エーデルガルトと一緒に寝た翌日……アンドロイド達から色々と責められたり質問されたり……挙げ句の果てに今度一緒に寝て欲しいと頼まれる始末の今日。
(僕と一緒に寝て何が良いのだろうか?)
今までよりもアンドロイド達と接する機会を増やしたソーマであるが、未だに女の子の気持ちが分からない様子……
「さて、いよいよ明日か……」
それぞれの進捗状態の報告を受けながら、自分の方でも引越しの準備をする。その日はそれ以外何事もなく過ぎ去り、いよいよ引越しの日を迎えた。
「司令官、今から正式にここの管轄を君に任せる。何かあったら僕に知らせるように。特に救いを求めている患者がいた場合はすぐ僕に連絡をして欲しい」
「分かった。こちらの事は任せて欲しい」
「あぁ。ではな」
そしてソーマ達旅立つ組はソーマの作った扉を通ってフォドラへと向かう。それが全員潜るまで、真っ暗闇の世界に残る組は見送ったのである。
ソーマ達がフォドラに降り立ったその土地は、季節的にも寒い時期に差し掛かっているのかこの葉が少し散らばっていた。木についている葉も、丁度緑と茶色の中間くらいになっている。
「ここがソーマが度々来ていたフォドラか」
「あぁ、だが僕もこれまでに北の地へといったことはないが」
(そもそもこれまでが南側の方面だったからな。この辺りならば近いうちに雪が降るかもしれん)
「さて、皆来たところで悪いが早速周囲を探索してもらいたい。近くの村々、地形、ここから比較的近い城やこの地域を納める地域の領主が誰なのかなど……やり方は乱暴なやり方以外であれば許可する。オペレーターも各チーム割り振りをしてある。何かあれば知らせる様に」
「デボルとポポルは僕の手伝いをしてほしい。そして僕は僕で、治療に適した地脈を探す。では各自夕方までには帰ってくるように……集合場所は後で赤い閃光を空に放って知らせる。では各々動いてほしい。解散」
「「「はい!」」」
アンドロイド達はソーマの指示で散開した。その場に残るのはソーマに手伝いを頼まれたデボルとポポルだ。
「それで、私達はどうすれば良い?」
「ソーマの頼みなら私、いくらでも頑張るわ」
「あぁ、頼りにしてる。僕達はさっき言ったように、治療に適した地脈を探す。といってもここにきた時点で既にある程度は決めてある。こっちだ」
デボルとポポルはソーマに先導されて付いて歩く。そして着いた場所は、フォドラに降り立つ際に開いた扉から北東に300m程歩いた大きな岩場があるところだった。
「ここか?」
「あぁ、ここだ」
「で、でもここってなんだかおかしいわ。周りの木々が既に何年も前に朽ちているように見えるし……」
「その通り」
「えっ?」
「ど、どういう事だ?」
「僕の調べでは……ここはおそらく地脈が湧き出る地域だ。だからこの辺り近辺は例え寒い時期であろうと様々な花が咲いていたはずだ」
「な、ならどうしてこんなに周りの木々が枯れているんだ?」
「それは……そこに陣取っている、まるで大きな岩に擬態している魔物がこの地の地脈を独り占めしているからだ」
「あ、あれが魔物なの⁉︎」
「うむ。僕らの存在などとっくのとうにお見通しのくせして未だに動かないのは、僕らがここから立ち去る隙を見て襲い、自分の養分にするためだろう。まぁ僕としては、この地にガン細胞の様な存在であるあれがいつまでもこの地に蔓延る事は我慢出来ないからな……」
「焔にのまれろ、ファイアーボール」
ソーマが唱えた次の瞬間、岩の上空から大きな火の玉が落ちていき……地上に落ちると岩をもすっぽりと覆う程の火柱を立てた。
『ギギィィィィッ⁉︎』
そしてソーマが言ったとおり、岩だったものはまるで花の様な形になって苦しみだす。
「あ、あれは……」
「今まで動物型の魔物は見たことあるけど……花の魔物だなんて……」
「ほぅ……実際に見ると確かに興味深い。是非とも僕の医療に役立ってもらわねば……」
ここに来てまたソーマの悪い癖が出た。
「もぅソーマ……いつもの悪い癖が出ているわ」
「ん? あぁ、無意識に出ていたか」
「いや、もうそれわざとだろ⁉︎」
「わざとではないが……ともかくとしてデボルとポポルは僕のサポートを頼む」
「おう!」
「分かったわ」
2人が取り出したのは同じ形の剣。黒金色でなんの飾り気のない、ただ敵を殲滅するためだけのものだ。そしてソーマの手元付近には金色の歪な杖が浮かんでいた。またその杖にまとわりつく様に、どこか機械的な蛇の様なものもいつのまにか現れていた。
「TYPEフレイム」
ソーマがそう唱えたと同時に、機械的な蛇の装甲が赤色に染まった。
「それじゃあまず私達から行くか!」
「えぇ、行きましょう」
デボルとポポルが飛び出す。それに反応する魔物は蔓を用いて反撃するが、それはいとも簡単に2人に切り刻まれた。そこからさらに蔓を増やすが、それと同時に2人も速度を上げた。結果的に今の魔物にはなす術がなかった。
だがすぐに魔物も攻め方を変えた。あちらが手数で勝るのならば、こちらは数で勝負すれば良いと……
「周りの枯れ木が動いて」
「地面からも似た様な奴が多く出てきてるのかよ」
その言葉を聞いてか知らずが、まるで魔物は笑っているかの様に蔦の数を増やし、2人に消しかけた。
「まぁでも……」
「所詮そんなところよね」
2人がその言葉を吐いたのち、ますます2人の動くスピードがました。それも1秒間に増やした味方の数を何体も屠っている。
「これだけ身体を動かしたのは久しぶりだな」
「そうね。殆ど9Sとか他のアンドロイド隊の治療、雑務ばかりだったから尚更よね」
「あぁ。まぁ今回はソーマのサポート役だから……」
「えぇ、この辺で」
魔物からしたら訳のわからない会話をしている2人は、キリがいいのか魔物の近くから離れた。
「後は……」
「お願いねソーマ」
「あぁ。後は僕がやろう」
ソーマが2人とバトンタッチしたと同時に、魔物がいる上空から針が飛ばされた。それは魔物が作り出した眷属にも襲いかかり、花の魔物はもはや針山の様に、多くの針が貫いていた。
「仕上げだ」
ソーマが口にした通り、さっきまでソーマの手元に浮遊していた歪な杖が少し大きくなっており、魔物の頭上にあった。それが魔物の中枢目掛けて降ってくる。
「用法と用量はしっかり守れ」
魔物が聞こえた言葉はそれが最後だった。大きな杖が魔物の中枢に突き刺さり、その中枢目掛けて、さきほどまで杖に纏わりついていた赤い鉄蛇が地中から魔物に襲いかかり、杖に纏わり付けついでと言わんばかりに魔物を締め上げ食い散らかした。それと同時に赤い火柱が立ち、魔物が作り出した眷属諸共炎で葬り去った。
魔物達が1匹残らず消え去ったのを確認したソーマは、杖と蛇を手元に戻した。そして蛇の口から魔物の核を取り出す。
「ふむ……今までに見たことがないな」
そう言いながら目の前に小さな黒い空間を作り出し、手を突っ込んで何かを取り出した。それは溶液に満たされたビーカーで、そこに魔物の核を入れて封をすると、また黒い空間に押し込んだ。
「これで一件落着だな」
「そうね。それにしても久しぶりに動いたから少し筋肉痛ね」
「そうだな。なぁソーマ、後で私達にマッサージしてくれよ」
「もぅ、デボルったら……」
「それぐらい良いさ。後でしてあげるとも。さて、後はこの地の地脈の流れを元に戻すか」
「狂った歯車よ……元の動きに戻れ。リペア」
唱えた直後、ソーマが手を当てる地面から風が吹き出る。それもソーマの長髪を頭上にまで棚引かせるほどのものだ。それも数秒ほどで終わる。
「これで地脈は元に戻ったな。後は……」
「芽吹け……生命よ」
今度は魔物が元いた所にソーマが新たな命を宿した。それはやがて大きな木となり、そして……
「これは……」
「きれい……」
ソーマが創りだしたもの……それはピンク色の葉を優雅に散らせる桜であった。それも季節外れだというのに綺麗な満開であった。しかしこれだけではない。桜を中心として、地面にも緑が宿ったのだ。それは徐々に広がりを見せ、ソーマ達がいる一面は草花で溢れたのである。
「こんな所だな。さぁ……ここから僕の夢を開花させようか」
そこからはソーマが簡単な小屋などを作る。しかしそれだけではなく、地下にも真っ暗闇の空間と同じ設備を整え、ファドラでの本拠地を作る。
そして後々合流したアンドロイド隊が見た光景は……ソーマがデボルとポポルにマッサージをしている光景だったが為に、またしてもソーマに対して非難が集中したという……
早速入っていく解説
・ファイアーボール
テイルズシリーズでもお馴染みの、字面から誰でも簡単に想像ができる初級呪文。しかしソーマの放つそれは明らかに初級ではないほどの威力である。
・リペア
普通に英語で「直す」という意味。しかし枯渇しかけている地脈でさえあっという間に回復させる。もはやソーマの唱える呪文が狂っている。
・用法と用量はしっかり守れ
F○Oにて、アスクレピオスがextra attackの際に言う台詞
おまけ 〜ソーマが双子に対してマッサージをしていた所を他のアンドロイド隊に見られた際の事〜
A2「ソーマ〜……私達が仕事している間に何イチャイチャしてる〜?」
ソーマ「イチャイチャ? いや、これはれっきとしたマッサージだが?」
6O「嘘です! ならこの2人の表情は何なんですか⁉︎」
カメラアングルを双子に向けた……
デボル「あぁ……♡」
ポポル「んっ♡」
カメラアングルを再びソーマ達へ
9S「これは……」
21O「弁解の余地などありません。さぁソーマ、姉である私にもマッサージを要求します」
ソーマ「? いつ僕が21Oの弟になったんだ?」
2B「そ、そんな事より! わ、私達も頑張ったんだから、ソーマは私達にもご褒美を用意するべき」
6O「そうですそうです‼︎ それじゃあソーマさん……私の身体……隅々までほぐしてくださいね♡」
ソーマ「……」
その場の雰囲気にソーマは黙るしかなかったという……