チュンチュン……
流星「…んぁ?…もう朝か…」
流星は目覚め、気持ちの良い朝が始まる………はずだった……。
流星「…ん?…あれ?俺、部屋で寝てたっけ…?」
流星は周りを見渡す。そして…
流星「!!!!??」
言葉を失った。今、流星がいる場所は……かつて、彼がキャプテン時代に使っていた部屋だった。壁に刻まれた傷や穴、傾いたボロボロの机、床や壁に残っている血の跡等、印象に残っているヶ所が気味の悪い程、一致している。いや……流星の印象に残っている場所そのものだった。更に…
流星「!?…起き上がれねぇ…って、なんで俺はベッドに縛り付けられているんだ!?」
流星は、ベッドに縛り付けられており、身動きが取れない状況に立たされていた。すると……
ガチャッ…
ドアが開き、入ってきたのは……
流星「!!…てめぇは!」
オルタナの一人の鬼束千穂(おにつかちほ)である。
千穂「キャプテ~ン?動かないでクダサイネ…」
流星「おい!!離せ!!」
千穂「離せと言われて私が離すと思いますか?」
千穂は流星に言う。彼女のハイライトも消えている。
千穂「キャプテンがいなくなって…私が…どれだけ涙で枕を濡らしたことか…キャプテンには、分からないですよね…?」
流星「ふざけるな!!どうせ俺が辞めたことで、皆で宴でもしていたんだろ!?」
流星は続ける。
流星「俺がお前達に何をしたって言うんだよ…!?…何も悪さはしてねぇのに、何で俺はお前達から暴言や暴力を振るわれねぇといけねぇんだよ!!自分のことを棚に上げてんじゃねぇよ!!!!」
流星は感情的になり、強い口調で千穂に怒鳴り付ける。
千穂「それについては、誠意を持って謝罪します…ですがその前に…キャプテンが逃げられないように…」
千穂はショーテルを取り出す。
流星「!?…お、おい…何を、する気だ…!?」
千穂「決まっているでしょう?貴方の手足を切断するんですよ。」
流星「…ふざけるな、やめろ…!」
千穂「フフフッ、怖いんですか?安心してください、貴方の身の回りのお世話は私がしてあげます。食事も、トイレも、お風呂も、着替えもぜ~んぶ…ですから、何もコワガルコトハアリマセンヨ?」
流星「そんなの…嫌だ…やめろ、やめろぉぉおおおお!!!!」
流星は恐怖のあまり、叫んだ。彼は恐怖で、気が狂いそうだった。その時、
バァンッ!
小百合「キャプテン!!」
流星の叫びを聞き、小百合が駆けつけた。
小百合「千穂!何やってるの!?武器をしまって!!」
千穂「離してください!キャプテンに逃げられてしまいます!キャプテンには、謝っても謝りきれません!!」
小百合「千穂!!」
パンッ!
小百合は千穂の頬をひっぱたいた。
小百合「いい加減にして!本気で謝りたいと思っているなら、キャプテンの気持ちも考えなさい!!」
千穂「…!」
千穂は武器をしまい、顔を両手でおさえ、部屋を出ていった。
流星「…小百合…」
小百合「!!キャプテン!待ってて、今すぐに解放するから!」
小百合はロープをほどき、流星を解放した。
流星「なぁ小百合、これは一体、どういうこと何だ!?」
流星は慌てて小百合に訊ねる。すると小百合は…
小百合「キャプテン…ごめんなさい!」
突然、深々と頭を下げて流星に謝罪をした。
小百合「うぅっ…ぐすっ…本当に、ごべんなざい…ひっく……わだじのぢがらが…だりないばかりに…うぅっ…」ボロボロ
小百合は泣きながら、流星に言う。流星は、いつもと違う雰囲気の小百合を目の当たりにし、戸惑っていた。
流星「とりあえず、落ち着いてくれ。な?」
小百合「グズッ…う、うん…」
流星は小百合を落ち着かせる。数分後、小百合は泣き止み、落ち着きを取り戻した。
小百合「えっと、キャプテンはあのニュース、見たよね?」
流星「妃十三学園襲撃事件のニュースだろ?もちろん見たさ…」
小百合「…。」
流星「俺も聞くけど…お前、理事長室の監視カメラの映像、見たよな?」
小百合「…うん、見たよ。まさか、理事長があんなに冷酷だったなんて…信じられないよ…」
小百合の言葉に、流星は眉を寄せる。
流星(そりゃそうだ…今まで信頼してきた奴が、平気で人の命を奪う奴だったなんて…俺でも信じられねぇよ…!)
流星「少し話が逸れたな…話を戻す…アイツらがやってることは…脅迫だ…本当に狂ってる…!」
流星は身体中の震えが止まらなかった。
小百合「皆、キャプテンが戻ってくることを待ち望んでいるんだよ…キャプテンに誠意を持って謝罪をしたいとも言ってた。だから」
流星「ふざけんじゃねぇよ!!!!」
流星は大声で怒鳴りたてる。
小百合「…!!キャプテン…!」
流星「お前も見ただろ!?“鬼束”の野郎、謝っても謝りきれないなんて言っておいて、俺の手足を切ろうとしたんだぞ!?何が誠意を持って謝罪がしたいだよ!!口ではそう言っておいて、いざ俺がキャプテンに戻ったら、どうせまた同じように理不尽な仕打ちをするんだろう!?あの悪徳理事長が言っていたよ、オルタナ達は俺の自宅を特定して、俺の両親を連れ去って……そのせいで、父さんと母さんは、悪徳理事長に殺されたんだ!!」
小百合「…!!…そんな…!」
小百合は衝撃的な事実を知ってしまい……言葉を失い、呆然としていた。
流星「俺はアイツらに、何も悪さはしてねぇのに…アイツらは、俺の大切なモノを次々と奪っていった…!!あんな仕打ちを受けるのは、もう…こりごりなんだよぉぉおおおおお!!!!」
小百合「……キャプテン……」
流星は発狂レベルの大声で、小百合に言った。今まで耐えてきたことが、爆発したのだった。その時、不思議なことが起きた。流星の腰に、何やら光るモノがまとわりつき、ベルトが現れた。
小百合「!!…キャプテン、これって…」
流星「…『戦極ドライバー』…?…何で…?」
流星の腰に現れたのは、流星の大好きな『仮面ライダー鎧武』の変身ベルト『戦極ドライバー』である。更に、流星の右隣に、黒く光るモノが現れた。そして…一つの南京錠のようなアイテムとして現れた。それは…『ブラックオレンジロックシード』である。流星は、ロックシードを手に取り、見つめる。
小百合「…!そうだ。」
小百合は何かを閃いた。
小百合「キャプテン、そのベルトと南京錠、後で少しだけ貸してもらってもいい?」
流星「…何をするつもりだ?」
小百合「正直…私も、あのオルタナ達には、ウンザリしているの…何も罪のない“馬場キャプテン”を、寄って集って散々苦しめたんだから…いくら前任のキャプテンから酷い仕打ちを受けていたとは言え…何も罪のないキャプテンに当たるなんて…!」
小百合は両手の拳をギリリと握りしめる。彼女の両手から、血が流れ落ちた。その表情は、強い怒りに満ちていた。
流星(小百合の表情からは、嘘も偽りも感じられねぇ……ここまで言ってくれるんだったら、信じてもいいのかな…?)
流星「…わかったよ、小百合。」
小百合「!…キャプテン。」
流星「ただし、俺も一緒に行く。これをモチーフにして、何か作るんだろ?」
小百合「?」
流星「コイツをモチーフにして作るモノとしたら…“あれ”しか思い付かねぇよ。」
小百合「…。」
流星「あと、俺は他のオルタナ達、特に俺を散々追い詰めた奴らには会いたくもねぇし、顔も見たくねぇ。」
小百合「わかった。それなら近道があるから、そこから隠し研究室に案内するね。」
小百合は壁の一部に右手を添えると、扉が現れた。流星と共に扉に入り、『隠し研究室』に案内した。現れた扉は、壁に戻った。
隠し研究室にて…
小百合と流星が入室する。
ダリア「おぉ、小百合…!?流星、流星じゃないか!?」
流星「…ダリア、先生…」
リリー「!!…流君…!」
流星「…リリー先生…」
牡丹「!!…おい、馬場!どうしたんだよ!?」
流星「牡丹先生……」
隠し研究室には、エターナル・ダリア、マーベラス・リリー、一本氣・牡丹(いっぽんぎ・ぼたん)がいた。更に、
美弥花「あっ、キャプテン!」
乃々「えっ!?…!!…キャプテン…!」
若菜「!!…キャプテン!!」
悠木美弥花(ゆうきみやか)、朝比奈乃々(あさひなのの)、雪城若菜(ゆきしろわかな)もいた。
流星「美弥花、乃々、若菜……」
美弥花「ごめんね、キャプテン…いきなり訳の分からない部屋に連れ出しちゃって…」
流星「いや、いい…あ、小百合、これを…」
流星は小百合に戦極ドライバーとブラックオレンジロックシードを渡す。
小百合「ありがとう。じゃあ、少しだけ借りるね。すぐに返すから。」
小百合は、美弥花、乃々、若菜、ダリアと共に、別の部屋に入っていった。研究室のロビーには、リリーと牡丹、流星が残った。
リリー「流君、ずっと立ってて疲れない?ここに座ったらどう?」
流星は頷き、ソファーに座った。流星の前にリリーと牡丹が座っており、面接場面のような感じである。
牡丹「馬場……その……」
流星「…?」
牡丹「…すまなかったな…何もしてやれなくて…」
牡丹は申し訳なさそうに、流星に謝罪をした。普段はヤンキーっぽい彼女だが、こんなに申し訳なさそうにすることは、滅多にない。
流星「…いえ、牡丹先生が謝る必要はありません…」
リリー「私からも、ごめんなさい…許してくれなんて言わないわ…」
流星「リリー先生も…謝る必要はないですよ…」
流星は牡丹とリリーに言う。流星の言葉を聞き、牡丹とリリーは何も言えなかった。
牡丹(馬場はこう言ってるが…奴の精神は既に…壊れちまってる…)
リリー(困ったわ…何て声をかけたら良いのか…)
牡丹とリリーは困ってしまった。…と、小百合、美弥花、乃々、若菜、ダリアが部屋から出てきた。ダリアがストローつきのグラスのような物を持っている。
流星「…!…それは…」
ダリア「流星のこのベルトをモチーフにして作ったベルトだ!まだ、名前は決めてないがな…」
ダリアは言う。
流星「…『ゲネシスドライバー』…」
「「「「…んっ?」」」」
流星「そのベルトの名前だよ。」
『ゲネシスドライバー』…仮面ライダー鎧武に登場した変身ベルトで、戦極ドライバーから得られたデータを基に開発された、新型の変身ベルトである。
ダリア「ゲネシスドライバー…気に入った!このベルトの名は、ゲネシスドライバーに決まりだ!」
流星(元々そういう名前なんだけどな…)
若菜「それと、これも開発しました。」
乃々「この南京錠も、新しく開発しました。」
若菜が持っているのは、弓の形をした武器『ソニックアロー』、乃々が持っているのは、クリアブルーの南京錠『エナジーロックシード』である。メロン、チェリー、レモン、ピーチの4種類である。
美弥花「この事は、他のオルタナ達には内緒にするよ。」
ダリア「あぁ、そうだな。」
美弥花の意見に、この場にいる全員が賛成した。
小百合「キャプテン。これ、ありがとう。」
小百合は流星に、戦極ドライバーとブラックオレンジロックシードを返した。流星は戦極ドライバーとロックシードを受け取り、「ここを出る。」と言った。美弥花、乃々、小百合、若菜が隠し出口まで送ることになった。
隠し出口にて…
乃々「ここからは学園の外に繋がっています。キャプテン、どうかお気をつけて…」
流星「ありがとう。それと、アイツらに伝えておいてくれ。」
流星は4人に伝言を伝える。
流星「『俺はてめぇらがどれだけ謝ろうが優しく接しようが、絶対に許さねぇし、ましてや絶対に信頼しねぇ…2度と俺の前に姿を現すな。』…ってな。」
4人「「「「…。」」」」
4人は黙って頷いた。流星は4人に背を向けると、
流星「じゃあ……さよならだ。」
別れの挨拶をし、妃十三学園を去っていった。美弥花、乃々、小百合、若菜の4人は、流星の姿が見えなくなるまで、彼を見送った。
いかがでしたか?今回はここまでです。ソニックアローを「弓のような武器」と解釈しましたが、まあ…実際は弓そのものなんですけどね…。さて、流星が変身する仮面ライダーはもう、お分かりいただけましたか?次回もお楽しみに。では、またね。