あれから六年の時が過ぎて俺も焦凍も中学生になっていた。
俺も特訓をこなしてレベル3までいけるようになった。
焦凍は秘密裏に俺と特訓をしていて父の厳しい鍛錬にもついていけるようになった。
喜んでいる父の顔はなんか癪にきたが焦凍が元気なら俺はよかった。
母さんも陰で焦凍を応援していると同時に心配もしてくれている。それは父とはまた違う優しさゆえの応援だった。
「焦凍、晴くんのおかげで訓練についていけるって言ってた」
「いいことなのかな……?」
「焦凍が苦しんでないもの。いいことよ」
「そうか……よかった」
「私も晴くんに助けられたわ。ありがとう」
そう言って俺に抱きついてくる母さん。
温もりが俺の心を癒してくれる……
子供扱いされていたとしてもこの人になら……
「晴くんってさ……将来なにになりたい?」
「俺は……やっぱりヒーローかな!オールマイトみたいな」
「そう……良い夢だね」
抱きしめられたまま俺は頭を撫でられる。
ああ……幸せだ……
俺は少々マザコンなのかもしれないな。
んで母さんと別れて訓練場の前を通り過ぎていると
「なっ!?」
焦凍が床に伏せて倒れていた。
「焦凍!」
「なんだ…何の用だ晴矢」
「何の用だじゃないだろ!父さん!いったいなにをやらせたんだ!」
「俺の思い描く最強の技……それを修得させようとしただけだ。わかったらどけ。邪魔だ」
「んなことさせるかよ!父さん。アンタ……焦凍をなんだと思ったんだよ!」
「オールマイトを越えるためにさせているだけだ!わかったら退け!」
「退かねえ!焦凍には指一本触れさせねえ!どうしてもってんなら……俺と勝負しろ!」
「ほう?お前と俺がか?俺たちの個性をどっちも受け継がなかったお前が?いいだろう。勝負してやる」
「晴矢兄ぃ……」
焦凍を安全な場所まで運ぶと俺は父さんの前に立つ。
「本当にやるというのだな」
「男に二言はねえ!」
<タドルクエスト!>
音声とともに周りにエナジーアイテムが散らばる。
「む……?なんだこれは」
エナジーアイテムを知らないな?よし!
「術式レベル2……変身!」
<ガッシャット!ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!>
「それがお前の個性か……」
「これより……エンデヴァー切除手術を開始する……」
そして父さんがいきなり炎を放ってきたので俺は横によけて一気に距離を詰める。そして右上段の蹴りを喰らわせようとしたが
「甘い!」
左腕からの炎で俺は足を振り抜くことができずに吹き飛ばされた。
そして体勢を立て直した時には父さんが炎のパンチを放ってきたので俺はそれりまともに喰らってしまった。
「…もういいだろう。諦めろ。お前に勝ち目はない」
「諦めろ……それは自分への言葉なのかな…!」
「なんだと……!?」
「アンタは……オールマイトを越えるんじゃなかったのかよ……!それを諦めるのか……!?自分では出来ないからって焦凍に押し付けるのかよ……お笑いだな……」
「黙れ!お前になにがわかる……!」
「俺の知ってるエンデヴァーはそんな奴じゃない!少なくともヒーローとしてのエンデヴァーは不屈の意志をもった俺の憧れのヒーローなんだ!アンタはそれから逃げるのかよ!巫山戯んな!」
「…………っ!」
「はぁ……勝負はこっからだ……」
<ガシャコンソード!>
「む!?それは……?」
Aボタンを押して氷剣モードに変える。
<ガ、キーン!>
父さんは再び炎を放ってきたが俺はガシャコンソードを振るうと炎が相殺され、Bボタンを連打した地面に突き刺し、地面を伝せて父さんを足元から凍らせる。
「ぬぅ……!だがこれしきの氷……!」
「その一瞬で充分!」
<高速化!>
エナジーアイテムを取って一気に距離を詰め、ガシャコンソードのスロットにガシャットを差し込み
<ガッシャット!>
<キメワザ!>
<タドル!クリティカル!フィニッシュ!>
そして父さんを峰打ちで気絶させた。
・・・・
エンデヴァーside
アイツから言われた言葉が引っかかっていた。
俺は誰よりも強くありたかった。それこそが俺の求めていたヒーロー像だったからだ。
そして自分ではオールマイトを超えられないと悟った俺は個性婚で冷の個性を手に入れた。
そして晴矢との戦いでアイツの叫びを聞いた。
そしてようやく気づいた。だからなんなんだ?それは自分でオールマイトを超えたことになるのか?それは自分の求めていたヒーローというものからかけ離れた外道と同じ行為に他ならないのか?それは自分のヒーロー像とは真逆のものに成り下がった俺じゃないのか?
そしてアイツの笑顔を……冷の笑顔を……俺は奪ってしまったんじゃなかったのか?
俺はようやく己の過ちに気づいた。
そして後悔した。
自分は……本当は好きだった人を……家族を……傷つけていたことに……
ならば……これから俺がすべきことは……
そして俺の意識は失った
・・・・
「勝っ……たのか……?」
「ああ!勝ったぞ!焦凍!」
そして焦凍は泣いて俺に抱きついた。
「ありがとう……!ありがとう……!」
焦凍……
これで父さんも少しは変わってくれたらいいかな……
そして焦凍が訓練場から出て行き俺は父さんの手当てをしていると
「う……ん……」
「父さん。大丈夫?」
「晴矢……ああ、大丈夫だ」
そして俯く父さん
「なあ晴矢……冷を呼んできてくれないか……」
「……わかった」
そしめ母さんと父さんが庭の縁側に座るのを俺と焦凍、冬美姉さんで見ている。
「話ってなんですか?炎司さん」
「…………そ、それは……」
「?」
「す……すまなかった!!」
いきなり母さんに土下座する父さん。
それに母さんも困惑しているようだ。
「俺は……お前たちのことをなにも考えずに……ただ自分の欲望のためだけに利用して……赦されないこともした……」
「炎司さん……」
「だが……これからはお前を……轟冷として……一人の女性として……家族として接したい!焦凍たちとも……!だから……すまなかった!!!」
父さん……
「……顔をあげてください。炎司さん」
「冷……」
「私はずっと好きでしたよ。炎司さんの真っ直ぐな性格は……私も今からでも……家族になりたいです。だから許します。その代わり私たちと本当の家族になってくれませんか?」
「……ああ!」
「親父……」
「焦凍……お前にも迷惑をかけたな……すまなかった」
「いや……いいよ。これからは……母さんを大事にしろよ」
「冬美も……今まですまなかったな」
「いいよ!父さん!これからは私たちとも接してね!」
「そして晴矢……お前のおかげで……俺は大切なことに気づけた……本当にありがとう……」
「……アンタのためじゃねえ。焦凍と母さんのためだ」
「ふっ……そうだな」
「じゃあさじゃあさ!仲良くなった記念に写真撮らない!?」
冬美姉さんの提案で俺たちは集まって写真を撮る羽目になった。
父さんも下手な笑顔で写真に写っていた。
これから……俺も父さんと家族になれたらなあ……
そう思いながら俺は二枚目の写真のための笑顔を作っていた。