第3話 お爺ちゃんはギャルと邂逅する
あのモカちゃん事件(自分が命名)から一週間が経ち、学校も始まった。自分は、自宅から一駅先の男子校に通っているが、まだ美竹家に居候しているので二駅先だということを忘れていて遅れそうになった。昨日のうちに確認したはずなんだが?
「あ、おはよう仙人!」
「おはようなのだよ、田中」
「うん。あと俺田村な」
また間違えてしまったな。このクラスいかんせん、た行が多い。田中から始まり、田村、田辺、田原、etc...そして全員が田から始まるという異常っぷり、前世でもこんなのはなかった。
「おいおい、ちゃんと覚えてくれよ〜。あだ名が仙人からお爺ちゃんに変わっちまうぜ」
「それだけは嫌なのだよ」
誰が生意気な小僧からお爺ちゃんと言われなければならないんだ。自分をお爺ちゃんと呼んでいいのは、自分の爺性が反応した者だけだ田原よ。(違う)
「さて、今日は蘭のお父さんもいなくて将棋が指せないな。どうする...?蘭からか何かな?」
スマホを起動すると、蘭からのメールがあった。内容は
『私、今日みんなでお泊まりするからご飯食べてて、ちゃんと食べること。いいね!」
蘭よ、一食抜いたくらいで人は死なない。
「かと言って、これで食べないと蘭に怒られてしまうな、美竹家のキッチン借りて何か作ろう。筑前煮、漬物、金平ごぼうにナスの煮浸し、何を食べようか?」
取り敢えずスーパーに行き、適当に安いものを放り込む。そしてから買ったもので何を作るか考えよう。そっちの方が安上がりだ。
「ふむ、野菜が今日は安いな、やはりここは金平ごぼうときゅうりの漬物で決まりなのだよ。」
そう思い、ラスト一本の人参に手を伸ばすと
「「あ、」」
誰かと手がぶつかってしまった。
「あー、すいません。」
「こちらも申し訳なかったのだよ」
ぶつかったであろう人に目を向けると、キャピキャピしているギャルがいた。
「あのこれどうぞ、」
少し考え事をしていたせいか、こちらに人参を差し出してきた。
「いや、それには及ばないのだよ。必ず必要なものではないのだからそれはあなたが買うべきなのだよ。」
「いやいや!でも、」
「他人からの好意は素直に受け取るべきなのだよ。では」
「あ、ちょっと!」
さて、今日は金平ごぼうの人参抜きだ、ほぼごぼう炒めな気がするが、まぁ、シンプルだからそれはそれで良さそうだ。にしても、ギャルがスーパーで買い物とはものすごいギャップだな、人は見た目によらないというが、あれはそう見えても仕方ない。
「本当に行っちゃったよ、」
先の人は、私に人参を譲って行ってしまった。いやー、しかし顔は童顔なのに、雰囲気が凄い年季入っていた。喋り方は...なんだろ凄い独特だった。
「面白い人だったな〜、後ろ姿で、自分は残念ですみたいなオーラ漂ってたし」
「リサなにしてるの?」
「あ、ごめんごめん!早く行こっか友希那!」
作った人参抜き金平ごぼうは、まずまずと言ったところだった。やはり、人参がないと完成しないな。
「さて、ご飯も食べたし今日はこの曲を、」
『Naru』
「放て!胸の深くまで、」
これは、弓道を舞台にしたアニメのオープニング。ある事がトラウマになり、自分に自信が持てなくなった主人公が、仲間と成長していく物語。これを聴くと勇気付けられるのと同時に、次に進む原動力にもなってくれる
「ふさぎ込んでた僕をよそに、君は変わらず笑った〜」
「信じて〜放て〜僕であるため」
「なんで、縁側で寝てるのさ。そして寝坊して遅刻した言い訳は?」
「最近、眠気がすごくて演奏し終わったら寝てしまったのだよ。自分は悪くないのだよ。」
「もうダメだこいつ」
☆10
っとぅむさん、ぬいぬい@七大罪さん
☆9
椅子タンブールさん、シャチ大好きさん、ゴメゴメさん
☆8
岬サナさん
☆1
みねらるうぉーたーさん
評価をありがとうございます!また、感想を下さった岬サナさん、
苦労バランさんありがとうございます!