僕は医療行為をしたいだけなのだが……   作:橆諳髃

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この作品を書くまでに評価して下さった読者の方々

☆10 氷結竜ソフィーナ 様
☆9 ヴァント 様
☆7 タケト 様
☆1 本唯 様 反葉駄目太郎 様 ガム 様 ハーフシャフト 様

評価下さりありがとうございます‼︎

ちょっと最近はF○Oのイベントにかかりっきりでこちらの方などを疎かにしてますが……何とか頑張って書いていきます!

「……作者に治療が必要な様だな」

な、なんか不穏な言葉が聞こえた気が……


第5話 この馬鹿っ‼︎

 

 

 

 

 

 

シトリーを助けた後、僕は専ら医術の進歩に励んでいた。シトリーに取り憑いていたあのドラゴンを僕の研究室に運び込んで色々と実験をしていたからだ。

 

まぁそんな事をして数ヶ月くらい経っている感覚がするが……

 

『グッ……ゴォ……』

 

そしてドラゴンの様子は……最初の時よりも大分大人しくなった。彼奴も彼奴で生にしがみつくのに必死だったのだろう。最初は暴れていたが、僕が環境を整えると徐々に大人しくなった。今では僕の実験に嫌な顔せず付き合ってくれている。というのも……

 

「さぁ、これが今日の分だ。よく味わうと良い」

 

『ガウッ』

 

何をあげているか? そんなの……魔物から取れる血肉と魔物に埋め込まれた紋章石の一部を与えているだけだが? なに? どこからそんな物を用意できるかだと? まぁ簡単に言ったら魔物もこちらの空間に迷い込んでくることがある。それも結構前からだ。

 

それを見つけ次第倒しているだけだな。見つけた途端、何故か嬉々としてA2が突貫して倒したそれをすぐに僕に見せてくれる。どうやら彼女はカウンセリング能力云々よりも戦闘能力の方が高いようだ

 

(まぁいつも9Sをボロボロにする時大剣を振り回してるからな……)

 

そして魔物を倒して僕の元に持ってきた時に、A2は必ず褒めろという仕草をしてくる。確かに迷い込んだ魔物がこの空間で我が物顔で闊歩するのは、僕としても非常に困るし許し難い。まぁもし魔物が僕の医療の邪魔をすると言うのなら……世界に存在する魔物全て僕が直々に滅ぼすがな?

 

でだ、被害が出ないうちに彼女が対処してくれるから僕もありがたい。だからこそ褒めてはいるが……正直この構図は、僕としては飼い犬が飼い主が投げたボールを拾って、飼い主の元にボールを戻しに来た時にヨシヨシされる……といったものに思えてならない。

 

まぁ頭を撫でているのは事実だが……その時にA2が物凄く嬉しそうにしているのを見ると……何故か僕の中でまだ撫でていたいという思いにもかられる。しかしながら……あまりし過ぎると何故か怒って僕の前から姿を消すが……何故だろうか?

 

それを、またどこから見ていたのか分からないが9Sが覗いていていつのまにかA2にフルボッコにされると……魔物が迷い込むとほぼその繰り返しだな。

 

(だがここにいて……医療以外でも退屈しないというのは事実だな)

 

僕は……いつのまにか最初1人きりでほっぽり出された空間に対して、そして周りにいる個性豊かなアンドロイド達に囲まれたこの時間に……愛着が芽生えていたようだ。

 

話が脱線してしまったが、ともかくそんなこんなで魔物の血肉と紋章石を得ている。

 

だが魔物といえど生物だ。当然死んでしまえば肉も腐る。一応冷凍保存や実際に自分も調理して食べてみたりもしたが……僕の口には合わなかった。それに魔物から取れる肉なども多いからな……あともう少しで冷凍庫の中もいっぱいになるところで、困っていた所に白いドラゴンがまるで時期を見計らっていたかのように現れて今に至る。

 

『グゥルル……』

 

「どうだ? うまいか?」

 

『グゥルグゥル』

 

どうやら喜んでくれているようだ。最初見た時は、まるで神みたくの神々しさを感じたが、今の様子を見るとまるで飼いならされたペットだな。来て数日なのにここまで懐くとは……

 

それに医術の進歩も、このドラゴンのおかげでかなり進んでいる。それも紋章絡みの医療が特に……

 

(これならばリシテアの無理矢理埋め込まれた紋章や縮んだ寿命に対しても早い段階で解決するかもしれん)

 

一瞬そう思いながらも、僕は医術の進歩のために実験をした。

 

しかしながらすぐ後……ソーマに不幸が降りかかる事を、ソーマ自身知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

side A2

 

 

 

 

 

(最近ソーマの様子がおかしい……)

 

確かシトリーって奴を助けたあたりから研究やら実験に没頭していて、顔色とかは普通に大丈夫な癖して偶にふらついて歩いている。

 

(まったく……他の奴の心配して自分の体の事は眼中にないんだから)

 

「少し様子でも見に行ってくるか」

 

私はソーマの部屋に向かった。

 

「ソーマ、いるか?」

 

部屋の前まで来た。大体ソーマがいるかどうかは、扉の掛け札で分かる。今は在室とあるから確実にいる事は分かる。そして声をかけたら直ぐに返事をソーマはしてくれる。

 

だが今日は少し待っても返事が返ってこない……

 

(どうしたんだ? 実験に没頭して聞こえていないのか?)

 

そんな事は一度もないと思うが……まぁ入らせてもらおう。

 

「入るぞ。返事をしないなんてどうし……っ⁉︎」

 

一瞬……私は思考が停止した。何故なら目の前に……ソーマが倒れているからだ。それとアタフタしているソーマがシトリーから回収したドラゴン。

 

「まさか……お前がやったのか!」

 

『グゥル! グゥルッ‼︎』

 

私が大剣をドラゴンに突き付けながら言うと、ドラゴンは必死に違うという意思表示をした。

 

「っ……今はこんな事をしている場合じゃない!」

 

私は倒れているソーマを背負って、デボルとポポルの急患治療室に向かった。

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

僕はどうやら……いつのまにか寝ていたようだ。しかもベットの上で。

 

(だが一体……)

 

「漸くお目覚めかソーマ」

 

「デボル……ここは?」

 

「ここはアンドロイド隊専用の病室だ。まぁここにはほぼアンドロイドしか居ないがな」

 

「……何故僕はここにいる?」

 

「原因は過労によるものだな。何日も寝てなかったんだろ?」

 

「そうなのか? 研究に没頭して気付かなかったな……」

 

「はぁ……私達に無理するなって言ってるくせして自分で気付いてないとか……医者としてどうなんだ?」

 

「それは……何とも言えんな」

 

「まぁ3日間は眠ったままだったんだ。皆すっごく心配したんだから、お小言の1つ2つは覚悟しとけよ?」

 

「そうだな……」

 

それからアンドロイド隊皆に僕が目を覚ました事が物凄い速さで伝わり、順次お見舞いに来てくれた。

 

2BとS9は一緒にお見舞いに来てくれて、体の調子はどうか? とか、あまり無理しないようにと念押しされた。

 

6Oは泣きながら僕の無事を確認して、最後にはデートの約束をさせられた。そうしないと許しません! と泣きながら言われたのから、僕は分かったと頷くしかなかった。

 

21Oは、心配そうな顔になりながらも僕を叱った。研究も良いですが絶対に休息は決まった時間取ってください、と。僕はそれに頷いて、次からは気をつけると約束した。

 

そして……

 

「A2……」

 

「……」

 

最後にA2がお見舞いに来てくれた。そういえばデボルから、ここに運んだのはA2だと聞いた。ならばお礼を言わなければ。

 

「僕の事をここまで運んでくれたらしいな。助かった。礼をi「馬鹿っ‼︎」……」

 

僕は……急に平手で殴られた。正直何故叩かれたのか分からなかったし、叩かれた直後は思考が停止した。

 

「お前……あのままだと死んでいたかもしれないんだぞ⁉︎ どうしていつもいつもそんな無理するんだよ⁉︎」

 

「……僕は無理だとは思っていなかったんだがな」

 

「そんなの頭の中でだろう⁉︎ 私は気付いてた! お前がここ数日偶にふらふらしながら歩いているのを……お前はそんな事気付かなかったろ! お前が何日も飲まず食わずで生きれる事は知ってる……でも空腹と身体の疲れは違うだろ⁉︎ いつもいつも私達にあまり無理するなって言ってるくせに……お前が無理してどうするんだよ⁉︎」

 

「……」

 

僕はそれに対して何も言えず……ただA2から言われる事を黙って聞いていた。何せ正論であるし、医者である僕がいつのまにか蔑ろにしていた事だから……

 

「……すまない」

 

「っ⁉︎ そ、そんな顔されたって許すわけないだろ‼︎」

 

正直僕が今どんな顔をしているかなんて分からない。だが、僕の顔を見ているA2からは、初めて見たって顔で驚きながらも許さないと言われる。

 

(……困ったな。こんな時僕は……どうやって許してもらえば良いのか分からないな)

 

今までは、確かに相手が怒った顔をしている時もそれはそれで困ってはいたが、それでもどうやったら許してくれるかを問えばそれで許してくれた。

 

しかしながら今回は……相手が泣きながら怒っている。A2が涙を流しながら僕を怒る……いや、これは叱ってくれているんだろうな。だからこそ僕は……この時どうやって許してもらえば良いのか分からない。

 

「どうやったら……許してくれるだろうか?」

 

それでも僕の口からは……許しを乞うような、そんな言葉しか出てこない。

 

(こんな事なら……医療の研究ばかりにかまけてばかりではなく、普段からかの子達との付き合いも積極的にしていくべきだったな……)

 

「どうして……そう言うばかりなんだよ。何で許しを乞うぐらいしか言葉に出来ないんだよ!」

 

「……人や、君達との付き合いよりも、医療の進歩にかまけていたからだろうな。だからこそ僕は……相手が怒っている時とかそんな言葉しか出ないのかもしれない」

 

「……なぁ、ソーマにとって私達は何だ? 私達はただ……ソーマの掲げる医術の進歩を手伝う……ただそれだけの関係性しかないのか?」

 

A2からのその問いに……僕は何故か胸が苦しくなった。

 

確かに最初は……この世界でただ医術の進歩をさせたいが為に彼女達を利用していた。ここに迷い込んでくる魂達を彼女達に任せて、僕は医術の進歩に力を注ぐ。ただそれだけしか考えてはいなかった。

 

「私は……ソーマに会っていなかったらあのまま壊れてたか……あの世界を記憶にないまま何回も繰り返していたかもしれない。私達は、ただ人間を繁栄させるための道具でしか自分達の生を見出せなかった。そんな私達をそこから……いつまでも続くような呪縛から解放してくれたのがお前なんだ!」

 

あぁ……確かにそうだったな。最初アンドロイドを作ろうとしたが、知識を持っていても技術がなくて四苦八苦だった。そんな時に、何の因果か彼女達がこの真っ暗闇の世界に迷い込んだ。それも壊れた状態で……

 

だから僕は、患者にいつもやっているようにスキャンをかけて、それで治すべき場所を見つけて処置をした。そこからだったな……彼女達との関係を築いていったのは……

 

「だからお前がもし……もし死んでしまったら私達は……私はどうすればいいんだよ⁉︎」

 

「……そうだな。何も……言えないな。僕が死んでしまった後のことなんて……責任など取れないのだから」

 

「だから、心配をかけて……すまん」

 

「っ⁉︎ この馬鹿‼︎」

 

僕の事を馬鹿と言いながらも……彼女は僕の事を勢いよく抱き締めてくる。僕の背中に手を回して、力を強く入れて僕を抱き締める。そんな力強さを感じるのに……彼女は震えていた。それで、抱き締めた事で決壊したのか嗚咽も聞こえた。

 

僕はそれに対しては……今この瞬間本当に彼女達と積極的に接していない事を後悔していた。正直何と言葉をかけて良いのか分からないのだから……

 

だから僕は……彼女の背中に腕を回して、そしてゆっくりと背中を叩きながら謝る事しか出来なかった。

 

それから数分してA2は泣き疲れたのか眠った。A2はデボルが今A2の部屋まで運んで行っている。

 

「これで分かったよね? 私達が貴方の事をどれだけ心配して、どれだけ想っているかを」

 

「……あぁ。痛い程にな」

 

「本当は……私も貴方の事を平手打ちしてどれだけ心配したか伝えたかったんだけど、でもA2が先にやっちゃったし、ソーマもよく分かった様だから」

 

「あぁ……僕は後悔してる。君達と……これまで積極的に接してこれなかった事を」

 

「でも、今からでも遅くないわ」

 

「……そうか?」

 

「そうよ。だからまずは……」

 

ポポルが僕の頭を少しあげる様に指示をする。何だろうと思うが、ここは素直に従っておこうと頭を上げた。するとポポルはさっきまであった枕をどかして、代わりにそこで俗に言う女の子座りになった。

 

「……何を?」

 

「良いから。私の太ももに頭を乗せて」

 

僕はポポルの意図が分からなかったが……今回迷惑をかけたのもあって従った。

 

「んっ……」

 

「どうした?」

 

「な、なんでもないの……気にしないで」

 

「そうか……」

 

ポポルは何故か顔を赤くしていたが、どこも悪くなさそうだから何も言わなかった。

 

そうやってぼぉっと考えていると、頭をゆっくりと撫でられる。

 

「ふふっ、とにかく貴方はまだ病み上がりなんだから今は休んで。ね?」

 

「……あぁ。そうさせてもらおう」

 

しばらくそうしてやられているが……すぐに睡魔が襲ってきた。それに……

 

(何故だろうな……物凄く心地いい。遠い昔……僕が忘れたはずの感覚が……)

 

「おやすみソーマ。ゆっくり休んでね」

 

そんな声が聞こえて僕は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は風花雪月に登場した人物を助ける回ではありませんでした。期待して下さった読者の皆様……大変申し訳ありません……

次は誰か助ける予定です。まぁ誰を助けるかは……ゆっくり書きながら考えていこうと思います。

それではまた次回お会いしましょう!
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