(ありふれた肉体では世界最強になれず苦悶の表情を浮かべる肉おじゃ)   作:ほろろぎ

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アニメ放送中の作品で何か書いてみたいと思いやってみました。

肉おじゃ語録とインタビュアー語録以外の淫夢語録は
なるべく使わないようにしています。




 南雲 ハジメはクラスの嫌われ者である。そんな彼にも、たった一人だけ友人と呼べる男がいる。その名を、肉体派おじゃる丸という。

 もちろん肉体派おじゃる丸というのは、その男の本名ではない。

 本当の名前は山田だとか太郎とかいった、平凡すぎるくらいに平凡なものだ。

 肉おじゃは、一介の高校生が所得できる限界以上の筋肉を身に着けたビルダー風マッチョマンで、おまけにおかっぱヘアーという独自すぎる外見をしていた。

 そのインパクト満載の見た目の前に平凡すぎる名前はかき消され、誰も彼の本名を覚えることができないのである。物凄い……(笑)なんか、アンバランス? なの?

 それは南雲ハジメも例外ではなかった。友人であるというのに、会うたびに名前を忘れてしまう申し訳なさから、ハジメは彼にあだ名をつけようと思い立つ。

 当時ハジメが見ていたアニメの主人公と髪型がそっくりだったこと、ビルダー風の鍛えられた体から付けられたのが、今の肉体派おじゃる丸という名前だ。

 

「結構でも好かれますねこれ」

 

 生まれて初めてつけられたあだ名に喜びの表情を浮かべる肉おじゃ。

 

 ハジメと肉おじゃがTDNクラスメイトから友人関係になったのは、昨年の夏のことである。

 

「上半身まず裸になれ(命令)」

 

 教師の号令で着替え始める生徒たち。この日の体育の授業は、真夏の炎天下にはありがたい涼しいプールでのものとなった。

 水着に着替えた男子生徒たちがプールサイドに並ぶ。

 彼らが身に着けているのは他校の一般学生がはくズボンタイプのものではなく、競泳用のブーメランタイプの水着である。

 別に肉おじゃたちの通う高校が、競泳に力を入れているからといった理由はない。ただの教師の趣味である。職権乱用じゃないか。(憤怒)

 

 普段制服を着ている状態の肉おじゃは、その盛り上がる筋肉によって常にボタンがはち切れそうになっており、日ごろから窮屈な思いをしていた。

 それが今日は裸に近い恰好なため、いつもの窮屈さから解放され爽快な表情を浮かべる肉おじゃ。

 

「凄いねぇ。胸囲はどのくらいあるかな?」

「まぁ120ぐらいじゃないすか?」

 

 彼の周りでは、クラスメイトたちがひそひそと肉おじゃのマッチョボディーを見て、引き気味に小声で会話していた。

 肉おじゃは特別どこか、運動系の部活に所属しているわけではない。

 だというのにこれほどまでにたくましい体つきになったのは、彼が目指しているあるものの影響だ。

 それは、『世界最強』の4文字である。

 肉おじゃがその言葉に惹かれたのは、子供の頃に読んだある格闘漫画によるものだ。

 昔から漫画やアニメなど、ほとんど興味を持つことのなかった肉おじゃだが、その作品だけは別で、一目目にした瞬間に虜になってしまった。

 その漫画の登場人物の1人、誰もが世界最強と認めるキャラクターに肉おじゃは惹かれた。

 漫画を読み続けるうちに、いつしか自分もこうなりたいと思うようになっていったのだ。

 そうして自己流のトレーニングを繰り返すうち、しだいに肉おじゃの体は鍛え上げられ、今のマッスルを手にしたという訳だ。

 

「はーい、よーいスタート(棒読み)」

 

 教師の合図で順次プールに飛び込み、泳ぎ始める生徒たち。肉おじゃの番がやって来た。彼なら25メートルどころか、100メートルだって軽く泳ぎ切れるだろう。

 だがこの日は違った。どういう訳か、今日の肉おじゃは事前にしっかり柔軟体操を行ったにもかかわらず、泳ぎの途中──ちょうどプールの真ん中の位置で足をつってしまった。

 溺れ、苦悶の表情を浮かべたまま水の底に沈む肉おじゃ。

 他の生徒たちも、教師ですら溺れる肉おじゃを助けようとせず、傍観するだけだった。

 そんなクラスメイトたちの中でただ1人ハジメだけが、肉おじゃを救いに飛び込んできてくれたのだ。

 ハジメのおかげで肉おじゃは一命をとりとめることができた。

 このことがきっかけとなり、これまで同じクラスであるにも関わらず会話することも無かった2人は、交流を持つようになった。

 

 ハジメは学内でも1、2を誇る人気者である女生徒、白崎 香織からなにかと世話を焼かれており、それが気に食わない生徒たちからいじめを受けていた。

 また肉おじゃも、おかっぱマッチョという外見から気持ち悪がられ、クラスメイトたちからは無視を決め込まれている。

 そんな嫌われ者同士な2人だからお互い馬が合ったようで、彼らはたちまち仲良くなっていった。

 

「何本ぐらいさ経験……したことある?」

「10本ちょっとくらいっすね、案外少ないっす(小声)」

 

 ハジメはオタクであり、アニメや漫画、ライトノベルから映画や一般小説まで、創作物ならなんでも目を通す。

 反対に肉おじゃはそういったものに疎く、体を鍛えることにしか興味が無いため、これまで触れた創作物は両手で数えるほどしかなかった。

 

「物凄い…(笑)なんか、ビルダー? なの?」

「はい(笑)」

 

 ハジメはストイックな肉おじゃに引くことも無く、また肉おじゃもハジメのオタクっぷりを嫌悪することなく、2人の関係は良好なまま進んでいった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 ハジメはいじめられているといったが、彼にちょっかいをかけてくる生徒の筆頭が、檜山 大介を始めとした男子4人組である。

 ハジメ本人が大して気にしていないこともあり肉おじゃもスルーを続けていたが、ある時急に彼らをうっとおしく思った肉おじゃが、檜山の前に立ちはだかった。

 昼食用にと持っていた切り分ける前のリンゴを1個取り出し、檜山の顔の前にかざす。

 

「なんだそりゃ? リンゴをやるから許してくれってか?」

 

 檜山が嘲笑の声を上げる。

 

 バキィッ!!

 

 教室内にリンゴが破損する音が響いた。

 肉おじゃは、手の中のリンゴを何の苦も無く握りつぶすと、檜山に向けてこう言った。

 

「(これ以上ハジメにちょっかいかけ続けるなら、次はお前の頭が)こうすか?」

「ヒエ~ッ」

 

 肉おじゃの脅しに怯えた檜山一行はそそくさと退散し、これ以降ハジメに対する明確ないじめは無くなったのだった。

 

「肉おじゃ、ありがとナス」

「(あいつら根性が)ないすか? (肝っ玉が)ちっちゃいっすよね」

 

 新しい週の始まりを告げる月曜日。眠い目をこすりながら、ハジメは1人学校へ向かっていた。

 いつもならチャイムギリギリではあるが、遅刻はしない絶妙なタイミングで教室へ滑り込んでいたハジメだが、この日はとうとう遅刻確定の時間での登校となっていた。

 理由は簡単、寝坊である。

 周囲に誰もいないため、はばかることなく大あくびをかきながらとぼとぼ歩くハジメ。その後ろから1つの気配が迫って来ていた。

 

 ピィ^~

 

 独特な音のベルを鳴らしながら、1台の自転車がハジメの隣で止まる。乗っているのはハジメの友人の肉おじゃだ。

 おはよう、と挨拶を交わしあってから、肉おじゃは自転車の後ろを指さした。

 

「ハジメは後ろの荷台に、乗って、下さい」

 

 このままでは遅刻するからと、肉おじゃはハジメを乗せて自転車をこぎ始める。

 普通なら2人乗りでは大幅に速度が制限されるものだが、そこは筋肉の塊の肉おじゃ。

 足に力を込めてペダルをこぐと、恐るべき加速をもって道路を疾走する。

 おかげで、ハジメ共々遅刻を回避することに成功するのだった。

 

 同日の昼休み、ハジメはいつも通り10秒で補給できるゼリー飲料だけを口にすると、すぐに眠りに入ろうとした。

 ハジメの親は父がゲームクリエイター、母が少女漫画家を仕事としている。

 彼はそんな両親の手伝いを日ごろから行っており、そのため夜遅くまで起きているせいで寝不足になり、学校にいる間に睡眠をとっているという状況だ。

 仮眠を取ろうとするハジメの元に、クラスのマドンナであり彼を悩ませる原因の人物でもある少女、白崎 香織がやってきて親しげに声をかけてくる。

 

「南雲くん、お昼それだけなの? あぁ~ちゃんと食べないとダメダメダメ! 私のお弁当分けてあげるね」

 

 直接的いじめこそ無くなったものの、やはり香織と接触を持つとやっかみの視線を受けることからはああ逃れられない!

 ハジメはどうやって目の前の女神の申し出を断ろうかと悩んでいたところに、肉おじゃが2つの弁当箱をもって彼の席にやって来た。

 そのうち1つをハジメの前に差し出す。

 

「うわーっこれ作りすぎたんだねハァッ。(食べても)イーヨー」

 

 (マッスルの)神様が差し伸べてくれた手をありがたく受け取るハジメ。

 

「肉おじゃくん、お弁当作れるんだ。すごいねぇ」

 

 だが香織は立ち去らない。むしろ、一緒に弁当を食べようとしてくる。

 そこにさらなるら乱入者が現れた。天之河 光輝他2名を含む香織の幼馴染たちだ。

 光輝は自分たちと昼食を共にしようと香織を誘うが、彼女はハジメの元を去る気配が無い。

 そんなやり取りをしている最中、何の前触れもなく光輝の足元に、幾何学模様が描かれた円環が出現した。

 最初は誰かのいたずらかと思ったが、映像を投影するような装置は教室内にはない。

 

「はぁ~……凄くねえ?」

 

 目の前で起きた不思議な現象に感嘆の声を上げた肉おじゃが、ハジメに話しかける。

 

「凄いねぇ。驚異はどのくらいあるかな?」

 

 ハジメも同様に驚きの表情を浮かべている。

 いわゆる魔方陣と呼ばれるその模様は、またたく間に大きくなり教室の中一杯に広がった。

 

「みんな急いで教室の外に、出て、下さい」

 

 誰かが叫んだ。

 同時に魔方陣の光が目も眩むほどまばゆく輝きだし、全てを飲み込んでいった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 光に飲まれた肉おじゃたち生徒一同、プラス教師の畑山 愛子は地球ではない異世界──トータスと呼ばれる場所──に飛ばされていた。

 この世界の神であるエヒトだかキリトだかの手によるもので、魔人族に追い詰められた人類を救ってもらうために肉おじゃたちを呼び出したらしい。

 ほとんどの生徒はチンプンカンプンだったが、この手のファンタジー小説を見慣れたハジメと、彼からそういった創作物を借りて読んだことのある肉おじゃだけは事態を冷静に理解していた。

 うわーっこれ(都合よく利用しようっていう魂胆が)透けてるんだねハァッ、と。

 だが2人の心配をよそに、ここぞとばかりにリーダーシップを発揮した光輝が、人間と魔人族との戦争に参加すると言いだしたのだ。

 

「ちょっと軽く人類救済するから」

「はい」

「はい」

「そうですね(笑)」

 

 彼のカリスマに惹かれた他の生徒たちも、それに同調する。

 

「えっ、なんすかそれ」

 

 勝手に話が進んでいくことに引き気味の肉おじゃとハジメ、愛子先生。

 

「あっちょっと待ってもらって…(小声)」

 

 代表して肉おじゃが声を上げる。

 

「(戦争とか危険じゃ)ないすか?」

「戦うための力は与えられてるから、ヘーキヘーキ」

「いやぁ、なんと言うか(見通しが甘すぎて)笑っちゃうんすよね」

「他にさ、帰る具体的な考え……浮かんだことある?」

「クキキキキ……」

 

 光輝に言いくるめられて返す言葉もなく苦悶の表情を浮かべる肉おじゃ。

 だが確かに彼の言うように、帰還するための手段が得られるかどうかはトータス側に主導権がある。現状、言いなりになるしかないのだ。

 

「ハァ……(驚愕)絵に描いたような主人公気質(笑)凄い正義感だね。そういうの(戯言)いつも吐いてる?」

 

 捨て台詞を残して、肉おじゃはこの世界に来て与えられた能力であるステータスを調べるため、みんなと共に部屋を移動するのだった。

 

 別室にて配られたステータスを測るプレートを確認する一同。

 そこにはそれぞれ固有の才能である天職と、具体的な数値が刻まれている。

 召喚された地球人は、トータスの住民より数倍から数10倍の数値になるとのことだ。

 現に光輝は初級のレベル1にも関わらず、すべてのステータスがトータス住民の平均値である10を大きく上回る100と示されている。

 みんなが驚きと共にそれを見ている横で、肉おじゃは自分のステータスを確認していた。

 子供のころから夢見た世界最強、この世界ならそれが叶うかもしれない。

 

「結構でも浮かれますねこれ(小声)」

 

 胸をときめかせ、プレートに視線を落とす。

 

 肉おじゃのプレートに示されている数値は、すべてが10ちょっとくらいという、案外少ないというレベルではないお粗末なものであった。

 

「ハララララァ……」

 

 自慢であった筋力も体力も人並みと言われたことに、大きくため息をつく。

 

 肉おじゃの天職欄には、ビルダーと表示されている。

 説明によれば、ビルダーは一応戦闘職に分けられるがそれは名ばかりで、実際はお祭りやパーティーなどの催し物で、鍛えられた肉体を晒して観客を楽しませる見世物でしかない。

 29人に1人の割合でいるありふれた職業だそうだ。

 

「ハァ……(嘲笑)絵に描いたような底辺職(笑)凄い役に立ちそうだね」

 

 これまでの鬱憤を晴らすかのように、檜山が肉おじゃのことを見下し皮肉を口にする。

 こんなありふれた肉体(ステータス)では世界最強になれず苦悶の表情を浮かべる肉おじゃ。

 隣ではハジメが、これまたガッカリとした表情を浮かべていた。見れば彼のステータスも、すべて10ぴったりという凡人中の凡人である。

 おまけに天職は戦闘職ですらない工業系だ。一同の足を引っ張ることは確実と思われる。

 檜山が同じようにハジメをからかい、満足したところで離れていった。

 肉おじゃは、ハジメの肩に手を置きしっかりとした言葉でこう伝える。

 

「(たとえお前に何の能力も無かろうと、お前のことは見捨て)ないすか?」

 

 お互い凡人同士、協力してこれからを生き残っていこうと誓いあう肉おじゃとハジメであった。




(使用語録に制限をかけるのは)結構でも疲れますねこれ
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