深夜に書かないと緊迫した感じが出せてない気がする……。
そんなわけで第3話です!
私達は昇降口のすぐ側、生徒靴用のロッカー前まで来ていた。
息が整って来た私達は、目の前で殺された久美先生の凄惨な死に様を思い返して、何も話せなかった。
しばらくして、この場で優樹が初めて口を開いた。
「……アレ、なんだったんですかね」
「知らねえよ……。わかるわけねえだろうが!?」
優樹の質問に、晋助先輩が悲鳴のような怒号をあげた。ビクリと利恵の肩が震える。
ちょっと待って。
「─────千恵はどこ?ねえ、あやちー、皆。千恵は、どこ?」
私がその事に思い至るより少し早く、利恵が気付いた。
その場の全員の顔がサッと青くなる。利恵にいたっては、もはや土気色をして膝が震えている。そしてついにはペタリと座り込んでしまった。
親友のそんな姿を、私は見たくなかった。だから。
「……私が、探しに行きます」
勢いよく此方を振り返った優樹が私の提案に反対する。
「待ってよ綾!行ったところで─────」
「優樹!」
私が慌てて
優樹は気圧されて利恵に合わせて後ろに下がっていき、やがて壁にぶつかった。
「……ねえ。何それ。千恵が、私の大事な妹が、死んだって言いたいの?それを望んでるわけ?」
「そ、そんなことは言ってないじゃないか!」
口をついて出た反抗的な言葉に利恵の
「はあ?じゃあなんなわけ?!いなくなっただけの人が必ず死んでるなんて限らないじゃん!」
腕を大きく振り上げた利恵を見て私は咄嗟に利恵を止めていた。私の腕の中で優樹を殴ろうと暴れている。そして、怒りの矛先は私にも向いた。
「なんで止めるの!?こんな奴庇わなくたっていいじゃん!あぁそっかそうだったよねぇ!?綾はコイツが好きなんだもんねぇ!?じゃあしかたないよねぇ!?」
言葉の棘が私に突き刺さって、顔が歪む。胸が張り裂けそうに痛む。泣きそうになるのを堪えて、利恵を宥めた。
「……利恵。生きてるなら……探さないと。きっとすばしっこい千恵のことだから……逃げ延びてるよ。ね……?探しに行こう?私も行くから」
ハッとした顔で私を見上げて、暴れるのを止めたため、利恵を離した。しかし目にも留まらぬ速さで平手を振り抜いた。
パーンッと小気味のいい音が響いた。
「……これで手打ちにしてあげるんだから感謝してよね!ふんっ」
そう言い残すと利恵は私達が降りてきた階段へ向かった。私もそれについて行った。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□
「さっきは酷いこと言ってごめんね、あやちー」
歩いていると、不意に利恵が俯きながら謝ってきた。私は気にすることないよ、と伝えたが、うん、ごめんね。と謝罪が帰ってきた。やはり気分は晴れないようだった。
「いいよ、利恵。私も、その気持ちはわかるから。」
だから、私は今まで誰にも話したことは無い自分の過去を話すことにした。
「私さ。家族で海外まで山を登りに旅行へ行ったの。小さい頃ね」
「へぇ。どこに行ったの?」
「ふふっ。それがもう覚えてなくて。なんでかって言うと、お父さんが下見に行ったきり帰ってこなくてさ。捜索隊を出して貰ったんだけど見つからなくて。私、『お父さん探しに行くー!』って言って聞かなかったんだ。」
「ええ?!それは無茶だよ!」
利恵はぎょっとした顔で私を見て大袈裟に驚いていた。
「あはは!だよね。私もそう思う。でもいても立ってもいられなくて。今の利恵みたいにさ」
「あっ……」
「だから、気にしなくても良いんだよ。利恵。それに千恵も見つかる。今頃家でゴロゴロしながらテレビを見てるお父さんも見つけた私が太鼓判押すよ?」
「ええ?!あやちーが見つけたの?!」
「そうだよ?」
「私のあやちーが思ってたよりパワフルガールでちょっぴりショック……」
「誰が利恵のよ?」
いつもの様子を取り戻した利恵と私は顔を見合わせてクスリと笑った。
きっと見つかる。絶対に見つけてみせる。そして、全員で生きて帰って、久美先生の死を乗り越えて、これからも皆で笑って生きていくんだ。
そう決意して、千恵の捜索を続ける。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□
どうしてこんなことになったのかしら……?こんなことを考えても仕方がないのは分かっているけれど、他に私にできることは何も無い。
昇降口の方にいる犬飼くんと五条くんの方へ目を向ける。
「ふざっけんなよ……!なんだよコレ!」
昇降口のガラス張りの扉は黒い毛で覆われており、どこにも出られる場所はない。消化器で殴りつけ、扉のガラスは砕けるものの、黒毛はビクともしない。
「どこか他の場所を探すしかなさそうだね」
「……チッ!」
……なぜ、こんなことになったのかしら……。あの丹波先生を、殺……した、あの黒いものは、なんだったのかしら?ああ、ダメね……。私は私の出来ることを探すべきなのに、上手く考えがまとまらない。
トントン、と肩を叩かれる。はあ、とひとつため息をついて振り返る。
「ごめんなさい。今は少し考えをまとめさせてちょうだ─────」
目の前いっぱいに広がったのは、生々しい赤色だった。反射的に体を
脳が焼け付くかのような痛みに耐えて声をあげる。
「逃げてぇっ!!」
薄れゆく意識の中、走って行く男3人を見た。
「……ふふっ。……ほんと、うちの男衆は……情けがないったら……」
それを最後に私は意識を手放した。
残りは何人?