銀の蛇と白い猫のお話   作:アマゾンの奥地

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闇に蠢く

 町はずれの廃屋に足を運ぶ男がいた。

 そこは人の立ち寄らない薄気味悪い場所だったが、男はむしろそれを喜んでいるようにさえ思えた。

 人気のない場所は仕事をするにあたって一番都合がいい。

 その仕事が人に見せられないものなのだから尚更だ。

 

 西日の差し込む崩れかけの建物はどこか幻想的な雰囲気を匂わせる。

 昼と夜の境界、現実と非現実の境界だ。

 故に、夕暮れの頃には多くの魔の者が活動を始める時間帯でもあった。

 

 

 覚めぬ興奮のままセラに言われた場所まで来たが、なるほど。

 これは確かに『はぐれ』が好みそうな場所だ。

 薄暗くて人の目が届かない。

 これほど彼ら彼女らにとって好条件な土地はそうそうないだろう。

 と、地形に感心していたらどうやら待ちきれなくなって相手も出てきたようだ。

 

「良イ匂イガするゾ。イいニオイダ。冷たクテ甘い、マるデ洋菓子ノようナ、良イニおい、ダ」

 

 はぐれ悪魔と相対するたびに思うことがある。

 この子たちには俺とよく似たところ、そうでないところがある。

 

「やあバイザー。上から君を処理するように言われてね。心苦しいことではあるが始末させてもらう」

 

 まず俺と彼女らの大きく異なるところだが、それは簡単に言ってしまうと『運』があったか否か、それに尽きる。

 俺も彼女もやっていることはそう変わらない。

 殺しを楽しんで飽きたら捨てる。

 ただ一点、違うところは建前があるかないかに過ぎないんだ。

 

 あぁ、可哀想な子供たち。

 俺のような老害の罪が許され、彼女たちは罰せられるのが俺には哀しい。

 同じ人を殺すことに溺れる者同士、いったいどうしてこうも差がついてしまったのだろうか。

 

 まあ現状をいくら嘆いたところで今は変わらない。

 それに、だ。

 ぐだぐだと寒いことをあれだけ言っておいて、結局俺はその同族を殺したくて仕方がない。

 久しぶりに俺が自由にしてもいい肉なのだ。

 壊れないようにゆっくり楽しまなくてはいけない。

 なんせこれが過ぎたら、次はいつ肉が廻ってくるか分からないのだから。

 

 今回の小鳥ちゃんを見てみると、なんともまあ奇妙な形に変容していた。

 上半身は人間とそう変わらない女性の身体。

 しかし下半身は可愛らしい獣の姿だったのだ。

 両の手に何やら玩具を持って、此方のことを威嚇している。

 まったく、仔犬のようで微笑ましい。

 

「哀れな同胞よ。哀しいことではあるが我が王レヴィアタンの命により君を殺す。どうか恨んでほしい」

 

「こザカしぃぃぃぃ!キサマの小ギ麗ナギんの髪モロトモ、ゼ、ゼンシン残ラず喰らイつくシテやるわぁぁぁ!」

 

 本当に可哀想な子供だ。

 彼女にとって、これはおそらく『勝負』なのだろう。

 自分というはぐれ悪魔を倒しに来た俺と、それを退けようとする彼女自身の。

 しかし哀しいかな。

 これは勝負ではない。

 まして命の駆け引きなんてものは存在すらしていない。

 ただ、これは俺が快楽を得るための行為でしかないのだ。

 

「すまない」

 

 俺がこの子のために出来ることなんていうのは、せいぜいが痛みを感じないように殺してやることぐらいだった。

 握りしめた彼女の心臓から溢れ出る鮮血を浴びて、ひとつ思いだすことがあった。

 そういえば、俺とこの子たちには大きく異なる点があったな、と。

 簡単なことだ。

 俺が『殺し』に求める快楽は肉の感触、血液の暖かさなどの物理的なものであるのに対し、彼女たちが求めたのは恐怖や絶望といった感情的なものだった。

 あの子らの意見を否定するわけではない。

 同じ『殺し』を愛するものとして多様性っても構わないと思うし、そもそも俺のような者は少数派だろう。

 俺は別に彼女たちと違ってサディストではないんだ。

 考えてもみてほしい。

 たとえば外で食事をとる時に店内で音楽が流れていたとする。

 それは料理の味と直接関係があるだろうか。

 いやない。

 もちろん流れる音楽によって気分が大なり小なり変化するとは思う。

 しかし根本的な部分である、『料理の味』が変わることはない。

 殺した人物の感情や背景なんていうものは、俺にとってはその程度の認識でしかないのだ。

 もちろん外見も気にしない。

 だってどうせ中身は同じなんだから。

 

 あぁ言葉もなく散っていったはぐれ悪魔バイザー。

 君のことはよく知らないが、確かに君の血は暖かかった。

 彼女の心臓を握りしめた手から、命そのものが伝わってくる。

 生暖かい肉の壁に腕を埋めて感じることのできるソレこそ、俺が『殺し』に求めていたものだ。

 

 もう少しこの熱を堪能したら、後処理をして帰ろう。

 そう思って彼女の胸に手を刺していたその時、突如として俺の死体は奪い去られた。

 

 

 

 

 

 

 どうも、最近転生悪魔になった兵藤一誠です。

 俺は今、悪魔としての戦いを経験した方がいいとの理由で、部長に連れられてよくわからない場所までやってきました。

 なんでもはぐれ悪魔ってのを討伐するついでだとかなんとか。

 因みにはぐれ悪魔ってのは爵位を持った悪魔の下僕となった者が、主を裏切り、または殺して主なしになったもののことを指すらしい。

 人間の頃とは比べ物にならない悪魔の力。

 その強大さに憑りつかれた者たちが、それを自分の欲望のままに使おうとするらしい。

 で、その邪魔になる主から離れて各地に飛び、そこで悪事を働く。

 それが『はぐれ悪魔』。

 ようは野良犬のようなものらしい。

 野良犬は害を出す。だから見つけしだい主人や、他の悪魔が消滅させる。それが悪魔のルール。

 制約から放たれ、その強大な力を自由に振るうことが出来るようになってしまったものほど恐ろしいものはないんだって。

 オカルト研究部のみんなと来たここにも、そのはぐれ悪魔ってのがいるらしい。

 なんでも、毎晩ここに人間をおびき寄せて食らっているんだと、そう言われた。

 本来なら部長たちがそれを討伐するはずだったんだけど、どうもイレギュラーが起こったみたいで、今回はどうやら様子を見に来ただけらしい。

 「リアス・グレモリーの活動領域内に逃げ込んだはぐれ悪魔を始末してほしい」と、最初はそう依頼が来ていた。

 こういうのも悪魔の仕事だって。

 でも今回はなんかがあって、他の人がやってくれるみたいだ。

 直ぐにもう一度連絡が入ってそう言われた。

 部長はこんなことは初めてだって。だから様子見もかねて一応ここに足を運んだらしい。

 

 そんで今はこうして、はぐれ悪魔がいるという廃屋の近くに身を隠しているところです。

 正直しんどい。

 

「イッセー、本当は戦いが始まってからにしようと思っていたのだけれど、もう少し時間がかかるみたいだから今のうちに下僕の特性について説明しておくことにするわ」

 

「下僕の特性?説明?」

 

 怪訝な俺に部長は続ける。

 

「主となる悪魔は、下僕とする存在に特性を与えるの。.....そうね、悪魔の歴史も少しは知っていた方がいいでしょう。簡単に話すから、頭の片隅にでも入れておきなさい」

 

 部長が教えてくれたのは悪魔の現況の話だった。

 

「いい。大昔、私たち悪魔は天使、堕天使と三つ巴の戦争をしていたわ。みんながみんな大軍勢を率いて、永劫とも思えるほどの間を争いあったの」

 

 まるで人間の歴史を聞いてるみたいだ。

 部長の言葉を木場が拾って続ける。

 

「もう意地になっていたんだろうね。誰も止められなかった、いや止めなかった。その結果、残ったのは疲弊しきった僅かな者たちだけだった。みんな戦争で死んでしまったから」

 

 今度は朱乃さんが口を開く。

 

「純粋な悪魔もうほとんどいなくなってしまった。ですが堕天使、天使とのいざこざが解決したわけではない。被害は互いにありますが、それでもスキを見せればこちらが危うくなるのも事実ですわ」

 

 そして再び部長が語る。

 

「そして悪魔は少数精鋭の部隊をつくることにしたの。ようはあれね。雇える社員が減ったから、募集する人を増やしたの。でも一般人じゃ使えないからこっちから道具を提供する。それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』よ」

 

「いーびるぴーす?」

 

 な、なるほど。

 かなりきついけど、何とか話についていけてるぞ。

 

「人間界の『チェス』になぞらえて私たち主人を『(キング)』として、その下に『女王(クイーン)』、『騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『僧侶(ビショップ)』、『兵士(ポーン)』の五つの特性を分け与えるためのものよ。この制度ができたのはここ数百年のことなのだけれど、これが意外にも爵位持ちの悪魔に好評でね」

 

「好評?チェスのルールがですか?」

 

「みんな自分の駒が強いって自慢したくてね。下僕たちを駒に見立てて実際にゲームをするようになったの。駒が生きて動く大掛かりなチェス。私たちは『レーティング・ゲーム』と呼んでいるわ」

 

「それが流行ったんですか?」

 

「えぇ流行ったわ。それはもう、悪魔の地位、爵位に影響するほどには。『駒集め』と称して優秀な人材を自分の手駒にするのも流行っているわ。優秀な下僕はステータスになるから」

 

 なるほど。

 そのゲームが強いと悪魔としても立派なわけだ。そりゃあ自慢のもとにもなる。

 .....でも悪魔のゲームの駒として機能してしまう下僕悪魔の人間か。

 複雑だな。俺もいずれそのゲームに駆り出されるんだろうか?

 

「とは言っても私はまだ成熟した悪魔じゃないから公式のゲームには参加できないわ。まあしばらくはイッセーや私の下僕たちがゲームをすることはないわね」

 

「へぇ。じゃあ木場たちもまだゲームに出たことはないのか?」

 

「そうだよ」

 

 俺の質問に木場が頷いた。

 なんていうか、俺の予想してた悪魔の世界とはいろいろと違った。もっとなんかこう、ドス黒くて怖いものをイメージしてたぜ。

 まあ、俺が悪魔のことを知らなすぎるだけなんだろうけど。

 

 それよりも気になることがある。

 俺の駒の役割についてだ。

 

「部長、俺の駒の役割ってなんですか?」

「そうね.....イッセーは」

 

 そこで言葉が止まった。

 少し離れたところにいた小猫ちゃんから合図があったからだ。

 どうやらやっと現れたらしい。

 

「.....部長.....来ました.....」

 

 緊張が走る。

 もし、はぐれ悪魔が自分を退治にきた相手を殺してしまったら。

 そんなことを考えると足が震えた。立っているだけで精一杯だ。仲間がいてくれなきゃあもうとっくに逃げてる。

 

「みんないいわね。こちらのことを気付かせてはダメ。隠れながら後を追うわよ」

 

「「「はい!」」」

 

 俺もみんなの後を追って廃屋内部へと入る。

 今にも壊れてしまいそうなそれは、俺の恐怖を煽っているようだ。

 マジに怖い。

 近くに仲間がいてくれてる今でもこれだ。

 俺が戦うことができる日は、果たして訪れるんだろうか。

 

 

「..........」

 

 不意に部長が足を止めた。

 無言で建物の中心部辺りを凝視している。

 周りのみんなもだ。

 

「ぶちょッ!?」

 

 声を掛けようとすると、木場に口を塞がれた。

 なにをするのかと思い目で訴えかけてみると、人差し指を口元に当てている。

 どうやら声が大きかったらしい。

 

「イッセー、あそこよ」

 

「え、あそこってどこですか.....ッ!」

 

 部長が指差した方に目を向けると、そこには一人の男が立っていた。

 リアス部長と同じかそれ以上に長い銀の髪が、薄暗いこの場所で淡く光っている。

 蛇を思わせる男の目は熱を感じさせず、まるで体温がないかのようだ。

 そこにいる男はとても幻想的で、同性の俺から見ても魅入られるほどの容姿をしていた。

 

 でも、おかしいんだ。

 さっきから寒気が止まらない。

 確かに俺はビビってた。はぐれ悪魔に対して、だ。でも今は違う。

 もっと根本的なところで、俺は恐怖している。

 まるで蛇に睨まれた蛙みたいだ。

 

「哀れな同胞よ。哀しいことではあるが我が王レヴィアタンの命により君を殺す。どうか恨んでほしい」

 

 男が暗がりに向かってそう言った。

 きっと俺の見えていないところにはぐれ悪魔がいるんだろう。

 でも違う。

 俺は、さっきからあの男の人を怖いと思ってるんだ。

 なにもされちゃいない。彼はただはぐれ悪魔を退治にきただけのはずだ。それなのに.....。

 それなのに、声を聞いただけで全身の震えが止まらない。

 背中に氷水をかけられたかのように全身に悪寒が走る。

 俺の首に巻き疲れているような、死が近づいているような、そんな感覚に陥る。

 

「イッセー!しっかりしなさい!」

 

 部長が俺の体を強く揺さぶってくれて、はじめて俺は自分が息をしていないことに気づいた。

 慌てて空気を吸い込む。

 

「.....す、すみません」

 

「気にする必要はないわ。あの方は魔王レヴィアタンさまの女王なのだから恐怖を覚えるのも無理ないわよ」

 

 ま、魔王さまの女王.....。

 魔王さまの側近ってのは、こうも格が違うもんなのか。

 

「部長はあの人のことを知ってるんですか?」

 

「一方的にね。大きな式典なんかで顔を見かけたことがあるだけよ。でも変ね。どうしてたかがはぐれ悪魔に彼ほどの大物が出てきたのかしら」

 

 部長はなにかが引っかかっているようだった。

 でも言われてみれば確かにそうだ。

 だって魔王さまってのは悪魔のなかで一番凄い人なんだろう。

 その一つ下の人だ。

 当然凄い人に決まってる。

 それが、いくら危険だとはいえ一はぐれ悪魔に動くものなんだろうか。

 

「まあここでいくら考えていても仕方ないわね。帰りましょう」

 

 部長の号令で帰ろうとする俺は、一つの違和感に気づいた。

 ん、なんだろう.....何かが足りないような。

 

「部長!小猫ちゃんがいません!」

 

 木場が声を上げた。

 ッそうだ!

 たしかに辺りに小猫ちゃんらしき影がない。

 まさか何かあったんじゃ!!

 

 ズドンッ。

 

 突然、大きなものが落ちたかのような衝撃がこの廃屋全体に響いた。

 

 ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

 

 続けて、最初よりは少し小さいぐらいの衝撃が何度も俺たちを襲った。

 

「みんな!集まりなさい!!一旦ここを出るわよ!」

 

「でも小猫ちゃんが!」

 

「小猫のことも大事だけど、このままじゃ私たちも危ないわ!だいじょうぶ、小猫はこういったことには強いから一人でもきっと何とかするわ」

 

「さあイッセーくん。早くここを出ましょう」

 

 クソッ。絶対に戻ってきて見つけ出すからな、小猫ちゃん!

 

 俺たちは急いで廃屋を出た。

 

 一体全体どうなってるんだ。

 はぐれ悪魔はあの人が倒したんじゃなかったのかよ。

 

 朱乃さんと部長は何やら相談をしていた。

 

「部長。この件は大公へ報告するべきかと」

 

「.....しばらくは私たちで原因を探しましょう。報告するのはどうしても私の手に負えないと分かった時だけよ」

 

「リアス!あのレヴィアタンさまの女王がいてもこうなったのですよ!もうとっくに私たちの手に負えることではありません!」

 

 なんか、すごく言い合ってるけど大丈夫なんだろうか。

 俺は俺で気になることが多い。

 木場にでも聞いてみるか。

 

「なあ木場、はぐれ悪魔の討伐っていつもこんな感じなのか?」

 

「まさか。毎回これじゃあ命がいくつあっても足りないよ。今回だって、本来ならもっと楽な仕事だったはずだ」

 

 やっぱりそうなのか。

 .....でも、それならどうして今回はイレギュラーが起きたんだろう。

 

「でも小猫ちゃんのことなら心配しなくてもいいと思うよ。彼女、とっても堅いからさ」

 

「おいおい木場!いくら小猫ちゃんが幼女体型だからってそんな言い方ないだろ!」

 

「違うよ.....。ほら、さっき部長が言ってただろ。駒の特性さ」

 

 木場は小猫ちゃんの持っている駒の特性について説明してくれた。

 

「小猫ちゃんに与えられた駒は『戦車(ルーク)』。その特性は大きな力と優れた防御力だ。ちょっとやそっとの攻撃じゃあ彼女にかすり傷も負わせることはできない」

 

「へぇ~小猫ちゃんってすごいんだな。木場はどうなんだ?何の駒の役割を持ってるんだ?」

 

「僕は『騎士(ナイト)さ。特性はスピード。騎士の駒を与えられた者は速度が増すんだ」

 

 いろいろとあるんだな。

 木場はついでと言わんばかりに、他の駒についても教えてくれた。

 

「ちなみに副部長でもある朱乃さんが『女王(クイーン)』だよ。彼女は王の次に強くてね。『騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『僧侶(ビショップ)』、『兵士(ポーン)』のすべての力を持っているんだ」

 

 なるほど。

 じゃあ俺は残りの『僧侶(ビショップ)』か『兵士(ポーン)』のどっちかってわけだ。

 俺はいったいどっち.....。

 

「あ!言ってたら小猫ちゃんが戻ってきたみたいだよ」

 

「ホントだ!無事でよかった」

 

 小猫ちゃんが廃屋から出てきた。

 すこし汚れているくらいで、目立った傷は見られなかった。

 やっぱり戦車の特性のおかげなんだろうか。

 

 出てきた小猫ちゃんのそばに部長が駆け寄る。

 

「小猫あなたいった何をしてたの!みんな心配したのよ!」

 

「.....すみません部長。処理しなければいけないはぐれ悪魔(ゴミ)を見つけて.....」

 

「もう.....今回は何もなかったから良かったけど、次からはちゃんと声をかけなさい。でもはぐれ悪魔を見つけて倒したのはお手柄だったわね」

 

 そのやり取りを見て安心した。

 小猫ちゃんは無事ではぐれ悪魔の討伐も終了。なんだ。大団円で終われてよかった。

 

「はい。原型が残らないくらいに潰したので、間違いなく死んだと思います」

 

「じゃあさっきの音はあなたのだったのね。よかった、これで謎も解けたわ。みんなにも大事はないし、今度こそ帰りましょうか」

 

「「「了解!」」」

 

 

 何かが引っかかる。

 

 本当に、小猫ちゃんははぐれ悪魔を見つけたんだろうか。

 魔王さまの一番の駒を持ったあの人が見つけられないものを、果たして小猫ちゃんが見つけられるものなんだろうか。

 

 本当は違うんじゃないか。

 小猫ちゃんは何か違うものを見たんじゃないだろうか。

 なにかもっと別の.....。

 

 いやよそう。

 仲間を疑うなんて良くない。

 きっと俺の勘違いだ。そうに決まってる。

 そもそも、小猫ちゃんが噓をつく理由がないじゃないか。

 

 

 

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