Always with you   作:バランス型

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どうもお久しぶりです!闇風です!
1年以上投稿できなくて本当にすみません!
少しずつでも書き続けようと思ってます。年内にあと2話程度は最低限投稿したいです。感想など頂けましたら嬉しいです!


お見舞い

6月の中旬のある朝、木綿季は一人で学校へ歩いていた。

 

「はぁ…和人は風邪かぁ…」

 

木綿季は誰に言うこともなく呟いた。いつも一緒に登校している和人は風邪で休みだ。いつもは家の前で待ち合わせをしているが、今日は和人が来なかった。だから木綿季は和人を呼びに家に行ったが、

 

「木綿季さんごめんね。お兄ちゃん風邪ひいちゃって…学校休むみたいなの」

 

と申し訳なさそうに和人の妹の直葉に言われのである。ちなみに木綿季は直葉より年上だが、2人は仲が良くタメ口で話している。朝で時間がなかったこともあり、木綿季は仕方なく一人で学校に向かった。

 

(今日帰ったら和人のところに行こう。和人のことだからうつるからって追い返されちゃうかもしれないけど…でもボクが帰る頃にはよくなってるかもしれないし!)

 

そう歩きながら考える木綿季。そこに

 

「木綿季ー」

 

と後ろから少し走りながらきた美紗が木綿季に話しかけた。どうやら木綿季を見つけて走ったようだ。

 

「あっ美紗!おはよう!志穂は?」

 

「おはよう!志穂は今日日直だから早く行ってるよ。ところで木綿季は1人?和人はいないの?」

 

「ああそっか。和人は風邪なんだって。」

 

木綿季はしょぼんとしながら美紗に言葉を返した。和人のことを考えていて志穂が日直だったことを忘れていたようだ。美紗はそんな木綿季に

 

「あちゃーそっか。じゃあ今日は学校終わったら和人のお見舞いに行かなきゃね!木綿季が!」

 

「え?」

 

「行かないの?」

 

美紗は木綿季の反応が予想外だったようだ。木綿季は

 

「行こうと思ってるけど…なんで分かったの!?って和人が好きなことは知ってるか!でもでも!」

 

と目を丸くして慌てた。もっとも、和人に対する気持ちは周りにバレバレなのだが。とはいえ和人のお見舞いに行こうとしてるということがバレていると思わなかったようだ。

 

「そりゃ…見てれば誰でも分かるでしょ。たぶん他のみんなも気づいてると思うよ?」

 

「うぅ…ボクってそんなに分かりやすいかな…」

 

「もうそりゃ!でももっと積極的にいってもいいんじゃない?だって和人は全く気づいてなさそうだし」

 

美紗は難しい顔をして言った。木綿季は積極的にアプローチしているが、肝心の和人は鈍感で全く気づいてない。そんな木綿季を見かねて美紗はもう一言言った。

 

「学校終わった頃にはよくなってるだろうし、思い切って一緒に寝てみたら?そうすれば少しは進展するかも!」

 

その言葉を聞いた木綿季は顔を真っ赤にして固まった。もっとも言った美紗はまぁそれでも気づかないだろうけどねーなどと呑気に話していたが。

 

 

 

そして時は経ち放課後になった。

結局木綿季は1日中和人のことを考えて過ごした。思い切って一緒に寝るかをずっと考えていたのだ。授業中もそうだったが、昼休みに和人と一緒に寝ているのを想像して、顔を赤くしていた。そこを美紗と志穂に見られからかわれたりもした。そして帰る準備をしていたところ、美紗に声をかけられた。

 

「木綿季!帰ろう!」

 

「うん!」

 

そして学校を出て歩き始め、少し離れたとこで志穂が言った。

 

「美紗に聞いたけど、今日和人君のお見舞いに行くんだっけ?」

 

「うん。行くよ?それがどうしたの?」

 

「一緒に寝るのかなって思ったんだけど。結局どうするの?」

 

「へ!?そっそれはね…!」

 

まさか志穂から聞かれるとは思っていなかった木綿季は顔を赤くして慌てた。

 

((かっかわいい!))

 

あたふたしてる木綿季を見て2人はそう思った。やはり同性から見ても木綿季はかわいいようだ。

 

「えっと…その…和人が元気そうだったらやってみようかなって思ってる…」

 

そんな2人のことなど露知らず、木綿季はもじもじしながら顔を俯かせてそう言い、続けて言った。

 

「だって和人全然気づいてくれないし。もっとアピールしなきゃ意識してもらえないし!じゃないといつまで経っても付き合えないもん!」

 

恥ずかしさを紛らわせようとしているのか次第に声に力がこもってきていた。

 

「分かった!分かったから!」

 

木綿季の恥ずかしさでパンクするかもと思い、美紗が木綿季を落ち着かせた。そうこうしている間に木綿季と2人が別れる場所に着いていた。

 

「じゃあ木綿季!がんばってね!良い報告待ってるから!」

美紗はそう言い、志穂を引っ張っていった。

 

「ありがとう!いっぱい話すから覚悟しといてね!」

 

2人に背中を押された木綿季は和人と一緒のベッドで寝る、あわよくば抱きつくと決意を固め、和人の家に歩みを進めて行った。

 

「あ、果物とか買っていこう!まだ良くなってないかもしれないし!」

 

途中で木綿季はそう思い直し、和人の家に行く前にスーパーに立ち寄るのであった。

 

(えっと…りんごとみかんにしよう!皮を剥いてあげたり!あーんってしたり!)

 

木綿季は時々顔を赤くし、色々妄想しながら買い物をする。そして予め持ってきていたお金で会計を済ませ店を出た。 スーパーから和人の家までは遠くはないのだが、今の木綿季にはその距離ももどかしい。

 

「着いた!」

 

(この時間なら直葉はいるかな?とりあえずインターフォンを押そう!)

 

木綿季がインターフォンを鳴らすと少しして直葉が出てきた。

 

「はーい。木綿季さんどうしたの?」

 

出る前から木綿季が来ているのは分かっていたようだ。おそらくインターフォンにカメラが付いているからだろう。

 

「えっと和人なんだけど…今は元気かな?お見舞いに来たんだけど」

 

「お兄ちゃんはもう元気だよ!ゆっくり寝てすっかり良くなったみたい!今なら抱きつくのも一緒に寝るのもなんでもできるよ!」

 

直葉はそう言い、悪戯っぽく笑った。直葉は木綿季の恋を応援している。しかしお年頃なのか、ついからかうようになってしまうこともある。

 

「良かった…って!なんでボクが抱きつこうとしてるの知ってるの!?」

 

直葉は事情を知らなかったが、たまたま木綿季がしようとしていることを言ってしまった。そのため木綿季はまたまた動揺している。木綿季にはこういうことに対する免疫はまだ無いのだ。

 

「え、木綿季さんほんとに抱きつこうとしてたの?全然知らなかったよ!まぁいいや。がんばってね!お兄ちゃんに意識してもらわなきゃ!」

 

直葉は和人と木綿季のお互いへの気持ちを知っているためもどかしく思っている。なので色々2人の関係が発展するように色々と協力している。だから木綿季の背中を押し、応援している。木綿季はそんな直葉の後押しを受け、

 

「うん…ありがとう!ボクがんばるよ!」

 

と笑顔で言った。これで完全に覚悟は固まった。そうそうこの覚悟は揺るがないだろう。

 

「じゃあボクは和人のところに行くね」

 

そう直葉に言い、木綿季は和人の部屋へ行きノックした。

 

「和人ーいる?入っていい?」

 

「ああ入っていいぞ。もう風邪もよくなったし。」

 

そして木綿季は一人の部屋へ入った。和人はパソコン台の前に座っていた。おそらくネットサーフィンでもしていたのだろう。

 

「あーパソコン使ってたでしょ!病み上がりなんだから無理しちゃだめ!」

 

「だっ大丈夫だって!もう良くなってるし!」

 

「むー…でも安静にしてなきゃ!和人はすぐ無理するんだから!」

 

「わっ悪かったって!もうしないから!」

 

木綿季は少しご立腹の様子で和人は焦る。木綿季を怒らせると怖い…かもしれない。木綿季はよく無理をする和人を心配しているからこそ、こうなるのだが。

 

「ならよし!あんまりボクに心配させないでね?」

 

木綿季はいつもの笑顔に戻り言った。和人の分かったよと言う返事を聞き満足そうだ。そしてなぜかテンションが高い。落ち着いた木綿季は和人のベッドにダイブし、ごろごろと転がったり、匂いを嗅いだりし始めた。どうやら落ち着くようだ。

 

「おいおいなにやってるんだ木綿季。恥ずかしいからやめてくれ」

 

「だってなんか落ち着くんだもん」

 

木綿季はそう言ったが和人の言葉を聞き、少し不満げだったがベッドに座り直す。

 

「まぁいいや。じゃあ気を取り直して!果物を食べよう!りんごとみかん買ってきたんだー」

 

「おお!食べようぜ」

 

木綿季は買ってきたみかんを袋から取り出し、剥き始めた。

 

「なぁ木綿季。俺の分はないのか?」

 

和人は自分の分は無いのかと心配になり聞いた。和人は朝から寝込んでいたため、ほとんど食事を取っていない。ちなみに木綿季はよく食べる方だ。

 

「今剥いてるから待ってて!りんごはナイフが必要だからまた後でね」

「へ!?いいよそれくらい!自分で剥けるから!」

 

「ボクが剥くから大丈夫だよ!それに食べさせてあげるよ!」

 

「いやそれはさす…」

 

さすがに恥ずかしいと思い、和人はそう言いかけるが

 

「ボクにあーんってされるのはそんなに嫌…?」

 

と上目遣いで涙目で言われれば和人には断れない。木綿季は下を向きながら皮を剥いていて、元々の身長差もあるため上目遣いになってしまう。木綿季の上目遣いは破壊力抜群だ。さらには和人は木綿季が好きなため尚更断れないだろう。

 

「わ…分かったよ!」

 

それを聞き、木綿季は満面の笑みで和人にみかんを食べさせる。

 

「はい!あーんっ!」

 

「はいはい。これうまいな」

 

「ね!あ、そうだ和人!ボクにも食べさせて!」

 

木綿季は相変わらずハイテンションで言った。今日は朝から和人に会えていなかったため、和人成分がまだ不足中のようだ。そして和人はそんな木綿季を見て諦めたように言った。

 

「分かったよ…」

 

一点の曇りもない笑顔で木綿季はみかんを食べた。やはり好きな人から食べさせてもらうのは格別だ。そうして2人は2個ずつほど食べさせあった。2人とも顔を赤くしながら。そして木綿季は食べさせあうのに満足し、作戦を実行する。

 

「りんごは後で食べるとして。和人寝よう!」

 

「はい?」

 

「ほらやっぱりもうちょっと休んどいた方がいいと思うんだ。後々響くと困るし」

 

「それもそうだな。じゃあ寝かせてもらうとするよ」

 

和人も寝ることに対しては乗り気であり、もちろん木綿季はこのチャンスを逃す気はない。

 

「ボクも疲れちゃったし寝るよ」

 

「ああもう帰るのか?玄関まで悪いけど送ってくよ」

 

木綿季は家に帰って寝ると思い、椅子から立ち上がろうとする和人。しかし木綿季は和人のベッドで一緒に寝るつもりだ。

 

「まだ帰んないよ?」

 

「へ?じゃあどこで寝るんだ?」

 

「和人のベッド」

 

「はぁ!?」

 

「いいじゃん別に。ほら寝よ?」

 

和人はこうなったときの木綿季は止められないことが分かっていた。しかし、鈍感とはいえ和人も男である。好きな子と一緒に寝るのはかなりまずい。

 

(はぁ…まずいな…俺の理性が持つかどうか…確かに嬉しいけど…まぁ仕方ないか)

 

「はぁ…分かったよ…」

 

「わーい!じゃあ和人先ベッド入って!」

 

木綿季はきらきらした目で和人を見て言った。そして和人は先にベッドに入り、布団を被る。そして木綿季が入ってくる方と反対側を向く。

 

「じゃあお邪魔してっと。失礼します」

 

木綿季も緊張した様子でベッドに入る。そして和人に背を向け、くっつく。

 

(うぅ…さすがにこんな近距離で…しかもベッドで向かい合うのは無理だよ…ドキドキする!和人にバレてない…よね…?)

 

「和人暖かいね」

 

「そうか?まぁもう6月だしな」

 

「もう鈍感…」

 

木綿季は密着してる和人にも聞こえないような声で思わず呟いた。

 

「ん?なんか言ったか?木綿季」

 

「んーん。何も言ってないよ!」

 

(和人はいつになったら気づいてくれるかな…ボクとしては積極的にアプローチしてるつもりなんだけど…まぁでもそれが和人だよね。でも和人が平気そうでちょっと傷つく…ちょっとくらい意識してくれてもいいのに!)

 

そう思う木綿季とは裏腹に和人はかなりドキドキしている。和人ほどではないが、和人の思いに気づかないなど木綿季も少し鈍感な所がある。和人は木綿季にあまりアプローチできてなく、しょうがない部分もあるのだが。

 

(木綿季の体柔らかいし、いい匂いするしで…かなりやばい。落ち着け俺!理性を保つんだ!)

 

(なんか安心するな)

 

一方木綿季は安心した様な、幸せそうな顔で眠りについた。

 

「木綿季?」

 

「すぅ…すぅ…」

 

和人が声をかけた時にはすでに木綿季は夢の中だった。規則正しい寝息を立てている。とてもかわいらしく和人の理性もぐらついた。しかし、和人はそれに耐えることに成功し、木綿季の方に少し向き直り

 

「おやすみ。木綿季」

 

と小さく声をかけて頭を優しく撫で、意識を手放した。頭を撫でられた木綿季は、いい夢でも見ているのかとても幸せそうだった。

 

「むにゃ…かずとぉ…」

 




誤字、脱字等ありましたらすみません。
もっとペース上げて投稿できるようにがんばります!

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