母親の再婚相手の連れ子が学園のアイドルだった件 作:ばんちよ
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それでは、1話目をどうぞ。
「・・・あはは、おはよ~ございま~す・・・・。」
「・・・・・・・どちら様?」
とっさに俺は目の前の少女にそう返した。
考えてみて欲しい。
朝、自分の家で、母親だと思って振り返ったら、知らない女の子がいるのだ。
ふすまの後ろから恐る恐る除くようにこちらを見てくるが、こっちも慎重に声をかけるしかない。
目の前にいる女の子をまじまじと見る。
中学生ぐらいだろうか。
桃色がかったロングの髪を一つ縛りにし、左肩にかかるようなサイドテールにしている。
薄めのカーディガンにジーンズを履いていた。
容姿はぱっと見でもかなりかわいい部類ではないだろうか。
「えーと、唐沢・・未来君・・で、あってる?綾子さんに昨晩泊めてもらったんだけど聞いてないかな?」
その女の子は俺に確かめるように聞いてきた。
「はい、未来っていうのは俺の名前ですけど・・・。母さんが?」
確かに俺の名前は唐沢未来だ。
それに、綾子という名は母の名前だ。
その名前を出すということは、母に泊めてもらったっていうのは間違いないんだろう。
ただ、俺は誰かを泊めるなんて話は何も聞いていなかった。
「・・・・えーと、すいません。母からは何も聞いてなくt」
ジリリリリリリリリリリっと据え置きの電話が鳴り、俺の言葉を遮る。
「・・・・・ちょっとすいません。電話出てもいいですか?もしかしたら母かもしれないので。」
「うん!どうぞどうぞ!」
電話に出る断りを入れる俺ににこやかに目の前の子はにこやかに応じてくれる。
なんとなくいい娘だな~という感じがする。
お言葉に甘えて電話のところまで移動し、受話器を手に取る。
「もしもし。」
『あ、未来?おはよう。母さんです。』
電話の相手は、予想通り母からだった。
「おはよう、母さん。朝から電話したのって・・・。」
『あ、その様子だと、あの娘に会ったみたいだね。ごめんね!昨日の夜はあんた早く寝ちゃってたみたいだし、朝は早くから仕事に行かないといけなかったから、あの娘が泊まったこと伝える余裕がなくて。』
「まあ、それならしょうがないけど、びっくりするわ。今まで誰かを泊めることなんてなかったでしょうに。なんでまた。」
『ごめんごめん!いやね、その娘のことなんだけど・・・。ほら、前に母さん再婚したい相手がいるって相談したじゃない?』
「あー、うん。」
数週間前だっただろうか。
母から再婚したい相手がいると相談されたことがあった。
母は父が亡くなってから女手一つで俺を育ててくれた。
その分母は自分の時間を過ごすことが少なかっただろうから、
俺が自分一人でもある程度生活できる能力を身につけてからは、再婚とかしないのか聞いてみたことがある。
そんなこともあったので、母から相談されたときは俺も喜んで賛成したのである。
個人的に相手の人とうまくやれるか不安であったが、母が選んだ人なので信頼できるだろうと考えている。
丁度仕事が忙しい時期なので、一段落したら顔合わせしようと話していたところだ。
でも、それが何か関係あるのだろうか?
相手の人に頼まれたとか?
『その相手の人の娘さんなんだよね!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
え、マジで?
『つまり、あんたの義理の姉?もしくは妹?になる予定の娘なのよ。』
「・・・・・・いや、初耳なんだけど?そういう重要な話はもっと早く教えてよ。」
『いやさー、もっと段階踏んでタイミングを考えて、ちゃんと話す予定だったんだけどね。相手の人、貞明さんって言うんだけど、貞明さんが急に仕事で2週間くらい家を空けることになっちゃってね。
年頃の女の子を家に一人でというのも不安だから、親戚か知り合いの家に預けようってことになったんだけどね。他に預けられそうなところが無かったのよ。それで、顔合わせも兼ねて家で預かるってことになったってわけ。
今春休みでこれから新しい学年に上がるまえでしょ?タイミング的にも丁度いいかなと思って。』
うーん。そういうことならしょうがないか・・・・。
しょうがないのか・・・?
まあ、ここで俺が異論唱えることもないし、とりあえずは受け入れるしかないね。
「わかった、了解でーす。」
『ほんと、ごめんねー、突然。後、あんた今日暇?日用品とかその娘の必要な物買ってあげてほしいんだけど。』
「今日?まあ、特に用事はなかったから大丈夫だよー。」
『そう?なら頼んだ。その娘、白河ななかちゃんっていうんだけど、あんたと同い年だからちゃんと仲良くするんだよ?わかった?』
「あ、そうなんだ。はいはい、それはもちろん。」
『今日は夕方くらいには帰れるから、三人で一緒に夕飯食べようね。それじゃ!』
「はーい。お仕事頑張って。」
そういって受話器を置いた。
・・・・・うん。いきなりすぎて混乱しそう。
思考停止しそうになる頭を必死に回しながら、俺は件の女の子に目を向ける。
「綾子さんからだった?」
電話が終わるタイミングを見計らっていたのか、白河さんが話かけてきた。
「うん。母から一通りの説明が。で、えーと、白河ななかさん、であってるかな?」
たった今初めて名前を聞いたばかりなので一応確認する。
「うん。今年風見学園付属3年生になる白河ななかです!」
名前を聞いた俺に笑みを浮かべて、ピッと敬礼しながら自己紹介してくれる。
うわ、すごいかわいい。まじか、こんなかわいい娘と一緒に暮らすのか。
「これはご丁寧に。同じく今年風見学園付属3年生になる唐沢未来です。」
「うん、未来君だね!・・・・・ごめんね?いきなり転がり込んで・・・・。」
白河さんは、俺の返事に笑顔で返事をしてくれた。
でも、すぐに申し訳なさそうな顔で謝罪の言葉を口にする。
「いやいや、全然謝ることはないよ!
そりゃ確かにいきなりでびっくりしたけどさ。母さんの話だといずれ顔を合わせることにはなったんだろうし・・・。
まあ、これも何かの縁さ。仲良くやろう。白河さん。」
白河さんに気を使わせないように、笑いながら歓迎の言葉を口にする。
そうはいっても、これは本心からだ。
見た感じいい子そうだし、俺としても仲良くやれそうだ。
「・・・・うん。ありがとう!じゃあ、握手しよ?よろしくの握手!」
白川さんは俺の言葉を聞いてすぐ笑顔を浮かべると、手を差し伸べてきた。
「お、おう。じゃあ、・・・・・。よろしく、白河さん。」
俺はその手を取って握手をした。
小さくてかわいらしい手だ。
女の子と握手なんてしたことないからすごい気恥しい。
でも、せめてもの歓迎の気持ちを込めて手を握る。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・?」
すると、白河さんは、空いてる左手の人差し指を自分の頬に当てながら握手してる手をじっと見つめてくる。
どうしたのだろうか、すっごい照れてしまうのだけど。
「白河さん?」
俺がそう呼びかけると、彼女はむーっと不満げな顔になった。
「な・な・か!」
「え?」
「ななかって呼んで?同じ家に住むのに、苗字だと他人行儀でしょ?私も未来君ってよぶから。」
「うーん、それもそうか。じゃあ、ななかさん。」
「もう!さんもいらないよ?」
「うえっ?・・・・・ななか、・・・・・・さん。・・・ごめん、気恥しくてハードルが高いからこれで勘弁してください。」
「え~?もう、しょうがないなあ。」
彼女は、私は不満です!って顔をしながら腰に手を当てる。
感情表現が豊かな子だなあ。
ひとまずは許しを得たようでホッとする。
「さ、ななかさんは朝ごはんまだでしょ?食べる?」
「あ、うん。じゃあ、頂こうかな?未来君が作ったの?」
「そうだよ。朝ごはんは一日の始まりだ。モリモリ食べて、エネルギーを充填してくれ。」
力こぶを作っておどけるようにして朝ごはんを勧める。
すると、彼女はキョトンしてから、笑いだす。
「アハハハ!未来君っておもしろいね。じゃあ、朝ごはん食べてエネルギー充填させてもらうね。」
なんと、笑われてしまった。
でも、よかった。初めて過ごす家だろうから緊張するだろうと思ったけど、杞憂だったようだ。
「何か食べれないものはある?」
「うーん、特にはないかな。」
「はいよー、じゃあ座って待っててね。」
俺はさっき作った料理をななかさんに出すために、台所に向かう。
うん。いきなりすぎて正直まだ実感がわかないところもあるけど、これから楽しくなりそうだ。
そう思うと、俺はこれからの生活が楽しみになるのだった。
さて、完璧な朝食をごちそうしようか!
「ん!?すごいおいしい・・・・。」
「そうでしょうそうでしょう。」
お読み頂きありがとうございました。