僕は医療行為をしたいだけなのだが……   作:橆諳髃

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ようやっと本章に突入しました! これも皆様の応援だと思っております!

読んでくださってありがとうございます‼︎

それと……1つ謝らなければならない事があります。それは……本作には絶対に出ないであろう物をクロスオーバーとして書き出してます。絶対にその時代にそぐわないとは自分でも考えてはいるのですが、最近発売された新作のゲームにも影響されましたし、これからのシナリオとしてもしこの作品が完結したらなどを考えると……どうしても繋げたくなりました。

言ってる事が分からん! と思う人も多数出るかもしれませんが、取り敢えずとしてはこの作品の完結を目指していく心算です。

まだまだ完結には程々遠いですが、これからも読んでくだされば幸いです‼︎

では、ご覧下さい!


本章突入  黒衣の医者、何故か先生になる
12話 本章突入 再会


 

 

 

帝国歴1179年

 

 

 今僕はジェラルド達と一緒にとある村で宿を取っていた。明朝にはこの村を出る予定だ。

 

 20年もジェラルド達と行動を共にし、僕自身も見聞を広め、この世界にいる医者や治療師のレベルを測れた良い機会だった。

 

 結論としては中の下だな。魔法を使って傷付いた者達を癒すヒーラー……彼ら彼女らは多少の怪我ならば直ぐに治せる力を持っている。だからこそ戦場でも大いに役立つのだろうが……病気などの知識に対しては少々弱い。

 

 逆に薬などを使って癒す……僕と同じ医者に部類される人達は……ヒーラーよりも病気に対しての知識があり、それなりには薬を処方できる。だがいかんせん中にはヤブ医者もいるからな……これについては瞬時に僕が矯正させてもらった。後は僕が書き溜めた医術に関する書物を、地域ごとに、症例の違いごとに医者達に配布した。これを幾らか使ってこの世界の医療技術が上がれば良いのだが……

 

 あぁ、因みにその書物は変わらない物でできている。焼こうが切り刻もうが傷ひとつ付かない。それに捨てたとしても持ち主の所に戻ってくる。そんな万能な品物だ。売ったら何円の価値になるのだろうな? ま、僕にとっては関係ないことか。

 

 そんな事を考えていると、僕がとっている宿の扉がノックされた。

 

『先生……入っても良いか?』

 

 ノックした人物は……20年ほど前にジェラルドに頼み込まれて色々と教える事になったベレスの声だ。僕は入室を許可する。直ぐ様ベレスが入って来た。

 

 髪色はシトリーと同じ様な深緑色で、所々フワフワと感じるボリュームで肩まで伸ばしている。艶もある。肌の色は肌色よりも白く、どこかしら不健康に見えるだろうが、彼女はちゃんと食べているからな。何故か食事をするとき僕の隣で食べるものだから、いやでも目に入る。瞳の色は薄紫色で、身長は僕の首辺りだな。そして普段身につけている服の色は……誰を真似たか知らないがほぼ黒一色で、下に至ってはショートパンツだ。ストッキングっぽい物を履いているから露出は少なくなっているのだろうが……年頃の女の子がその格好というのは……少々けしからん。

 

 なに? 父親の様な発言をしている、と? まぁ……20年もほぼ一緒だったのならば、その情も湧くのだろう。僕は至って普通の発言しかしていないと思うが……

 

「それで、今夜はどうした? まさかまた一緒に寝てくれと言うのではないだろうな?」

 

「いや、今回はそうじゃないんだ。最近頭痛がすると思ったら眠気が襲ってきて……」

 

「また例の症状だな。まさか僕が処方した薬も効かないとは……苦しい思いをさせている」

 

「いや、先生のせいじゃないと思う。その後意識が途切れる様に眠ると、誰か見知らぬ女の子が立っていて……内容は鮮明に思い出せないが、多分それが原因だと思う」

 

「そうか」

 

「それで……また意識が途切れる前に先生の側に行きたいと思って、そうしたらこの頭痛も和らぐと思う」

 

「……根拠がない。だが、それでベレスの苦しみが少しでも和らぐと言うのなら少しぐらいは尽力しようか」

 

「ありがとう先生、それじゃあお休み」

 

「待て、何故僕の膝に頭を置いて寝る?」

 

「これが1番この頭痛に良いから」

 

「……はぁ。分かった。明日も早いからな。眠ると良い」

 

「ありがとう、先生」

 

 それからベレスは数分とかからずに寝息を立てて眠った。

 

 度々僕の部屋に侵入していつの間にか添い寝されている事が何回もあった。例え鍵をかけようが、魔法で開かない様にしようがいつの間にか突破されて添い寝されている。しかも抱き枕状態で……だから今回は、そんな強引な手段を取らずに添い寝を頼み込んできたのかと思ったが……そうではなかった様だ。それに今回が初めての事ではない。数年前からベレスはこの症状が出始めている。薬を処方しても改善されず、スキャンしても異常は見られなかった。

 

 ただ……原因があるとするならば、ベレスの心臓にぴったりとくっ付いている球の存在……以前僕が、まだベレスが生まれたての頃に処方した擬似蘇生薬と同じ大きさだが、ベレスが二十歳になるまでは全く見受けられなかった。何故急にこんな物が出来たのか……

 

(まだ僕にも知らない領域がある様だな)

 

 そう思いながら僕は、僕から見れば可愛いと思ってしまうベレスの寝顔を見ながら頭を撫でた。親バカ? 放っておけ。

 

 それから僕も数時間後に座りながら眠っていた。まぁベレスを起こさない様にな配慮だが。そこからさらに数時間後にジェラルド達に起こされるまでは、少し安らいだ気持ちで寝ていたと思う。

 

(と言うより、起きたら何故かベレスに膝枕されていたんだが?)

 

 まぁそれは良い。ジェラルドが起こしに来たと言う事はそろそろ出発だ。まだ日が登っていないうちだったが、僕としては持ち歩く物(まぁ荷物になりそうなものは別空間からいつでも取り出せるからな)はないためいつでも出れる。そして、ベレスも準備し終えていざ行こうと思った矢先、誰かが助けを求めてこの村に来ていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side エーデルガルト

 

 私がガルグ・マク大修道院にある士官学校に入って初めての課外活動の日。クラス全ての合同で、今日は朝から晩まで野営をして、それが一通り済んだら修道院に戻る予定だった。ただ、野営が済んでいざ戻ろうとしたとき、賊が現れて私達を襲った。

 

 私と他のクラスの級長、ディミトリとクロードで一部分の賊を引き付けて、残りはセイロス騎士団に任せた。

 

 行幸な事に近くに村があり、さらに傭兵もいた事から私達は助けを求めた。そこであったのが、ジェラルドという傭兵団を纏める男の人と、その娘である女の人、名前はベレスと言ったわ。その2人に助けを求めると、後もう1人出てきた。その人は……

 

(っ⁉︎ まさか……)

 

 エーデルガルドがここ数年、ずっと会いたくて、ずっと側に居たいと思っていた人物が、ジェラルド達にいつもの口調で話しかけていたところだった。

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 ジェラルドと後数人が何か話していた。数は3人……ふむ、見るにガルグ・マクの生徒だな。

 

(ん……あれは……)

 

 その中に見覚えのある風格をした女の子が1人いた。

 

(エル? どうしてこんなところに?)

 

 あぁ、確か野外活動があったのだったか? 6O達からも幾らか話は聞いていた。この村付近でガルグ・マクの生徒達が活動すると……

 

 久しぶりの再会だ。だがここで喜びの表情など出せようものがない。そもそも口元を隠して目元も……死んだ魚の目の様だとジェラルドからいつも言われているから、喜んだとしても外からは分かりにくいだろうよ。

 

 そう思ってエルを見ると……

 

「……」チラッ ニコッ

 

(……僕だと気付いているな)

 

 彼女は僕にしか分からない様に目配せしてきて、これまた僕にしか分からない様な笑みを一瞬浮かべてくる。

 

 そうこうしているうちに賊共がきた。ジェラルドはベレスに、3人の生徒達と迎え撃つ様に指示していた。しかしながら賊の増援がまたやってくる。

 

「アスレイ、お前も手を貸してくれ」

 

「はぁ……僕は医者だぞ?」

 

「そう言いながら先陣を切る奴の台詞じゃねぇよな?」

 

「……分かった」

 

 そう言いながら僕はベレス達の前に出る。

 

「おいおい、武器も持たずに何する気だ⁉︎」

 

 褐色肌の生徒にそう言われるが、問題ない。僕は小さい空間を手元に作って手を突っ込むと、そこから武器を取り出した。その名も……

 

「そ、それは……なんです?」

 

「あ、あれって……武器か?」

 

 褐色生徒と一緒に、金髪イケメンな生徒が言う。まぁそうだろう……何せこれは

 

「デッキブラシ……汚れを落とすのに最適な武器(掃除道具)だ」

 

「いやいや⁉︎ そんなんで戦えるわけないだろう⁉︎」

 

 褐色の子……君は今からツッコミ役だな。

 

「……」

 

 エルはずっと僕の事を見ている様だが……何かを確かめる為だろう。久々に会った手前、格好悪いところは見せられないな……

 

(あぁ……僕は医療行為をしたかっただけなんだがな……)

 

 これまで出会った人達との邂逅で……よもやここまで思考が変わるとは。

 

「へっへぇ‼︎ 死にたくなかったら身ぐるみ全部剥いで差し出せぇ‼︎」

 

 僕に向かって威勢よく飛びかかってくる賊。エル以外の2人が駆け寄ろうとするが、ベレスが手で制して止めてくれた。その時には賊は剣を振り下ろすところだ。

 

「遅い」

 

 剣が届く瞬間に、剣の腹をデッキブラシで弾き、無手になった賊をブラシを持ってない方で掌底を喰らわす。それだけで相手は倒れ伏した。

 

「流石先生だ!」

 

 ベレスは正直な感想でそう言ってくる。まぁこのくらいは序の口だ。

 

「い、今のは……」

 

「一瞬で見えなかった……一体何やったんだあの人⁉︎」

 

 後の2人は僕が何をしたか見えなかった様だ。といっても剣を弾いて掌底喰らわせただけなんだがな……それ以外にない。

 

流石ソーマね

 

 エルが何かボソッといった様だが……今は目の前のやつに集中するか。

 

「おい⁉︎ 何やってやがる⁉︎ 相手を分散させて叩くんだよ! 数ではこっちが上なんだからな‼︎」

 

 頭みたいな奴がそう指示すると、賊共は僕達を分散させた。といっても僕とベレス達をだが。

 

「テメェ! さっきはよくもやってくれやがったな‼︎」

 

「楽には殺さねぇ! 嬲り殺してやるぅ‼︎」

 

 と、僕を囲って思い思いに言っている。が……

 

なぁ……

 

「「「っ⁉︎」」」ゾクッ……

 

「来るのならつべこべ言う前に早く来い。時間の無駄だ」

 

「「「テメェッ‼︎」」」

 

 僕が一言煽ると、賊共は一斉に飛びかかってくる。自分達の被害など考えもしない……目の前にいる獲物を仕留める為だけの行動……

 

(大きな獲物なら別にやっても良いがな)

 

 そう思いながら僕はデッキブラシで賊が持つ全ての獲物を叩き落とす。賊の攻勢が一気に削がれた事を確認した。そして……

 

水塵渦龍槍(すいじんかりゅうそう)

 

「ウワァァッ⁉︎」

 

「なんだぁっ⁉︎」

 

 ソーマがデッキブラシを頭の上でプロペラの様に少し回し、その勢いで地面に突き立てる。同時に莫大な水飛沫が、まるで龍の息吹の如く一斉に飛びかかって来た賊共に襲い掛かる。

 

「縛れ、水錠(すいじょう)

 

 戦意喪失した賊は、手足全て先程の水で出来た枷で拘束された。

 

「す、スゲェ……」

 

「あ、あんな技見たこともない……」

 

 ソーマの技に男子2人は呆気に取られていた。技もそうではあるが、1番の驚きはデッキブラシで複数の敵をいなしてしまった所だろう。

 

「やはり先生は凄い……今の私ではまだ超えることは出来ないな」

 

 ベレスは……僕が幾らかの学問(主に医療)を教えると同時に少々基本的な武術も教えたからか、そこからは自ら修練して今では無手でも相手を無効化出来るまでになった。時折手合わせを頼まれてするのだが、毎回僕に負けている。寸止めだがな? そんなこともあって、ベレスはいつか僕を越えようとしている様だ。正直僕は武術など自衛が出来るくらいで良かったんだがな……世が世だ。それ以外を身に付けないと僕が見る患者が減ってしまいかねん。

 

「凄い……惚れ直してしまったわ」ボソッ

 

 ん? エルが何か言った気がする。まぁ気のせいだろう……僕の勘がそう告げている。どうやらあちらも頭を倒し終わった様だな。後は縄で捕縛するとしよう。

 

 その緊張が切れた瞬間がいけなかったのだろう。頭が急に立ち上がって自分の獲物を振り上げながらエルに向かう。それに遅れながら気づいたエルも腰に差してあった短剣を手に取るが……あまりにもリーチが違い過ぎる。そこにベレスが入って庇おうとするが……あのままではベレスが危ない。

 

 だから僕は詠唱省略でとある呪文を唱えた。唱えたと同時にベレスを中心に時が止まったのは同じタイミングだった。とある呪文を唱えた僕だけが動ける世界……ベレス達も賊共も、時が止まったかの様に動かない中、僕はエルを庇うベレスと頭の持つ武器がベレスの背中に残り数cmの間に入った。そんな中でだが……

 

(この感覚……昔に覚えがあるな)

 

 あれはまだソティスと交流していた時……ザナドの谷で一緒に暮らしていた子供達数人と少し遠出した時だ。1人の子が誤って崖から落ちそうになったのだ。その時の僕はまだ時を止める呪文を習得していなかったのもあり、どうにか生命を創り出して落下を防ごうとしたのだが、その途端に不思議な感覚に陥った。

 

 それはソティスを中心に時が止まり、誰も動かない世界が出来上がった。そして段々と時は巻き戻り、子が落ちる前まで戻る。子が落ちる前にソティスが手を繋ぎ止めたから、結局は子も落ちる事はなかったが……今体験している現象はまさにこれだ。

 

(ソティス……その子の中にいるのか?)

 

 今は微かな気配しか感じられないが、確かにソティスの気配をベレスから感じる。そしてあの時と同じ様にいよいよ時が戻り始めた。僕のかけた呪文はどうやらそれに干渉しない様だから、僕はエルの目の前に立ったままだが……

 

 時が幾らか巻き戻った時、異変を察知したベレスがエルに駆け寄ってくるが、既に僕がいた。ベレスもエルも……そして武器を振り上げながら怒火迫った顔でこちらに向かってくる頭も驚いた事だろう。まぁ振り下ろそうとする武器を急に止めようとしても出来っこないし、そもそもこいつは人を殺める気で振り下ろそうとしている。それに1番厄介そうな僕を処理できると思って、心の中では結果オーライと思っている事だろう事は容易に想像がつく。

 

 正直その程度思われても僕は何ともない。まぁできるのなら凄いね、と……そう思う程度だ。

 

だがエルやベレスを殺めようとした事は許さん

 

 振り下ろされた頭の獲物……鉄製の斧を僕は左手で白刃どりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ベレス

 

 咄嗟に少女を庇ったら、そこで時間が止まった。そしてまたこの空間に来てしまった。目の前には怒りながらこちらに詰め寄ってくる、これまた気を失った時に夢で見る緑髪の少女がいた。どうやらこの少女が外の時を止めているらしい。名前をソティスと言った。

 

 それから時を止めた後どうするかと言うことになり、私が「時を止めれるのなら巻き戻す事もできるのでは?」と提案したら、「そうか! その手があったわ‼︎」と言ってそのまま時を巻き戻した。ソティスはここ最近覚醒して気が付いたらここにいたと……名前もさっき思い出したばかりで、昔の記憶は曖昧だと語っていた。

 

 ただ……何やら私の周りで時折懐かしい雰囲気を感じたとソティスは言っていた。それが何かはまだ分からないが、とにかく安心出来る心地良い雰囲気だと言っていた。ここからは私と視界も共有できるから、その何かも分かると思う。

 

 そしてソティスに時を戻してもらって、ここから先何が起こるかも分かっているから、巻き戻ったと同時に自分の剣を手に取って、襲われそうになっていた少女に駆け寄った。

 

 だけどそこで私は信じられないものを見た。

 

「先生⁉︎」

 

 少女の目の前に先生がいた。あの盗賊との距離も既に近くて、そこに何とか割り込もうとして駆けるも……一瞬動きが止まったせいで後もう少しのところ間に合いそうにない。

 

(このままだと先生が傷つく‼︎)

 

 そう思っている間にも盗賊が斧を先生に振り下ろす。危ない! 避けて‼︎ 咄嗟にあったとしても人は直ぐに反応できない。最悪の行動が頭を過った……

 

 

 

 

 

 

 

 過ったのだが……

 

「なっ⁉︎」

 

 それは誰が発したものだろう……それともこの場の全員が発したかもしれないその光景は……盗賊の攻撃を、ただいつもの呼吸をするかの様に片手で刃の腹部分を掴んで止めている黒フードの男の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰も傷付かなくて良かった……今の僕は安堵している。それと同時に……

 

おい貴様……

 

「っ……⁉︎」

 

「僕の患者(大切な人)に対して何をしようとした?」

 

「て、テメェ! この手をはnガハッ⁉︎」

 

「誰が質問以外の答えを出して良いと言った? それとも質問の内容が分からなかったか? ならもう1回聞こう……僕の患者(大切な人)に何をしようとした?

 

「グッ……そ、そこの白髪の女に襲い掛かった……」

 

「そうか……それで? この斧を何故彼女に振るった?」

 

「そ、そんな事きまっt「彼女に手数を負わせて人質にしここから脱する為……か?」なっ⁉︎」

 

「あぁ……貴様の様な思考の奴に、僕は幾度もなく会ってきたからなぁ。その後彼女をどうするつもりだった?」

 

「そ、それは……」

 

「答えられないか? まぁそうだろうなぁ? ここでそんな回答を出したら……いくら貴様でも想像に容易いだろうなぁ?」

 

「お、お前は一体なんなんだぁっ⁉︎」

 

「僕か? 見て分かるだろう? ただの……医者だ」

 

 そう言いながらソーマは斧の刃部分を、手に力を込めて粉砕した。それによって頭の拘束も解けたが……その衝撃で少しだけ後ろに下がった。

 

「おい……何を勝手に離れようとしている?」

 

「ガッ⁉︎」

 

 頭はいつの間にか近いたソーマに掌底を食らっており、身体が宙に浮いていた。

 

「僕が今やっている事は……貴様が先程彼女にしようとした事よりも生温い」

 

 そう言いながらどんどん頭に体術でコンボを決めていく。それが10を超える頃には、ソーマ自身も宙を自由に動きながら頭の身体を360度どこからでも拳、蹴りでコンボを入れていた。もはや人の動きではない……

 

「これで仕上げだ」

 

 最後のダメ出しに頭の腹を正拳突きし、頭の後方で唖然として動かないでいた賊共のはるか後方にある1本の木にぶち当たって止まった。その際頭の身体はボロボロだったが、凄い音を立てて木に衝突したにも関わらず血は一滴も出ていなかった。

 

「さて……大人しく縛についてもらおうか?」

 

「ひ、ヒィィッ⁉︎ た、退散! 退散だぁ‼︎」

 

 賊共は頭を数人で背負って逃げようとした。それを素直に見送るつもりはなかったので、僕はそれよりも早く動こうとしたのだが……そこに邪魔者が現れた。

 

ガショ、ガショ、ガショ……ウィィィィ……

 

 それは……この世界では無いはずの物、所謂ロボットだった。それも、前世で学生時代だった頃、歴史の教材とかに載っていた侍の格好をしていた。しかしながら頭は人間のそれではなく、赤く怪しげに光るライトと、それを囲うだけの装甲で、勿論胴や手足の隅々まで機械で作られていた。片手には刀を持っており、今から僕達を襲うぞと言っている様な物だ。

 

「なんだあれ?」

 

 ジェラルドも目の前にいる存在にそれしか口に出ない。他の者も同様らしい。ただ僕はそこで立ち尽くすのも時間の無駄だと思い、さっさと目の前のロボットを壊す事にした。

 

 その意思を相手側も感じたのか、前に進み始めた僕に向かって刀を振り上げながら接近してくる。僕は無手で相手は刀……当然相手側の方が先に攻撃が届く。ロボットが僕に刀を振り下ろす。あぁ、さっきと同じ状況だな。

 

 だが僕はそれを受け止める事はせずに一歩横にズレて回避、相手の攻撃が地面を抉っているうちに相手の膝裏目掛けて蹴りをかます。するとロボットは、何をされたか分からない、と表情に出せようもないがそう思った事だろう。ロボットの頭が少し空を見上げる形になったところですかさずロボットの頭を掴んで地面に叩きつけた。

 

 その時間僅か数秒……見ている人も何が起こったか分からない事だろう。

 

(それにしてもアンドロイド達とは違う鉄の身体を持った者か……調べるべきだな)

 

 僕はそのロボットを地面に倒したまま黒い空間に仕舞う。そして素早く、真っ暗闇の空間を指揮している司令官に素早く伝達しておいた。

 

 その頃には賊共も遠くに行っていた。今からでも追えるが……またあのへんてこりんなロボットが出てくるかもしれない……そう思うと易々とここから離れる事は出来んな。

 

 そう考えながら僕はベレス達のところに歩いていった。そこから少しベレス達と話していて、途中アロイスという恰幅の良い騎士が来るまで続いた。

 

(しかしながら何故エルはこうも僕の腕に抱き付いている?)

 

 その時は、ベレス含めて他の男子達も視線がこっちに向いていたのは……言うまでもないと言っておこう。エル……頼むからそんなに強く抱きつかないでくれ……色々と当たっている……

 

 かくして、ソーマはエーデルガルトと再会した。これを境に、彼の更に濃い日常が幕を開く事を……誰も知らない。

 

 

 

 




簡単な解説

今話の主な人物達

・フォドラで20年以上時を過ごしたソーマ

本作のオリ主。変わったところはほぼないが……大切な者達が関わると親身に接する様になる。しかしジェラルドの酒癖の悪さについては一切許さず、酔っ払って絡んでくる時は毎回パンクラチオンで寝かせて(気絶させて)いる。

ベレスについてはどことなく親バカ気質となる。人の行為については若干分かってきたものの、唐変木気質は抜け出ない。


・エーデルガルト

ソーマにベタ惚れな少女。いっぱいちゅき。


・ディミトリ

ファーガスの王子。昔父共々助けてくれた恩人を探している。しかし父に聞いてもはぐらかされる毎日。
ソーマと初対面だが、賊達を一瞬で無力化した姿を見てまさかと少し思っている。


・クロード

ツッコミ役。ほぼ確定。


・ベレス

本作の主人公。小さい頃からソーマと共に行動していたため、ソーマの事を本当の父親と思っている反面恋心も抱いている。本人にパンクラチオンを仕込まれている。


武器解説

・デッキブラシ

普通に掃除用具。ソーマが使っていたのも、何も施されていないどこにでもあるデッキブラシ。しかし悲しいかなこの時代にデッキブラシは存在せず、クロードも見た事ないが掃除道具と聞いてツッコミを入れた始末……

尚、本作ではとある作品(テイルズシリーズ)と同じく槍扱いである。


特技解説

水塵渦龍槍(すいじんかりゅうそう)

槍で地面を突き刺し、そこから龍の息吹の如く360度水飛沫が敵を襲う技。しかしながら本家以上に水量は多い。流石デッキブラシである。


他解説

・介入してきたロボット

どこからともなく現れたロボット。他作品から堂々介入して来た。一体どこのハゲチャビンが創り出したのか……。送られる世界や巻き込まれた人からすればいい迷惑である……

山田くんっ! 全部持って行きなさい‼︎

とある黄色い噺家の座布団が万年座布団運びの人に全部持って行かれた……


以上。次回もお楽しみに。
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