青春は恒星のように輝いて 作:orchid
はじめまして、私はこの物語の語り部を務めさせて頂きます、
多分、16歳。女子です。好きな物は猫のぬいぐるみです。
あ、いやいや。今絶対に「こいつ嘘ついてるな」と思った人いるでしょう?。本当に本当なんですよ?自分の誕生日をあまりに気にしなさすぎた結果、いつの間にか忘れちゃってたんです。自分の誕生日なんて、興味ありませんし。あんまり生年月日を書く機会なんてのも無いし、覚える意味も無いと思ったので。
私の他にもいませんかね……マイバースデー忘れた人。
私だけなのかな。
私がおかしいのかな。
まぁ、それは置いておいて。
そろそろ学校に行かなくちゃ遅刻しちゃう時間になってきた。私は壁のハンガーに掛けている制服を外し、袖を通して、スカートを履く。
「あれ、また痩せちゃったかな……?」
いつも留めていたホックの所だと落ちちゃうんだけど……。太るのは嫌だけども、あんまり病的に痩せ過ぎているのもどうなのだろうか……。
ちゃんとご飯食べなきゃな、と思いながら、私はスカートのホックを一段階締めた。
時計を見ると、相当厳しい時間になってきた。これは遅刻かそうでないかの瀬戸際かもしれない。
やばい、急がなきゃ。私に与えられた猶予は残酷にも短くなってきている。
私は急いで階段を下りる。酷く年季の入った階段なので軋む音が酷い。その内崩れ落ちるのではないかと考えてしまうレベルです。
階段を下り、家を出ようとして玄関の戸に手を掛ける。間に合うだろうか。いや、走れば何とか──と思ったら背後から、
「スピカ、昼食の弁当忘れてるぞ。」
と、声がした。振り返ってみると、そこには琥珀さんがいた。
「あっ、忘れてました!ありがとうございます、琥珀さん!」
私は、お弁当を琥珀さんから受け取る。
相変わらず綺麗な手だなぁ……爪もきちんと手入れされてるみたいだし。爪切りは嫌いらしいけども。何なんだろう……良く分からない……。
嫌いなら伸ばせば良いと思うけど……そうもいかないんだろうな。何か、こう、清潔感とかあるのかな。
その辺りが
「別に気にするな。ただ……そろそろ時間が厳しいんじゃないか?いつもこの時間には家を出てる気がするんだが……」
「えっ……あっ!不味い、急がなきゃ!」
確かにかなり厳しい時間だった。さっき走ったら間に合うかな、と考えたものの、今では間に合うかどうか。
ここから学校まで、およそ2キロ。それを、後15分。道が悪く、あまり足の速くない私にとっては、かなりの試練だった。しかし、まだ入学して間もないのに、遅刻する訳にはいかない。
間に合う事を祈って。
「それじゃあ、行ってきます!」
「あぁ、行ってらっしゃい」
私は、家を飛び出した。
それは
──
私は零崎スピカ。JKだ。今私はすごくやばい。
端的に言おう。私は悪魔に追われている。
その悪魔にかつて対抗できたのはエイン・シャタインと言う化け者だけ。
放送枠が金曜日から土曜日に変わってしまった某国民的アニメにいる、の◯太くんがよく追われているアイツだ。
ん、勘違いするなよ?誤解の無いよう、先に言っておくがジャ◯アンではないぞ。
絶対にして相対的なやつだ。
あの世界ではのび○くん、度々、というかかなりの頻度で逆らっていたけど、この世界に関しては無理がある。
今もやつは着実に、刻々と私に迫っている。
そう、私はなぜか遅刻しそうなのだ。
なぜだろうか。
私は昨日3時まで本を読み耽っていただけなのに──
──
『キーンコーンカーンコーン』
ギリッギリで始業のチャイムに間に合った。チャイムの時間との誤差は
取り敢えず、こんなデンジャラス登校は二度と経験したくない()。
何か途中、あまりの焦りから謎の別人格が出てきた様な気がするけども、きっと気のせいだよね。
というかそうであってください(懇願)。
「……っはぁ……はぁっ……」
まだ5月だからそこまで暑くはないけど、それでも相当な量の汗を
「あぁもう、どんどん痩せてっちゃうよ……」
そんな事を考えながら教室に入る。ざっと室内を見渡してみると、殆どの席が埋まっていた。友達と談笑している人もいれば、勉強に没頭している人もいる。どうやら私が最後みたいですね。
そりゃそうなんだけども。
私は、席と席の合間を縫うようにして、自分の席に着く。私の席は最後尾だから、後ろの人に迷惑が掛かる事は無いので、汗を掻いていても、多少ながら気は楽になる。汗だくの女の子なんて誰得だ、って話ですし。まぁ、基本的に私に話し掛けるような人もいないので。
……別に友達がいない訳じゃないんだからね!作ろうとしないからなんだよ!(えっへん)。
……考えてて何となく悲しくなった。もう止めよう。
そんな事を考えている内に朝のホームルームは終わって、休み時間に入っており、授業が始まろうとしていた。
えっと、1時間目は……うわぁ、数学か。数学ってそんなに好きじゃないんだよね……。
何かさ、あっ、ごめんなさい。数学好きの人にとっては申し訳ないかな。読み飛ばしちゃっても大丈夫だよ。
何かさ、数学って、中学校でマイナスが出てきてから思ったの。
「これ哲学だよね」って。
そこから連立方程式とかさ、二次関数とかさ、実際のところ日常で使うことなんて無いのに習うじゃん。先生とかはさ、「論理的思考力」を高める為とか、「解けた時の喜び」とか言うけども、私はどうもちょっと分かんないんだよね……。だから数学は、何かどうしても好きになれなくって……。
以上。愚痴しゅーりょー。
結局のところ、単位は必要だしね。ぐちぐち言ってても、どう足掻こうとも何も変わらないし。そこはもう割り切るしかない高校生の現実。悲しきかな。
あーあ、頑張ろーっと。
「……たすき掛けって何に使うんだろう……」
数学の時間、私はそんな事を考えながら、ひたすらに計算をしていた。今日の授業のところはまだ簡単なところで良かった。とはいえ、数学が大して好きでもない人間が、ずっと演算し続けるなんてのは不可能に等しい。
(飽きちゃったな……)
かくいう私も数学が好きな人種ではないので、ペンを走らせる手が止まる。
何となしにふと、窓の方を見る。私と同じように飽きてそうな人もいた。ノートに落書きしてるんだろうな、って人もいる。
ただ1人、窓際の列の最後尾。眼鏡を掛けた女の子は、ノートと教科書を交互に視線を移しながら問題を解いていた。
黙々と。執心に。
あのペースは、絶対にノルマを超えて問題を解いてるな。予習か、今日やった所を磨いているのかは分からないがけど。
ただひとつ、気になるのは。
少女のその瞳には鬼気迫る物があった。
(数学好きなのか、勉強好きなのかな……)
そんな位に思って、私はまた問題を解き始めた。
(あの人の名前何だろう……)
私はあの人に興味が芽生えていた。授業が終わったら確認してみようかな……。
と、思った矢先に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
──
「確か、クラスメイトの名簿は入学式の日に貰った筈……」
鞄の中を探してみる。整理整頓はされていたので、そこまで時間は掛からずに見付ける事が出来た。所で、君は整理整頓してる?仕事が出来る人は整理が上手らしいよ。人は1日に15分程探し物をするらしいんだけどね、それが1ヶ月とかになると、何時間も探し物に時間を費やしてる計算になるんだよ。だから、整理整頓が上手な人は、純粋に作業時間が生まれるから、仕事の能率も高いみたいよ。だから、整理するのは面倒でも、後々自分の為になるからお勧めです。……脱線しちゃったね。
「んーっと、あの人の席はあそこだから……名前は「えっと……」
……えっ、私?間違いない?人違いとかじゃなくて?
私が誰かに声を掛けられた?待って嘘でしょ。私が?他人に声を掛けられた?。こんな状況、記憶に残ってないよ。その位、私は他人と距離を置いていたんだろう。
自業自得。仕方のないこと。
私はそう割り切って、相手の顔を視認すべく、私は顔を上げる。
そこには。
お目当ての、眼鏡少女がいた。
これが始まりだった。
私達の、青春の始まり。
これから始まる、いくつもの物語。
それをまだ、私は知らなかった。
1人目、