とても励みになっております
なんか色々とオリジナルです(アニメで探すのが面倒になった)
「あ、あの!! 先生達は…大丈夫なんですか…?」
ちらほらと軽傷ではあるが、怪我をしている者が沢山いたので、まとめて1-Aの生徒を病院に連れてきた塚内は、
「大丈夫。イレイザーも13号も命に別状はない」
「し、志村先生は──…」
「志村? ああ、アテリアのことか。アテリアは──」
塚内はそう言って振り向く。この先の廊下に何かあるのだろうか。塚内の行動に理解出来なかった生徒達は先の廊下を凝視した。
「…………」
「…………」
小さい声だが、話し声が聞こえる…ような気がする。
暗くて分からないが、誰かがいる…ような気がする。
「なあ、オールマイト。この事件のおかげで、相澤先生は反省文のことを綺麗さっぱり忘れてくれてると思うか?」
「うーん。どうだろうか。相澤君のことだから、そういうのはきっちりと覚えているんじゃないかな?」
「うっし。……消すか」
「ちょ、ちょちょちょ!! 志村少女! 一体君はその右手に持っている金槌で何をするつもりだい!?」
「「志村先生、めっちゃ元気!?」」
奥から見えた人影はオールマイトと皐己だった。皐己は右手に何故か金槌を持っていて、オールマイトがそれを取り上げようとしている。
そんなオールマイトとあーだこうだと争っている皐己を見てA組の生徒は叫んぶのだが、2人が生徒達に気づく様子はない。
「ここは病院だから静かにしようね」と塚内が生徒達にやんわり注意したが、生徒達にも勿論、オールマイト達にも聞こえてはいなかった。
「あの人、確か全身複雑骨折の筈だよな?」
「両手足、折れてる人が松葉杖なんて使えるのかよ?」
「人間? あの人、本当に人間なん?」
「つーか、まじ元気だな」
「何食ったらあんなに回復力上がんだよ爆豪」
「知るか。喋りかけるんじゃねぇ」
「あの大きな谷間で癒されたいぃぃぃぃ!!」
「峰田、お前は1回、志村先生に殺されてこい」
ギャーギャーと騒ぐ2人の先生を見て嬉しそうに生徒は話し始める。あまりの回復力に恐怖を覚えるが、何がともあれ元気なことが1番だ。
「良かったな爆豪。志村先生、元気そうじゃん」
「あ"? 別に心配しとらんわ」
「けっ」と舌打ちをしたかと思えば、何処かへと歩き始める爆豪。行き先も告げずに行くので、慌てて切島が爆豪の後を追う。
「おい爆豪待てよ!」
「あ"ん!? ついてくんなや!!」
切島から逃げるようにスタスタと歩く足を早める爆豪。しかし、切島は逃がす気がないのかニコニコとした笑顔で爆豪の隣を着いてこようとする。こいつ、諦める気ねぇな、爆豪は頭が悪い人間では無いので一瞬にして理解した。ダルそうに足を緩め速度を落としていく。
「爆豪、お前、意外と優しいやつだろ?」
「はあ? きめぇこと言ってんじゃねぇ。気色悪ぃ」
「その言葉遣いと悪人面をどうにかした方がいいぜ!」
「殺されてぇか!?」
爆豪の掌の上で火花が飛び散る。それを見ても切島は臆することなく「本当のことだぜ?」なんて言って笑った。
正直言って爆豪は拍子抜けした。「けっ」とまた舌打ちをひとつ漏らす。
爆豪が来た場所はトイレでもなく勿論、皐己の病室でもなく、通話が出来る通話可能区域だった。椅子が置いてあるにも関わらず、爆豪は座ることなく携帯を懐から取り出し、電源を入れる。
「(意外とそーいうとこ守ってんだな爆豪って)」
切島は椅子に座り爆豪の様子を静かに観察していた。爆豪が嫌だと言えばやめるが、爆豪はどうやら気にしていない様子なので観察を続ける。
爆豪は携帯の電源を入れると、電話帳を開いた。下に画面をスクロールしていき、「クソ転弧」と書いてある場所をタップする。
「(電話すんのか。俺、離れた方がいいな)」
「…急に気ぃにきかせんじゃねぇ。別にそこいていいわ」
「お、おう」
爆豪がいいなら…。切島は大人しく先程座っていた椅子に座り直した。爆豪の方はどうやら連絡か繋がったらしく、喋り始める。
「あ"? …んなくだらねぇ用事でてめぇなんかに掛けるわきゃねーだろ。あのアホだ。ああ、どーせ連絡行ってねぇだろうと思ってよ。……おう。ヴィランにな。ああ。医者の話じゃ全身複雑骨折らしいぜ。あん? アイツがピンピンしてっからだろーが。普通に歩き回っとるわ! 迎え? んなもん要らねーだろ。一人で帰れらせろや! おう、おう。絶対ぇ嫌だ。知るか。 あ"あ"!? ……死ね!!」
ブツッ!と豪快に通話を切った爆豪。ちゃっかり聞き耳を立てていた切島は「さっぱり分からねぇ…」と呟いた。どんな内容なのか全くもって理解できない。分かることと言えば、爆豪が切る少し前も通話相手は喋っていたことだ。普通にぶつ切りしていたが、怒られないのだろうか。
そんな切島の心配も他所に、爆豪がまた動き出す。それを見た切島は慌てて追いかけた。
「なあなあ。さっきの相手誰なんだ?」
「…あのアホの保護者だ」
「アホ? 志村先生の事か?」
切島が爆豪に問いかければ爆豪は否定をしない。ということは間違ってないのだろう。
「保護者って……あー!! 噂の婚約者か!! もしかして迎え来んのか!?」
「来ねーよ。家近いから一人で帰らせるわ」
「…やっぱり入院はしねぇんだな。……回復力パネェ…」
切島の言葉に爆豪は否定もしなければ、肯定もしなかった。可愛くない奴だ。
▼▲▼▲▼
「君ね。限度があるだろう?」
私、爆豪皐己は顔なじみの医者に愚痴愚痴と怒られていた。
「私は職業柄、君の
「ここにいんだよ」
不貞腐れた様子で私が言えば、目の前の医者は眉間をつまみながら「君ねぇ…」とため息をついた。馴染みの医者だ。こいつが頭を抱える姿なんてとうに見飽きているので、天井のシミでも数えようかと上をむく。
「話は終わってないよ。君の話を聞かないところも、本当に変わらないね」
「そりゃ私だからな。変わらんよ」
「最近は来ることが少ないと思ってれば、こうやって急に押しかけてきて……」
別に好きで押しかけてきている訳では無い。これも全て、私の未熟さと街で暴れたりするヴィランが悪い。
「しかし、最近はヴィラン系ヒーローだの戦闘狂ヒーローだなんてあだ名をつけられてないし、テレビでも見なくなったからすっかり公正したのかと思えば、全然変わってないねぇ」
「人はそう簡単に変わらねぇ」
「少しは変わる努力をしたらどうだい?」
「例えば、調子に乗って直ぐ個性を使ってしまうところとかね」と医者は言った。
「それは一体
「どっちもだよ」
私は珍しい個性らしい二つ持ちだ。二つ目の個性を知っているのは仕事柄、知る必要性があった目の前の医者と雄英の校長、リカバリーガール、そして私が心を許している転弧の四人だ。
「君の二つ目の個性はそう易々と公言していい個性ではないんだ。ちゃんと、制御しながら使わないと」
「んなこたぁ分かってる」そう気だるげに言えば「本当に分かってるんだろうか」と心配げな声が聞こえてくる。
「てめぇ、私が何年この個性と共にしてきたと思ってる。言われなくても分かっとるわ」
「君は頭はいいけど、性格面というか人間性が馬鹿だからねぇ。何かと心配なんだ。高校の時とは違って転弧君がいつも傍にいるわけではないんだし」
「……てめぇ、ぶち殺してやろうか」
「君だと本当にやりかねないから怖いね」
そう医者は全く恐怖心を持っていない顔でケラケラと笑った。つくづく私を馬鹿にしてきやがる。
「張り切るのもいいが、張り切りすぎるのはいけないよ」
そう言って私の頭を撫でてきたので思いっきり爆発してやった。そのヘラヘラ顔、私の爆破で少しは矯正してるといいな。
「…君ねぇ。相澤君の時と言い、やっぱり馬鹿だろう」
反省文から逃れようと、相澤先生の頭をかち割って記憶ごと飛ばしてやろうかと思ったのだが、オールマイトと生徒、そして目の前にいる医者に止められて未遂に終わった。因みに、みんなが寝静まった頃にまたここにやってこようかと思っている。
「相澤君の所だけ、警備でもつけておこうか」
ちっ。伊達に医者やってねぇな。心を読む個性なんて持ってねぇ筈なのに、私の心読みやがった。
「君は実に分かりやすいね。顔に出る」
「いっぺん死ね」
「君がいっぺん死んで、その足りない頭を治してきなさい」
医者の言うことじゃない。警察にでも出してやろうか。いや、それは私が困るから無理だな。
「普通、ヒーローが医者の顔を爆破しないからね? 僕が回復系の個性を持ってたからいいものの、持ってなかったら今頃溶けて凄いことになってるよ」
「それまで計算してのことだ。私は天才だからな」
「天災の間違いだろう? 知ってるよ。身に持って知ってる」
「……死ね!!」