ワンピース~俺の推しが女体化してるんだが?~   作:ジャミトフの狗

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九時予約投稿、テストです。


シャボンディ諸島編2

 この世界に生まれてから約三十年。さすがに原作知識というのも朧げになっている。しかしそれでも要所要所は憶えているわけでして。

 

 「確か彼がいるのは内陸の方だったはずだ。とすると0から19番のマングローブを中心に探せばいいか」

 

 今、俺が探しているのは『シャッキーのぼったくりBAR』である。前述の通りすべては憶えてないが、おおむねこんな感じの名前だったはずだ。少なくともぼったくりとは確実に書いてあった。

 

 目的の人物はシルバーズ・レイリーである。コーティング職人としての彼の力がいる。聞けば、職人の腕が悪いと海底航路中にシャボン玉が割れて船がぶっ壊れるという。無論、そうなれば船員は皆死ぬだろう。そして原作で確実に腕のいいコーティング職人として登場したのは彼のみだ。ローが早めに職人を見つける事が出来たのなら、俺は彼女の決定に従う。しかしもしそうでなければ、それとなく彼を紹介するつもりだ。

 

 俺の記憶が正しければ、近いうちにこの島でとんでもない事件が起きる。なら早期の内に逃げる手段を一つでも多く確保しておくのは決して悪い事ではないだろう。

 

 とはいえ、シャボンディ諸島はかなり広い。1から19番まで絞ったとはいえ、たった一つの店を探すのだから時間は相当掛かる事が予想される。だが幸い俺はツバメ人間。長時間空を飛ぶことは得意だ。その気になれば一日中飛行することだってできる。

 

 しかしここでふと思いつく。

 

 「人に聞けばよくね?」

 

 思いたったが吉日。ツバメから人間に戻り、さっさと着地する。そんでもって近くを歩く人に声をかけた。

 

 「すんません。自分ぼったくりBARって店探してるんですけど、知りません?」

 

 良く人を見ないで話しかけたのは間違いだった。俺が話しかけた人物は赤髪でガラの悪い、いかにも海賊やってそうな超悪人面の男だった。しかもそいつの隣にいるのも仮面被った変な野郎だし。

 

 「あん? てめぇは確か……」

 

 「キッド。こいつ、トラファルガー・ローの『鳴無』だ」

 

 「あ、どうも。俺を知ってるんですねぇ」

 

 冷や汗が出る。この二人、良く見るとただの変人じゃあなかった。最近見た手配書や新聞で、確かに見たことがある。ああ、そうだとも。こいつら―――

 

 「ユースタス・キッドとキラーか」

 

 「知ってるんだったら話が早い、何の用だ」

 

 要件聞きながらナイフを弄るのやめてもらえませんかね? 人相も合わさりクッソ怖いんだけど。あれだ、ヤンキーを見て本能的に怖いって思うやつ。

 

 「別に、本当にただ道を聞いただけなんでホント。あ、知らないんだったらこれで」

 

 そうとだけ告げて回れ右する。ローとさっき約束したばかりじゃないか。危ないことはしないって。

 

 もしここで少しでも話がこじれてみろ、絶対戦闘になる。俺から手を出すことはまず間違いなく絶対にあり得ないが、キッドは確実にすぐ手が出る奴だ。キラーだって殺戮武人って異名からしてやばそうだし。こういう時はさっさと離れるに限る。

 

 「あぁ。なんだ、億越えだから期待したがただの腰抜けか。こりゃあ船長もたかがしれ—――」

 

 その瞬間、ユースタス・キッドの体は後方に吹き飛ばされた。隣にいたキラーどころか、キッド本人も何が起こったのか理解できなかっただろう。何故なら、それだけの速度で、人間の知覚を許さない速度で蹴られた(・ ・ ・ ・)のだから。

 

 「キッド!! 貴様ぁ!」

 

 「ああ、悪いな。つい足が出ちまった」

 

 それは、とても許されることではなかった。自分はまだいい。腰抜けというのは実際間違ってないし。自分自身でも大いに認めるところだ。だから俺の悪口は笑って許してやる。

 

 しかし、船長の、ローの侮辱だけは許されない。

 

 「テメェ!! いい度胸してんなぁオイ!!!」

 

 自身と衝突した建物の瓦礫を吹き飛ばし、額から血を流しならゆっくり接近してくるユースタス。こちらも短刀を抜き、臨戦態勢をとる。仮面の男の方もいつの間にか己の得物を取り出していた。

 

 「キラー、お前は手を出すな。こいつは俺がやる」

 

 「しかしキッド」

 

 「分かってる。こんな雑魚すぐに息の根を止めてやる」

 

 ユースタス・キッドを中心として、刀や銃、鉄骨など金属類が集まっていく。そうだ、こいつも悪魔の実の能力者だったな。

 

 しかし、そんなことは大した問題ではない。問題なのはこいつがローを貶した事実だ。それだけで、俺がこの目の前の不届きモノと殺し合う理由に足る。

 

 「覚悟は出来てるんだよな?」

 

 「それはコッチのセリフだァ!!」

 

 売り言葉に買い言葉。ツバメに変態し、初速で最高速度に達する。対してユースタスは鉄クズの巨腕をもってこれを迎え撃たんとしていた。方や音速を超えた一閃、方や万物を破壊し尽くす鉄槌。

 

 お互いが信頼する渾身の必殺技。それを真正面から受け止める者がいた。

 

 「暴れたきゃあ、新世界へ!!!」

 

 

 

 ★

 

 

 

 「すまねぇ、ちょっと冷静じゃなかった。あんた大丈夫か?」

 

 「問題ない」

 

 さすがに全身全霊の一撃を、しかも同時に受け止めることは同じ億越えルーキーでも難しかったらしい。間に割って入ったX・ドレークは両腕をかなり痛めてしまい、ソレを俺が応急処置しているといった次第である。

 

 「早くこの街の医者かお前んとこの船医に診せた方がいい。そこまで深刻じゃないと思うが、一応な。あと患部はしっかり冷やしてな」

 

 「ああ。悪いな」

 

 そう告げてクールに去っていくドレークさん。どっちかと言うと悪いのは俺とユースタスのアホである。しかもそのユースタスは心底不機嫌そうな顔つきで帰っていったし。少しくらい非礼を詫びるって気持ちがないのかね。次会ったら髪型をアサガオにしてやる。

 

 「で、結局店は分からず仕舞いか」

 

 目的は果たせず、空は夕日で赤く染まっている。船に集合する時間は一応決まっており、その時間までにはまだ余裕がある。しかし。

 

 「色々疲れたからもう帰ろう」

 

 肉体面よりも精神面で。怒ることってかなりエネルギーを使うんだなって思った。あんまり激情に駆られたことないから知らなかった。

 

 ツバメになって帰るのもなんか面倒で、頭を冷やすことを兼ねてゆっくり歩いて帰ることにした。すると今度は空を飛ばない弊害が生じる訳だ。

 

 「お前が懸賞金1億の『鳴無』のツバメだなぁ?」

 

 「はぁ」

 

 例えば賞金稼ぎとか。瞬殺するのは別に難しくないのだが、少し歩くとまた別の賞金稼ぎの集団が現れる。それが何度も繰り返されるとさすがに違和感を覚えるし面倒くさくなる。次の集団を仕留めた後、そのうちの一人から事情聴取するとそいつは、

 

 「億越えルーキーの中で一番最低額の一億ベリーで、しかも一人だったから狙い時だと思ったんだ」

 

 と宣った。なるほど、何も考えてない訳ではないんだなと思った。あまり強くないから意味はないんだが、それはそれ。足りない実力を知略で補っているのは素直に好感が持てる。一応何度も戦うことによる疲労も考慮していたらしい。いやはや全くもって、賞金稼ぎって悪知恵の集まりなのだろうか。

 

 「次からは誰か連れてこ。もしくはずっと空飛んでよ」

 

 シャボンディ諸島の過ごし方を学習した瞬間である。

 




・主人公
 懸賞金は一億ちょうど。二つ名は鳴無(おとなし)。理由? かっこいいから。

・ユースタス・キッド
 懸賞金がこの時点で3億をこえる超のつく悪人。実力は本物であると考えられる。ただ結構短気。作者の好きなキャラ。言いそうなセリフを考えるのが難しかった。

・キラー
 キッド海賊団の良心。アニメの描写を見る限り、かなり強そう。
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