にか私も出久も蛙もブドウも、オールマイトに助けられていた。

 

 

「皆、入口へ!! 相澤君が意識がない!! 早く!!」

 

 

助けられた安心感だろうか。自分の中で張り詰めていたものがプツンと途切れる。一気にさっき以上の痛みが全身に襲いかかって来て、意識が途切れた。

気がつけば、闇の中だ──。




【名前】 死柄木(?)
【性別】 ???
【個性】 ???
【容姿】
ストレートな銀髪を腰まで伸ばし、ピエロの仮面をつけている。服装も、白を基調とした道化師の格好。身長は高いが、それはヒール付きのブーツを履いているからでもある。
【備考】
・表情は見えないが、喜怒哀楽はわかりやすい。
・ヴィランということもあって、人を殺すことに躊躇はない。
・全てが謎に包まれている──。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。