ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:ジャミトフの狗

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思い付きで書いた業の深い話。
スタンピードが面白すぎたのが悪いのです。

既存のキャラを女体化しているため、閲覧は自己責任でお願いします。


プロローグ

 トラファルガー・ローにとって、幼少期は怒涛の日々だったと言って差し支えないだろう。

 

 白い町と揶揄されるフレバンスという国でローは医者の子として生まれた(白い町という名前の由来は珀鉛という白い鉛が大量に掘れたからだそうな)。ローは幼少のころから医学を学ぶ聡明な子供だった。また父と母、妹の四人家族で大きな病院を営んでいたことから、相当裕福な家庭であったことは想像に難くない。

 

 珀鉛には毒素が含まれている、そのことを世界政府は早期の内に突き止めていた。しかしそこは流石ワンピース特有の無能畜生価値観と言うべきか、金に目のくらんだ者たちによってその事実が公表されることはなかった。

 

 後に珀鉛病と呼ばれる中毒は肌や髪を白色化させ、人を死に至らせる不治の病であった。更には発症が遅れて一斉に発生する上に、その特徴から感染症であると誤認されたためか治療法はついぞ確立される事はなかった。非常に質の悪い中毒と言えるだろう。

 

 しかし最も凄惨と言えたのが、世界政府の対応である。

 

 簡潔に述べてしまえば、フレバンスそのものを滅ぼすことで珀鉛病の根絶を図るという物だった。現代日本に住む人々からすれば俄かには信じられないだろう。まさにワンピースクオリティ。やることが大胆でクズい。正直ドン引きである。

 

 フレバンスに住む者たちは、そのことごとくが死に絶えた。珀鉛病で死ぬ者よりも虐殺によって殺された人の数の方が多かった可能性すらある。虐殺の対象には当然ながらロー自身やローの友人、家族も含まれていた。

 

 結果、フレバンスの住人はロー以外誰一人としていなかった。そのローですら珀鉛病を患っており、そう長くはなかったという。そのことはロー自身もなんとなく理解していたのだろう。

 

 ローは死体に紛れながらフレバンスから逃れ、ある海賊団の門を叩いた。すべてを壊したい、そんな歪んだ願望を抱いていたまだ十歳の子供に同情したのか、それとも興味が湧いたのかその海賊団の頭はローを迎え入れた。

 

 その海賊団は決して優しかったわけではない。むしろ逆に、苛烈なまでに幼いローを鍛え上げた。殺しの技術、そのすべてを海賊団総出で叩き込まんとしたのだ。残された寿命が少ないローにある意味英才教育を施したのは海賊団の頭の意向だったことに他ならない。そこにどんな思惑があったのかは俺の預かり知るところではない。

 

 海賊になって数年経ち、ローはすっかり海賊として己のアイデンティティを確立してしまった。少なくとも何かを殺そうとすることに、何かを傷つけることに何の抵抗も示さなくなってしまったのである。そんな最中、ローが同世代の仲間に自身の忌み名を告げたことをきっかけに、彼の人生は大きな転機を迎える。

 

 結論だけを述べると、ローは大切な人を失う代わりに珀鉛病を完治させた。そこまでの過程はあまりに複雑で、長丁場となるため詳しく語ることは出来ないが、簡潔に述べると例の海賊団の部下がローの病を治すために海賊団を裏切った。その結果、海賊団の頭の怒りを買い、病完治の手段を手に入れたもののその部下は頭に殺される。そういう筋書きだったはずだ。

 

 そんな壮絶な人生を送ったロー本人が今、俺の前にいる。たぶん。

 

 「ふぅ、ご馳走様。なかなかおいしかったわ」

 

 ただし、俺の知っているトラファルガー・ローは決して女の子(・・・)ではない。

 

 

 

 

 ★

 

 

 

 ONE PICE(ワンピース)、日本人なら内容は知らなくとも名前だけは聞いたことがあるであろう世界的に有名な漫画。17世紀における海賊の黄金時代をモチーフにした世界観が特徴的で、そこに悪魔の実という超能力や空想上の生き物に化け物、とにかく何でも詰め込んだ面白可笑しい物語である。

 

 俺自身、滅茶苦茶詳しいというわけではないが、アニメを見たり友人と映画を見に行ったりした。一度単行本を全て揃えた友人の家に赴き、読破したこともある。なんだかんだ言って好きな作品であった。

 

 その中でもかなり好きだったキャラクターにトラファルガー・ローがいた。残忍で冷淡、でも時折見せる不器用な優しさが個人的にツボだったのである。それが、どうして―――

 

 「で、そろそろ聞かせてもらってもいいかしら? どうして助けてくれたのか」

 

 どうして女の子になっているのか。

 

 いや、最初はローではないと疑ったのだ。しかし彼女はローのトレードマークと言えるファー付きの帽子をかぶってるし、何より目の前でオペオペの能力を行使していたのだ。なんなら容姿もどことなくローっぽい雰囲気があるような気がしなくもない。

 

 一応ちょん切らなくとも性転換させる悪魔の実(食べると超能力を発現させる不思議な果実)の能力者はいたはずだが、彼(もしくは彼女)とローがあの時期に邂逅できるはずもない。というか彼(もしくはry)が性転換させる理由がないし。付け加えれば口調も違和感なく女の子だし。まぁ漫画の世界に前世の知識を持ちながら生まれてきてる時点で、その程度の差異など気にする必要もないというか、マジで些細というか。

 

 「……話しかけているのだから、返事をするのが礼儀でしょう」

 

 食事を終え箸を丁寧に茶碗の上に置きながら、上手に不機嫌そうな顔をする暫定ロー。

 

 「野良犬に死体かどうかも分からない物をくれてやる必要もないだろうさ」

 

 「そう」

 

 疑いの目は消える事ないが、ひとまず納得はしてくれたらしい暫定ロー。

 

 「こちらからも聞かせてほしい。何故洞窟で倒れてたんだ」

 

 「成り行きよ」

 

 どんな成り行きだって言いたくなるが、たぶん嘘はついてないのだろう。現に彼女は辺りに血をまき散らしながら洞窟で倒れていた。正確には俺が暫定ローを最初に目撃した時、恐らく彼女は珀鉛病の治療を己に施している最中だったのだろう。そして数時間にも及ぶオペを終えて気を失った彼女を、流石にそのままにするのも憚られこうして我が家まで抱えて持ってきたという次第である。

 

 時系列的にはコラソンがフラミンゴ野郎に殺された後と見ていい。となると彼女は命からがらここまで歩いて来たって事になる。確かに最近スワロー島には軍艦が来ていた。辻褄は合うと考えられるが、どうだろう。

 

 「……帰る場所はあるのか」

 

 答えは分かり切っていたが、それでも聞くことが自然であるように感じた。

 

 「いいえ」

 

 きっぱりとした口調に肝が据わった顔。あれだけ修羅場をくぐったらそりゃあ度胸は良くなるってもんか。なんというか、試すような真似をして後ろめたい。

 

 「そうか、なら暫くここを使うといい。嫌だったら別にいい、好きにしろ」

 

 俺の言葉が意外だったのか、ぽかんと口を開けて間抜けな表情をする。それが少し面白くて「ふん」と鼻で笑ってしまった。やべ、ちょっと感じ悪いかも。

 

 




映画がとても面白かった(小並感
こんな恥ずかしい性癖を暴露したようなssを見て面白いと感じる人がいたら、頑張って続きを書きます。

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