フランドールの秘密   作:絶望先生と東方と涼宮が好きな人

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この小説のフランドールスカーレットは狂気を含んでいるというよりは、頭がなかなか回る狡猾な吸血鬼。

というほうが近いかもしれません。


第2話 フランドール、計画を練る。

 フランドールスカーレットの決意してからの行動は早い。

 

「パチュリー、お願いがあるの」

「できることなら」

「認識不可の魔法を教えてほしい」

「——なぜ?」

(そんな魔法、何に使うつもりなの? レミィが監禁を解くことを許したとはいえ、フランの狂気が完全に消えたわけじゃない。館から抜け出すため、とかだったら教えるわけにはいかないけれど……)

「お姉様に少しイタズラをしたくて」

「イタズラ?」

「急に目の前にパッと現れたら驚くでしょ!?」

「なるほど。確かにそれは驚くわね」

「お願いパチュリー! 私に魔法を教えて!」

 

 キラキラ

 

(むっ!? こ、これはフランのお願いのキラキラ瞳……! 私この瞳に弱いのよ!!)

 

「……分かったわ、教えるわよ」

「ありがとう! パチュリー!!」

 

【やはり、チョロい。まあこれで第一段階は突破したわね。で、次はどうするかだけど、早速蝙蝠に偵察に向かっていただきましょう】

 

 教えてもらったあと、フランは図書館から出て、誰もいないことを確認し廊下の窓から認識不可の魔法をかけた自分の分身を解き放つ。

 

 一方。博麗神社では。

 

「今日もいるの?? 来ないでよ」

「なんでそんなひどいこと言うのよ、霊夢!」

「咲夜からもビシッと言ってやってよ。しつこいって」

「黙れ巫女。私はお嬢様の指示に従うのみです」

「真に幸せにしてあげたいなら多少の厳しさも必要だと思うけどね」

 

 レミリアスカーレットが霊夢といちゃついていた。

 

 そしてまた戻りここは紅魔館の地下部屋。

 

「ふむ。なるほど、これは驚きね……!」

 

 蝙蝠が漁ったのは西行寺幽々子やその使いである魂魄妖夢すら知らない、屋敷の裏にある小さな倉庫部屋だった。そこで見つけたのは、西行寺幽々子の秘密……つまりは西行妖のことであった。

 

【西行妖の下に埋まってる死体、それが西行寺幽々子である。そして、この西行妖が咲いてしまえば西行寺幽々子は生前の記憶を思い出し消滅してしまう。ふふ、なんたる弱点……! これはもはや勝ったも同然……。しかもいいことを思いついた。この時点で最善の策といえばもはや一つ、西行寺幽々子に異変を起こさせることだ。それも西行妖を咲かせる異変を! そうすれば霊夢が動くだろう。ここがポイントだ。霊夢に勘付かれないために、あえて霊夢を騒動に組み入れる。案外遠くで見てることより、近くで見てることの方が気づかないものだ。そして異変が成功すれば西行寺幽々子は消滅し、失敗しても霊夢との戦いで疲れてるところを狙い仕留めることができる。たとえ幽霊でも、私の能力なら関係ないだろう。また、霊夢も異変解決後なら疲労が溜まっており、勘が鈍っているはずだ。気付かれることなく、西行寺幽々子を消せるだろう。西行寺幽々子が消えた理由に関しては、異変で力を使い切ったから、もしくは西行妖を咲く直前まで持っていったから、などいくらでもそれっぽくできる、周りがそう解釈する。私が具体的に対策する必要はない……】

 

 トントン

 

 地下部屋の扉が叩かれる。

 

「——はい、どちら様?」

「妹様、咲夜です。ただいまお嬢様と帰ってきましたので、そのご報告を。また、紅茶を用意しました」

 

【十六夜咲夜……お姉様が比較的最近雇った人間。実は私はあまりよくこの女を知らない。なにせこの地下部屋にずっと篭ってたからだ。紅霧異変ではもう彼女はいた。吸血鬼が幻想郷に押し入った吸血鬼異変ではまだいなかった。それだけで新参者だと分かる】

 

「ところで咲夜、お姉様はどこに行ってたの?」

「博麗神社です」

「ふふ、お姉様ったら。博麗の巫女にうつつを抜かしてるんじゃないの?」

「おそらくそうだと思います」

「情けないなぁ……咲夜もそう思うだろう?」

「——いえ。私はお嬢様に従うのみ。どんなお嬢様であろうと、私にとっては素晴らしいお嬢様です」

「ふむ……! 大した忠誠心だね、お姉様もきっと喜ぶだろう」

「ありがたき言葉」

「あっ、そういえば、お姉様から何か伝言でもある?」

「一つあります」

「話してくれる?」

「『フラン……せっかく館内なら自由に動くことを許可したし、部屋だって用意したのに、なぜ今でも地下部屋に篭るのか教えてほしい』だそうです」

「へぇ」

 

【理由としてはごく単純。長い思考を繰り返すとき、ここだと集中できるからだ。ここは周りの音を完全に遮断してくれるからね。それに……皮肉にも長い間ここにいたせいで、こんな暗い部屋でも落ち着くのに最適な場所になってしまった。慣れ、というのは実に恐ろしい。また、さらに理由を述べるならば、周りに知られちゃ都合の悪いことばかり考えてる私にとって、誰も寄り付かないこの場所はちょうどいいからだ。まあ以上が理由だけれど、全て話すのは阿保……一部分だけを軽く話せばいい】

 

「長い間ここにいたからね、逆にここじゃないと落ち着かなくなっちゃったのよ、慣れって怖い」

「——なるほど」

「お姉様にはそう伝えておいて」

「分かりました。では紅茶はここに置いておきますので」

 

 十六夜咲夜は地下部屋から出ていった。

 邪魔者は出ていった、再びフランドールは思考を繰り返す。

 

【さて、この計画を成功させるためにはまず、西行寺幽々子に西行妖を咲かせるように仕向けないといけない。西行寺幽々子という人間を知る必要があるな。現在の私は認識不可も使える、いざとなればこの館からも抜け出して、西行寺幽々子に会いに行くこともできるだろう。しかし、それは実にハイリスクだ。この魔法だって完全とは限らないし、その時点で西行寺幽々子に疑われてしまえば、これまた厄介だからだ。そもそも西行寺幽々子が消滅したことに私が関与していたことを誰にも知られちゃいけないのなら、一切接点がないことにした方がいいに決まってる。会うべきではない。あくまで、西行寺幽々子が自発的に異変を起こさなければならない。でも誘導するためには彼女の性格を知らなければならない、うむ、ジレンマだ】

 

 ところで博麗神社では。

 

「霊夢! 元気にしてるか!」

「また面倒な奴が来た」

「失礼だな!? おいおい、その面倒な奴ってレミリアのことだろう? この偉大なる普通の魔法使い様と一緒にしないでほしいぜ!」

「結局どんな魔法使いなのよ」

 

 霧雨魔理沙が偉そうに霊夢に語っていた。

 

「ところで霊夢」

「ん?」

「おまえ、フランドールスカーレットって知ってるか?」

「えぇと。確かレミリアの妹だっけ? 狂ってて監禁されてたとか」

「そうそう」

「あいつがどうしたの?」

「あいつは危険かもしれないぞ……? よく見てたほうがいいかも」

「根拠は?」

「いや、雰囲気がそんな感じだろ? それに私の勘だぜ!」

「魔理沙の勘は当たらないでしょ! 異変をまた起こすって言うなら別だけど、行動しないうちはそんな一人だけ監視するなんてできないわ……あくまで博麗の巫女は中立。一人だけに強く関わるなんてできないの」

「むむっ。誰でもない親友からのお願いを無下にする気か、霊夢?」

「そんな言い方しないでよ、イラっとするじゃない。魔理沙はそのフランドールスカーレットってやつになんか恨みでもあるの?」

「いやそういうわけじゃないが」

「なら黙ってて。それよりなんかお土産はあるんでしょうね?」

「せんべいでどうだ?」

「よし、いただくわ」

 

 




どうやら霧雨魔理沙はフランドールスカーレットのことが気になるようで……。なぜなのか、それは今の所誰にも分からない。
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