母親の再婚相手の連れ子が学園のアイドルだった件 作:ばんちよ
よろしくお願いいたします。
追記
2019年8月13日 一部訂正しました。
ひらり、はらりと桜の花びらが舞っている。
見渡す限りの桜が咲いている中、一際大きな桜の木が立っている。
周りの桜を見渡すように、大きく広がるように咲いていた。
見るものをすべて引き込むような、とても幻想的な景色だ。
そんな桜の木の前に俺は立っていた。
辺りは暗く、時間は夜なのだろうか。
シンと静まっており、何の物音さえも聞こえない。
目の前には一人の女性が立っている。
その女性は胸の前で手を握り、俺のことをまっすぐと見つめていた。
記憶にはない人だった。
知り合いではないはず。
でも、いつも一緒にいるような、すごく大切なような。
なぜか、そんな感情が胸を占める。
その女性が口を開き、何か言葉を発しようとした。
その瞬間、俺の視界はゆっくりとホワイトアウトしていった。
目が覚めると自分の部屋のベッドの上だった。
夢の余韻か、少し意識がぼーっとしている。
時計を見ると、時刻は朝の7:00前。もう起きなければならない時間帯だ。
「・・・・あー、寝坊してしまった。」
普段は6時ぐらいに起きて軽くランニングをしているのだが、時折今朝のように寝過ごしてしまい、その機会を逃してしまう。
朝食は自分が作る為、遅くともこれくらいの時間帯には作り始めないと1日のスタートが遅くなってしまうのだ。
「・・・ん~~~っ!」
起き上がり、体を伸ばす。
伸びをしながら、先ほどまで見ていた夢について思考をめぐらす。
とてもきれいな風景だった。
あの桜はたしか、『枯れない桜』だったよな。
俺が住んでいる場所は初音島と呼ばれる、日本でも有数の桜の名所である。
ただ桜が咲いているだけなら、そこまでめずらしくない。
だが初音島の桜には他にはない唯一の特色がある。
・・・なんと、桜が一年中咲いているのだ。
春はもちろん、暑くてたまらない夏も、食べ物がおいしくなる秋も、雪が降って寒い冬も。
どの季節も初音島の住人は桜と共に生きている。
そんな島中のいたるところにある桜の中でも、一つだけ特別視されている桜がある。
それが『枯れない桜』である。
なんでも、その枯れない桜に願いごとをすればその願いが叶うのだとか。
ばかばかしいと思うかもしれないが、一年中桜が咲いている時点で大分不思議である。
なんでも世界中の科学者が桜が咲いているメカニズムを研究しているのだが、いまだにわかっていないらしい。どこのファンタジーだろうか。
ともかく、そんな桜が咲いているのだ。願い事の一つや二つ叶ってもおかしくはないと思えてくる。
まあ、願いを叶えてもらった人なんて会ったことないけど。
一旦部屋を出て、洗面台で顔を洗ってから部屋に戻り、部屋着に着替える。
この家は、二階建ての日本家屋であり、俺の部屋は二階にある。
日本家屋という割には、そのイメージに反してまだ真新しい。
それというのも、俺の母親が、俺がまだ幼い時に建てた家なのだ。
うちの母親は仕事でかなり稼いでいるらしく、かなりのお金を持っている。
ただ、なんの仕事をしているか教えてもらっていない。
昔から何度か気になって聞いてみるのだが、その度にはぐらかされてしまう。
階段を下りると、シャワーの音が聞こえてきた。
丁度その母親が使っているのだろう。
この家には俺と母親の二人暮らしな為、母親以外心当たりがない。
今のうちにとりあえず朝食を作ってしまおう、そう考えて台所に向かう。
今日は昨晩のうちに炊飯器をセットしていたので、お米に合わせて和食を作ろうと考える。
味噌汁に、焼き鮭と卵焼き、それに冷蔵庫で漬けてる浅漬け。
なんの面白みのない定番メニューだが、王道中の王道。
自分もこのメニューを気に入っており、良く作っている。
炊飯器を開けると良く炊けた白米の香りが鼻孔をくすぐる。
しゃもじで軽くお米を混ぜてから再び蓋を閉じ、蒸らす。
先に冷凍していた鮭を出しておいてレンジで解凍する。
時間がないので時間短縮だ。
味噌汁用に鍋に水を入れ、お湯を沸かす。
お湯が沸いたら鰹節を入れ、だしをとる。
だしが取れたら鰹節をすくい、カットした豆腐、わかめ、油揚げの順番に入れていく。
最後に味噌を混ぜていく。
それと同時に解凍した鮭の下ごしらえをしてからフライパンで鮭を焼いていく。
香ばしいにおいがしてくる。とてもいい匂いだ。
鮭を焼いている間に卵を割り、醤油と少量の砂糖をかき混ぜる。
卵焼き用のフライパンに注ぎ、二人分焼いていく。
そこで、ふと、あることを思い出した。
そういえば母さん、今日朝早くから仕事じゃなかったっけ?
そう思い、台所にあるカレンダーを見てみる。
『母仕事、朝食いらない』
今日の日付のところにそう書いてあった。
「まじか。すっかり忘れてた。」
いつもの調子で二人分作ってしまった。
まあ、冷蔵庫で保存しておけば弁当にできるし、いいか。
しかし、何か引っかかるな。
そう思い、自分の分の食器を用意する。
台所と隣接している居間のテーブルに食事を用意し、テレビをつける。
丁度朝のニュースの時間帯だ。
ニュースキャスターが政治のニュースを読み上げている。
「さて、いただきます。」
手を合わせ、味噌汁に口をつける。
うん、おいしい。
我ながら上出来だ。
一日は朝食から始まる。で、あればそれがお粗末なものであったらその一日は最悪なものになる。
それが自分のポリシーだ。
だからこそ、気になる。
なんだろうこの引っ掛かりは。
何かおかしなことがあっただろうか。
朝起きてから、ここまで・・・・。
・・・・・・・そうだ、シャワー!
さっき母親がシャワーを使っていたんだ。
なんだ、母さんは今家にいるのか。
まったく、予定が変わったらちゃんとカレンダーに書き込むのがうちのルールだというのに。
とりあえず、母親がここに来てからご飯の用意をしよう。
そう思ってニュースを見ながら、箸を進める。
そうこうしてるうちに、廊下を歩いてくる音が聞こえてきた。
丁度居間の前のところで止まる。
俺はそれに合わせて、箸をおいて振り返りながら挨拶をしようとした。
「おはよう母さん。仕事はなくなっ・・・・た・・・・の・・・・。」
だが、途中で言葉が詰まってしまった。
無理もない、だってそこにいたのは。
「あはは・・・。おはよ~ございま~す・・・・。」
母親ではなく、
「・・・・どちら様?」
見知らぬ女の子だったからだ。
母親の再婚相手の連れ子が学園のアイドルだった件
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